社会福祉士 受験支援セミナー 日替講座
社会福祉士・精神保健福祉士試験の受験対策 ⇒新ブログhttp://miseki.exblog.jp/ に移行しました
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2009/06/30(火) 「社会福祉士受験支援講座」09年度版への移行のお知らせ
<ブログ「社会福祉士受験支援講座」09年度版への移行のお知らせ>

 皆様には、お手数、ご面倒をお掛けしますが、新しいブログに移行しました。利点として、記事の文字数が無制限になること、記事の分類、用語検索が可能となり、閲覧される方々も便利になるという点等が挙げられます。
 何卒、ご理解をお願いします。

 以降、下記のURLのブログ形式のサイトに移行します。

 また、内容も、これまでの社会福祉士・精神保健福祉士試験の受験に向けた練習問題や、要点の解説に加え、関連する情報のクリップ・ブックマークを加えて、継続しています。

 今後も、引き続きの閲覧と、ご活用を、よろしくお願いいたします。

 当サイト筆者・編集者

 移行後のブログです。

 「社会福祉士受験支援講座」09年度版
  http://miseki.exblog.jp/

2009/06/28(日) 低所得者の支援と生活保護制度ポイント
1.公的扶助とは何か-公的扶助の国際的な概念と範囲
◎各国の公的扶助制度の共通する特質
@対象は、法制的には、基本的に全国民である。しかし、実質的には、生活困窮者や低所得者等で貧困な生活状態にあり、独力で自立した生活ができない要保護状態にある者がその中心的な対象となる。

A保護を要する状態にあることを確認するため、一般的に資力調査(ミーンズ・テスト)が、その給付に先立って実施される。
★資力調査(ミーンズテスト)は、給付開始前に実施する。
◆「資力調査」とは=公的扶助を適用する要件である要保護(貧困)状態にあることを確認するため、資産や所得(収入)の状態を把握するための調査。

Bその給付は、社会保険のように画一的な事故や二一ドに対して画一的な給付を行うのではなく、一般的には、申請者や請求者の個別的二一ドに対する個別的な給付であり、自立した生活を送るのに不足する生活需要に対する補足的給付である。
★公的扶助は、最低生活需要に対する補足性、補完的性格を有する給付である。

Cその財源は国や地方自治体の一般歳入によってまかなわれ、本人等の拠出はなく全額公費負担によって給付が行われる。

D社会保険等のほかの社会保障制度による絵付が先行し、それらの絵付によって国が定める国民の最低生活保障水準が維持できない場合の、最終的な公的生活保障制度である。

◎公的扶助の範囲
 日本の公的扶助の中心をになっている最も基本的な制度は、生活保護法に基づく生活保護制度である。

◎公的扶助の定義
 公的扶助は、資力調査をその前提条件として、貧困な生活状態にあり独力で自立した生活ができない要保護状態にある者の申請あるいは請求に基づき、国が定めた自立した生活を送るのに不足する生活需要に対して、国や地方自治体が全額公費負担によって実施する補足的給付であり、人々の最低生活の保障を目的とする、最終的な公的生活保障制度である。

*用語解説:ナショナル・ミニマム
 国家がすべての国民に最低限の生活を保障すべきという理念。この理念は,シドニー・ウェッブが最初に提唱したとされる。ウェッブによれば,ナショナル・ミニマムとは,最低賃金などの所得保障にとどまらず,最低限の教育,衛生,余暇を含むもので,雇用条件,衛生的環境と医療サービス,余暇とレクリエーション,教育の分野で,国や自治体が,ナショナル・ミニマムを維持する必要があると主張した。




「社会福祉士受験支援講座」09年度ブログ版
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*社会福祉士は、昭和62年5月に制定された 「社会福祉士及び介護福祉士法」により定められた、社会福祉業務に携わる専門職の国家資格です。
 社会福祉士資格に関心をお持ちの方、下記の説明会・オープンキャンパス等の機会もあります。筆者は、7月5日の担当です。
http://www.nippku.ac.jp/university/event/index.html

2009/06/24(水) 地域福祉論等・ポイント
*地域福祉論(各科目共通)ポイント
<第18回・8回試験問題より>
■「福祉用具法=福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律)」
*「福祉用具法」によると,市町村は,福祉用具の利用者が福祉用具を適切に利用できるように福祉用具に関する情報の提供,相談その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。
 「国は,この法律の目的を達成するために必要な福祉用具の研究開発及び普及の促進を図るための財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。」と規定されている(福祉用具法第4 条第1 項)。
 「地方公共団体は,福祉用具の普及の促進を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。(福祉用具法第4 条第2 項)」
 「国及び地方公共団体は,広報活動を通じて,福祉用具に対する国民の関心と理解を深めるように努めなければならない。」と規定されている(福祉用具法第4 条第3 項)。

■児童虐待
*「国及び地方公共団体は,居住の場所の確保,進学又は就業の支援その他の児童虐待を受けた者の自立の支援のための施策を講じなければならない」とされている。(平成16 年8 月13 日「児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律」の施行について(通知)」)(児童虐待防止法第13 条の2 関係)

■個人情報の関連
*個人情報とは,「生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日,その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。氏名,性別,生年月日等個人を識別する情報に限られず,個人の身体,財産,職種,肩書き等の属性に関して,事実,判断,評価を表すすべての情報であり,評価情報,公刊物等によって公にされている情報や,映像,音声による情報も含まれ,暗号化されているかどうかを問わない。」とされている(平成16 年11 月「福祉関係事業者における個人情報の適正な取扱いのためのガイドライン」)(個人情報保護法第2 条第1 項関係)
*福祉関係事業者が,個人データの安全管理措置を遵守させる従業者には,ボランティア,実習生も含まれる。
*「個人情報取扱事業者は,個人情報を取得した場合は,あらかじめその利用目的を公表している場合を除き,速やかに,その利用目的を,本人に通知し,又は公表しなければならない。」と規定されている(個人情報保護法第18 条第1 項)。
 また,「同一事業者内で情報提供する場合は,当該個人データを第三者に提供したことにはならないので,本人の同意を得ずに情報の提供を行うことができる。ただし,利用目的として公表していない目的に用いる場合には,その新たな利用目的を,速やかに本人に通知し,又は公表しなければならない。」とされている(平成16 年11 月「福祉関係事業者における個人情報の適正な取扱いのためのガイドライン」)

■福祉有償運送
*国土交通省から「患者等の輸送サービス(一般旅客乗用車運送事業)」「NPO 法人等によるボランティア輸送(福祉輸送運送)」の許可の取扱いについての通達が平成16 年3 月16 日付で出された。
 福祉有償運送事業許可(道路運送法第80条許可)は,NPO法人,社会福祉法人,医療法人,公益法人等を含む非営利法人が,福祉車両を使って障害者や高齢者などの移動困難者に対して有償で移送サービスを実施する場合であり,個人は申請できない。また,株式会社や有限会社などの営利法人は,一般旅客自動車運送事業許可(道路運送法第4条許可)か特定旅客自動車運送事業(道路交通法第43条許可)のいずれかの許可申請が必要である。道路運送法第80 条1 項※の許可手続の前提条件として,地方公共団体が,タクシー等の公共交通機関によっては,移動制約者に十分な輸送サービスが確保できないと認めた上で,「運営協議会」を設け,判明した問題点等について速やかに報告する体制が整った上で,NPO法人等から申請があったこと,となっている。
※道路運送法第80 条第1 項:「自家用自動車は,有償で運送の用に供してはならない。ただし,災害のため緊急を要するとき,又は公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であって国土交通大臣の許可を受けたときは,この限りでない」
*福祉有償運送の対象は,介護保険法にいう要介護者や要支援者,身体障害者福祉法にいう身体障害者,その他精神障害,知的障害などにより単独では公共交通機関を利用することが困難な者であり,会員として登録された者及びその付添人である。
*福祉有償運送の許可は,地方公共団体が,当該地域内の輸送の現状に照らしてタクシー等の公共交通機関によっては移動制約者又は住民等に係る十分な輸送サービスが確保できないと認めることを要する。
*株式会社や有限会社などの営利法人は福祉有償運送事業許可(道路運送法第80 条許可)の対象外である。



