社会福祉士 受験支援セミナー 日替講座
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2009/08/30(日) 「社会福祉士受験支援講座」09年度版への移行のお知らせ
<ブログ「社会福祉士受験支援講座」09年度版への移行のお知らせ>

 皆様には、お手数、ご面倒をお掛けしますが、新しいブログに移行しました。利点として、記事の文字数が無制限になること、記事の分類、用語検索が可能となり、閲覧される方々も便利になるという点等が挙げられます。
 何卒、ご理解をお願いします。

 以降、下記のURLのブログ形式のサイトに移行します。

 また、内容も、これまでの社会福祉士・精神保健福祉士試験の受験に向けた練習問題や、要点の解説に加え、関連する情報のクリップ・ブックマークを加えて、継続しています。

 今後も、引き続きの閲覧と、ご活用を、よろしくお願いいたします。

 当サイト筆者・編集者

 移行後のブログです。

 「社会福祉士受験支援講座」09年度版
  http://miseki.exblog.jp/

2009/08/28(金) 09年10月7日、社会福祉士「受験対策勉強会」<一般公開・無料>のお知らせ
09年10月7日、社会福祉士「受験対策勉強会」<一般公開・無料>のお知らせ

 在学中の学生など対象の、社会福祉士国家試験の受験対策授業を一般の皆さんに公開します。
 本校の実際の授業を体験したい方も、またどなたでも参加出来ます。

 社会福祉士の資格・仕事、試験に関心をお持ちの皆さん、お気軽にご参加ください。

■日時 : 2009年10月7日(水)18:20〜
■会場:日本福祉教育専門学校 高田馬場校舎
<案内図>
http://www.nippku.ac.jp/university/access/index.html

◆参加費:無料 <どなたでも参加できます>
■参加のご予約は : 日本福祉教育専門学校 入試・広報センター 電話:0120-166-255
 *もしくは、下記の参加予約フォームからご予約をお願い致します。

http://www.nippku.ac.jp/university/event/sp_form/sp_form.html

*本校に在学中の学生は、参加予約は不要です。      

*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・社会福祉士養成科
 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です。
 社会福祉士養成科は、同じく1年制の養成コースの夜間部です。
http://www.nippku.ac.jp/index.html

■詳しくは下記をクリック
http://www.nippku.ac.jp/university/event/gakka.html

2009/08/14(金) ソーシャルワーク関連科目・ポイント
*社会福祉(精神保健福祉)援助技術論・ポイント

<グループワーク>
■グループワーク(第14回、第16回試験出題)
・ソーシャルワークの体系化された方法の一つで,厳密にはソーシャル・グループワークとよぶ。グループによる意図的なプログラム活動やグループの相互作用を活用して個人の成長をめざし,個人,集団,社会のさまざまな問題への効果的な対応を支援するもの。
・グループワークの援助媒体は,グループワーカーがグループの目的を達成するために用いる手段のことで,主に次の四つがあげられる。@グループワーカーとメンバー間の専門的援助関係,Aメンバーの相互作用,Bプログラム活動,C社会資源である。特にグループワークに特徴的な援助媒体は,メンバーの相互作用とプログラム活動である。グループワークでは,ワーカーとの援助関係とは異なる,グループ特有のメンバー同士の関係が互いを支え合うことに役立つ。一方,プログラム活動は,グループの目的にそって展開される活動で,メンバーの参加,相互作用の促進,グループ意識の高揚等さまざまな意義がある。
 グループワークがソーシャルワークの一方法であることから,その原則もソーシャルワーク全体に共通するが,グループを対象に実践するうえでの特徴的なものもある。グループワークの原則は,依拠するモデルによって違いがみられるものの,一般的にはコノプカによる14原則が代表的で,メンバーの個別化の原則,グループの個別化の原則,受容の原則,参加の原則,葛藤解決の原則,制限の原則,継続評価の原則等がある。

■グループワークのモデル
・グループワークのモデルは,初期のモデルからの変遷を経て現代では主に次の三つがあげられる。
@社会的諸目標モデル:最も伝統的なモデルで,コミュニティ・オーガニゼーションに近い。個人およびグループは潜在的に社会問題の解決に影響を及ぼす能力があるとの考えから,ワーカーはグループ過程を促進して,個人やグループを取り巻く環境の変革に取り組む。
A治療モデル:ヴィンターによって構築されたモデルで,最もリスクの高い問題を抱えるクライエントを対象として,彼らに望ましい変化をもたらすためにグループが意図的に構成される。その後ガーヴィン(Garvin, C.)やグラッサー(Glasser, P.)によって引き継がれ,「予防的およびリハビリテーション的モデル」ともよばれる。
B相互作用モデル:シュワルツによって発展したこのモデルは,個人と社会を有機的・体系的な相互援助システムと捉え,ワーカーは個人と社会が主体的に望ましい関係を結べるよう両者間の媒介の役割をすることから,「媒介モデル」ともよばれる。

■集団凝集性group cohesiveness (第16回試験)
・集団のなかでメンバーが相互に作用しあいながら形成され,維持されていく,その集団独自の,集団総体としてのまとまりをいう。集団のメンバーが,互いやそのグループに感じている魅力のまとまり,総量ともいえる。集団の凝集性は集団の機能に影響を与え,凝集性が高ければ,集団のメンバーはグループへ参加し続け,より互いに影響を与え合い,また,グループの課題達成やグループが機能していくことに,より責任をもって取り組むようになる。

