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2009/04/03(金) 相談援助の基盤と専門職・ソーシャルワーク史
■社会福祉の歴史 欧米における社会福祉の史的展開 2
*イギリスの内乱を経る(清教徒革命等)。
*産業革命:1733 「飛びひ」発明(紡績機械の発達の始め)。1765 ワット蒸気機関発明。

2 院外救済への途
*1782 ギルバート法制定
有能貧民の雇用斡旋や院外救済の実施。労役場は労働能力のない貧民の収容施設に。
1795 スピーナムランド制度
労働貧民の賃金補助制度である。食糧価格が上昇し、労働者の実質賃金が下がったとき、扶養家族数に応じて不足分を給付した。農業労働者の低賃金が問題とされ内乱の危険があり,賃金補助制度が行われた。1834年まで続く。

1798 マルサス『人口の原理』
 Malthus, T. R., 『An Essay on the Principle of Population』。人口は幾何級数的に増加するが食糧は算術級数的にしか増加できないので,積極的抑制(死亡率上昇)を回避して人口と食糧のバランスを保つには,予防的抑制(禁欲と晩婚による出生率抑制)を行うべきだと主張した。

*1834 イギリス「新(改正)救貧法」成立
(新)「救貧法体制」は、貧民への劣等処遇の原則、労役場(ワークハウス)への収容(院内処遇)、救済水準の統一が原則であった。国家としての貧民対策は、治安維持的な救貧事業に留まっていた。
■劣等処遇の原則
 救貧法による救済対象となる貧困者の生活は,労働して自活する最下層の労働者の生活よりも低いものでなければならないとする原則。1834年新救貧法の基本原則の一つとして示された。基底にあるのは,劣悪な処遇を与えることによって,救済を受けることを自発的に躊躇させ,救済を受ける貧困者の数を制限すると同時に,救貧事業に要する費用を節約しようとする意図があったといわれている。

*このような背景から、民間慈善団体の発展がはじまった。しかし、貧困の原因とは道徳的欠落をもつ者の自己責任であるみなす考えが当時の社会では主流であり,多くの慈善団体が同様に、道徳的に向上させることが貧困からの脱却につながると考えており、また慈善活動が乱立する傾向もあって、救済の重複と救済漏れの問題が生じた。
*19世紀末、産業革命後のイギリス社会は,貧富の格差が拡大し、都市への貧民の流入と貧困地区の出現、失業と貧困、劣悪な労働環境と病気など、資本主義社会がもたらした社会問題が山積していた。

3 都市社会事業の発展
■「隣友運動」チャルマーズ Chalmars, Thomas
・スコットランドの長老教会の牧師、神学者、経済学者
◎チャルマーズは1820年代にグラスゴー市において、教区を区分けして「隣友運動」=貧困家庭への友愛訪問(貧困者の友人として)や、社会資源の活用を含めた組織的な援助など相互扶助や自助を重視する慈善活動を実験的に始めた。民間の活動を重視する救済方法であり,その後,慈善組織協会(COS)の活動に継承された。

*1844年、YMCA(Young Men's Christian Associationキリスト教青年会)が、ジョージ・ウイリアムズらによって、ロンドンで創立された。
@貧困な青年たちにクラブ・レクレーション活動を通じて生活技術と精神面の指導を図る
A人格的な交流を基礎とした社会教育活動
B健康で人間らしい生活の権利への意識を高める活動
なお、現在のYMCAは、青少年活動の支援などを行なうキリスト教の組織として、120以上の国で活動している。
*1855年、YWCA(Young Women's Christian Associationキリスト教女子青年会)が同じくイギリスで設立された。現在はキリスト教の女性団体の一つである。

*1869年、慈善組織協会(COS:Charity Organization Society)の結成
 前述のような「善意的」で、無計画に乱立した慈善活動を改善するため、慈善組織協会(COS)がロンドンに設立された。COSはC.ロックの指導のもと当初から、無差別施与と慈善活動の乱立の弊害を防止するため、救済の適正化(救済の重複を避けるため登録制度の実施)、慈善団体の連絡と調整、協力と組織化を目的とした。また、貧民への個別訪問指導活動「友愛訪問」も行なった。
 しかしCOSは、援助対象の貧民を「救済に値する貧民(好ましい人物)」と「救済に値しない貧民(好ましくない人物)」に選別・分類し(選別主義の採用),前者のみを慈善事業の対象とした。そして“貧困の原因は個人の道徳的退廃にある”といった活動理念から、物質的な援助よりも道徳的な改良によって生活改善を与えること、立ち直らせることを目指した。
*1882年のロンドンCOS年報にて「ケースワーク」という言葉がはじめて使用された。

*1877年、COS、アメリカ・バッファローに移入
 移入後、急速に米国各地に拡大したCOSの主な機能は,@救済申請者の綿密な調査,A救済の重複を避けるための登録制度の実施,Bさまざまな救済機関の連絡調整,C「友愛訪問」と呼ばれるボランティアの活用であった。「施しではなく友人として」をモットーとしたCOSの友愛訪問等の活動はケースワークの確立に繋がった。また友愛訪問で動員されるボランティアによってケース会議がもたれたのは,今日のケースカンファレンスの原型といえる。またCOSはコミュニティワークにおいても、連絡・調整を目的とする地域組織化の原型となり、ほか社会福祉調査など、ソーシャルワークの形成に大きな影響を及ぼした。

■解説:社会改良  social reform
 社会問題や社会の矛盾を解決するために,革命という急進的な手段で社会体制を変えるのではなく,欠陥を是正し,修正するなどの漸進的な方法で社会を改善しようとすること。19世紀末から20世紀初頭にかけてのソーシャル・セツルメント運動などが代表であり,教育・宣伝的方法,議会活動などを通して,社会政策や社会福祉政策などに影響を与えることを目的としている。


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