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2009/11/06(金)
転災
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何が有ったら、消えてしまいくなるかと聞かれたのだけど。 私には、分からない。 何もかも消してしまいたくなったことはある。 でも、消えてしまおうとは思わなかった。 私は傲慢で碌でもない親に育てられたので、私も傲慢で碌でもない人間なんだろう。 嫌でも逆らっても自分はそのうち死んで消える。 だから、それを自分でやろうなんて思わない。 何もかも消してしまいたいとは、何度か思った。
怨霊とか、荒御霊といったモチーフまたは減少が好きだ。 ただひたすらに災いに転じる存在というのは、気持ちが良い。 台風や地震といった天災と同じで、個を避けて見るならば美しい。 単純でベクトルが定まり、影響されることの少ないエネルギーだから。 力強さは、美しさ。 人間なんてどんなに筋肉が有って身体が大きくても、脆い。 数グラムの銃弾で簡単に死んでしまう。 脳の血管が数ミクロン敗れただけでも死んでしまう。 どんなに頑張っても数十年経てば立つことも出来なくなる。 それが悲しいとか空しいとか思わないけれど、でも力強さには焦がれて止まない。
例えば身近な人を悲しませたら、私も悲しい。 でももし自分が台風だったら。 もし自分が地震だったら、好きな人が皆死んでしまってもとても大きなものになりたい。 人類が半減以上減ってしまう様な、未曾有の災害に。 その気持ちを責められても、生きていることを責められるのと同じで謝れない。 こういう人間に育ってしまうこともあるのだと、分かってもらうしかない。
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