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2008/07/15(火)
タブー
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機会があったので「さくらん」を見ました。 確かに眼には鮮やか。 提灯、金魚、着物、花。 女同士の汚さも痛みも好き。
けれど物足りないのは、終わり方のせいかもしれません。 それでは駄目になっただけだと、思ってしまう。 そうするなら、もっと早くすれば良かったのに。 この後に心中ならばまだ分かる、まだ良い。 だって水槽から出たくない金魚だっているから。 けれど、この二人がこれからどうなるのか。 憧れで一緒になり、年をとり、愚痴を言うようになり、鈍くなる。 そんな結果を想像してしまうのが不満。 ハッピーエンドではないと思うし、そんなのは期待してなかったので。
お水の道は不幸が飾り。 痛み悲しみにこそ華がある。 悩みも苦しみも無い身売りなんて紙屑です。 汚くてこそ美しさも見える。 暗い所で綺麗な物を、照らして見るのは無粋というもの。 業の美しさが分からぬ愚か者のすることです。
子供の「憧れの職業」に「キャバ嬢」がランクインしたそうですね。 「楽して稼げそう」と。 本の一つも読めと言いたくなる。 暗く綺麗な恨み辛み悩み苦しみを、どれだけの人が書いているか。 タブーと言うものが無くなれば、明暗は曖昧になる。 切ないまでの明るさも無ければ、安らげる程の暗闇も消える。 そんな世界に生きたくない。
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