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2008/11/20(木)
飛べない豚
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最近引籠りがちな俺。
酔った勢いで受けてしまった革細工を捌く為でもあるが
若干外に出るのが億劫になっているのも事実だ。
できる事なら一歩も外に出ず
ずっと家にいれるならどれだけ幸せだろうと思う時もある。
だが人としてそれではダメだという事はわかっている。
少しは無理をして外に出てみたりするんだ。
とりあえず興味のある事なら外へ出ても楽しいだろう。
という事で
家の近くを散策ついでに古本屋でも探す事に。
とりあえず俺の家の周りは閑静な住宅街だ。
中々古本屋などあるものではない。
そして住宅街だけあり
やはり親子連れや子供、家族を思わせる人々が多くいる。
そんな中俺は未だ見ぬ古本屋を目指し歩いていた。
その時である。
前から親子が手をつないで歩いて来る。
俺の経験上、こんな時はあまりいい事がない。
世のチビッコ達は何故かいつも俺に興味津津なのである。
まぁ俺の恰好が真っ赤なせいなのか？
鼻ピアスやリーゼントが珍しいのか？
自分の周りにはいない風貌に興味をそそられるみたいだが
今日の子供は違っていた。
俺とすれ違ったすぐ後だ。
「ねぇねぇ紅の豚だよ！」
い、言ってくれるじゃねぇかベイビィ…。
オイラが赤い服着てるからかい！？
見た所まだ小学生でもなさそうだが
お前さんの歳で良く紅の豚を知ってたもんだねぇ。
お前さんの親はジブリが好きなのかい？
大好きな映画は大好きな息子に見せてあげたいってやつかい？
いい親じゃねぇかい。
だがな、貴様はその親から数秒後には叱られるのだよ。
何てたって言ってはいけない事を言ってしまったもの。
はっはっは！
泣くがいい！
泣いて俺に暴言を浴びせた事を悔やむがいい！
さぁお母さん！
叱ってやってくださいな！
だが俺の聞いて一言は我が耳を疑う一言だった。
母「ほんとだね〜。」
お…お母さん！！
あんた…。
俺に聞こえてないと思ってるのかい？
とんでもない事言ってますよ！
今日俺は生まれて始めて仲睦まじい親子に殺意を覚えた。
俺の人としての器が後少し小さければ
"白昼堂々！鷺ノ宮で狂気の犯行！親子連れ撲殺！！！"
と世間を賑わす所だった。
俺の器がデカくて命拾いしたな！この野郎！
そしてこの日の夜…俺は枕を濡らすのであった。
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