■波長合わせ tuning-in (第17回試験出題)
・グループワークにおける「相互作用モデル」に立脚したシュワルツによって明確にされた概念である。グループワーク援助における準備段階でのワーカーの役割として,働きかける利用者一人一人を理解し把握しておくことが,その基本的な内容といえる。援助開始に向け,利用者からの合図やメッセージを間違いなく理解していくことを意味している。そのために利用者に関する記録や得た情報から,彼らがおかれている状況や潜在的な問題への理解を深める準備的な行為といえる。

2009/08/13(木) ソーシャルワーク関連科目・ポイント
*社会福祉(精神保健福祉)援助技術論・ポイント
<個別援助技術>
■ケースワークの援助過程
*アセスメント(15・17回試験出題)
・ソーシャルワークやケアマネジメントの過程において,クライエントや家族,仲間,地域社会における状況について情報収集し,問題の所在や問題の相互作用を分析し,解決への方向性を得るプロセス。アセスメントに関してはさまざまな見解が示されており,情報収集の結果と問題を認知する過程,問題状況の全般的把握・理解の段階,問題状況におけるさまざまなレベルの相互作用の直線的・円環的因果関係の解明などがその主なものである。
 介護保険事業では,解決すべき課題(ニーズ)を導き出すために,介護や支援を必要とする背景や要因を引き出す目的で,利用者や介護者に関する情報を収集・調査し分析することをいう。調査対象は生活に関係する分野で,心身の健康,ADL,IADL,住環境,家族・介護者の状況,経済状態,社会参加,近隣関係など幅広い領域におよび,必要な調査項目のチェックもれがないように各種の団体等がアセスメントチャートを開発している。ケアマネジメントに着手した最初の段階で行う初期アセスメントばかりでなく,サービス利用開始後に状況の変化をきめ細かく把握する再アセスメントも大切である。アセスメントはケアマネジャーが一人で行うものでなく,関わるチームメンバーが直接または間接的に把握している情報も集約し,共通認識にたつことが大切である。ただしプライバシーは守らなければならないので,事前に当事者の同意を得るとともに,アセスメント情報の管理や取扱いについても配慮が必要である。

*ニーズ・アセスメントとは、社会福祉実践において,サービス提供の前段階においてなされる査定・評価のうち,中核になる部分である。まず当事者や家族などから情報収集を行い,「当事者が認識している生活問題」「家族の視点から捉えられた生活問題」などを把握する。さらに専門職自らは,これら当事者や家族が述べる生活問題を一定の基準に照らし合わせて理解する。多角的に集められた情報は,専門職によって多元的,有機的,包括的に捉えられ,明確化される。ニーズ・アセスメントとは,この段階で行う生活問題の背景の特定(要因分析)である。分析の際,当事者のライフコース,ストレッサー,コーピングの力や,現存する対処資源,周囲の支援システムやコミュニティと当事者の関係,について考慮する必要がある。このような背景(要因)の特定化によって利用者や家族のニーズの個別性の把握が可能になり,より利用者にフィットしたサービスが提供できるようになる。

*プランニング(15・17回試験出題)
・クライエント・システムの抱える問題のアセスメントが終了し,クライエントとの間で援助契約が結ばれた後,どのようなかたちでクライエントの問題解決を行っていくかという援助方法の計画をすること。クライエントの抱える問題の種類によって,援助プランニングの内容は変わってくる。援助プランニングでは,次の段階である介入が正確に行われるよう,誰が何をいつどのように実施していくかを明らかにしておくことが必要である。

*ターミネーション(15・17回試験出題)
・援助過程の最終段階である。アフターケアの計画を立て、新たな問題が生じた場合に受け入れ準備があることを伝える必要がある。

2009/08/12(水) ソーシャルワーク関連科目・ポイント
*社会福祉援助技術論・精神保健福祉援助技術論ポイント
■ジェネラリスト・ソーシャルワーカー
・ジェネラリストの定義には明確なものはないが,本来ソーシャルワークは,人と環境,個人と社会(制度),そしてその交互作用を捉え,さまざまな援助方法を用いて援助をしてきたことが,きわめてジェネラリスト的であると考えられている。共通する特徴は,さまざまな理論を拠り所とする方法を折衷的に活用し援助する方法論的多様性と,援助対象を捉える包括的な視点である。アメリカなどではソーシャルワーカーの専門的教育は大学院レベルで行うと考えられている場合が多く,ジェネラリストの教育は,そうした大学院レベルの教育訓練の前段階として行う,全般的,入門的なものとして捉えられることもある。しかし,ジェネラリスト・ソーシャルワーカーには高度なマネジメント機能などが求められ,アメリカでは,上級(advanced)ジェネラリスト教育の必要性が唱えられるようになっている。P120

■危機理論
・火災で犠牲となった人々の関係者(遺族,親族,友人・知人)の悲嘆にまつわるリンデマン(Lindemann, E.)の研究に端を発し,後にキャプラン(Caplan, G.)らと共同で1940年代から60年代に構築された理論。危機とは,対処困難な事態に突然直面した際に引き起こされる,身体的・心理的・社会的にホメオスタシス(恒常性)のバランスを崩した状態をいう。ホメオスタシスに基づく危機理論は,人が危機状態から脱する過程において一定の段階と法則が存在し,その期間が長期的なものではないとの仮定をおく。この理論は,さまざまな理論(精神分析理論,自我心理学,学習理論,ホメオスタシス理論,ストレス理論など)から構築されているが,第一次世界大戦時から行われてきた,極度のストレスに陥っている兵士への精神医学的応急処置の実践,死別による急性悲嘆反応についてのリンデマンの研究,1950年代に展開した自殺予防運動などの実践活動や研究によって,その実践的な有効性が実証されてきた。

