妄想絵日記
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2006年12月
前の月 次の月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
最新の絵日記ダイジェスト
2006/12/07 つまみ食いフェア 番外編その3
2006/12/06 つまみ食いフェア 番外編その2
2006/12/05 つまみ食いフェア 番外編 その1
2006/12/01 妄想劇場 挿絵
2006/10/03 妄想劇場 その2

直接移動: 200612 10 9 8 7 月 

2006/12/07(木) つまみ食いフェア 番外編その3
灯りを落せるだけ落して薄暗いとこでも、睫毛が長くて…何もかも小さくて、人形みてえなんだよ。

どうやって、この…その…なんだ。男のナニを、このカールに教えてやろうか、なんて
思いながら、俺は鼻息が荒くならねえように気をつけて、カールに顔を近づけた。
そしたら、びっくりするくらい呼吸が荒いんだ。
慌てて、掌をこう、…額に乗っけてみたらどうだ、すごい熱じゃねえか…!

それから、俺は…自分で言うのもなんだか、甲斐甲斐しくカールに尽したさ。
今まで、女にこんなに尽くした事はねえってくらい。
カールがしてくれた事を、全部とは言えねえが、濡れタオルを頭に乗っけたり、
悪寒がして震えてるから布団をたくさんかけてやったり、ストーブを焚いたり、
ミルクを鍋で温めて飲ませてやったり。
海軍大将の俺が、だ。
素性の知れない、小娘一人の熱が、一度上がった、下がったでキリキリしてた訳だ。
笑っちまうだろ。

…まあ、…もしかしたら、カワイイ子猫を拾った。それを飼った。
その子猫は、気まぐれで、じゃれ付いてくるわけでもないし、ただ、姿が可愛らしくて、側にいるだけだ。けど、なんとなくほっとする。それだけでなんでも許せた。

そんな子猫が病気になって可哀想だから、看病した。それだけの事だったかも知れねえ。

ああ、そうだ。カールは迷い込んできた子猫だと思えばいいのか。

とにかく、俺は俺にしては睡眠時間を削ってでも、カールを看病した。
熱が40度も出て、ゼイゼイ言ってる姿が哀れでな…。
医者に診せたのかって?もちろん、診せたさ。
だが、普通の人間が、能力者からの風邪をうつされたら、なかなか薬が効きにくいらしい。劇的に熱が下がるとか、そんな効果は出なかった。

「すぐに町の病院に入院した方が良い」俺はそう判断して、カールにそう言った。
「もちろん、お前サンは今、俺のメイドだ。金の心配は要らない」そう言ったら、
「はい、じゃあ、明日になったら入院します」、よほど辛かったんだろうな。カールは素直にそう答えた。

ところが、だ。翌朝になって、病院に連れて行こうと待っていても、カールはいつまでも起きてこない。
おかしい、と思ってカールに使わせていた部屋に行ったら、…、いない。もぬけの殻だ。

整理整頓はされてるが、使いっぱなしのままだった。
今、ちょっと外に出かけてる、って感じだった。

神隠しにでもあったみたいに、カールは突然、いなくなった。
探そうにも、カール、と言う名前と顔しか知らないじゃ、どうしようもねえ。
近隣の島の孤児院にも問い合わせたりしたが、カールなんて娘はどこにもいなかった。

…最初から、何もかも嘘だった。
それがはっきりしたのは、…笑える事に、なんと、昨日だ。

…これは極秘事項なんだがね。俺の家の地下には、海軍が、海賊どもから取り上げたエターナルホースが保存してある。
海賊どもが宝を隠したと言われているが、未だにそのお宝が見つかっていない島のエターナルホースだ。

その事を知っているのは、今、…海軍の大幹部と…バーマンさん、あんただけだ。
あんたの口が固いのは、長い付き合いで知ってる。だから、こうして愚痴ってるんだ。

一月に一度、俺はそのエターナルホースの数と保存状態を確認しなきゃならねえ。
無駄な仕事だと思うが、まあ、気の小さな年寄り連中を安心させるためだからな。

俺は、昨日、そのエターナルホースを数えてみた。
そしたら、…どう数えても、一つ足りねえ。

保存してある部屋には当然、鍵がかけてある。
その鍵穴に、ほんの少しだけ、パテがこびりついてた。

鍵穴にパテを詰めて、鍵の型を取って、鍵を作る。盗人の手口だ。
だが、盗んだエターナルホ-スは海賊の宝。海賊の宝を狙い、奪うのは、やっぱり海賊なんだ。

エターナルホースを盗んだのは、カールだ。
…俺が拾った、青い目の黄色い毛並みの子猫は、海賊だったんだよ。

そうとも知らずに…俺とした事が、全く、情けねえ話だよ。
こんな話、みっともなくて誰にも話せねえ。

ま、聞いてくれてありがとうよ。さて、酒も飲み終わったし、これ以上雪が積もらん間に、俺もそろそろ、ねぐらに帰るか。


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.