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2010/08/21(土) 夏の夜は夢
ここしばらく続いているけれど、夜がとても好きです。
近所を徘徊したり、遠出し過ぎて帰れなくなりかけたりします。

夜の道、特に車の少ない住宅街は最高です。
一年のあらゆる場所でも、特に好きな時間と場所。
あの体感がたまらない。

路面のアスファルトが黒く溶けて、何があるのかよく分からない。
そこにちらつく光も影も、虫やもっと大きい生き物に見えて驚く。
自然と人口のざわめきが両方ともそこら中にあって、羽音かと思うと送電線だったりする。
かさかさと鳴るのは枯れ葉と思っているのに、どうにも後を付いてくるような気になったり。
ふと電信柱や物影が人に見えてびくついて、かと思うと本当に予期せぬ場所に人がいて。
擦れ違う時も、お互い余所余所しく昼間よりももっとぎこちない。
壁に一枚隔てた向こうで、暮らしの音が、家族の会話が聞こえる。
そこに加わっていない自分の一人に、体の表面がむずむずする。
暗くてよく分からなくて一人きりで、それがとにかくむずむずする。
自分がどちらを向いているのか分からなくなったりすると、もう本当にたまらない。
叫びたくなって、でもそんなことしないので全部体内に溜まっていく。
思考も情報も全部、誰とも共有も共通も出来ない。
自分が一人であることの、あの感触。

がっと開けた場所に急に出て、目の前に月があるあの瞬間。
ああ、夜なんだとしみじみどこかへ落ち込む瞬間。

自分がいつか死ぬんだと確信するぐらいの鬱い深い安心を感じます。

都心部や、駅周りの夜も好きですが、あれはあれで別。
もっと明るく浮かれた気持ち良さがあります。
 


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