■学習理論
・学習の基礎研究は,レスポンデント条件づけ,オペラント条件づけによるものがあり,さらには社会的学習理論や認知的学習理論など認知面も含めた学習に関する研究理論をいう。学習心理学でいう学習とは,「訓練や経験にもとづく比較的永続的な行動の変容過程である」とされている(久野能弘『行動療法』1993)。この学習理論を臨床的に応用したものが行動療法である。

■フェミニズム
 女性が男性と比べて劣位におかれているという認識のうえにたって,その状況から女性を解放していこうとする思想・運動の総称である。

■ケースワークの援助過程
*インテーク (15・17回試験出題)
・申請者のニーズを吟味し,サービス提供の可否を決定するために行われる援助過程の入口をいう。サービス提供に該当する場合には,利用者のニーズをケース処遇に合わせて評価するアセスメントへと移行する。また該当しない場合には,他機関への紹介などニーズに対応しうる地域の社会資源につなげる。受理は援助の開始期であり,利用者の動機づけを高めるために重要な段階である。
・この面接では,クライエントの抱える問題の性質とその社会福祉機関の専門性と機能を総合的に検討し,主に,@クライエントに援助を受ける意思があるか否か,Aクライエントに本当に援助が必要か否か,Bその社会福祉機関がそのクライエントを援助できるか否か,C他社会福祉機関へ紹介する必要性があるか否か,以上の4点を明らかにする目的がある。

2009/08/11(火) ソーシャルワーク関連科目・ポイント
*社会福祉援助技術論・精神保健福祉援助技術論ポイント
■エンパワーメント
 ソーシャルワークにおいて一致した定義はいまだないが,おおむね,個人,家族,集団あるいはコミュニティが,その個人的,対人関係的,社会経済的および政治的な影響力(パワー)を強め,それによってその取り巻く環境の改善を実現させていくこと,あるいはそれらが実現された状態を意味している。パワーの脆弱化,無力化をディスエンパワーメント(disempowerment),パワーの欠如状態をパワーレスネス(powerlessness)とそれぞれよんでいる。
 ソーシャルワークにおいてこの概念を初めて取り上げたのは,ソロモン(Solomon, B.)の著書『黒人のエンパワーメント』(1976)であるといわれている。そこでは,アフリカ系アメリカ人がイギリス系アメリカ人に比較してパワーの欠如した状態にあること,それがスティグマによる否定的評価と社会的な抑圧によるものであり,その結果として,社会的役割を遂行するうえで有用な資源を活用できない状態に陥っているという図式が提示された。こうした状態にあるクライエントに対して,パワーの回復を図っていくソーシャルワークのプロセスに「エンパワーメント」という名称が与えられたのである。それ以降,1980年代から取り上げられるようになり,90年代に入ると,デュボアとマイリー(Dubois, B. & Miley, K.),グティエーレス(Gutierrez, L.),リー(Lee, J.)などによっておのおののソーシャルワーク理論の中核に位置づけられるようになる。さらに,人種・民族上の少数者にとどまらず,さまざまなマイノリティの人々,例えば,高齢者,障害者,同性愛者,貧困者層などに対するソーシャルワークの取組みにこの概念が適用されていくようになった。このように,エンパワーメントがソーシャルワークに浸透していった背景には,社会経済的な不公平にソーシャルワークが有効に対応できていないという批判と,その裏返しとしての伝統的な医学モデルからの脱却という課題の存在があった。エンパワーメント概念は,生態学的視点にそうことによって,医学モデルに代わる新たな視点を打ち立てるのに貢献したといえる。
 この概念に基づくソーシャルワーク実践は,すべての人間はどのような悪い状況にあってもそれを改善していける能力とパワーを有しているという基本的人間観にたち,クライエントとワーカーとのパートナーシップを通して,クライエント自身がエンパワーメントしていくことが目標になる。加えて,以下のような特徴があることが指摘されている。@制度や社会構造との関係において人はパワーが欠如した状態におかれ,その結果,社会資源をコントロールしたり,獲得することが困難になる,Aクライエント= ワーカー関係におけるパワーの不平等性はクライエントのエンパワーメントを阻害する恐れがあるために,両者がパワーを共有しあえる協働関係の樹立が望まれる,Bクライエントとそれを取り巻く環境の強さ(strength)が強調される,Cワーカーの介入は,ミクロからマクロにまたがるジェネリックなアプローチが基本とされる,Dパワーの欠如状態を発生せしめた原因は主にマクロ的なものであるという認識から,特に資源配置上の公平性確保といった政治的パワー回復が重視される,E問題解決の前提として,クライエントが変化に向けての責任をもつべきであるという視点にたつ。 テキストP124

■ストレングス視点
・アメリカのソーシャルワーク実践理論において,1980年代以降提唱されている視点。それまで支配的であった病理・欠陥視点を批判する立場をとる。ストレングスとは,人が上手だと思うもの,生得的な才能,獲得した能力,スキルなど,潜在的能力のようなものを意味する。ストレングス視点とは,援助者がクライエントの病理・欠陥に焦点を当てるのではなく,上手さ,豊かさ,強さ,たくましさ,資源などのストレングスに焦点を当てることを強調する視点であり,援助観である。 (16回試験出題)
■D.サレエベイ
・ストレングスの提唱者。人間は困難でショッキングな人生経験を軽視したり、人生の苦悩を無視したりせず、むしろこのような試練を教訓にし、変えていく能力である復元力を基本にしている。
(16回試験出題)