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*社会福祉士は、昭和62年5月に制定された 「社会福祉士及び介護福祉士法」により定められた、社会福祉業務に携わる専門職の国家資格です。
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2009/06/22(月) 地域福祉論等・ポイント
*地域福祉論(各科目共通)ポイント
<第18回・8回試験問題より>
■人口について
*高齢化率を都道府県別に見ると,2000 年には最も高い島根県で24.8%,最も低い埼玉県で12.8%と,都道府県ごとに様々であるが,いずれの都道府県でもその割合は年々高まっている。
*高度経済成長期以降,我が国の世帯構成の中心は三世代世帯から核家族へと変化してきたが,近年は,高齢者や未婚者等の単独世帯が増加し,核家族は減少傾向にある。三世代世帯は,山形県(21%),福井県(18%),富山県(17%)で高くなっており,地方では比較的多く三世代世帯が残っている一方,東京都については三世代世帯の比率が3%と低く,単独世帯の比率は41%と最も高くなっている。
*我が国の労働力率の推移を見ると,男女とも高学歴化により若年層における低下,第一次産業減少により高齢者における低下が見られるとともに,女性については,いわゆるM字カーブの底が浅くなってきている。
 都道府県別に見ると,男性の60 歳以上については,長野県や山梨県で53〜55%と高いのに対し,沖縄県や福岡県では38〜39%と低い。
 女性の30〜44 歳については,北陸,山陰で就労傾向が強いのに対し,大都市近郊に当たる地域では専業主婦が多く労働力率が低くなっている。なお,1980 年と比較すると,地域差は縮小傾向にある。
*合計特殊出生率を都道府県別に見ると,2004 年時点で,沖縄県(1.72)が最も高く,東京都(1.01)が最も低くなっている。出生率の低下は全国的な傾向であるが,この30 年間の変化を見ると,地方に比べて都市部でその下がり幅が大きくなっている。

■「平成の市町村合併」について
*平成12 年7 月,森総理大臣は西田自治大臣に対し,市町村合併を推進することを指示し,平成13 年6月小泉内閣閣議決定の「骨太の方針」で,市町村合併や広域行政を促進するとされた。
 市町村合併の背景としては,@地方分権,人的資源の確保,A現在の行政区域を越えた共通課題,B厳しい財政事情,C少子・高齢化による税の担い手,D合併特例法平成17年3月までの期限,E地方交付税制度見直しに対する予測,などがあげられている。
基礎的自治体である市町村の行政体制の整備及び確立があげられている。
*「市町村の合併」は「市町村の廃置分合」の一形態であり,その法律上の根拠は,「市町村の廃置分合」について規定した地方自治法第7条にある。さらに,「市町村の合併」についての種々の法律の特例措置を定め,平成17 年3 月31 日限りで失効した「市町村の合併の特例に関する法律」(合併特例法)であった。合併特例法が失効した後の特例措置については,「市町村の合併の特例等に関する法律」(合併新法)が公布された。
*市町村(政令指定都市を除く。)社会福祉協議会は,原則として市町村域に1 つである。市町村社協は原則として市町村域に1 つと定められ,市町村合併により市町村の区域が変われば,当該区域の市町村社協も法人合併が必要とされた。

■老人クラブ
*老人クラブとは、居住地域を基盤としたおおむね60歳以上の者により構成される高齢者の自主組織。その形態は,自治会程度の小地域を範囲とする「単位老人クラブ」と,その連合体である「市区町村老人クラブ連合会」に大別される。活動内容については,「旅行や踊り,ゲートボール」だけではなく,介護予防,環境美化,在宅老人への友愛訪問,伝承・交流活動など,「高齢者ならではの心と力」を生かしての生きがい・仲間・健康・地域づくりを進めている。
 また、老人クラブは,公的財政援助(助成金)がある。「老人クラブ」とは,高齢者同士が生きがいある生活を目標に集い,居住地域を基盤に活動する自主的団体である。1963 年に,厚生省(現厚生労働省)が各地の老人クラブに対する公的財政援助の実施を決定し,各地域の行政が助成金を交付することになった。

■子育て支援総合コーディネーター
*厚労省は,2003 年度から全国約250 市町村に「子育て支援総合コーディネーター」を配置することを決定した。子育て支援総合コーディネーターの資格は,「保健師,保育士や長年子育て支援に携わった者など,子育て支援に関する知識・能力や相談援助の技術を有するとともに,地域の子育て事情に精通していると認められる者をもって充てるものとする。」と規定され,その配置としては,「市町村は,子育て支援総合コーディネーターを2 名以上配置するものとする。なお,地域の実情により,事業に支障が生じない限りにおいて,うち1 名はコーディネーターが行う業務を補助する職員として,実施しても差し支えないものとする。」と規定されている。(「子育て支援基盤整備事業実施要綱」)



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2009/06/20(土) 地域福祉の理論と方法・ポイント
*地域福祉論(各科目共通)受験対策のポイント
■苦情処理制度
・福祉サービス利用者の苦情を簡易・迅速に解決するフォーマルまたはインフォーマルなシステム。伝統的な権利救済制度の裁判と不服申立てには,固有の限界がある。裁判は,解決まで時間と費用を要し,証拠主義による証明の困難さを伴う。不服申立ては,第三者性(公平性)の担保の欠如や救済対象が行政処分に限られる。そのため,福祉サービスの利用に即応した苦情解決制度が不可欠である。介護保険による介護サービスには,苦情解決システムとして国民健康保険団体連合会への苦情申立てが,福祉サービスには第三者委員による苦情解決制度が導入されている(社会福祉法82条)。後者の設置は事業者の責務であり,解決が困難なときは都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会が助言・相談・斡旋を担当し,さらに都道府県も一定の関与をする。この他,オンブズマン制度を設置する自治体もあり,弁護士会その他の任意団体によるインフォーマルな苦情解決活動も重要である。
第八十二条  社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。
■オンブズパーソン
・国民・住民からの苦情申出または職権で行政活動の監視を行い,行政機関に制度改善や運用改善などを勧告する独立の行政監察機関。もともとはオンブズマンというが,時代の要請でオンブズパーソンまたはオンブズという言い方もある。スウェーデンで発達したこの制度は,訴訟のような複雑な手続も不要だし,既存の苦情処理とは違い独立の機関が行政活動について調査し,改善勧告し,それを公表するなどの方法により具体的で効果的な問題解決を迅速に図ることができる。
■福祉オンブズマン
・一般的に,オンブズマンとは行政に対する国民からの苦情を受け,中立・公正な立場でその事実関係ならびに原因を調査し,是正勧告する第三者機関のことである。わが国では国レベルでの制度として設置されていないが,1990年代初頭から福祉行政や福祉施設において,福祉サービス利用者の権利擁護の視点から独自にオンブズマンの導入がみられるようになってきた。福祉行政では,東京都中野区が福祉サービス調整委員を設置したこと(1990年)を皮切りに,横浜市,三鷹市等でも導入された。さらに東京都は1998年,補助金をだしているすべての障害者施設に「施設オンブズパーソン」を設置した。

