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2016/01/08(金) 年重ね 昭和をぐっと引き寄せる
 高校時代の漢文の授業をふと思い出した。近くのW大から来ていた村山という30代の教師だった。ちょっとヤンチャで馬鹿な高校生なんかを相手にしている場合じゃないとばかりに教壇を蹴飛ばしたり、戸をげんこで殴ったりして僕は好きな先生だった。当時現代中国語を話す人はW大でも少なかったんだ。その先生がこんなことを言った「吉永小百合は1文へ入れても良かったんだ。合格点にはとどかなかったけれど一点二点の違いなんかは問題ない。合格させようとすると頑固者の教授が一点は一点、W大の沽券にかかわる。それで2文になったんだ」と憤って話した。
 その夜夢を見た。会社か何かの団体旅行で来た、いで湯の宿なのだ。それがことのほか混んで部屋は相部屋になった。同宿者として吉永小百合がいるのだ。親しく僕は彼女と普通に話している。昔からの幼馴染のように。
 風呂に誘って二人して風呂場に向かうとまるで終戦直後の風呂屋のように混んでいる。それも混浴なのだ。ところが浴客は男ばかりだった。客たちは血走って湯に浸かり身体を洗っていた。もうもうとした湯気の中でひとつのカランを3人で使っているくらいだった。脱衣所に立つ僕はその吉永小百合を守らなければいけないと気を揉むのだけれど彼女はニッコリ笑って物怖じせず裸になると僕に目くばせしてすいすいと洗い場に入っていった。瞬間僕は見た。
 寒がりの僕は重ね着した何枚ものシャツや靴下を急いで脱いで彼女を守らなければと焦るのだが気持ちがこんがらって服が脱げなくなる。そうこしている内に浴室から出てきた彼女は脇でこう言った。「おしゃれだと思った」僕は床に尻を着けて靴下を脱ごうと悪戦苦闘していた。見回すと周りの男たちには吉永小百合が見えていないように平然としていた。
 どうも湯たんぽを抱いて寝ていたせいだったのだろうか。是非とも吉永小百合の背中を流したかったのだが…


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