妄想絵日記
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2006年7月
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2006/07/03(月) 石臼
二人で、古びた町並みを歩く。
ここがなんと言う島か、ゾロもサンジも知らない。
ただ、うらびれてはいるけれど、どこか懐かしい古さを感じさせる町だった。すれ違う子供は皆身なりは薄汚れていて貧相だけれど、皆表情が生き生きとして元気そのものだ。
そんな町を歩きながら、ゾロはふと、「甘味処」とかかれた、小さな看板が風にぶらぶら揺れているのが目に入った。
暖簾越しに中を覗くと、(…面白エ趣向だな)とゾロは興味をそ
そられた。
「…あれ、食っていこうぜ」そう言って、ゾロがその看板を
あごで指し示すと、サンジは「…あれ?あれって…あれか?」と
意外そうな顔をする。そして、
「…男二人で甘味処に入るのか」とサンジは少し困惑した様な
顔をした。
「ま、いいからちょっと付き合えよ。…俺のおごりだ」
とゾロは半ば強引にサンジの背中を押して、その店の中に
入った。
「なんだ、あれ?」サンジはゾロを振り返って、
そう尋ねた。「石臼だ」ゾロは半笑いを浮かべてそう
答える。サンジが知らない事を自分が知っているのが
嬉しいのか、サンジが知らないものを見て目を丸くしている
顔を見ているのが嬉しいのか、分からない。とにかく、
顔が勝手に柔かく微笑んでしまう。「イシウス?」
その店は、自分で食べる分の甘味にまぶす豆の粉を
自分で石臼で挽いて作る趣向らしい。
ゾロは、席に着いて、さっそく「わらびもち」を注文し、
石臼の穴に大豆を数粒摘まんで落とし、ゴリゴリと
挽いてみた。「…へえ…こうやって使うのか。こりゃ、力仕事だな」とサンジは面白そうにゾロを見ている。
(…そうか)
別に「わらびもち」が食べたくてこの店に入ったのではない。
ただ、サンジが無邪気に、興味津々な顔をして、目を輝かせて楽しそうにしている様が見たくて、この店に入りたかったのか、と
ゾロはその時気がついた。


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