■サービスの質 (参考)
・社会福祉法3条では,福祉サービスの基本理念を,個人の尊厳の保持を旨とすることとし,その内容は利用者の健全な育成,能力に応じ自立した日常生活の支援としている。そして,サービス自体が良質で適切なものでなければならないとし,その確保のため,78条には事業者自身による福祉サービスの質の評価に対する努力義務規定を設けている。また,サービス評価が客観的公正で利用者のサービス選択に資する情報となるよう,国に対し,第三者評価の仕組を整備し事業者の自主的・積極的なサービスにおける質の向上の取組みを支援し,促進する責務を課している。

■第三者評価基準
・厚生労働省社会・援護局長の私的懇談会による「福祉サービスにおける第三者評価事業に関する報告書」(2001年)で,「第三者評価基準」として公表された。そこでは,事業者の提供するサービスの質を,@基本方針と組織,A地域との関係,B対等なサービス利用関係,C実施過程,D適切な実施,E利用者本位のサービス実施,F運営・管理の七つの側面から評価することとしている。サービス評価は行政による最低基準のチェックとは違い,よりよいサービス水準への誘導の意味合いがある。また,この評価基準はあくまで福祉サービス全般を視野に入れたもので第三者評価機関が策定する基準のガイドラインになるものである。分野ごとの基準は各サービスの特性を踏まえたものであることが望ましい。また評価にあたってはサービス提供のプロセスの評価が重要で,記録によって確認される。
■障害者・児施設サービス評価基準 (参考)
・厚生省・厚生労働省から通知(平成12年障発472号,平成13年障発296号)としてだされたもので,社会福祉基礎構造改革の一つである「質の高い福祉サービスの拡充」を図るために,施設におけるサービスを障害種別や児・者の別なく,共通で評価するための基準である。人権への配慮,利用者に応じた個別支援プログラム,日常支援サービス,生活環境の整備,地域との連携,役員および職員の研修,緊急時の対応の7領域別に下位項目があり,着眼点をチェックしてプロフィール表に整理して,施設の姿勢やサービスの状況を把握するようになっている。この評価方法には,品質管理のシステム評価の考え方が取り入れられ,個別のサービス内容というよりは施設の組織と体制を問うことを基本としているところに特徴があり,マニュアルによるサービスの質の確保や文書化によるサービスの検証を求めている。2000,2001年度には,全国の施設で自己評価が実施され,それらの結果に基づいて修正がなされ,2002年度には最終版がだされた。

■ISO International Organization for Standardization (18回試験)
・国際標準化機構の略称。国際的に通用する規格を制定する非政府の国際機関である。さまざまな分野の国際規格を定めており,近年,品質管理および品質保証の規格を定めたISO 9000シリーズと,環境管理システムおよび環境監査の規格を定めたISO 14000シリーズが注目されている。介護保険の導入を契機に,高齢者部門のサービスの質の向上等を目的として,介護サービス事業者の間でISO 9000シリーズの認証を得る動きがでている。


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2009/06/18(木) 地域福祉の理論と方法・ポイント
*地域福祉論・受験対策のポイント
<共同募金>
■共同募金(第12・2回試験)
・1947年から開始された「赤い羽根」をシンボルとした募金活動。国民の助け合いの精神を基調とし,民間社会福祉活動の資金援助を目的としている。制度的には,社会福祉法112条〜124条で規定されており,第一種社会福祉事業である。共同募金会が都道府県を区域として毎年1回寄付金を募集し,区域内での社会福祉を目的とする事業を経営するものに寄付金を配分している。
*昭和22年、第1回国民たすけあい共同募金が実施された。1913年にアメリカ・オハイオ州クリーブランドで実施された共同募金がモデルとなった。
*昭和26年に社会福祉事業法制定に伴い、制度化された。共同募金事業は第一種社会福祉事業である。
*都道府県単位の都道府県共同募金会が実施機関として実施する。都道府県社会福祉協議会の意見を公聴,目標額,受配者範囲,配分の方法を決定する。
*共同募金は都道府県を単位として、毎年1回厚生労働大臣の定める期間内に限って、あまねく行う寄付金募集である。現在は10〜12月の3か月間,12月は歳末たすけあい運動として実施される。
*社会福祉法への改正によって、過半数配分制が廃棄され,先駆的活動事業等への重点配分が可能になった。
*配分委員会(社会福祉法より)
第百十五条  寄附金の公正な配分に資するため、共同募金会に配分委員会を置く。
第百十七条  共同募金は、社会福祉を目的とする事業を経営する者以外の者に配分してはならない。
2  共同募金会は、寄附金の配分を行うに当たっては、配分委員会の承認を得なければならない。
*準備金
*社会福祉法第118条(準備金)に「共同募金会は、前条第3項の規定にかかわらず、災害救助法(昭和22年法律第118号)第2条に規定する災害の発生その他厚生労働省令で定める特別の事情がある場合に備えるため、共同募金の寄附金の額に厚生労働省令で定める割合を乗じて得た額を限度として、準備金を積み立てることができる。」と規定している。

■社会福祉法
・社会福祉を目的とする事業に関する全分野の共通的な基本事項を定めた法律。福祉サービス利用者の利益保護や地域福祉の推進,社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保,社会福祉を目的とする事業の健全な発達,社会福祉の増進等を目的としており,2000年5月に成立した「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」によって社会福祉事業法(昭和26年法律45号)から題名が改正された。
*地域住民は、地域福祉の推進に努めなければならない。社会福祉法4条は「地域住民,社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は,相互に協力し,……地域福祉の推進に努めなければならない」と定め,地域住民,事業者,ボランティア等の三者を地域福祉の担い手として想定している。

■社会福祉法人の設立要件の緩和
・社会福祉法人の設立認可については,安定的で適正な運営ができるように,これまで設立に際し,「社会福祉法人の認可について」において役員や資産等について一定の要件が定められていた。しかし近年の社会福祉基礎構造改革の推進によって,2000年に「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」が公布・施行され,社会福祉法人の公益性を維持できる範囲内で,設立要件の緩和,自主的な経営基盤の強化および事業経営の透明性の確保を図ることが定められた。
 改正の内容としては,@地域におけるきめ細かな福祉活動を支援するための資産要件の緩和(特別養護老人ホームの施設用地に関して都市部以外においても民間からの借地を認める,ホームヘルプ事業(居宅介護等事業)を行う事業者の資産保有については1億円以上から1000万円以上への引下げ等),A役員が経営責任を負える体制を確立するための役員等執行体制の見直し(「地域の代表者」要件の撤廃,評議員会の位置づけを諮問機関にする等),B財務諸表の閲覧等,法人の運営に関する情報の開示の推進(外部監査の活用推進,社会福祉法人現況報告書の開示の推進等)となっている。
*居宅介護等事業の経営を目的として社会福祉法人を設立する場合は、最低1千万円以上の資産を有することが要件となっている。

■ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法
・2002年8月に施行された法律で,ホームレスの自立支援のため,就労機会や住居の確保,生活相談など,自立につながる総合的な対策の実施を国や地方自治体の「責務」とした法律(平成14年法律105号)。本法により,国には,自治体と協力してホームレスの実態に関する全国調査を行うことが義務づけられた。なお,本法には,施行後5年を目途として見直しを行い,10年を経過した日にその効力を失うとする附則がおかれている。
*国及び地方公共団体は、ホームレスの自立支援等の施策の実施に当たって、関係する民間団体との緊密な連携の確保とその能力の積極的な活用が求められている。