■ナラティブ・セラピー
・社会構成主義に基づく精神療法。社会構成主義は,これまでの主観・客観の二分的見方をとらず「現実は人々の間で構成される」とする。この前提から人々の経験している現実とは別の客観的な事実は想定できないとして,理解は治療の場におけるクライエントとカウンセラーの間の対話そのものにあるとする。「無知のアプローチ」に基づく「いま,ここで」の対話とその解釈が重視され,「治療的対話」に主眼がおかれる。 テキストP128
■社会構築主義/社会構成主義
・社会的慣行や社会的相互作用から人々が世界を構成する枠組が生まれ,それは言語によって媒介されると考える理論。構築主義と構成主義とは互換的に使用されているが,両者を明確に区別する立場からは,異なった理論として捉えられる。両者の共通点は,客観的な世界が実在するという論理実証主義に対する批判にある。しかし,社会構築主義は神経系が世界を生み出すという捉え方の影響を受けているのに対して,社会構成主義は社会的相互作用を強調する。ソーシャルワークにおいては,ナラティブ・セラピーの影響を受けた家族中心ソーシャルワークが積極的に取り込んでいる。

2009/08/10(月) ソーシャルワーク関連科目・ポイント
<ソーシャルワークの基礎理論>
■ブトゥリム
・Z.ブトゥリムは、ソーシャルワークの基本的価値前提として、人間尊重、人間の社会性、人間の変化の可能性、の三つをあげている。これは人間の本質に内在する普遍的価値から引き出したものであって、ソーシャルワークに固有の価値とはいえないが、ソーシャルワークに不可欠な価値である。代表的著作は『ソーシャルワークとは何か〜その本質と機能』である。 (15回試験出題)

■W.フリードランダー
・社会福祉援助技術の根本原理を「個人の価値」「人格に固有なる尊厳」「個人の福祉に対する社会の責任」「共通善に貢献すべき個人の責任」という民主主義的な諸価値から導き出した。 (15回試験出題)

■M.メイヤロフ
・『ケアの本質』において、援助者は利用者をケアし、利用者からケアされることからケアの本質はもたらされる。 (15回試験出題)

■W.ベーム
・社会的機能とは個人には様々な役割があるが、その役割を果たしていくために不可欠だと考えられる諸活動であり、それを高めることがソーシャルワークであるとワーカーの意義を明確にした。「ケースワークの基礎」たとえ社会で支配的な価値とあらゆる点で一致するような一組の価値をソーシャルワークに付与することを意味するものではないと述べている。(16回試験出題)

■エリクソン Erikson, Erik Homburger
(1902-94) (15回試験出題)
・ドイツ生まれで,ウィーン精神分析協会で学んだフロイト派に属する精神分析学者。ナチスの迫害を逃れて渡米。精神分析理論を下敷きとしつつも,幼児期決定論にとらわれず,生涯を通じて自我が発達していくものと捉え,おのおのの時期ごとの発達課題を8段階図式として提案した。青年期をアイデンティティの危機とその乗り越えの再編期と捉え,そこでのモラトリアムの重要性を指摘するなど,自我論研究に社会や歴史との関連を盛り込み,大きな足跡を残した。[主著] Childhood and Society, 1950 ; Identity and the Life Cycle, 1959.

■B.ソロモン
・1960年代のソーシャルワークの実践家、研究家。公民権運動を背景にエンパワメントという考え方を提唱している。差別的・抑圧的な環境によって人々は無力な状態に追いやられていると考える。 
(16回試験出題)

■一般システム理論
 1968年,生物学者バータランフィ (Bertalanffy, L. v.) によって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられている。この理論は,ニュートン力学など,それまで主流だった還元主義に基づく近代科学に対して,有機体の構成要素を分断せず,構成要素間の関係性に注目した点に特色がある。具体的には,@有機体の各構成要素間の相互作用・相互制御に基づく全体性の存在,A開放システムによる外的諸条件との相互作用,B構成要素間あるいは外的条件との間で生じるフィードバック・メカニズムとシステム維持機能 (ホメオスタシス),といった三つの基本概念から有機体システムの特徴を説明している。生物学にとどまらず,物理学,心理学,あるいは社会科学で扱われるいかなるシステムにも適用できる一般的特性を示しており,多くの分野でシステム分析のために活用されている。社会福祉分野では,1980年代以降,エコロジカルな視点に基づく方法論の統合化が行われた際,「人と状況の全体性」を捉える理論的枠組として重要な役割を果たした。 テキストP108

■H.ゴールドシュタイン
・ピンカスやミナハンと並び、一般システム理論を用いてソーシャルワーク理論の再編を試みた。 (16回試験出題)

■エコロジー (生態学) テキストP113〜
 19世紀中葉にヘッケル(Haeckel, E. H.)が生物学の一分野として造語。ギリシャ語のoikos(家)に由来し,生物とその環境の相互作用を扱う科学=生態学を意味する。1960年代以降は,主にヨーロッパで,この概念が社会行動の領域に援用され,環境汚染をもたらす産業社会や既存の社会システムへの批判として用いられるようになった。代表的なものとして「緑の党」の運動がある。今日では人間と自然環境との調和的な政治・経済・社会システムを構想しようという目的や理念,態度,環境保護運動や自然保護運動を示す。
■エコロジカル・アプローチ
 生物科学である生態学に基づいてジャーメインとギッターマン(Gitterman, A.)によって1980年代に提唱され,生活(ライフ)モデル・アプローチとして体系化されている。生活問題は個人や家族と,彼らを取り巻く環境間とその接触面(インターフェイス)における不適切な相互作用の結果として発生するとみなし,人間のプラスの側面に目を向け,適応(コーピング)能力を高め,環境の応答性(レスポンス)を増してストレスを軽減し,新しい適応のバランスを得ることをめざして援助を行う。

