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2009/05/21(木)
藤の後
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もうそろそろ、陽気が甘い季節。
透明な温かさと涼しさも、好きだけれど。 そう思ったのが四月の終り。 今はもう、花の香りがひたすらに甘い。 何だか、たまらなくなってしまう。 花の香りが届く度に、胸から何かが膨らんで溢れて、溺れそうになる。 この無性に切ない捩じ切れそうな状態が何なのか、よく分からない。 春になると湧いてくる、生物的な繁殖の要望とは違うようなのだけれど。 むしろタナトスに近い甘ったるさを感じて、けれどもっと静かで寂しい。 少しだけ大衆的な死の覚悟に似ているかな。
本当に、何だかよく分からないのだけど。 孤独は平気だけれど、寂しいと死にたくなるので止めてしまいたい。 でもとても気持ち良くて、止めたくなくて。 結局次の春も夏も待ってしまうに違いない。
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