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2008/04/25(金)
恐怖
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<好くというのは 難しいこと>
ETV特集の松井冬子の回、BSで放送されていたJホラー特集を見た。
松井冬子さんの姿勢は、とても真面目でした。 真剣でストイックで直向な、背景まで澄み沈んだ作品でした。 真面目であるということを、美しく思います。
あの、死の匂いと傷みの強い画の内容。 癒されるという気持ちは分かります。 見ている側を嘲笑することで安心させるような部分。 傷付いても生きていける、傷にも美しさは篭る。 そして、どんな事でも終わる死が、誰にでも訪れる。 現代に奪われた恐怖と不安を、思い出せるのでは。 奪還されるものは、それだけではないとも思いますが。
彼女の絵の痛みがジェンダー的な痛みであるという様な話が出ていました。 私はジェンダー(社会的な性)と同時に、むしろセックス(生物的な性)を感じます。 女性という構造が含む恐ろしさ。 一般的には群れると言われる女性の、孤独な部分。 自身の内部を守らなければいけない体だからこそ持つ孤独の機構。 一人でいい、他にいらない、孤立する。 そういう言葉で表現される、強い否定と拒絶。 どこかで「この様を見ろ」と付き付ける様な厳しさ。 甘いとか弱いとかいう言葉に対する揶揄の様な拒否。 傷を直視させてやる、惨い優しさと直立。 大好きです。
ジャパニーズホラー。 世界に進出したとは言え、まだまだ理解されていないと思うのです。 日本の怖さには、どこか弱者の視点があるように感じます。 体力的に勝っても権力を持ってもどんなに明るくても、何かを怖がる。 自身の内にある怖さだからこその、恐怖。 「うま味」という味覚は日本人特有だと聞いた記憶があります。 そういう様な、少し特異な感覚なのでは。
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