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2007/03/20(火)
どこまでも離れないで
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「怒ってるの?」 今にも泣きそうな顔をしたさくらが、俺の顔を覗き込む。 「別に。怒ってなんかない。」 「うそ。怒ってるよ。」
事の始まりは、今日の帰り道。 ただ、さくらがクラスの男女と旅行に行く約束をした、というだけの事。 嬉しそうに、楽しそうに話すさくらを見て、妙に胸がざわついた。 別に妬いているわけじゃない。そんなに恥ずかしい事はしない。 俺は、しない。
いつも通り、帰り道の途中で俺のマンションに寄って行ったさくらに、紅茶を御馳走する。 「…ごめんなさい。わたしのせいだよね。」 「…なにが。」 潤んだ声で話すさくらを余所に俺は素っ気なく返答してしまう。 これ以上さくらを追い詰めたくないのに、素直になれない。 そんな自分に腹が立つ。 「わ…わたしが、クラスの子達と旅行に行くなんて言った…から…」 「…ちがう。そうじゃない。」 自分でもよくわからない。 自分に対して腹が立っているのに、さくらに当たっているなんて。 どう言い表したらいいのか分からない。 胸の奥から、じわじわと溢れてくる、この気持ち。 悔しいのか?悲しいのか? 友枝小学校に通っていた頃に覚えた、この気持ち。 「わたしの事…心配、してくれてるの?」 じっと、真っ直ぐに、翡翠色の潤んだ瞳が俺を見つめる。 …あぁ、そうか。 「…バレバレだな。本当に、お前には何でもかなわない。」 「ごめんなさい。わたし、そんなに心配かけているなんて思わなくて……」
そう。大切なんだ。大切だからこそ失いたくない。 ずっと、常に、俺の隣に居てくれないと心配で心配で気が狂いそうになる。 こんなの、ただの独占欲…か。
「ん…。これって、、やきもち?」 「ちっ…ちが!!!!/////」 急に頭に血が上って、声にならない奇声を上げてしまった。 そんな俺の姿を見て、さくらはそっと微笑んで、 「そう。ならわたし、旅行行ってきてもいいよねっ♪」 と悪戯に言った。俺は思わず、隣のさくらを抱きしめていた。 「行くな。ずっと、そばにいろ。」
やべぇ。腐ってます。 近日中には下げます。
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