社会福祉士 受験支援セミナー 日替講座
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2011/01/20 援助技術論等、事例問題対策3<練習問題>
2011/01/19 援助技術論等、事例問題対策2<練習問題>
2010/12/27 地域福祉論・web講座1
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2010/11/26 ソーシャルワーク関連科目・練習問題(歴史)

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2009/03/31(火) 地域福祉論・練習問題&ポイント
*地域福祉論 本日の練習問題
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題20 次の記述の、空欄AとBに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
地域福祉は(  A  )を基盤とした社会福祉である。国家主導の公共事業ではなく、 (  B  )の福祉をめざすものであり、問題解決においても専門家任せにするのではなく、公的サービスを活用しつつ地域住民自身で問題解決を図ろうとするところに特徴がある。住民の役割には、@(  C  )への参加、A在宅福祉サービスヘの参加、Bボランティア活動などがある。
   A       B       C
1 福祉施設    新世紀型   民生委員協議会
2 コミュニティ  自治型    地域福祉計画
3 医療機関    旧型     消防団
4 コミュニティ  新型     青年団
5 厚生労働省   自治型    社会保障審議会

<福祉NPO>
問題21 次の文章の空欄A、B、Cに該当する語句の組み合わせとして、適切なものを一つ選びなさい。
NPOとは、正式に組織化された( A )組織であり,事業によって得た利益を本来事業に投資するという意味での(  B  )を有し,自らの組織を統治するための組織(理事会等)をもつ,(  C  )に成立した組織として理解できる。
   A     B      C
1 公的な   営利目的   自発的
2 公共の   中立性    強制的
3 民間の   中立性    日本的
4 民間の   非営利性   自発的
5 政治的な  思想性    劇的

問題22 非営利の民間組織に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせを選びなさい。
A 非営利の民間組織の活動・事業内容をみると,社会福祉を主たる内容とする組織が最も多い。
B 特定非営利活動促進法は,保健,医療又は福祉の増進,社会教育の推進,国際協力等の法が示す目的に沿った活動を行う非営利団体を対象とする。
C 社会福祉法人等の法人格を有する組織は,所轄庁の認証を受けるまでもなく,自動的に特定非営利活動法人とみなされる。
D 特定非営利活動法人は,非営利を目的とする組織であり,収益事業を行うことはできない。
(組み合わせ)
 1AB   2AC   3BC   4BD   5 CD


===========================
<解答>

問題20 正答2
地域福祉は(A コミュニティ)を基盤とした社会福祉である。国家主導の公共事業ではなく、(B 自治型)の福祉をめざすものであり、問題解決においても専門家任せにするのではなく、公的サービスを活用しつつ地域住民自身で問題解決を図ろうとするところに特徴がある。住民の役割には、@(C 地域福祉計画)への参加、A在宅福祉サービスヘの参加、Bボランティア活動などがある。


<福祉NPO>
問題21 正答4
NPOとは、正式に組織化された(A 民間の)組織であり,事業によって得た利益を本来事業に投資するという意味での(B 非営利性)を有し,自らの組織を統治するための組織(理事会等)をもつ,(C 自発的)に成立した組織として理解できる。

問題22 正答1 
A ○ 非営利の民間組織の活動・事業内容をみると,社会福祉を主たる内容とする組織が最も多い。
B ○ 特定非営利活動促進法は,保健,医療又は福祉の増進,社会教育の推進,国際協力等の法が示す目的に沿った活動を行う非営利団体を対象とする。(17分野)
C × NPO法人と他の公益法人は並立することになるから、設問「社会福祉法人等の法人格を有する組織は,特定非営利活動法人とみなされる」は誤りである。
D × 正しくは「NPO法人の目的とする非営利活動に支障をきたさない範囲で収益事業を行うことができる」。

2009/03/30(月) 地域福祉論・練習問題&ポイント
地域福祉論 練習問題

問題20 次の記述の、空欄AとBに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

 地域福祉は(  A  )を基盤とした社会福祉である。国家主導の公共事業ではなく、 (  B  )の福祉をめざすものであり、問題解決においても専門家任せにするのではなく、公的サービスを活用しつつ地域住民自身で問題解決を図ろうとするところに特徴がある。住民の役割には、@(  C  )への参加、A在宅福祉サービスヘの参加、Bボランティア活動などがある。
   A       B       C
1 福祉施設    新世紀型   民生委員協議会
2 コミュニティ  自治型    地域福祉計画
3 医療機関    旧型     消防団
4 コミュニティ  新型     青年団
5 厚生労働省   自治型    社会保障審議会


