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2010/10/29(金)
ソーシャルワーク関連科目・事例問題
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*ソーシャルワーク関連科目(援助技術論) 事例問題の練習 <事例> 本児 : 男子。中学3年。兄弟はいない。 家族 : 父親は本児出生児から失踪。母親は病気のため入退院を繰り返し、現在は長期入院中。母親は、本児誕生児も入院をしていたため、直ちに乳児院措置となり、その後、児童養護施設に入所し現在に至る。 日常の様子など:本児は、小さな子どもの面倒をみるなど優しい面もあるが、職員に叱られるとかっとなって暴言を吐き、不安定な面も見られる。中学3年になってからは タバコを吸う、学校を無断で抜け出すといった行動を、友人に誘われて断れないまま行うことが見られるようになった。学校の成績は下位で、勉学意欲は高いといえない。また、職員に言われると部屋を掃除したり、就寝時間を守るなどのルールに従うが、どちらかといえばルーズな生活ぶりである。 進路決定の時期になったので、担当職員 ( 以下、「ワーカー」という。) が本児と面談を行うこととなった。施設側としては、現時点では家庭引取りの状況にないことや、 本児の日常の様子などから、入所を継続したまま進学することを基本方針として話合いに臨んだ。 ワーカーの「将来の進路をどう考えているの ? 」という問いに対して、本児は「自分は勉強が嫌いだし早く就職したい」「施設にはこれ以上いたくない」と主張した。ワーカーとしては、事前の方針に従って何とか説得しようとしたが本児は了解しなかった。 「それではどんなところに就職したい?」と尋ねても具体的な答えは出てこず、「別に、 働けたらどこでもよい」という返事。また「おかあさんに心配をかけることはいけない。将来一緒に暮らして行けるようになるためにも、君がしっかりしなければ」というワーカーの指摘に対しでも「母親といってもほとんど会ったこともないので関係ない。向こうが退院してきても一緒に暮らす気はない」と反発してきた。このときは本児が相当感情的になっていたので反論しないように努め、ワーカーとしては極力感情を表面に出さないよう心掛けた。 その上で「いずれにしろ、自分のことなのだから将来のことをもっと真剣に考えるように。もう一度考え直して君から申し出てくるように。もう一度話合おう」と指示をして今回の話合いは終わった。
<上記の事例について、以下の問題に答えなさい> 問題1 「バイスティックの7原則」(新訳)から見て、ワーカーの対応に関する次の記述について、最も適切のもの組み合わせを以下の選択肢から選びなさい。 A 本児の意思を確認せず、施設側がこのような基本方針を決め、ワーカーが面談に臨んだことは、「クライエントの自己決定を促して尊重する原則」に基づいている。 B 本児が自分の意志をこのように主張したとき、ワーカーが施設側の基本方針に従うように説得しようとしたことは、「クライエントを個人としてとらえる原則」に基づいている。 C 本児が母親のことでこのような反発をしたとき、ワーカーが反論しないように務めた対応は、「クライエントを一方的に非難しない原則」に基づいている。 D 本児が母親のことでこのような反発をしたとき、ワーカーが極力感情を出さないように心がけたことは、「援助者は自分の感情を自覚して吟味する原則」に基づいている。 (組み合わせ) @AB AAC BBD CBC DCD
問題2 本児の気持ちの理解と今後のワーカーの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを以下の選択肢から選びなさい。 1 「進学」「施設」についての本児の気持ちを無条件に尊重するという「受け止める原則」に基づいて職員会議に提案する。 2 「親との同居」についての本児の気持ちを尊重し、親から独立する効果的な機会が到来したとして、次の話合いに臨む。 3 母親への気持ちは理解できたが、失踪している父親への気持ちを尋ねることができなかったので、そのことだけに焦点化した方針で次の話合いに臨む。 4 「親」や「施設」に関する本児の気持ちを理解するために「クライエントの感情表現を大切にする原則」に基づいて次の話合いに臨む。 5 日常生活における言動に反社会性が見られることから措置変更を前提として、児童相談所に判断を委ねる。
問題3 下線部のワーカーの発言はワーカーにどのような価値観のぶつかりがあったことを示していますか。最も適切なものを以下の選択肢から選びなさい。 @ワーカー自身の価値観と利用者の価値観 Aワーカー自身の価値観と所属する組織の価値観 Bワーカー自身の価値観と他の専門職の価値観 Cワーカー自身の価値観と援助活動における価値観 D利用者の価値観と家族の価値観
=========================== <解答>
<事例> 実際の場面や事例に則して問う問題であり、ワーカーの対応がバイスティックの7原則に当てはまっているのかを実感的・臨床的に理解する(判断根拠)内容に関しても理解しておくこと。 問題1 答えD 「本児の意思を確認せず」は自己決定ではない。援助側の意向を説得という形で押し付けることは個別性とは言えない。
問題2 答えC 否定的な感情も含めて、利用者が自由に表現できるよう意識的に関わることを意味する原則が「意図的な感情表出」である。利用者の感情や思いが十分に理解できていない現時点では最も適切である。
問題3 答えC 何よりも利用者の意向や感情が明確になっていない現状で説得だけに焦点を合わせてしまうことはおかしい。
<この問題は、早期に掲載を終了する予定です。ご注意下さい>
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