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2009/08/03(月) 低所得者への支援と生活保護制度・ポイント
◆生活扶助基準の改定方式の変遷
■最低生活費
・最低限度の生活を営むのに必要な生活費のことであり,生存ぎりぎりの水準と生活を再生産できる水準,そして人並みの生活様式や社会保障・社会福祉制度などを享受できる水準のいずれを「最低生活基準」(minimum standard of living)として採用するかによって,その金額は変わってくる。最低生活費は,マーケット・バスケット方式やエンゲル方式などの算定方式を用いて算出され,公的扶助の基準の設定の参考にされてきた。

(1) 標準生計費方式(昭和21年〜22年)
*当時の経済安定本部が定めた世帯人員別の標準生計費を基に算出し、生活扶助基準とする方式。

(2) マーケットバスケット方式・昭和23〜35
*最低生活を営むために必要な飲食物費や衣類、家具什器、入浴料といった個々の品目を一つ一つ積み上げて最低生活費を算出する方式。
・イギリスの貧困研究者のラウントリーによって考案された方法に起源をもつ。わが国では,旧生活保護法時代の1948年の第8次改訂時に,同年2月に実施した被保護者全国一斉調査を参考に,標準5人世帯の最低生活費の基準として用いられた。標準家族の生活費は,国立栄養研究所の栄養要求量をもとに飲食物費を決定し,そのほかの住居,被服,保健衛生,雑費を必要費目としてその金額を合計し算定したものである。

(3) エンゲル方式(昭和36年〜39年)
*栄養審議会の答申に基づく栄養所要量を満たし得る食品を理論的に積み上げて計算し、別に低所得世帯の実態調査から、この飲食物費を支出している世帯のエンゲル係数の理論値を求め、これから逆算して総生活費を算出する方式。
・1961年から導入された最低生活費の算定方式。総収入のなかで飲食物費の割合を示すエンゲル係数を最低生活費の算定に応用したものである。方法は,マーケット・バスケット方式と同様に栄養審議会の標準的栄養所要量を満たす飲食物費を理論計算し,低所得者の家計調査から同様の支出の世帯のエンゲル係数で割り戻して生活費を算定する。

(4) 格差縮小方式(昭和40年〜58年)
*一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を引き上げ、結果的に一般国民と被保護世帯との消費水準の格差を縮小させようとする方式。
・1964年,中央社会福祉審議会生活保護専門分科会の中間報告において,一般世帯と生活保護世帯の消費支出の格差を縮小する必要性が示され,エンゲル方式に代わって新たに導入された。格差縮小割合の算出方法は,経済企画庁(当時)の個人消費支出の予測(民間最終消費支出の伸び率)を参考に,これに格差縮小分を加えて生活扶助基準の改定率を決定した。

(5) 水準均衡方式(昭和59年〜現在)
*当時の生活扶助基準が、一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当であるとの評価を踏まえ、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図るという方式。
・格差縮小方式による生活扶助基準の算定は,「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達した」という見解を示した中央社会福祉審議会の意見具申により,1984年に新たな最低生活費の算定方式として水準均衡方式が導入された。具体的には,当該年度と前年度までに想定される一般国民の消費動向(政府の民間最終消費支出)をもとに,一般世帯との均衡状態を保つための調整を行い,これをもとに生活扶助基準の改定率を決めようとする方式である。

 →最低生活水準とはいかなるものか,という科学的合理的究明が弱まり,たとえば現在の水準均衡方式も,なぜ一般世帯の消費水準の約66%程度で最低生活水準が維持されるのかということも課題として残っている。

*エンゲル方式以降の算定方式は,いずれも立案者の裁量の余地を認めたものとなっている。しかもこのようなことを可能にした理由は,生活保護基準が厚生大臣の告示となっているために国会での審議もされないから,比較的簡単に算定方式の変更ができたことに求めることができる。


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