<参考:リアル講義がある受験対策講座>
 http://www.nippku.ac.jp/index.html
 第22回社会福祉士国家試験 受験対策コース
 第12回精神保健福祉士 国家試験受験対策コース


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2009/06/16(火) 地域福祉の理論と方法・ポイント
*地域福祉の理論と方法・受験対策のポイント
<民生委員・児童委員の続き>
■児童委員 (第13・3回試験出題)
・児童福祉法に基づき,市町村の区域ごとに厚生労働大臣が委嘱した民生委員が兼務する特別のボランティア。児童・妊産婦の状況把握と保健福祉サービスの情報提供,児童福祉司と社会福祉主事への協力,要保護児童通告の仲介,児童の福祉増進と健全育成等を目的として活動している。児童委員のなかから主任児童委員が指名され,もっぱら児童福祉にかかわる連絡・調整と児童委員の支援にあたる。2001年12月1日現在,全国の児童委員は22万人(うち主任児童委員は2万人)。

■主任児童委員 (第13・3回試験出題)
・「主任児童委員の設置について」(厚生省通知,平成5年児発283号)に基づき,1994年から創設された制度で,地域における児童・子育て支援をさらに推進するため,区域を限定せずに児童福祉に関する事項について扱う児童委員の一形態。区域担当制の児童委員との連絡・調整,協同による相談・支援を職務とする。多くが女性。原則55歳以下となっており,民生・児童委員よりは年齢層が低い。2001年の児童福祉法改正で法定化され,厚生労働大臣が直接指名することとなった。

■民生委員児童委員協議会 (第14・4回試験出題)
・民生委員法と児童委員活動要領に基づいて組織されている民生委員・児童委員の組織。民生委員が児童委員を兼ねていることから一つの組織となっており,単位民児協ともよばれている。都道府県知事が市町村長の意見をきいて定める区域ごとに組織され,民生委員・児童委員活動に関する連絡・調整,関係機関等との連絡,活動に必要な知識・技術の修得をさせること等を行う。また関係各庁への意見具申権を有しており,民生委員・児童委員が組織的な活動を行う単位ともなっている。

■全国民生委員児童委員連合会 (参考)
・都道府県単位に組織されている民生委員児童委員協議会を構成員として組織されている全国的組織で,全国社会福祉協議会の主要な構成団体の一つとなっている。民生委員・児童委員制度に関する調査・研究をはじめ,全国民生委員児童委員大会の開催,全国民生委員児童委員互助共励事業など,民生委員・児童委員の活動全般にかかわる事業を行っている。1992年に全国民生委員児童委員協議会から名称が変更された。

■民生委員法 (第13・3回、第14・4回試験)
・昭和23年法律198号。社会奉仕の精神をもって,つねに住民の立場にたって相談に応じ,必要な援助を行い,社会福祉の増進に努める民間奉仕者である民生委員に関する法律。1948年に制定,2000年に改正されたが,主な改正内容は,@基本理念の変更(1条),A民生委員の位置づけの明確化(10条),B職務内容の明確化(14条),C児童委員としての活動の重視(児童福祉法における要保護児童発見の通告先)などである。

■民生委員児童委員活動強化方策 (参考)
・民生委員・児童委員の活動を強化するための方策を示すもので,全国民生委員児童委員連合会が発表している。1967年の50周年記念大会から10年ごとに見直しがされている。1997年の大会では,三つの基本姿勢(社会奉仕の精神・基本的人権の尊重・政党および政治的目的への地位利用の禁止),三つの基本的性格(自主性・奉仕性・地域性),三つの活動原則(住民性の原則・継続性の原則・包括および総合性の原則),七つの活動機能(社会調査のはたらき・相談のはたらき・情報提供のはたらき・連絡通報のはたらき・調整のはたらき・生活支援のはたらき・意見具申のはたらき)が示されている。

■心配ごと相談所 (参考)
・心配ごと相談所事業は,方面委員時代からの「私設よろず相談所」などの活動に端を発するもので,第二次世界大戦後は,誰でもが気軽に相談できる窓口として「心配ごと相談所」が全国各地に設置されるようになった。1960年度から2001年度の間,市区町村社会福祉協議会の設置・運営する心配ごと相談所に国庫助成が行われた(なお,2002年度からは介護予防・生活支援事業のなかの市町村事業の一つとして助成を受けることもできることとなった)。ところで,心配ごと相談所は住民の身近な地域に設置された相談所として,どんな問題でも持ち込める場として,インテークの役割を果たしている。相談員の多くは民生委員・児童委員があたっている。2001年度現在,特別相談所(週3日以上の開設)が55カ所,一般相談所(週1日以上の開設)が 2366カ所設置され,年間16万件以上の相談が寄せられている。

■福祉委員 (参考)
・市区町村社会福祉協議会の会長に委嘱され,民生委員・児童委員活動を支援したり補完したりして,社協活動を推進する役割をもった地域ボランティアの名称。民生委員協議会の事務局を担当する市区町村社協は約20%あるが,それ以外の市町村社協が考え出したボランティアで,地域の福祉ニーズの把握や在宅福祉活動の支援をする。福祉協力員,福祉活動員,福祉推進員などの名称でよばれることもある。

■地域福祉の担い手
・社会福祉法4条は「地域住民,社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は,相互に協力し,……地域福祉の推進に努めなければならない」と定め,地域住民,事業者,ボランティア等の三者を地域福祉の担い手として想定している。


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2009/06/14(日) 地域福祉の理論と方法・ポイント
*地域福祉の理論と方法・受験対策のポイント
■食事サービス (第14・4回試験出題)
・配食型と会食型がある。配食型食事サービスは,自分では調理が難しい高齢者や障害者などに対し,一定の調理場で調理された食事を,自宅まで配達する方法である。一方,会食型食事サービスは,ある場所に集まってもらった高齢者などに集団的に食事を提供し会食してもらう方法である。配食型には,毎日提供する生活支援型と,週1〜2回から年に数回までの頻度で行われるふれあい型のものがある。生活支援型は,高齢者の生活そのものを食事面から支えるサービスであり,ふれあい型は,配食の人との接触を通じて,利用者の安否確認や孤独化防止などを行うねらいが強い。会食型は,集う人々がお互いに交流し合い,食事や食事以外のプログラムを楽しみながら,仲間づくりを促し,ひいては引きこもりや孤立化を防いでいくねらいが強い。
 食事サービスは,第二次世界大戦中にイギリスの女王記念婦人ボランティアによって始められたのが最初であるが,日本では,東京老人ホームが1972年に始めたのが最初である。生活支援型の先駆としては,福岡県春日市,鹿児島県隼人町が有名である。現在では,市区町村社会福祉協議会のほとんどが実施しているほか,市区町村行政,福祉施設,生活協同組合,農業協同組合,ボランティア団体,NPO,企業等による食事サービスも盛んである。

■運営適正化委員会
・福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保し,福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するために,主に都道府県社会福祉協議会に設置されている第三者機関。介護保険制度の実施に伴い制度化された地域福祉権利擁護事業において位置づけられた。
*運営適正化委員会の設置主体は、都道府県社会福祉協議会である。社会福祉法第83条(運営適正化委員会)において、「都道府県の区域内において、福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保するとともに、福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため、都道府県社会福祉協議会に、人格が高潔であつて、社会福祉に関する識見を有し、かつ、社会福祉、法律又は医療に関し学識経験を有する者で構成される運営適正化委員会を置くものとする。」と規定されている。

