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2009/08/11(火)
ソーシャルワーク関連科目・ポイント
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*社会福祉援助技術論・精神保健福祉援助技術論ポイント ■エンパワーメント ソーシャルワークにおいて一致した定義はいまだないが,おおむね,個人,家族,集団あるいはコミュニティが,その個人的,対人関係的,社会経済的および政治的な影響力(パワー)を強め,それによってその取り巻く環境の改善を実現させていくこと,あるいはそれらが実現された状態を意味している。パワーの脆弱化,無力化をディスエンパワーメント(disempowerment),パワーの欠如状態をパワーレスネス(powerlessness)とそれぞれよんでいる。 ソーシャルワークにおいてこの概念を初めて取り上げたのは,ソロモン(Solomon, B.)の著書『黒人のエンパワーメント』(1976)であるといわれている。そこでは,アフリカ系アメリカ人がイギリス系アメリカ人に比較してパワーの欠如した状態にあること,それがスティグマによる否定的評価と社会的な抑圧によるものであり,その結果として,社会的役割を遂行するうえで有用な資源を活用できない状態に陥っているという図式が提示された。こうした状態にあるクライエントに対して,パワーの回復を図っていくソーシャルワークのプロセスに「エンパワーメント」という名称が与えられたのである。それ以降,1980年代から取り上げられるようになり,90年代に入ると,デュボアとマイリー(Dubois, B. & Miley, K.),グティエーレス(Gutierrez, L.),リー(Lee, J.)などによっておのおののソーシャルワーク理論の中核に位置づけられるようになる。さらに,人種・民族上の少数者にとどまらず,さまざまなマイノリティの人々,例えば,高齢者,障害者,同性愛者,貧困者層などに対するソーシャルワークの取組みにこの概念が適用されていくようになった。このように,エンパワーメントがソーシャルワークに浸透していった背景には,社会経済的な不公平にソーシャルワークが有効に対応できていないという批判と,その裏返しとしての伝統的な医学モデルからの脱却という課題の存在があった。エンパワーメント概念は,生態学的視点にそうことによって,医学モデルに代わる新たな視点を打ち立てるのに貢献したといえる。 この概念に基づくソーシャルワーク実践は,すべての人間はどのような悪い状況にあってもそれを改善していける能力とパワーを有しているという基本的人間観にたち,クライエントとワーカーとのパートナーシップを通して,クライエント自身がエンパワーメントしていくことが目標になる。加えて,以下のような特徴があることが指摘されている。@制度や社会構造との関係において人はパワーが欠如した状態におかれ,その結果,社会資源をコントロールしたり,獲得することが困難になる,Aクライエント= ワーカー関係におけるパワーの不平等性はクライエントのエンパワーメントを阻害する恐れがあるために,両者がパワーを共有しあえる協働関係の樹立が望まれる,Bクライエントとそれを取り巻く環境の強さ(strength)が強調される,Cワーカーの介入は,ミクロからマクロにまたがるジェネリックなアプローチが基本とされる,Dパワーの欠如状態を発生せしめた原因は主にマクロ的なものであるという認識から,特に資源配置上の公平性確保といった政治的パワー回復が重視される,E問題解決の前提として,クライエントが変化に向けての責任をもつべきであるという視点にたつ。 テキストP124
■ストレングス視点 ・アメリカのソーシャルワーク実践理論において,1980年代以降提唱されている視点。それまで支配的であった病理・欠陥視点を批判する立場をとる。ストレングスとは,人が上手だと思うもの,生得的な才能,獲得した能力,スキルなど,潜在的能力のようなものを意味する。ストレングス視点とは,援助者がクライエントの病理・欠陥に焦点を当てるのではなく,上手さ,豊かさ,強さ,たくましさ,資源などのストレングスに焦点を当てることを強調する視点であり,援助観である。 (16回試験出題) ■D.サレエベイ ・ストレングスの提唱者。人間は困難でショッキングな人生経験を軽視したり、人生の苦悩を無視したりせず、むしろこのような試練を教訓にし、変えていく能力である復元力を基本にしている。 (16回試験出題)
■ナラティブ・セラピー ・社会構成主義に基づく精神療法。社会構成主義は,これまでの主観・客観の二分的見方をとらず「現実は人々の間で構成される」とする。この前提から人々の経験している現実とは別の客観的な事実は想定できないとして,理解は治療の場におけるクライエントとカウンセラーの間の対話そのものにあるとする。「無知のアプローチ」に基づく「いま,ここで」の対話とその解釈が重視され,「治療的対話」に主眼がおかれる。 テキストP128 ■社会構築主義/社会構成主義 ・社会的慣行や社会的相互作用から人々が世界を構成する枠組が生まれ,それは言語によって媒介されると考える理論。構築主義と構成主義とは互換的に使用されているが,両者を明確に区別する立場からは,異なった理論として捉えられる。両者の共通点は,客観的な世界が実在するという論理実証主義に対する批判にある。しかし,社会構築主義は神経系が世界を生み出すという捉え方の影響を受けているのに対して,社会構成主義は社会的相互作用を強調する。ソーシャルワークにおいては,ナラティブ・セラピーの影響を受けた家族中心ソーシャルワークが積極的に取り込んでいる。
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