Smomo’s Flower Diary
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2010/08/06(金) 広島 原爆の日
広島 原爆の日

慟哭     大平数子


逝ったひとはかえってこれないから
逝ったひとは叫ぶことが出来ないから
逝ったひとはなげくすべがないから

生きのこったひとはどうすればいい
生きのこったひとはなにがわかればいい

生きのこったひとはかなしみをちぎってあるく
生きのこったひとは思い出を凍らせてあるく
生きのこったひとは固定した面(マスク)を抱いてあるく


夜をこめて 板戸をたたくは風ばかり
驚かしては 我が子のかえる
今日はいずこへ行くやら


原爆より三日目に吾が家の焼けあとに呆然と立ちました

めぐりめぐってたずねあてたら まだ灰があつうて
やかんをひろうてもどりました
でこぼこのやかんになっておりました

やかんよ
きかしてくれ
親しい人の消息を

やかんがかわゆうて
むしように
むしようにさすっておりました


呼んでいる
誰かが呼んでいる
向こうのほうで呼んでいる
くずれながら 寄せてきながら
ママー
どこかで呼んでいる
ママー
沖のほうで呼んでいる

夕焼け小焼け
明日天気になあれ
カラスが鳴き鳴き帰ったよ
みいこちゃんちに灯りがついた
さあちゃんちに灯りがついた
しょうじんちに灯りをつけよう
やすしんちにも灯りをつけよう

失ったものに
町にあったかい灯がともるようになった
深く 深く
ふかしたてのパンが陳列棚に飾られるようになった
中学の帽子が似合うだろう
今宵かじるこのパンをたべさしてやりたい
はら一ぱいたべさして やりたい
女夜叉になって お前たちを殺した者を
憎んで 憎んで 憎み殺してやりたいが
今日 母さんは空になって
お前のために鳩を飛ばそう
豆粒になって消えてゆくまで
飛ばしつづけよう


しょうじ よう
やすし よう

しょうじ よう
やすし よう

しょうじ よおう
やすしい よおう

しょうじい よおう
やすしい よおう

しょうじい
しょうじい
しょうじいい


風さん 風さん 風さん
あなたが 世界中をくまなく吹いて
どこかで わたしの子どもを みかけたら
わたしが
待って 待って
待ちくたぶれて
それでも
のぞみをすてないで
まだ
待っているからと
あの子に 伝へて 下さいな

お月さん お月さん お月さん
あなたは 三百六十五日
そうして あるいて おいでだから
あなたは 何でも 見えるでしょうから
わたしの子どもが みちが多くて かへれないと
泣いていたなら まよわず まっすぐ 帰ったらいいと
おしえて やって 下さいな

がんさん がんさん がんさん
あなたがかへっていく 北の国に
もしも わたしの子どもが 寒さにふるえていたなら
わたしが おまえを さがしていたと
子どもに 云って 下さいな

月のいい ばんには
ふえをふいて待っていると
あの子に告げて下さいな

雨のふるばんには
高下駄をならして
帰ってくるみちを歩いていると
あの子に 告げて下さいな

つばめさん つばめさん つばめさん 
あなたがいた みなみの国に
もしや わたしの子どもが 帰るのを忘れて 
あそんでいやしないでしょうか
あの子は ものおぼえのいい子だから
きっと わたしを おもい出してくれるでしょう けれど
みなみの国は あったかいから
みなみの国は いっぱい、いっぱい、花が匂うているから
花の香りにむせて わたしの子どもが 
帰るのを忘れているかも 知れないのです
もし あなたが わたしの子どもをみかけたら
わたしが 待っているから と、
あの子に 告げて 下さいな


とてつもなく長い夜と
とてつもなく短い昼と
とてつもなく長い夜と
とてつもなく長い夜と
とてつもなく長い夜と
とてつもなく長い夜と


子どもたちよ あなたは知っているでしょう
「正義」という事を
「正義」とは つるぎをぬくことでないことを
「正義」とは 「愛」だと言うことを
「正義」とは 母さんを悲しまさないことだと言うことを
みんな 母さんの子だから

子どもたちよ
あなたは知っているでしょう


アルビノーニの「アダージョ」の音楽とともに。


「吉永小百合 被爆65年の広島・長崎」
原爆詩の朗読から抜粋

吉永小百合さんの朗読は↓で聞くことができます。
http://emuzu-2.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/nhk-65-4dbf.html


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