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2011/08/18(木)
お盆の風習
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盆は過ぎたが、子どもの頃宮城の父の実家でやっていた風習を書いておこう。
8月13日・・ 朝から家中の掃除を念入りに、特に玄関は掃き清める。 仏壇の掃除も念入りに。
数々の提灯や灯籠が仏壇のそばに並べられる。
子どもは茄子やキュウリに割り箸を刺し、牛や馬を作る。 割り箸を良い感じの長さに切るのが難しい。 立つようにバランスを取るのも大切。 キュウリにトウモロコシの髭をつけ、馬のしっぽに見立てる。
仏壇の前にはカヤのござを挽き、その上に牛や馬を飾る。 「ご先祖様がこの牛や馬に乗って帰ってくるんだよ」 という祖母の声が懐かしい。
畑で採れたばかりの野菜が供えられ、中にはスイカや桃も顔を見せる。
夕方、畑から花を切ってきて、墓参り。 墓は家から歩いて10分ほどのところだ。 墓も念入りに掃除をし、念仏を唱える。
帰って来ると家の前に藁を少し積み上げ、迎え火をたく。 ご先祖様たちが自分の家だとわかるように。
8月14日〜15日 たくさんのお客様がお参りのために出入りする。 叔父や叔母も帰省してきて、途端に家中20人ほどの大所帯になる。 私は祖母とずんだ餅をこさえるのに忙しい。 家の主婦である伯母は、とても手際よく20人分の食事の支度をする。 風呂にも火をくべなければならない。 家の襖は取り払われ、30畳の大広間になった家の中はあちらこちらで笑い声があがる。 夕方になれば蚊帳をつり、かくれんぼに興じたり、従兄弟たちと花火をした。
帰ってきたご先祖たち、帰ってきたもののきっと居場所に困ったことだろう。
8月16日 たくさん集まった親戚は徐々に帰り始める。 私も食材を取りに、蔵に入ったり出たりする回数が減る。 仏壇にたくさん供えられた果物などを食べ始める。 「仏さんは食べられないから、食べちゃおう」と言った祖母も、今では仏である。
夕方、送り火をたく。 迎え火と同じように茅を積み上げ、火を点ける。 茄子、キュウリの牛と馬も火にくべられる。 「ちゃんと帰れるようにね」と祖母が言う。
各家々の前で同じような火がたかれ、通りが炎の幻想に変わる。
その間、伯父と伯母は再度墓に行き、新しい花を供えて来る。
こうして、お盆は終わるのであった。
今思い起こすと、火をたく匂い、ずんだの匂い、風呂場のイブされた匂い、蚊帳のかび臭い匂い・・・懐かしい。
もう40年以上前の話である。
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