2009/08/09(日) ソーシャルワーク関連科目・ポイント
*ソーシャルワーク関連科目・ポイント
<コミュニティワークの歴史>
■レイン委員会報告
・コミュニティ・オーガニゼーション(CO)の方法論を初めて体系化した報告書(The Field of Community Organization)。レイン(Lane,R. P.)を委員長とする全米社会事業会議第三部会が1939年にまとめた。ニーズをもつ住民の参加を明示し,COの対象領域を,それまでの私的な救貧事業の組織化から,大恐慌時代の地域社会における多様なニーズへと拡大。COの概念と名称,方法と活動,分野,従事者の資格と訓練等を総合的に整理し,ニーズ・資源調整説をCOの主軸に位置づけた。(14回)

■ニーズ・資源調整説
・コミュニティ・オーガニゼーション(CO)の有力な概念として,1939年,レイン委員会が提起。生活困窮や都市病理など,大恐慌時代のアメリカの多様化する地域社会問題の解決と予防のために,ニーズに対する社会資源の発見や適合など,両者の効果的な調整活動を重視。住民参加やニーズ・資源の調査活動などを強調し,社会事業組織化から地域組織化へのCOの発展と体系化を誘導した。

■インターグループワーク(第6,16回試験出題)
・1947年の全米社会事業会議でニューステッターが提起したコミュニティ・オーガニゼーション(CO)の主要技術の一つ。「集団間調整事業」「集団関係の指導技術」と訳される。地域社会の多様な問題を解決するためには,地域社会を構成する下位集団の協力と協働の関係を調整・促進して,地域社会の問題発見とその解決のための協働を実現するという過程を重視し、@各集団の協力関係の保持とその代表者組織(協議会)の形成,A代表者組織と各集団との円滑な結合,B各集団の機能強化,C代表者組織による共同計画の策定と協働実施,のアプローチを提示した。地域集団の弱体化や形骸化から限界を示し,マレー・ロスの統合論に発展した。

■コミュニティオーガニゼーション統合説・ロス (第2回、第6回試験・参考)
・ヨーク大学学長などを歴任したロスRoss, Murray G. (1910-2001)は、著書『コミュニティ・オーガニゼーション』(Community Organization : Theory, Principle and Practice, 1955)において、コミュニティ・オーガニゼーション(CO)の方法論を体系化し,その代表的な定義となった。問題解決のための計画立案を不可欠とし,小地域組織化による住民の直接的参加と協働を促進して,弱体化する地域社会の民主的な再組織化への合意形成(統合)の過程が重要であると強調した。
・コミュニティ・オーガニゼーションとは、地域福祉活動における住民参加を援助する社会福祉の専門的方法である。コミュニティ・オーガニゼーションには、ある一定の地域における住民の直接的活動、ボランティア活動、社会福祉機関や施設による連携活動、施設の対地域活動等が含まれる。

■ロスマン Rothman, Jack (1927- )
・主著「コミュニティ・オーガニゼーション実践の三つのモデル」(“Three Models of Community Organization Practice”, 1968)で,コミュニティ・オーガニゼーション(CO)を「地域開発モデル」「社会計画モデル」「ソーシャル・アクション・モデル」に類型化した。1960年代,アメリカのCO発展期を代表する研究者。公民権運動・福祉権運動の広がりや1964年の「貧困との戦い」宣言などの社会情勢を背景に,社会改革へのCOの関与と,クライエントの弁護者としての専門的介入の視点を強調した。近年は,社会改革や地域開発への視点を強調し,トロプマン(Tropman, J. E.)らとの共著『コミュニティ・インターベンションの戦略』(Strategies of Community Intervention, 1995)などにより,コミュニティワークの方法論を発展させている。

2009/08/08(土) ソーシャルワーク関連科目・ポイント
*ソーシャルワーク関連科目・ポイント
<グループワークの歴史>
■グループワークの歴史
・グループワーク実践の源流は,19世紀のイギリスやアメリカにおけるセツルメント運動,YMCAに代表される青少年団体運動,レクリエーション運動,成人教育運動,その他の社会改良運動にみられる。
 その後,理論的に体系化されたのはアメリカにおいてであるが,1935年に全米社会事業会議(National Conference of Social Work)にグループワーク部門が設置されてもなお,グループワークがソーシャルワークに属するのか,あるいは他の教育やレクリエーションに属するのかについて論争が絶えず,グループワークがソーシャルワークのなかに位置づけられるにはさらに時間がかかった。
 第二次世界大戦後,ようやくグループワークがソーシャルワークの方法であるとの考え方が共通理解を得るようになった。グループワークが他のグループ活動・体験と異なる特徴は,それがソーシャルワークの共通基盤に基づいた実践であり,グループメンバーの成長や問題の解決を目標とし,プログラム活動を用いた意図的なワーカーの介入とグループによる相互作用を活用することにある。(14回試験)

■グループ・ダイナミックス
・集団の基本的な性質,集団と個人,集団と集団,またはもっと大きな組織と集団との関係についての法則を実証的な方法によって明らかにしようとする社会科学の一分野。集団力学と訳されて使われることも多い。

■ソシオメトリー
・モレノ(Moreno, J. L.)によって提唱されたもので,集団のなかにおける人間関係や個人の位置,その心理的特性などを理解していくための技術や理論。ソシオメトリック・テストが用いられることが多く,ある集団の個々人の選択・排斥の度合(ソシオマトリックス),それらの選択・排斥関係の図示(ソシオグラム)などから,集団の構造を解明する。

■コノプカ Konopka, Gisela (1910- )
・ユダヤ系ドイツ人で,アメリカへ亡命後帰化した。1950〜60年代,グループワークの発展に大きな役割を果たした治療的グループワークの代表論者であり,収容施設入所者,非行少年,情緒障害児等に対するグループワークに取り組んだ。個人の社会生活上の問題解決を小集団がもつ治療的機能に着目したグループワークの定義や,実践指針となる14のグループワーク原則(メンバーの個別化の原則,グループの個別化の原則,受容の原則,参加の原則,葛藤解決の原則,制限の原則,継続評価の原則等)が有名である。[主著] Social Group Work : A Helping Process, 1963. (16回試験出題)

