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2006/08/19(土)
苦行
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「サンジ君、これ、とっても美容にいい薬草なんだって」 「干して、それを毎日煎じて飲めばお肌にとってもいいって チョッパーも言ってた薬草なの」 「明日の朝、その農家のおじさんが船に届けてくれるから、後の事、頼んでいい?」 ナミにそういわれて、サンジは「は〜い、ナミさん♪」と嬉しげに返事をしていたのをウソップは側で聞いていた。
ここは、温暖で穏やかな気候の島。 薬草や新鮮な野菜がふんだんに手に入る。 しかも、この島では農薬などは一切使わない。
故に、蝶や蜂が畑の上にたくさん飛び交っている。
そして。翌日の朝、サンジのところに届いた刈り取ったばかりの 薬草の裏側には、小さなゴマほどの大きさの粒がびっしりと張り付いている。 それを見た途端、サンジの顔色が変った。
「それ…卵だぞ。虫の」ウソップがそう言うと、「分かってる…!」とサンジにギロリと睨まれた。 まるで八つ当たりだ。
だが、サンジは冷や汗をタラタラ流しながら、孵化した 青虫がいないかを注意深く探し始めた。
「気持ちの悪い虫はアウトだ」 空島に行く前、サウスバードを探していた森の中でサンジはそう言っていた。そのサンジが、青虫を探している。
「手伝ってやろうか?」と言っても、 「…いや、いい」とサンジは頑張っている。
口に入れるモノに対しての思い入れと、苦手意識がサンジの 中で葛藤している。 その様子は、本当に気の毒だった。
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