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2009/08/07(金)
ソーシャルワーク関連科目・ポイント
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*ソーシャルワーク関連科目・ポイント
■ソーシャルワークの統合化 ・ソーシャルワークが専門職として社会的な認知を得る過程で,精神分析との同一化や心理主義といった個人への焦点化が強調されたり,逆に,環境の重要性が強調され社会的改革(social reform)へのシフトがみられた時期もあった。また,短期処遇が注目され,新たなソーシャルワーク実践理論が加わった。ある意味で,ソーシャルワークの理論は社会的要請に応えつつ進化し,多様化してきたといえる。こうした発展あるいは複雑化のプロセスにおいて,人と環境,そしてその交互作用を包括的に捉えることが,本来のソーシャルワークであることが再認識され始め,統合化の動きがでてきたといえる。
バートレット(Bartlett, H.)は,ソーシャルワークの専門職性(プロフェッション)を全体として捉え,ソーシャルワーク実践に共通する拠り所を求めて理論的な整理を行い,ソーシャルワーク実践の共通基盤(common base)としてまとめている。 (15回試験出題)
ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)も,実践の構成要素をクライエント・システム,ワーカー・システム,ターゲット・システム,アクション・システムとして整理し,クライエントの生活と問題を包括的に捉え,社会資源の活用を通して,計画的に働きかける手順を示しているが,それは従来のケースワークの枠を越えた統合的な理論であった。 その後もソーシャルワーク理論の統合化は,一般システム理論やエコロジーの概念を枠組としながら発展している。ジャーメインとギッターマン(Gitterman, A.)のエコロジカル・パースペクティブやライフ・モデルは,ソーシャルワークの統合理論として広く受け入れられるようになっている。 今日ではこうしたエコシステムの理論がソーシャルワーク統合化理論として不動の位置を占めているが,人と環境を一体とみなし,そのダイナミックな関係を包括的な視点で捉え,計画的に援助をしようとする姿勢はソーシャルワークの伝統的な視点をより明確,かつ具体化したものであるともいえる。
<ケースワーク・新たなモデルの登場> ■心理社会的アプローチ ・精神分析,自我心理学,力動精神医学の知見を導入した診断主義ケースワークに立脚する,個別援助技術の主要アプローチの一つ。ホリスによって,1960年代に体系化された。ハミルトンらも代表的な研究者である。特に「状況における人」に着目し,クライエントの環境面と内面・心理面の相互作用を認識すること,さらにクライエントに対する直接的な働きかけと同じく,環境への間接的な働きかけや調整の重要性も強調した。
■ホリス Hollis, Florence (1907-87) ・アメリカにおけるケースワーク理論の主流の一つである診断主義アプローチを代表する理論家の一人。特に,ホリスは,診断主義のなかでも「状況の中にある人間」や「人と状況の全体関連性」といった特有の概念を用いる心理社会的アプローチを提唱した研究者として広く知られ,ケースワークの発展に大きく貢献した。[主著] Casework : A Psychosocial Therapy, 1964. (16回試験出題)
■危機介入アプローチ ・危機状態にある対象者(個人, 集団, 組織, 地域など)に対して,その状態からできるだけ早く脱出することを目的に迅速かつ直接的に行われる援助。危機理論を具体的に模式化した危機モデルは,代表的なものだけでも10以上を数え,それら危機モデルによって展開される危機介入の適応範囲は非常に広く,災害から死別にいたるまで,あらゆる危機的事態に直面する人々の支援に用いられている。
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