■治療的グループワーク
・第二次世界大戦において,身体的,精神的に傷ついた将兵やその家族の援助にレクリエーション活動が用いられ,治療やリハビリテーションを目的としたグループワークが行われるようになったことが布石となり,1940〜50年代には治療的グループワークとして発展した。グループワーカーの積極的介入と個人の変化に影響力をもつ小集団の力動性により,治療の手段かつ治療の環境として人為的小集団が効果的であるとして,重要視された。 (16回試験)

■ヴィンター Vinter, Robert D. (1918- )
・グループワークの一つのモデルである治療モデルを生み出した人物。1950年代後半から60年代始めにかけてヴィンターが率いるミシガン学派は,実践への枠組を提示することでソーシャルワークの方法としてグループワークを位置づけ,最もハイリスクなクライエント,すなわち逸脱,機能不全あるいは病理的な問題を抱えている人たちに重点をおくことを主張した。ワーカーはメンバーに望ましい変化をもたらすグループを形成し,変化を起こさせる人(change agent)として機能する。すなわち,グループは手段として活用し,各メンバーの処遇目標を達成するためにワーカーが積極的に介入するのが治療モデルの特徴。[主著] "An Approach to Group Work Practice", in Glasser, P. et al.(eds.), Individual Changes through Small Groups, 1974.

■相互作用モデル
・グループワークの現代モデルとよばれる,1960〜70年代にかけて発展した理論モデルの一つである。フィリップス(Philipps, H.)に始まり,後にシュワルツとシュルマン(Shulman, L.)が発展させ,「媒介モデル」ともよばれる。最適の適応と社会化を達成するために,個人と社会が互いの存在を必要とする,理想的な共生的依存関係をもつ相互援助システムとして機能することを目的とし,ワーカーは個人と社会との媒介役となる。

■シュワルツ Schwartz, William (1916-82)
・1960〜70年代にかけてアメリカで発展したグループワーク理論モデルの一つである,「相互作用モデル」を構築した。機能主義学派の流れを汲み,社会システム論やフィールド理論に依拠しながら,「媒介モデル」へと発展させた。ソーシャルワーカーの多様な援助行動を貫く共通の原理と実践技術を追求し,ワーカーの機能を「個人と社会が互いに手を差し伸べる過程を媒介すること」と明示した媒介機能は,ソーシャルワーク全体に多大な影響を与えた。[主著] The Practice of Group Work グループワークの実際, 1971 (with Zalba, S. R.).』

2009/08/07(金) ソーシャルワーク関連科目・ポイント
*ソーシャルワーク関連科目・ポイント

■ソーシャルワークの統合化
・ソーシャルワークが専門職として社会的な認知を得る過程で,精神分析との同一化や心理主義といった個人への焦点化が強調されたり,逆に,環境の重要性が強調され社会的改革(social reform)へのシフトがみられた時期もあった。また,短期処遇が注目され,新たなソーシャルワーク実践理論が加わった。ある意味で,ソーシャルワークの理論は社会的要請に応えつつ進化し,多様化してきたといえる。こうした発展あるいは複雑化のプロセスにおいて,人と環境,そしてその交互作用を包括的に捉えることが,本来のソーシャルワークであることが再認識され始め,統合化の動きがでてきたといえる。

 バートレット(Bartlett, H.)は,ソーシャルワークの専門職性(プロフェッション)を全体として捉え,ソーシャルワーク実践に共通する拠り所を求めて理論的な整理を行い,ソーシャルワーク実践の共通基盤(common base)としてまとめている。
(15回試験出題)

 ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)も,実践の構成要素をクライエント・システム,ワーカー・システム,ターゲット・システム,アクション・システムとして整理し,クライエントの生活と問題を包括的に捉え,社会資源の活用を通して,計画的に働きかける手順を示しているが,それは従来のケースワークの枠を越えた統合的な理論であった。
 その後もソーシャルワーク理論の統合化は,一般システム理論やエコロジーの概念を枠組としながら発展している。ジャーメインとギッターマン(Gitterman, A.)のエコロジカル・パースペクティブやライフ・モデルは,ソーシャルワークの統合理論として広く受け入れられるようになっている。
 今日ではこうしたエコシステムの理論がソーシャルワーク統合化理論として不動の位置を占めているが,人と環境を一体とみなし,そのダイナミックな関係を包括的な視点で捉え,計画的に援助をしようとする姿勢はソーシャルワークの伝統的な視点をより明確,かつ具体化したものであるともいえる。

<ケースワーク・新たなモデルの登場>
■心理社会的アプローチ
・精神分析,自我心理学,力動精神医学の知見を導入した診断主義ケースワークに立脚する,個別援助技術の主要アプローチの一つ。ホリスによって,1960年代に体系化された。ハミルトンらも代表的な研究者である。特に「状況における人」に着目し,クライエントの環境面と内面・心理面の相互作用を認識すること,さらにクライエントに対する直接的な働きかけと同じく,環境への間接的な働きかけや調整の重要性も強調した。

■ホリス Hollis, Florence (1907-87)
・アメリカにおけるケースワーク理論の主流の一つである診断主義アプローチを代表する理論家の一人。特に,ホリスは,診断主義のなかでも「状況の中にある人間」や「人と状況の全体関連性」といった特有の概念を用いる心理社会的アプローチを提唱した研究者として広く知られ,ケースワークの発展に大きく貢献した。[主著] Casework : A Psychosocial Therapy, 1964. (16回試験出題)

