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2009/07/07(火)
ハゲしいサラリーマン
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俺の前にサラリーマンがいる。
このサラリーマン。 額の生え際が奇妙なのである。
いや、奇妙というかもう完全にヅラなのである!
とくダネ!の小倉トモアキでさえ真っ青になるであろうそのヅラっぷり。
張付いた様な生え際…。
ヅラの部分とは明らかに違う色の地毛の色。 見事なツートンカラーである…。
これはもう 俺はハゲだぜ!と公言して歩いている様なものではないか!
これならばまだヅラを着けずにハゲをさらけ出し歩いていた方が俄然男らしくカッコいいのではないか?
こういう人達は鏡で自分自身を見た事がないのであろうか?
鏡を見ればそのヅラの酷さ、自身の愚かさに気付かない訳はないと思うのだが…。
とりあえず あの浪速のモーツァルトさえも驚愕するであろう生え際!
今まで俺が見てきたどんなヅラの人よりもヅラなのである!
同じ電車に乗った誼ではないが この初老のサラリーマンの嘘をつき続ける人生にピリオドを打ってあげたくなった。
皆気付いてるんだよ! もう嘘はつかなくていいんだよ! という意味合いも含めた視線で俺は彼の生え際を直視していた。
これも彼によかれと思っての行動なのである!
が人の善意というものは大体がありがた迷惑なのであろう。
事実このサラリーマンも ずっと生え際を見ている俺を睨付けてきた。
たいした迫力である!
がその睨みをきかせている彼の眉間には皺ができていた。
そしてその皺のせいでヅラがより一層際立って見えるのだ!
生え際を直視していた俺は体の奥底から込み上げてくる笑意を抑え込み震える声で何とか謝罪の言葉を振り絞ったが 笑いを含んだ謝罪では彼は俺を許せなかったのだろう。
その証拠に駅に着くなり鞄で俺を叩きホームへと走りさっていったのである。
少しの怒りを覚えたが まぁ悪いのはジロジロと生え際を見ていた俺だと思い……
???
本当に悪いのは俺か?
あんな反則的なヅラを被っているのは見てください!とアピールしていると言っても過言ではないだろう!
コントだよ!あのレベルは!
そんな強烈なヅラをつけている初老が悪いのか?
そんな笑ってくださいと言わんばかりのヅラを見て笑ってしまった俺が悪いのか?
そこは見て見ぬ振りか?
ただあのヅラをしている限りこれからも世間の目は冷たいだろう。
初老のサラリーマンよ! 俺に怒りをぶつける前に 早く現実を…いや鏡を見ておくれ!!
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