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2006/07/14(金)
さやえんどう
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「…気が済むまでお前は俺の下僕だからな!」
サンジにそう言われて、ウソップは震え上がった。 「じょ、冗談だろ?!」と言ってはみたものの、絶対に冗談なんかではなさそうだ。
「髪が伸びた。切ってくれねえか」と頼まれたから、言われたとおりに切っただけなのに、その髪型が気に入らなかったのか サンジがいきなり怒り出したのだ。 そして、言い放ったのが、冒頭の言葉だった。
反論したら、罵倒されるだけではすまなくなる。 アバラ骨くらいは平気で折られてしまうだろう。 ウソップは仕方なく、サンジの下僕に成り下がった。 数日そうして過ごしたけれど、下僕と言うから一体何をさせられるのかと思ったら、普段やっている事とあまり大差ない。 そろそろ飽きてくるか?と思った頃、小さな島に着いた。 それぞれの用を足しに船から降りたのだが、ウソップはサンジに 「おいまて、下僕」と呼び止められる。 「な、なんでございましょう、ご主人様」 「俺ア、まだ髪型が気に食わなくて、ムシャクシャしてんだ」 「その鬱憤晴らしに行くぞ」「へ…?鬱憤晴らし?」
サンジとウソップは、いかにも海賊、と言う扮装をし、 二人だけで街のごろつきを見つけては手当たり次第に因縁をつけては喧嘩を売って、蹴り倒し、金を巻き上げては逃げた。 鬼をわざわざ大量に作って、逃げ回る鬼ごっこだ。 我侭放題の王子に付き従う、それこそ下僕の様にウソップは サンジの起す騒ぎに引きずり回される。 けれど、今日一日でサンジの鬱憤が晴れて、下僕から 解放されるなら、我慢するしかない。 だが。本当に好き放題に暴れているサンジの 顔を見ると、新しい遊びを見つけた子供の様に本当に楽しそうに笑っている。。(…まだまだ飽きる様子はなさそうだぞ…)
その顔を見て、ウソップはちょっとだけゾッと寒気を感じた。。
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