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2006/06/27(火)
見てた。
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イエローすぐ横の階段をのぼると、陸橋にでる。
その場所から見える景色が好きだった。 360度、そこから見える景色全部だ。 仕事中、誰にも言わずにこっそり抜け出し、そこにのぼり、ポケっとした。
景色なんてそう簡単に変わるものではない。
だから、最近まで気がつかなかったんだ。
工事が始まり、ビルの構築が始まった。 「あ、なんか建つんだな、何だろ?」その場所から見下ろしていた。
ビルの高さはしだいに増す。 「そこ、何が建つの?」などと聞かれる事も多くなってきた。 でも、まだ気がつかない。 その場所から見下ろしていたビルは、見上げるようになっていた。
ある時、いつものように、その場所に立った。 常にビルの先端にあったクレーンがおろされる。 ビル周りの足場などが外され、本当のビルの姿が現れた。
僕は叫んだ。「無いよ!」 ようやく気がつく。愕然とした。 あの景色は無かった。
本当はずい分前から無くなっていたのだ。 その事に気がつかなかった。
気がついていたとしても、それは、どうにもできない事だが、 気づく事ができなかった自分が理解できない。信じられない。 自分に腹が立つ。
一部が変わってしまった、大好きだった360度の景色。 変わったのは一部なのに。
その場所で、あの景色にもう会えない。
1ヶ月に1,000枚以上は写真を撮る自分。 そこから見えたあの景色の写真は、一枚も持っていない。 悲しいというよりは、軽くうけた。笑った。
「一区切り」そんな言葉が妥当だ。 今までの景色を思い出すより、新しい景色を見よう。 あの景色があったから、新しい景色がわかる。 あの景色も、これからの景色も愛おしいのだ。
今日もその場所に自分は立つ。 これからもきっと立つ。 どんどん変わっていくであろう、その場所からの景色を、 自分は見続けるのだ。
よこち
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