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2009/05/06(水)
忌避
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真黒な欲望というのは、低俗で身近で脂っぽいものだと思う。 言葉が創作上の表現で持つような、深いイメージを持てない。 込み入った連続殺人事件や耽美な猟奇殺人よりももっと他のことを連想する。
そこらの男子が性に対して抱いている勝手な期待や都合の良い思い込み。 そこらの女子が娯楽にしている、簡単な名前で括られてしまう歪んだ愛情の体現。 或いは双方が互いに対して知識を持とうともせず押し付けているのにも気付かない設定の数々。 そういうものの方が、ずっと怖い。 ずっと気持ちが悪い。
知らない間に毒を飲まされるのと、知っていて汚物を口に入れるのと。 冷静に考えれば命の方が大事。 けれどそんな問題でなく、考えただけでも感じる嫌悪感というのがあって。 それは後者の方がずっと強い。 多分、死よりも嫌悪の方がイメージし易いし身近なのだろうな。 それと同じ。 地下に埋められた多数の死体や撒き散らかされた内臓は想像し難い。 けれど人の自分勝手な妄想や傲慢は、簡単に嫌悪になる。 だってどこに誰と暮らしていても、絶対に逃げられないものだから。 身近に毎日存在していて、慣れることが無いから。
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