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2007/07/24(火)
SS導入部。
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「は?」
「何。聞こえねぇ。もっかい言え」
真琴との電話。 真琴は何処にいるのか、周りの雑踏がとてつもなく煩い。
『だーかーらー! ウチのクラスにネタが当たったんだってば!』
今度は大声。
「今度はうるせーよ、真琴」 目をしかめて、思わず、聞いていた耳を指でふさぐ。 『でも聞こえたでしょ』 「耳が壊れるほどな」 『ネタが当たって嬉しいのか嬉しくないのか、わかんないよねー』
真琴は、文化祭委員だ。 今日もソレの集まりで学校に居残っていた。 男子の功介と、女子の真琴。 功介がいりゃあ、朝は雨だった夜遅い帰りでも安心だろうと思ったんだが。 …電話してきた事を見ると、功介はいねぇらしい。 あのヤロウ。 真琴でも一応、女なんだぞ。
…って話逸れた。 「わりぃわりぃ。…んで?」 『どんなネタで笑わせるかが問題だよー』
そうらしい。 ウチの学校の文化祭は、高3時のみに演劇が許される。 そのテーマを決めるのにはクジが用意されていて、 「恋愛」「友情」「時代劇(和)」「コメディ」「ネタ(お笑い)」「自由(フリーテーマではなく)」「成長」 というものから、くじ引きで選ぶ。 そこを功介が選んで、見事「ネタ(お笑い)」がウチに来たという訳だ。
「だろうなー」 『ねー』 「功介の責任なんだろ?アイツに考えさせろよ」 『無理だって。こういうのは千昭の役目だってさ』 「あのヤロウ」 ……。 眉間がピクピク言うのが自分でも分かるぞ。 「まっ、皆で考えればいいんじゃねぇの?」 『そうだね』 「つーか普段はどんなのやってるわけ?」 『え? あ、そうか。見てなかったんだよね』 「そーだよ」 どんどん、真琴の周りの雑音が静かになっていく。 『去年は、ネタたっぷりのコメディ漫画をやってたよ』 「今年もそうすれば?」 『芸がないじゃん!』 「しらねーよ。俺は裏方でいりゃいいから、関係ねぇもん」 『薄情ー』 ちょっと不満そうな真琴の声に覆いかぶさって、油のさしていないドアの音。 『ただいまー』 遠くで、真琴の家族が『お帰りー』と言っている。 「着いたのか? んじゃ切るぞ」 『あ、待ってよ!!』 「なんだよ。もう着いたんだろ?」 『なんかネタを考えてきてよね!』 「なんだそりゃ」 そして階段を上がる音。 『だって、誰も思いつかなそうなんだもん』 「てめぇで考えろ」 『千昭も巻きぞい!』 「やだね。いい加減切るぞ」 「あ!」 『なんだよ』
「ありがと、千昭」
心なしか照れくさそうに言った真琴は、プツッと電話を切った。
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以前「ネタ」と話していた、SSの導入部。 こういう形でSSに入ろうと思います。 この先はネタなので、UPした時には気を付けて下さい。 3年時だけ演劇だったのもクジがあったのもホントです。 こんなんじゃありませんでしたが。
そして今日は、エチュードプロローグをUPしました。 オススメはやっぱりPC(win98限定)とセガサターン。 どちらかを持ってるなら、こちらをやりましょう。 PS2はオススメ出来ません。安いならいいけどね。
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