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2006/10/02(月)
wj妄想劇場 その 1
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騒ぐだけ騒いで、すっかりそれにも満足して、突然、船は静けさに包まれた。 海は、安らぎを優しくゆれ与えるように穏やかに凪いで、空には満天の星がまるで降って来るかのように煌いている。
ゾロは、空を一度だけ振り仰いで、口から深く息を吐いた。
浮かれて騒いで、でも、その間、ずっと心の奥に引っかかっていた何かがある。 それは罪悪感の様でもあり、微かに敗北感にも似ている。また、何かに急きたてられている様な焦燥感も感じていた。
それは、いつも、サンジの姿を見、サンジの声を聞くと胸の底にあった筈なのに、急に浮上してくる。それにイラついて、大騒ぎの大宴会の中でも、下らない事で突っかかってしまった。いつもどおりのじゃれ合うような喧嘩だったのに、そんな子供じみた行動が、何故か今夜に限って自分でも許せない。勝っても負けてもいないのに、何故か気が咎めていた。
仲間皆が、安心しておのおの好き勝手な場所で静かに眠っている今でも、サンジは一人起きている。そして、そのサンジがどこにいるかをゾロは探し回らなくても、わかっていた。
そして、そこへと足は急いでいる。 それなのに、胸の内は、(面を見たところで、…俺は、あいつと、一体…何を話す気なんだ)と躊躇っている。上っ面の気持ちと、まだ言葉にも出来ていない本音とがチグハグなまま、 ラウンジの前で立ち止まった。 息を潜めるかのように、灯を落としたランタンの光が見慣れた丸い窓から漏れている。 ゾロは、覚悟を決める様に、また空気の塊をフウ…と口から吐いて、ラウンジのドアを開けた。
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