■地域福祉活動計画
・一般的に,福祉活動を行う地域住民やボランティア団体,NPO等の民間団体の自主的・自発的な福祉活動の行動計画であり,社会福祉協議会が中心的役割を果たすことが期待されている。さまざまな生活上の福祉問題の把握から解決までの一貫した流れを計画化したものである。社協が策定する場合,各地域のニーズに基づく住民の自主的な活動やボランティア活動,在宅福祉サービスのあり方,社協のあり方を含めた大きなプロジェクトとなる。その内容は,@住民福祉ニーズと解決のための関係機関・専門職との役割分担の明確化,A住民の福祉問題に対する理解促進の活動や参加を促進する諸活動,B住民のさまざまな要望や願いを「福祉のまちづくり」として位置づけ,それを実現していくためのソーシャル・アクション機能を含んでいるものとされている。地域住民の立場から多様な民間団体や地域住民の参加・協働を促進し,さまざまな福祉活動を計画化するところに独自性がある。行政計画としての地域福祉計画とは異なる性格を有しているが,計画の具現化のためには,当該地域における福祉課題や地域福祉推進の理念等の共有化,また,地域福祉計画による地域福祉活動計画の具体化の支援等,整合性を図ることが必要である。

<民生委員・児童委員>
■民生委員 (第13・3回試験出題)
・民生委員法に基づいて住民のなかから選任される委員で,自治体の人口規模によって定められた配置基準に従って70〜440世帯の区域を担当し,住民の生活状態の把握,相談・援助,福祉サービスに関する情報の提供,社会福祉事業を行う団体や行政に対する協力・支援などを行っている。3年の任期で厚生労働大臣から委嘱され,給与は支給されない。また児童福祉法による児童委員を兼ねている。1948年に民生委員法が制定されて以後,行政の協力機関という立場で,行政から依頼される調査や相談・援助等を行うことを活動の中心としていた。しかし,2000年に行われた法改正で,民生委員は住民の立場にたった活動を行うものであるということが明記され,それまであった「名誉職」という規定が削除された。
*改正された民生委員法では,民生委員の本分を「社会奉仕の精神をもって,常に住民の立場に立って相談に応じ,及び必要な援助を行い,もって社会福祉の増進に努めるものとする。」(民生委員法第1条)とし,民生委員を住民の側に立つ支援者として位置づけている。
*民生委員の活動や指導訓練に要する費用は,法令上、都道府県が負担する。民生委員法第26条参照。
*民生委員の職務の一つとして,援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと、ボランティアなど社会福祉に関する活動を行う者と密接に連携し、その活動を支援すること等が規定されている。



<参考:リアル講義がある受験対策講座>
 http://www.nippku.ac.jp/index.html
 第22回社会福祉士国家試験 受験対策コース
 第12回精神保健福祉士 国家試験受験対策コース


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2009/06/13(土) ソーシャルワーク実践研究会<09年6月20日>テーマ:高齢者福祉
■ソーシャルワーク実践研究会・09年6月20日のご案内
 <今回のテーマ:高齢者福祉分野での社会福祉士の役割>


 私の勤務先の社会福祉士養成学科では、在学中の学生や、卒業生等を中心として、この集まりを行なっています。
 2ヶ月に1回、社会福祉の現場から学び合う機会です。毎回、リラックスした雰囲気の、気軽な学習の集まりです。
 今回は、高齢者福祉の福祉施設などに勤務する社会福祉士の卒業生から、現場からの声を聞きます。高齢者福祉施設の現状や課題など、現場のワーカーが直面している現実からのお話しです。
 
 社会福祉のフィールドや、社会福祉士の仕事・資格に関心がある、その実際を知りたい等の希望をお持ちの方なら、どなたでも参加できます。社会福祉士を目指す方々の、ご参加をお待ちしています。
 
 *主催・会場  http://www.nippku.ac.jp/index.html

 日時等:2009年6月20日(土)14時30分〜。高田馬場校舎にて。
 参加費は無料です。


*参加予約を下記のフォームからお願い致します。

http://www.nippku.ac.jp/university/event/sp_form/sp_form.html

2009/06/12(金) 地域福祉の理論と方法・ポイント
*地域福祉の理論と方法・受験対策のポイント
<社会福祉協議会の続き>
■小地域ネットワーク活動(小地域活動) (第15・5回試験出題)
・小地域のエリアにおいて,近隣住民等の協力態勢により,ひとり暮らし高齢者をはじめとする要援護者に対して行う見守りなどの援助活動のことをいう。これまで社会福祉協議会(社協)が中心となり取り組まれてきている。要援護者が地域で満足度の高い自立生活を営むには,フォーマルな制度・サービスだけでなく,身近な地域で住民が主体的に行うインフォーマルな支援も重要である。近年,特に後者の支援として,小地域福祉活動の一環として位置づけられる小地域ネットワーク活動が重視されてきている。主な機能としては,日々変化する要援護者の福祉ニーズを把握したり,発見することである。さらに,安否確認,相談相手,緊急時の対応などの支援活動と組み合わせて進められることも重要となっている。ここでの小地域とは,おおむね小学校区や自治会・町内会等のエリアをさす場合が多い。効果として,孤独になりがちな要援護者の人間関係の回復や,ニーズの早期発見・早期対応(福祉サービス利用につなげる)等がある。活動にあたっては,プライバシーへの十分な配慮が必要であり,また,発見された個別ニーズを地域ニーズとして取り組み,行政や関係者等へ働きかけていくことも要請される。近年の社協活動においては,1991年度からの「ふれあいのまちづくり事業」や,94年度からの事業型社協推進のなかで重視され,2000年度では,2012社協(59.7%)で実施され,増加傾向にある。

■ふれあいのまちづくり事業 (参考)
・1991年度に創設された市区町村社会福祉協議会を実施主体とする補助事業の名称。地域住民の参加と関係機関との連携のもとで,地域に即した創意と工夫により具体的課題に対応するとともに,助け合いや交流の輪を広げ,ともに支え合う地域社会づくりを目的としている。指定を受けた市区町村社協では,事業を担当する地域福祉活動コーディネーターを配置するとともに,関係団体によって構成する「ふれあいのまちづくり推進(委員)会」を設け,総合相談機能をもつ「ふれあい福祉センター」の設置,運営を中心に,地域生活支援ネットワーク形成等の「地域生活支援事業」,住民参加による「地域福祉事業」,福祉施設との協働による「福祉施設協働事業」等を地域の実情に応じて実施する。これらの体制整備および事業運営経費に対して5年間の補助が行われる。2000年度までは,「福祉施設協働事業」のみを行うB型事業の指定があったが,2001年度に廃止された。2002年度までに796の市町村社協が指定を受けている。

■事業型社協
・1994年,全国社会福祉協議会は「『事業型社協推進事業』推進の指針」のなかで,地域福祉時代の社会福祉協議会(社協)のあり方として「事業型社協」を示し,@総合的な福祉相談活動・ケアマネジメント,A公的福祉サービスの積極的受託,B新たな住民参加サービスの開発・推進,C小地域生活支援等を通して住民参加を促進するなど,幅広い包括的な事業を行う市町村社協が事業型社協であるとしている。なお,一般的には,地域住民が必要とする目に見える具体的な問題解決のための在宅福祉サービス(ホームヘルプ活動,デイサービスセンターの運営,介護保険事業など)等を中心的に進める事業性の強い社協であると解されている。