■危機介入アプローチ
・危機状態にある対象者(個人, 集団, 組織, 地域など)に対して,その状態からできるだけ早く脱出することを目的に迅速かつ直接的に行われる援助。危機理論を具体的に模式化した危機モデルは,代表的なものだけでも10以上を数え,それら危機モデルによって展開される危機介入の適応範囲は非常に広く,災害から死別にいたるまで,あらゆる危機的事態に直面する人々の支援に用いられている。

2009/08/04(火) 低所得者への支援と生活保護制度・ポイント
*生活保護事務の性格と運営実施体制 
<生活保護における相談援助活動>
*生活保護の実施機関である福祉事務所は、最低生活を保障しながら利用者の経済的自立のみならず広く社会的自立に向かっての相談援助活動を行っている。
 保護の実施機関の相談援助活動は,被保護者の生活状況の把握,自立助長への処遇方法の確立,被保護者の問題・課題解決を目的に行われる。

*生活保護の実施過程とは、原則的には、受付(インテーク)→申請→資力調査→要否判定→決定(開始・却下)→支給→(場合によって変更・停止)→廃止となる。
●生活保護における相談援助活動の範囲と内容とは、
@生活困窮ということで生活保護に直接・間接に関わってくる相談、
A生活保護の対象とならない利用者の相談援助活動、
B生活保護廃止後の相談援助活動も含めている。
個々の被保護者とともに,援助計画,処遇方針を設定し被保護者の自立助長を図る。

◆福祉事務所では、具体的には次のような生活保護事務がある。
@所管区域内に居住する要保護者等に対する保護の決定及び実施に関する事務。
 例えば、保護の申請があった場合に行う事務としては、1)要保護世帯について、保護の要否(継続の要否)、程度及び方法の決定に関する事実と証拠の調査、2)調査に基づいて、保護決定手続きに必要な事務処理、3)対象ケースに指導助言及び必要な事務処理、がある。
A町村長からの要保護の状況などについて通報を受けること、並びに被保護者等に対する保護金品の交付及び要保護者に関する調査を行うことを町村長に求めること。
B要保護者の資産状況等について、官公署に調査を委託し、または銀行、要保護者の雇い主その他の関係人に報告を求めること。
C被保護者から生計状況の変動、居住地の移動等についての届け出を受けること。

●福祉事務所は、生活保護の申請を受理したあと、ケースワーカーが家庭訪問し、調査のうえで原則14日以内に保護の要否を決めることになる。
 生活保護法第24条において,「保護の実施機関は,保護の開始の申請があったときは,保護の要否,種類,程度及び方法を決定し,申請者に対して書面をもってこれを通知しなければならない」と規定されている。

第2節 福祉事務所と社会福祉主事 P114〜
(1)福祉事務所と生活保護事務 
◆社会福祉法に定められた,住民に対して社会福祉全般に関する相談・指導や給付等の業務(現業)を行う第一線の社会福祉行政機関である。(社会福祉法14条)。

(2)福祉事務所の沿革 
◆福祉事務所は、1951年に成立した社会福祉事業法に基づき同年10月に発足したが、言うまでもなく1950年5月の新生活保護法の成立および社会福祉主事の設置と密接に関連している。
◆旧生活保護法の時代までは、生活困窮者の救済の実務は、篤志家である民生委員(その前身は方面委員)が市町村長の補助機関として行っていたが、保護基準が一定の科学的な方法で算定され、かつ保護の要否や程度の決定にあたって、より合理的で科学的な調査を行うことが求められるようになるにしたがって、有給の専門職員の設置の必要性が高まってきた。
◆社会福祉主事は、合理的で適正な保護の実施のための都道府県知事または市町村長の補助機関となり、民生委員はその協力機関となった。福祉事務所の設置は、社会福祉主事制度の創設と、1950年の社会保障制度審議会の勧告に基づいて、人口おおむね10万人の福祉地区ごとに設置することとされた。

◆1999(平成11)年7月「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」が制定され、2000(平成12)年4月から施行された。この時の生活保護法の一部改正のポイントは、次の3点であった。
@保護の実施機関が要保護者の自立助長のための相談及び助言を行うことができる旨を規定した。
A国の普通地方公共団体に対する、または都道府県の市町村に対する指揮監督を廃止した。
B保護の実施機関が行う保護の決定及び実施に関わる事務を保護の実施機関が処理する法定受託事務とした。以上の3点である。 
すなわち、従来生活保護事務は国の事務を地方公共団体の長が機関として国から委任を受けて行っている機関委任事務であったが、これは現在そのほとんどが「法定受託事務」となり、国並びに都道府県の指揮監督は廃止された。ただし、保護の実施機関が要保護者の自立助長のため行う相談及び助言は「自治事務」となったのである。

■法定受託事務
 地方分権一括法の制定(1999年)により改正された地方自治法(新地方自治法という)により導入された自治体の事務区分で,法令により地方公共団体が処理することとされる事務のうち,国(または都道府県)が本来果たすべき役割に係るものであって,国(または都道府県)においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法令に特に定められた事務をいう(2条9項1号・2号)。従来,自治体は,自治事務のほか,国の事務(機関委任事務)も処理することとされていたが,新地方自治法により,自治体は,国の事務(機関委任事務)を処理する必要はなくなり,「地方公共団体の事務」(98条)だけを処理することとなった。地方公共団体の事務には,法定受託事務と自治事務とがあり(2条8項),前者は,さらに,国の法定受託事務と都道府県の法定受託事務とがある(2条9項1号・2号)。

