|
2016/10/31(月)
初冠雪の日に江差追分を聴いた
|
|
|
ずいぶん前のことでいつ頃だったのかよく思い出せないのだが今は北九州に住まいを移した友人と青森、秋田を旅したことがあった。そうだ、確か夜行急行の「津軽」で始めた旅だった。花輪線に乗ったり、五能線で日本海を見ていたのだろう。その旅の中で僕らは大鰐温泉に泊った。翌朝ひとりで朝風呂に入ったときのことだ。湯船には先客の男がひとり背中を向けて低い力のある声で江差追分を唄っているのだった。 カモメ〜鳴く〜音に ふと眼を覚まし〜あれが蝦夷地〜の〜山かいな〜 男は後ろの僕には一顧さえせずに外を見たまま小節を回して唸っていた。忘れられない情景だった。 その後江差にも行ってみたし真似て唸ったこともあったがまるで唄えないのだ。 昨日の夜、僕は本物の江差追分を聴いた。たまたま同宿された方たちの記憶に残る追分だったと思っている。 その日の朝に僕は初冠雪の苗場山を見た。そしてその夜に追分が帰って来たのだ。
|
|
|
|