■地域福祉活動コーディネーター (参考)
・1991年から開始された「ふれあいのまちづくり事業」を推進するために設置された職員。地域社会における住民が主体となって展開される地域福祉活動を支援するために,人,団体,資金,場所などの調整,開発,指導を専門的に行う。コミュニティワークの手法をベースとしつつ,生活課題を抱える個人の相談に応じたり,情報提供や,団体間の調整,行政との交渉,住民へのPR活動など幅広い業務を通して,住民の個別ケースの支援から地域社会全体の形成へとつなげる活動を展開している。任用資格は,原則として,地域福祉の推進に理解と熱意を有し,社会福祉士の資格を有する者または社会福祉主事の任用資格を有し相談・援助の業務に相当の経験を有する者とされている。

■子育てサークル (第15・5回試験出題)
・子育て中の親たちが子どもを連れて集まり,子ども同士を遊ばせながら,学習や情報交換をしたり,行事を共同で行ったりする任意のグループ活動。子どもの減少のため少なくなった集団で遊ぶ機会を提供したり,子育てに不安を感じ孤立しがちな母親の子育てを支える役割を果たしている。気の合う仲間同士でつくられることもあれば,同じ環境にある者同士でつくられることもあり,多様なサークルが各地で生まれている。また,地域子育て支援センターの事業としてもその育成・支援があげられており,自主・自発的な活動として,今後もその働きが期待される。



<参考:リアル講義がある受験対策講座>
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2009/06/10(水) 地域福祉の理論と方法・ポイント
*地域福祉論・ポイント
■都道府県社会福祉協議会 (参考)
 都道府県社協は,都道府県という広域の立場から地域福祉の推進を図ることが目的とされ,@広域的な実施がふさわしい社会福祉を目的とする事業の企画および実施,A社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成および研修,B社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導および助言,C市町村社協の相互の連絡および事業の調整があげられる。特に社会福祉法への改正においては,福祉サービス利用の援助に関する福祉サービス利用援助事業や苦情解決の仕組に関する運営適正化委員会の運営などが新たな役割とされている。
*昭和26年の社会福祉事業法の制定により、全国及び都道府県社会福祉協議会が規定された。
*平成12年の社会福祉法の改正により、都道府県社会福祉協議会の事業の一つとして、「社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導及び助言」が規定された。

■全国社会福祉協議会 (参考)
・社会福祉法に都道府県社会福祉協議会の連合体として規定されている団体。略称は全社協。実態的には,都道府県社会福祉協議会に加え,政令指定都市社会福祉協議会,全国民生委員児童委員連合会,社会福祉施設・在宅事業者の組織,福祉団体連絡組織などによる連合会的機能をもっている。それらの組織を中心に,社会福祉団体・施設等の連絡・調整,総合的企画,調査・研究,広報などを行う。

■地区社会福祉協議会 (参考)
・市区町村内の小地域レベルで組織される社会福祉協議会(社協)。小地域社協,支部社協,校区社協などの総称。自治会や小・中学校区などの区域を基本単位とし,地区内の福祉関係団体や個人で構成する任意の住民自主組織である。全国約3割の市区町村に設置されている。市区町村社会福祉協議会の支部機能や地区内のボランティア活動推進,小地域ネットワークによる見守り活動,福祉委員設置など,地域ニーズに即した多様な活動を行っている。
*地区社会福祉協議会は,「福祉のまちづくり」を推進するため設立されている住民組織である。

■社会福祉協議会基本要項 (第13・3回試験出題)
・社会福祉協議会(社協)発足後10年間の実践を総括し,その性格,目的,機能,組織の方向を位置づけた基本指針書。都道府県社会福祉協議会組織担当者会議(通称「山形会議」,1960年)などの論議を集約し,1962年に全国社会福祉協議会が制定した。民間の自主的な組織とする,住民主体を原則とする,主要機能として組織化機能(CO)を位置づける,市町村社協を基本単位とするなどを確認するもので,社協と地域福祉活動のあり方に多大な影響を与えた。

■住民主体の原則 (参考)
・1962年に制定された社会福祉協議会基本要項において,社会福祉協議会の活動原則として規定されたのが始まりである。ここでは,社会福祉協議会が地域住民のニーズに即した活動を進めること,それに必要な組織構成を充実することが主眼であった。その後,「住民主体の原則」は,住民が権利主体として主体形成することと,住民自治の観点から政策形成の主体者として位置づけられるという,地域福祉における生活主体原則として最も重視されている。

■新・社会福祉協議会基本要項 (参考)
・1990年の社会福祉関係八法改正に示されたわが国の地域福祉の方向性を受けて,社会福祉協議会のあり方を示した指針書で,1992年に制定された。1962年に制定された社会福祉協議会基本要項を改定したもの。社会福祉協議会の住民主体の理念を踏まえながら,構成員を公私の社会福祉関係者とするなどの確認と,福祉サービスの企画・実施を積極的に行うことを強調した。

■福祉活動専門員 (第13・3回試験出題)
・法人格をもつ市区町村社会福祉協議会に配置される公的財源措置による職員の名称。1966年度に厚生省社会・援護局長通知に基づいて設置された。1994年の厚生省事務次官通知「社会福祉協議会活動の強化について」(平成6年発社援300号)に記された職務は,「市区町村の区域における民間社会福祉活動の推進方策について調査,企画及び連絡調整を行うとともに広報,指導その他の実践活動の推進に従事する」。任用資格は社会福祉主事と同じ要件と定められている。1999年度より,設置費が国庫補助から一般財源化され,地方交付税交付金に組み入れられた。


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2009/06/08(月) 地域福祉の理論と方法・ポイント
6 地域福祉の推進機関と体制
<社会福祉協議会>
■社会福祉協議会(第14・4回、第16・6回試験)
・社会福祉法に規定された,地域福祉の推進を図ることを目的とする公共性・公益性の高い民間福祉団体である。「社協」と略称される。行政単位に設置されており,社会福祉法では109条(市区町村社会福祉協議会),110条(都道府県社会福祉協議会),111条(全国社会福祉協議会)に定められている。
 その成り立ちは,第二次世界大戦後のGHQによる社会福祉における公私分離政策に基づく民間社会福祉事業の育成策の一環としてであった。具体的には,GHQの指導を受けた厚生省(当時)により,旧関連団体である日本社会事業協会,全日本民生委員連盟,同胞援護会等の団体が統合され,中央社会福祉協議会(後の全国社会福祉協議会)が1951年に設立されたのが始まりである。その後5〜6年のうちに,すべての都道府県,ほとんどの市町村の社協が設立されている。
 社会福祉法における市区町村社協の構成に関する規定としては,区域内の社会福祉事業または更生保護事業を経営する者の過半数の参加が求められるとともに,「社会福祉を目的とする事業を経営する者」,地域福祉の推進を図る立場から,福祉ボランティア団体等の「社会福祉に関する活動を行う者」が不可欠な構成員として参加を求められている。また,設置区域は,自治体単位に一つの設置に加えて,複数の市町村を区域とした広域圏の社協の設置が可能となっている。
 事業は,@社会福祉を目的する事業の企画および実施,A社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助,B社会福祉を目的する事業に関する調査,普及,宣伝,連絡,調整および助成,Cその他社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業(指定都市社協は,これらに加えて区域内における地区社会福祉協議会の相互の連絡および事業の調整)とされている。具体的な事業としては,集落や小学校区などの生活圏エリアでの住民福祉活動を促進する小地域福祉活動,ボランティア活動育成をはじめとするボランティア・センター事業,福祉問題当事者への当事者組織支援,また,これらの当事者・住民の参加による在宅福祉サービス事業の開発などに加えて,当該行政からの委託・補助事業,介護保険関連事業の実施など,地域福祉・在宅福祉に関連する広範な事業を行っている。なお,社会福祉法の施行に伴い,地域福祉権利擁護事業(福祉サービス利用援助事業)などの福祉サービス利用支援に関する事業も,新たに期待される役割として展開されることになった。