<福祉NPO>
問題21 次の文章の空欄A、B、Cに該当する語句の組み合わせとして、適切なものを一つ選びなさい。
 
NPOとは、正式に組織化された( A )組織であり,事業によって得た利益を本来事業に投資するという意味での(  B  )を有し,自らの組織を統治するための組織(理事会等)をもつ,(  C  )に成立した組織として理解できる。
   A     B      C
1 公的な   営利目的   自発的
2 公共の   中立性    強制的
3 民間の   中立性    日本的
4 民間の   非営利性   自発的
5 政治的な  思想性    劇的


=========================
<解答>

問題20 正答2
 地域福祉は(A コミュニティ)を基盤とした社会福祉である。国家主導の公共事業ではなく、(B 自治型)の福祉をめざすものであり、問題解決においても専門家任せにするのではなく、公的サービスを活用しつつ地域住民自身で問題解決を図ろうとするところに特徴がある。住民の役割には、@(C 地域福祉計画)への参加、A在宅福祉サービスヘの参加、Bボランティア活動などがある。

<福祉NPO>
問題21 正答4
 NPOとは、正式に組織化された(A 民間の)組織であり,事業によって得た利益を本来事業に投資するという意味での(B 非営利性)を有し,自らの組織を統治するための組織(理事会等)をもつ,(C 自発的)に成立した組織として理解できる。


<ポイント>
*NPO nonprofit organization
 利益の追求よりも社会的な使命の実現を優先して活動する民間組織(団体)のこと。日本語に直訳すると「非営利組織」となるが,意味を正確に伝えるには「民間非営利組織」とするのがよい。NPOはアメリカの文化と制度を背景とした概念で,世界的に用いられるようになったのは1980年代になってからであるが,その厳密な意味内容はそれぞれの国や地域の文化的・制度的な背景によって異なってくる。
 ジョンズ・ホプキンズ大学教授のレスター・サラモン(Salamon, L. M.)は,国際比較研究を行う視点から世界に共通する定義として,@正式に組織されていること,A民間であること,B利益配分をしないこと,C自己統治がなされていること,D自発的であること,E非宗教的であること,F非政治的であること,の7点の条件をあげている。このうち最後の2点は,研究の便宜上の条件であり,一般的な条件とはいいにくいが,今ではこれがほぼ世界的に受け入れられる定義となっている。しかし,それらの個々の条件の具体的な内容については,国や地域によって異なってくる。
 このような組織は日本にも従来から存在してきたわけであるが,特にその民間性が重要な意味をもつものとして主張され始めたのは,市民活動が活発化する1980年代になってからである。政府(第一セクター)の限界や企業(第二セクター)の限界が認識されるにつれて,民間非営利組織=NPO(第三セクター)の役割が認められるようになってきたといえる。そしてそのような主張が広く社会に認識されるようになったのが1990年代,とりわけ阪神・淡路大震災の発生した1995年以降であった。NPOということばが日本で一般に普及したのは,その後のNPO法(特定非営利活動促進法)の立法過程においてである。
 そのこともあって,NPOを最も狭義に用いる場合には特定非営利活動法人(NPO法人)のことをさす。しかし一般にはさらに広く,市民活動を行う任意団体まで含めてNPOという。さらに広義に,社団法人・財団法人・社会福祉法人・学校法人などの公益法人まで含めてNPOということもある。さらに広義に,必ずしも公益性をもたなくてもよい医療法人や協同組合までをNPOに含めることもある。
 なお,それぞれの活動分野ごとに,福祉NPO,環境NPO,まちづくりNPO,子どもNPOといったことばも,最近では用いられるようになってきた。

2009/03/29(日) 地域福祉論・練習問題
*地域福祉論 本日の練習問題
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題18 次の文章の空欄A、B、C、Dに該当する語句の組み合わせとして、適切なものを一つ選びなさい。
ソーシャルアクションとは,( A )の解決に際して,制度的不十分さや( B )の不備等のためにその解決を図ることが不可能な場合,問題を抱える当事者自身や地域住民が主体となり,制度,サービス,社会資源等の創設・改善・拡充を図ることを目的に行う組織的・社会的な活動であり,その活動を援助するために行われる社会福祉の専門技術の総体であるといえるが,今日のそれは,( C )在宅福祉サービス団体に見られるような,これまでの( D )の活動だけではとらえきれない,いわば,実践型ともいうべき新たなソーシャルアクションの活動も生まれてきている。

 (組み合わせ)
   A        B       C       D
1 貨幣的ニーズ   社会サービス  福祉公社型   地域活動型
2 社会福祉二一ズ  社会資源    住民参加型   改善要求型
3 非貨幣的ニーズ  社会サービス  福祉NPO型  慈善活動型
4 社会福祉ニーズ  公的責任    協同組合型   社会奉仕型
5 非貨幣的ニーズ  社会資源    営利目的型   相談活動型


