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2009/02/17(火)
昔に出来た傷の話。
傷の話なんてするとどうも主張が臭くなる気がする。
別に自慢出来るほどの信念も無いただの怪我だし、そもそもほとんど掠り傷なのだけど。
そもそも私は変態なので、傷自体に対してどういう姿勢を取るのが社会における適正なのかよく分からない。
自分にとっては、動物の柄の様な感覚なので、爪や骨と同じに気にいったり困ったりする。

傷が無い方が良いとは思わない。
正直、怪我は好きだ。
体が脆くて破損し、生きていて修復し、それが跡として残るのはとても感動的。
エロティックに感じるほど、深く興味深い現象だと思う。

でも、傷が有る方がいいとも思わない。
一つしかない体を無くす危険は必死で避けるし、ダメージも少ない方が良い。
痛い思いをしたくないし、消えないかもしれないと思うと不安になる。
取り返しがつかないかもしれないものは、何でも怖い。

怪我があることを醜いとは思わないし、格好良いとも思えない。
でも人に傷跡が有れば目が行くし、出来ればじっくり眺めたい触りたい。
老若男女問わず、事故でも先天性でも自傷でも、欠損は目を惹く。
顔の形や身長骨格が違う様に、傷も特徴の一つだと思う。

でも、そういうことが書きたいのではなくて。
何年も前に出来た傷の跡が、自分の体に幾つか見える。
怪我の由来自体は大抵忘れている。
覚えているのは、傷に対しての自分の処置の仕方。
きちんと見てもらったのは僅かで、後はひたすら自己治療だった。
だから、裂けたり膿んだり腫れたり血が止まらなくなったりした。
それを焼いてみたり切ってみたり、色々したものだなと。
マキロnと医療テープ、爪切りと針にはとてもお世話になった。
そういうことが平気で、何も考えず一番楽だと思った方法で治そうとした。

そういう思い出と、現在の自分を、傷痕で繋げられるなと思った。
あの時の様な生気も覇気も無いし、色々と頭が軽くなっている。
痛みにもずっと弱くなり、長い時間が過ぎた様に思う。
でも、体にある傷を見る時、それを治療している自分を思い出せる。
残って良かったとは思わないけれど、今ここにこの跡があって嬉しい。
あの時間の自分と幸福を、確かに有ったと今に実感出来るのは貴重だ。
よく分からないけれど、懐かしい安らかな気持ちになる。
あんなに乱暴な治療でも治ってくれた体に感謝を感じる。
動いてくれて有難うと、感謝する。
 


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