■市区町村社会福祉協議会
(第13・3回、第14・4回試験出題)
・社会福祉法109条に規定され,市区町村における地域福祉を推進する中核として位置づけられた団体。終戦直後,GHQの指示により,全国レベルと都道府県レベルで社会福祉協議会が組織化されたのと時を同じくして,全国の各市区町村でも組織化されていった。法律的には,1983年に社会福祉事業法(現・社会福祉法)に位置づけられた。取り組むべき主な事業としては,@社会福祉を目的とする事業の企画,実施,A社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助,B社会福祉を目的とする事業に関する調査,普及,宣伝,連絡,調整,助成,Cその他社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業,があげられている。そこで働く職員の数も,数名のところから数百名の職員を有するところまであり,行政庁と同じ建物に所在するものも,独立した拠点をもつものもある。活動内容も,幅広く積極的に展開しているところからあまり活動をしていないところまで,さまざまである。
*昭和58年の社会福祉事業法の一部改正により、市町村社会福祉協議会が規定された。
・社会福祉事業法(現・社会福祉法)制定時(1951年)には,社会福祉協議会は全国および都道府県社会福祉協議会のみが規定されていた。その後,在宅福祉・地域福祉の中核的推進の役割が期待される市区町村社会福祉協議会を同法に位置づける法制化運動が起こり,1983年,市町村および東京都の特別区の社会福祉協議会が規定された。また,1990年には社会福祉関係八法改正のなかで政令指定都市の区社会福祉協議会が法制化された。
*平成2年のいわゆる社会福祉関係八法改正により、市町村社会福祉協議会は、社会福祉を目的とする事業を企画し及び実施するよう努めなければならないとされた。
*設立の当初は各福祉施設や民生委員などの連絡調整業務が期待されていたが、1990(平成2)年の福祉関係8法改正に伴い、在宅福祉サービスを展開する中心組織と位置づけられるようになった。
*市町村社会福祉協議会は、広域的に事業を実施することにより効果的な運営が見込まれる場合には、その区域を超えて事業を実施することができる。社会福祉法第109条4項において「市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会は、広域的に事業を実施することにより効果的な運営が見込まれる場合には、その区域を越えて第1項各号に掲げる事業を実施することができる。」と規定している


<当サイト 編集者のHP>
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2009/06/06(土) 地域福祉の理論と方法・ポイント
■日本赤十字社 (第12・2回試験出題)
・通称「日赤」。1877年に創立された博愛社がその前身で,1886年に日本政府がジュネーブ条約に加入したことに伴って,翌87年に名称を日本赤十字社と改称。現在は,1952年に成立した日本赤十字社法による特殊法人である。災害救助,病院経営,看護師・助産師等の養成,医療・社会福祉事業,青少年赤十字活動等を行う。組織は会員(「社員」とよばれる)形態をとり,2002年3月31日現在,個人社員が約1553万人,法人社員が約22万社に達している。

<以降、企業の社会貢献>
■メセナ  (第16・6回試験出題)
・フランス語で「文化の擁護」の意味から,日本では特に企業による芸術文化活動の支援をさす。企業の社会貢献活動として1980年代後半からの好景気の時期に,劇場の設立や美術館の運営など,多くの企業でさまざまな活動が取り組まれた。当初は経営者の意向が強く影響した独善的な活動も多かったが,近年はメセナ担当部署が主導権を握り,地道な活動を行う方向へと転換している。近年の経済不況で活動は伸び悩み,廃止する企業が増加している。

■フィランソロピー (第16・6回試験出題)
・直訳すると「博愛(主義)」「慈善(行為)」。ギリシャ語の「人間を愛する」という意味のことばが語源。アメリカでは,企業の「社会貢献」の意で広く使用される。1990年に経済団体連合会(現・日本経団連)によって,企業は不特定多数への貢献を経営の柱として位置づけるべきとする「経団連企業行動憲章」が打ち出され,営利活動だけでなく「良き企業市民」として地域社会に貢献していく気運が高まってきている。積極的な社会貢献の推進のためには企業による環境づくりが欠かせない。

■マッチング・ギフト制度 (第16・6回試験出題)
・企業の社員が福祉・教育などの団体に寄付をしたとき,その企業が社員の寄付金に同額またはそれ以上の寄付金を上乗せして寄付する制度。この制度は,アメリカで1960年代に行われはじめた。社員の社会貢献と同時に社員の意向を尊重した企業の社会貢献の一つであり,寄付の多様化と活性化に対応した仕組といえる。日本では大企業を中心に制度の導入が行われているが普及度は低い。

■ユナイテッド・ウェイ (第16・6回試験)
・アメリカの各地域約2300カ所で活動している共同募金団体。近代的な共同募金が制度として確立したのは,1913年のオハイオ州クリーブランドでの取組みとされる。全米での募金総額は,2001年から02年の間に約50億ドルに達している。全米の連絡・調整機関としてUnited Way of Americaがあり,募金方法の研究,全国的な広報,配分につなげるニーズ評価,役職員の研修などを行っている。また世界で45の国・地域で活動している連絡機関としてUnited Way Internationalがある。

■企業ボランティア(参考)
・企業が社会貢献活動の一環として行う活動。1990年には「フィランソロピー協会」,経済団体連合会(現・日本経団連)の「1%クラブ」など企業の助成団体が次々と設立され,企業が社会貢献活動を行っていく基盤が整えられ始め,「ボランティア休暇」制度を取り入れる企業も増えてきている。近年は,「企業の業務の一環」としての企業そのものが推進するボランティアから,企業に所属する個人が自己実現を求めて自発的に行うボランティア活動の増加へと傾向が変化してきている。

■1%クラブ (参考)
・経済団体連合会(現・日本経団連)によって1990年から発足した団体。会員は,経常利益の1%以上(法人会員),可処分所得の1%以上(個人会員)を目安に社会貢献活動のために拠出することに努める企業および個人で,2001年現在で法人300社あまり,個人1500名あまり。広く国民各層において,寄付やボランティア活動が活発化するよう機運を醸成し,市民活動団体をはじめとするNPOと企業,個人を結びつけるコーディネーターとして,社会のニーズに合った社会貢献活動を推進することを目的とする。会員への社会貢献活動の情報提供やボランティア・セミナーなどを行っている。

■寄付の文化 (参考)
・アメリカなどでは,市民や企業が応援する施設や市民団体に積極的に寄付を行う文化が根づいており,オンラインによる寄付や税制控除の仕組も整っている。日本における代表的な寄付活動を行っている中央共同募金会は,1997年より「新しい寄付の文化」をめざすことを掲げ,共同募金の配分先はNPOやボランティア団体へと幅が広がった。多くの市民が寄付で団体を支えることは,その団体にとってたんに財源安定だけでなく団体の存在感や活動への信頼感も実感させるものであり,市民社会を育てていくことにつながる。