2009/08/03(月) 低所得者への支援と生活保護制度・ポイント
◆生活扶助基準の改定方式の変遷
■最低生活費
・最低限度の生活を営むのに必要な生活費のことであり,生存ぎりぎりの水準と生活を再生産できる水準,そして人並みの生活様式や社会保障・社会福祉制度などを享受できる水準のいずれを「最低生活基準」(minimum standard of living)として採用するかによって,その金額は変わってくる。最低生活費は,マーケット・バスケット方式やエンゲル方式などの算定方式を用いて算出され,公的扶助の基準の設定の参考にされてきた。

(1) 標準生計費方式(昭和21年〜22年)
*当時の経済安定本部が定めた世帯人員別の標準生計費を基に算出し、生活扶助基準とする方式。

(2) マーケットバスケット方式・昭和23〜35
*最低生活を営むために必要な飲食物費や衣類、家具什器、入浴料といった個々の品目を一つ一つ積み上げて最低生活費を算出する方式。
・イギリスの貧困研究者のラウントリーによって考案された方法に起源をもつ。わが国では,旧生活保護法時代の1948年の第8次改訂時に,同年2月に実施した被保護者全国一斉調査を参考に,標準5人世帯の最低生活費の基準として用いられた。標準家族の生活費は,国立栄養研究所の栄養要求量をもとに飲食物費を決定し,そのほかの住居,被服,保健衛生,雑費を必要費目としてその金額を合計し算定したものである。

(3) エンゲル方式(昭和36年〜39年)
*栄養審議会の答申に基づく栄養所要量を満たし得る食品を理論的に積み上げて計算し、別に低所得世帯の実態調査から、この飲食物費を支出している世帯のエンゲル係数の理論値を求め、これから逆算して総生活費を算出する方式。
・1961年から導入された最低生活費の算定方式。総収入のなかで飲食物費の割合を示すエンゲル係数を最低生活費の算定に応用したものである。方法は,マーケット・バスケット方式と同様に栄養審議会の標準的栄養所要量を満たす飲食物費を理論計算し,低所得者の家計調査から同様の支出の世帯のエンゲル係数で割り戻して生活費を算定する。

(4) 格差縮小方式(昭和40年〜58年)
*一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を引き上げ、結果的に一般国民と被保護世帯との消費水準の格差を縮小させようとする方式。
・1964年,中央社会福祉審議会生活保護専門分科会の中間報告において,一般世帯と生活保護世帯の消費支出の格差を縮小する必要性が示され,エンゲル方式に代わって新たに導入された。格差縮小割合の算出方法は,経済企画庁(当時)の個人消費支出の予測(民間最終消費支出の伸び率)を参考に,これに格差縮小分を加えて生活扶助基準の改定率を決定した。

(5) 水準均衡方式(昭和59年〜現在)
*当時の生活扶助基準が、一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当であるとの評価を踏まえ、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図るという方式。
・格差縮小方式による生活扶助基準の算定は,「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達した」という見解を示した中央社会福祉審議会の意見具申により,1984年に新たな最低生活費の算定方式として水準均衡方式が導入された。具体的には,当該年度と前年度までに想定される一般国民の消費動向(政府の民間最終消費支出)をもとに,一般世帯との均衡状態を保つための調整を行い,これをもとに生活扶助基準の改定率を決めようとする方式である。

 →最低生活水準とはいかなるものか,という科学的合理的究明が弱まり,たとえば現在の水準均衡方式も,なぜ一般世帯の消費水準の約66%程度で最低生活水準が維持されるのかということも課題として残っている。

*エンゲル方式以降の算定方式は,いずれも立案者の裁量の余地を認めたものとなっている。しかもこのようなことを可能にした理由は,生活保護基準が厚生大臣の告示となっているために国会での審議もされないから,比較的簡単に算定方式の変更ができたことに求めることができる。

2009/08/01(土) 09年8月8日(土)、ソーシャルワーク実践研究会(テーマ:障害者福祉)お知らせ
<こちらも学習にご活用下さい。>

社会福祉士の資格・仕事・役割<社会福祉士 オリエンテーション@
http://miseki.exblog.jp/11361406/


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http://www.milmil.cc/user/hinkon/mailform.html


■09年8月8日(土)ソーシャルワーク実践研究会(テーマ:障害者福祉)のご案内

 筆者も、勤務先が主催する、8月8日(土)ソーシャルワーク実践研究会(今回のテーマは障害者福祉領域)に出席します。

■日時 : 2009年8月8日(土)14:30〜16:00
■会場 : 日本福祉教育専門学校 高田馬場校舎
■予約制(どなたでも参加できます)
 参加お申込み: 日本福祉教育専門学校 入試・広報センター
         電話:0120-166-255
        *もしくは、参加予約フォームからご予約をお願いし        ます。 
 http://www.nippku.ac.jp/university/event/sp_form/sp_form.html
◆参加費:無料
◆主催 日本福祉教育専門学校社会福祉士養成学科(昼間部)・社会福祉士養成科(夜間部)
 
 「ソーシャルワーク実践研究会」は、毎回さまざまなテーマで、現場で社会福祉士として活躍する卒業生が語ります。
 今回のテーマは、『障害者福祉実践現場の課題と今後の方向性』。
 今回は、社会福祉士として、障害者福祉のフィールド働いている卒業生が仕事のやりがいについてお話しします。
 在学中の学生や、卒業生を中心として、社会福祉の現場から学び合う、気軽な学習の集まりです。
 今回のテーマや、社会福祉の現場、社会福祉士の仕事・資格に関心がある、その実際を知りたい等の希望をお持ちの方など、どなたでも参加できます。
 皆さまのご参加をお待ちしています。お気軽にご参加ください。
http://www.nippku.ac.jp/university/event/gakka.html


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