問題19 次の記述のうち、適切なものにO、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい・

A コミュニティケアの考え方は、1970年前後に我が国に伝えられ、従来の「施設中心」から「在宅福祉」へと、我が国の社会福祉の考え方を転換させる契機となった。
B ノーマライゼーションの考え方は、1970年代には我が国に入ってきてはいたが、1981年の国際障害者年とそれに続く「国連・障害者の十年」を契機とした普及されるようになった。
C 1980年代半ばごろから我が国でよく使われるようになってきた「社会サービス」という概念は、欧米の全ての国において、保健・医療・福祉サービスを指している。
D 1980年代後半に我が国に紹介されたケアマネジメント(ケースマネージメント)の考え方は、多様に整備されてきた我が国の在宅福祉サービスを、利用者の二一ズに対応して総合的に提供する方法として注目された。
(組み合わせ)
  A   B   C   D
1 ○   ○   ×   ○
2 ×   ○   ×   ○
3 ○   ○   ○   ×
4 ○   ×   ○   ×
5 ×   ×   ×   ○

====================
<解答>

問題18 正答2
ソーシャルアクションとは,(A 社会福祉二一ズ)の解決に際して,制度的不十分さや
(B 社会資源)の不備等のためにその解決を図ることが不可能な場合,問題を抱える当事者自身や地域住民が主体となり,制度,サービス,社会資源等の創設・改善・拡充を図ることを目的に行う組織的・社会的な活動であり,その活動を援助するために行われる社会福祉の専門技術の総体であるといえるが,今日のそれは,(C 住民参加型)在宅福祉サービス団体に見られるような,これまでの(D 改善要求型)の活動だけではとらえきれない,いわば,実践型ともいうべき新たなソーシャルアクションの活動も生まれてきている。

問題19 正答1 
A ○ コミュニテイケアは、1950年代イギリスにおける精神障害者医療・福祉施策の転換を示す言葉として登場した。施設偏重から社会復帰への指向を意味するこの言葉は、その後、諸外国へと紹介された。我が国では、1960年代の高度経済成長や社会保険の整備に伴い、貧困対策から生活援助へと社会福祉の対象・内容が変化・拡大し、また、施設偏重に対する内部からの疑問や自治省の「モデルコミュニティ」事業の実施を背景とし、1960年代後半から議論・研究が行われるようになった。
B ○ ノーマライゼーションは、1950年代デンマークの行政官であったバンクーミケルセンにより提唱された。我が国では、1970年代半ば頃より主として知的障害児に対する援助分野で用いられ始め、1981年の国際障害者年でその理念を「完全参加と平等」というスローガンで用いられたこともあり、社会に徐々に流布されていった。
C × 1986(昭和61)年版の厚生白書において「社会サービス」という用語が用いられてから、頻繁に使われるようになった。厚生白書では、保健・医療・福祉をその範囲としていたが、欧米の社会サービスは対象範囲にばらつきがあるので、設問文の記述には無理がある。
D ○ ケアマネジメントは、地域に点在する社会資源を利用者の必要に応じて組み合わせ、継続しての提供が可能となるよう調整していく技術として注目された。

<本日のワンポイント>
*国際障害者年 International Year of Disabled Persons ; IYDP
 1976年12月開催の国際連合第31回総会は,1981年を国際障害者年とすることを無投票で決議した。この決議案は43カ国の共同提案で提出されたものであり,代表してリビアが説明ならびに支持要請を行った。日本は,提案国に入っていない。国際障害者年は,国際婦人年(1975年)ならびに国際児童年(1979年)に続いて設定された国際年で,特に1975年に国連総会が採択した障害者権利宣言が影響したとされている。当初の決議では,そのテーマを「完全参加」としていたが,後の決議(1979年)で「平等」が加えられ,最終的なテーマは「完全参加と平等」となった。なお,1981年の国際障害者年までに関連決議が合わせて5度行われており,これらのなかで,目的が達成されるよう加盟国と関連国際組織に具体的な手段と計画の確立を促している。

<受験支援セミナー 編集者HP>
http://homepage3.nifty.com/misekiya/

2009/03/28(土) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座17
3.関連援助技術の概要
@ネットワーク
・ネットワークとは、課題を抱えている人々の周囲の社会環境を再編成し、課題を解決するための支援体制作りを行なう。
・利用者が自らのもつ人的資源の限界から十分なネットワークが構成できない場合,ソーシャル・サポート・ネットワークが有効である。
・ソーシャルサポートネットワークとは、フォーマル及びインフォーマルなネットワークを形成して援助活動を展開していく技術である。フォーマルな支援ネットワークとは、機関、施設等であり、インフォーマルは、家族、友人等である。