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2009/06/04(木) 地域福祉の理論と方法・ポイント
■ボランティア (第12・2回試験出題)
・ボランティア活動の基盤をなすボランタリズムでは,その行為の「主体性」や「自主性」が重んじられてきた。そこには個人の思想や行動が国家(権力)から独立し,自由であるという側面も含まれている。つまりボランティアは,個人の意志や責任において活動を行う自由な市民という意味でもある。
 日本では古くからボランティア活動の萌芽があった。BBS運動,学生セツルメント,ワークキャンプ運動など,青少年によるボランティア活動がその中心となっていた。その後,高度経済成長による生活環境の変化のなかからさまざまな市民運動が台頭し,さまざまな活動が行われるなかでネットワーク化が進んだ。例えば,1962年に徳島県で始まった善意銀行は各地に広がり,今日のボランティア・センターの基盤となっていった。
 最近の動向としては,1993年厚生大臣(当時)により「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」が告示された。これを受けて中央社会福祉審議会は「中長期的なボランティア活動振興方策について」を答申し,より積極的なボランティア活動支援の必要性が打ち出された。同じ時期(1992年),教育行政の側からも生涯学習審議会の答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」や,青少年問題審議会の意見具申「豊かさとゆとりの時代に向けての青少年の育成の基本的方向性――青少年のボランティア活動の促進に向けて」でボランティア活動の意義が述べられ,その推進方策が提言された。このように,1990年代に入ってボランティア活動への期待が急速に高まっていった。
 1995年の阪神・淡路大震災では約130万の人々がボランティアとして救援活動を行ったといわれているが,この活動を通してボランティア活動の意義や固有性が改めて確認されたことから,「ボランティア元年」とよばれた。その後,ボランティア活動や市民活動を支援する必要性が認知され,1998年には特定非営利活動促進法(NPO法)が制定された。また日本が国際連合に提唱し,2001年が国際ボランティア年として位置づけられ,各国で推進のための働きかけが行われた。
全社協では2001年「第二次ボランティア・市民活動推進5カ年プラン」を提案している。また社協以外の団体や組織によるボランティア活動の支援も増加している。
 全社協・ボランティア活動振興センターが把握しているボランティアは,2002年4月に740万人,10万2000団体を数え,調査が始まった1980年と比較すると4.4倍に増えている。登録者のなかで女性が8割を占め,50歳代は25%,60歳代は23%である。また4割が「保健・医療・福祉」に関するボランティア活動をしている。しかし活動内容は,国際貢献や環境など年々多岐にわたってきている傾向がある。

■ボランティアセンター (第14・4回試験出題)
・ボランティア活動の仲介支援機関・拠点。ボランティアの養成・研修,情報提供,コーディネーション,相談,会場備品提供などを行う。1960年代に善意銀行,ボランティア協会などのかたちで広がり,70年代に各地の社会福祉協議会のなかに設置されたことで全国に広がった。小地域で活動するものをボランティア・ビューローとよぶこともある。近年は大学や企業,宗教団体などに開設されるものも登場している。

■ボランティア・コーディネーター (第14・4回)
・市民のボランタリーな活動を支援し,その実際の活動においてボランティアならではの力が発揮できるよう,市民が課題や活動,組織と出会うことを支援したり,組織内でサービス利用者や有給職員との調整を行う専門職。特に,立場の異なる人々(組織)が対等の立場で出会い,協働することが可能となるよう支援することを重視する。ボランティア・センターなどの仲介組織,福祉施設や病院,NPOなどのボランティア受入れ組織に配置される必要があるが,日本ではまだ十分な認知が得られていない。また,学校や企業などでその構成メンバーがボランティア活動に参加する際にも,その担当職員にボランティア・コーディネーターとしての役割が期待される。日本では1970年代中頃からその重要性が関係者の間で指摘されていたが,広く一般に必要性が認識されはじめたのは,1995年の阪神・淡路大震災において災害ボランティアのコーディネーションが注目されてからである。
*「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」(厚生省告示)において,コーディネーターの配置等によりボランティアセンターの機能充実に努めることとされた。


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2009/06/02(火) 地域福祉の理論と方法・ポイント
■特定非営利活動促進法 (第12・2回、第14・4回、第15・5回、第16・6回試験出題)
・1998年に成立(平成10年法律7号)。NPO法と略称される。特定の非営利活動を行う団体に法人格を与え,「ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し,もって公益の増進に寄与することを目的とする」(1条)。特定非営利活動法人(NPO法人)の活動には,医療・保健・福祉,社会教育,まちづくり,文化・芸術・スポーツ振興,環境保全,災害救助,地域安全活動,人権の擁護または平和の推進を図る活動,国際協力,男女共同参画社会の形成の促進,子どもの健全育成,これらの活動を行う団体の運営または連絡・助言または援助があげられる。 
 NPO法人の設立においては,所轄庁から設立の認証を受け、事業報告書の所轄庁への提出、閲覧と公開が義務づけられている。福祉の分野でも,介護保険などを中心に,民間ボランティア団体がNPOとして法人格を取得し,事業を展開するケースが増えている。
*NPO法人の目的とする非営利活動に支障をきたさない範囲で収益事業を行うことができる。
*NPO法人の財政基盤の強化のため,2001(平成13)年1O月より国税庁長官により認定されたNPO法人に寄付した者につき,寄付金を控除するといった所得税・法人税・相続税の優遇措置が受けられるようになった。
*特定非営利活動促進法には、特定非営利活動法人の役員に関する規定がある。同法第15条では、役員の定数を「特定非営利活動法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。」と規定し、第20条では役員の欠格事由について規定している。

■国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針 第12・2回、第13・3回
・1990年の社会福祉事業法(現・社会福祉法)の改正により,社会福祉の推進にあたっては地域住民等の理解と協力を得るように努めなければならないとされた。その後1992年の改正に基づいて,厚生大臣(現・厚生労働大臣)は,国民の社会福祉事業に対する理解を深め,社会福祉活動への参加を促進するための基本的な指針を1993年に告示した(平成5年厚生省告示117号)。この指針では,福祉教育・学習の必要性や,福祉活動を進めていくための条件整備,また支援のあり方について述べられている。
*参加促進に当たっての考え方として、
 ボランティア活動や住民参加による福祉活動の自主性、自発性及び創造性を最大限に尊重する。
 地域社会の構成員が、互いに助け合い交流するという広い意味の福祉マインドに基づくコミュニティづくりを目指す。
 公的サービスとの役割分担と連携。社会福祉の基礎的需要は行政が第一義的に供給する。
 地域福祉の総合的推進。公私の福祉サービスが総合的に提供される。

■住民参加型在宅福祉サービス (第14・4試験)
・1970年代なかば頃より主として都市およびその周辺部に登場し,その後1990年代に急増してきた新たな在宅福祉サービスの形態で,その特徴は住民相互の助け合いシステムにあり,会員(住民)が必要とする多様な在宅福祉サービスを有償で同じ会員(住民)が提供するものである。
 こうした在宅福祉サービスを提供する住民会員制相互扶助の非営利組織は,全国社会福祉協議会の第1回調査(1987年6月)では121団体であったが,同2001年12月調査では1915団体となっている。高齢者に対する家事援助をはじめとして,介護や育児・教育サービスにも取り組み,援助を必要とする住民の多様なニーズに対応しており,柔軟性が特徴である。
 ボランティア活動における互酬性を積極的に評価した中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会意見具申(1993年7月)で,住民参加型在宅福祉サービスの振興が重点課題の一つとされ,2000年4月施行の介護保険制度,さらに2003年4月施行の支援費制度で基準該当サービスの担い手として位置づけられている。
*介護保険制度では,特定非営利活動法人格を有する住民参加型在宅福祉サービス提供組織も,サービスの提供主体となることができる。


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