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2010/01/10(日)
切れ目
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「羊たちの沈黙」の中にとても好きな、或いは気になる台詞があります。 クラリスが過去の暗い思い出を語る。 レクターが尋ねる。 「キャサリンを救えたら、もう悲鳴も消え、暗い明け方に目が覚める事もないと思う?」 もう、なくなる。 人生の中にずっと在ったものが無くなるのは、どんな気分だろう。
人には過去が有って、それは子供だって決して、明るいだけのものではないと思います。 石を削って割って彫像を作るように、人もにも傷で形作られている部分がある。 それは明るい思い出と共に、やっぱり要素なのだと思う。 明るい記憶だけで生きている人よりも、痛い記憶だけで生きている人の方が多い。 そこに何があるのか分からないけれど、傷に含まれる本質というテーマに惹かれます。
トラウマというと、少し違う。 でも、誰にでも深く自己の形成に関わっている傷があると思う。 果たしてそこから、回帰してもいいものなのか。 回復することは可能なのか。 それはどういう意味を持つのか。
クラリスは分からないと答え、レクターが礼を言う。 そのやり取りに、私はとても惹かれました。 興味を感じる。 傷にこそ在る、意味合いに惹かれる。
明るくて完全で綺麗な物は、綺麗な人が探ればいいと思う。 自分が汚いとか暗いとか、もうそういうことは考え飽きたので思わない。 ただの変態です。
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