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2008/12/26(金)
戦慄
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<バイバイ長/い夢 そこへ行/くにはどうすればいいの?>(長い/夢/YU/KI)
夢は怖い。 楽しくて。
鮮やかで刺激的な夢を見たあとは、目覚めるのが怖い。 あの鮮烈な感覚、現実以上に生々しい五感。 激しい体感に、感情も遥かに曇りなく、万能感さえある。 何もかもが鮮明で隔てなく感じられる、あの感覚。
そして、だからこそ怖いのは起きた後に来ると予感される感覚。 あまりにも怖くて、起きたくない。
がっかりする、つまらなく感じる、楽しくなくなる。 何もかも諦めさせるほど平坦、それが嫌だ。 比較してもしなくても現実はただの現実で、それは分かっている。 分かった上で楽しまなければ、人生は楽しさを失う。 絶望する要素はいつだって有るけれど、絶望してしまえばそれから退屈な時間を長く過ごさねばならない。 それが怖いから、幸せと思うように必死になっているのに。 夢はそれらを簡単にリセットしてしまう。
ずっと、薬物には手を出さないでいられると思う。 自分の脳で作られた時間さえ途切れるのがこんなにも怖いのに、わざわざ焦燥感を得たくない。 性行為にも名誉にも金銭にも、溺れるほどの満足は得ないと思う。 何の限界も無い夢に勝る状況が、あるとは思えない。
激しい快感なのに来るなと怯える、それほどに怖い。 夢だと気付く瞬間が、今知っているなかでは一番の苦痛。 死ぬ瞬間はきっと似ているのではないかな。 自分の今の全てが激しい快楽で、それをまさに今失うと知るのだから。 それでも、こんな快感を得られるだけで満足すべきなのかもしれない。 怖いのにも関わらずもう一度あの夢を見られるかもしれないと思うと、まだ生きていける気持ちになる。 あの夢から覚める瞬間を二度と感じなくてすむなら、死も楽かもしれないと思える。
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