Aケアマネジメント
・ケアマネジメントは、最適の社会福祉サービスを効果的かつ迅速に提供することを目的とした援助技術であり、支援ネットワークの形成が重要な課題である。
・ケアマネジメントにおける要援護者とは、長期にわたる複雑なニーズを持ち、心身にハンデイキャップがある等、必要な資源の活用に支障のある人々のことである。
・ケアマネジメントが重要視されるようになった背景には,超高齢社会へ向けたきめ細かい社会福祉サービスの必要性があった。

Bスーパービジョン
・スーパービジョンの三つの機能とは、「管理的機能」「教育的機能」「支援的機能」である。
・スーパービジョンの三つの機能のうち、支援者の自己覚知や感受性を高めることを目的とし、近年重視されているのは「支援的機能」である。    

Cカウンセリング
・カウンセリングの特徴は、社会福祉サービスを伴わない個人福祉や家族福祉が中心である

Dコンサルテーション
・ コンサルテーションは、社会福祉従事者が援助活動を行う際に、医師、建築家、弁護士等関連機関や関連領域の専門家から助言を受ける活動である。


<こちらも学習にご活用下さい。>
*ソーシャルワーク・社会福祉援助技術論、練習・模擬問題集1
(社会福祉士・精神保健福祉士 受験支援セミナー・MGU 2008 第3回実施分)
 http://docs.google.com/View?docID=dcxvhmvj_4gnnzpghj&revision=_latest

■公的扶助論(生活保護制度)web講座
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1225585731/

■社会福祉の歴史 web講座
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1226020506/


*関連するニュースのクリップ・ブックマーク
http://clip.nifty.com/users/sekiya


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2009/03/27(金) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座16
■用語解説:ソーシャルワーク統合化理論  
 ソーシャルワークが専門職として社会的な認知を得る過程で,精神分析との同一化や心理主義といった個人への焦点化が強調されたり,逆に,環境の重要性が強調され社会的改革(social reform)へのシフトがみられた時期もあった。また,短期処遇が注目され,新たなソーシャルワーク実践理論が加わった。ある意味で,ソーシャルワークの理論は社会的要請に応えつつ進化し,多様化してきたといえる。こうした発展あるいは複雑化のプロセスにおいて,人と環境,そしてその交互作用を包括的に捉えることが,本来のソーシャルワークであることが再認識され始め,統合化の動きがでてきたといえる。

 バートレット(Bartlett, H.)は,ソーシャルワークの専門職性(プロフェッション)を全体として捉え,ソーシャルワーク実践に共通する拠り所を求めて理論的な整理を行い,ソーシャルワーク実践の共通基盤(common base)としてまとめている。ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)も,実践の構成要素をクライエント・システム,ワーカー・システム,ターゲット・システム,アクション・システムとして整理し,クライエントの生活と問題を包括的に捉え,社会資源の活用を通して,計画的に働きかける手順を示しているが,それは従来のケースワークの枠を越えた統合的な理論であった。その後もソーシャルワーク理論の統合化は,一般システム理論やエコロジーの概念を枠組としながら発展している。ジャーメインとギッターマン(Gitterman, A.)のエコロジカル・パースペクティブやライフ・モデルは,ソーシャルワークの統合理論として広く受け入れられるようになっている。

 今日ではこうしたエコシステムの理論がソーシャルワーク統合化理論として不動の位置を占めているが,人と環境を一体とみなし,そのダイナミックな関係を包括的な視点で捉え,計画的に援助をしようとする姿勢はソーシャルワークの伝統的な視点をより明確,かつ具体化したものであるともいえ,ソーシャルワークの基本には一貫したものがあるといえよう。

第3節 社会福祉援助技術の構成内容
1.直接援助技術の概要
@個別援助技術 
・個別援助技術は利用者と支援者とが面接場面を構成し,利用者の立場から環境を調整し,社会福祉諸サービスの提供を通じ,利用者自身のもつ対処能力を強化し支援することで課題の解決を図る。  
・個別援助技術の過程は、インテーク、アセスメント、プランニング、介入、事後評価からなる。
・個別援助技術とは、利用者が社会生活をする上で解決しなければならない問題を明らかにし、利用者と家族の役割、援助者や援助機関の役割について検討することも含まれる。
・個別援助技術は、利用者との間に社会資源が入るため、直接、相談助言するカウンセリングとは異なるものである。

A集団援助技術
・集団援助技術とは、小集団を対象としグループ内での活動や経験を通じ、集団の持つ諸特性を活用して構成員個々の成長や発達を図るものである。
・最大の特徴は,対象となる人々の課題解決を,利用者と支援者とが参加し協働する小グループ活動場面の構成と過程の展開を通じて支援するところにある。
・集団援助技術では、ソーシャルワーク関係、メンバーの相互作用、プログラム、社会資源が援助の媒体となる。
・ソーシャルワーカーの機能とは、グループの相互作用や、プログラム活動により個々のメンバーの成長と望ましい社会的諸目標の達成に貢献することである。

2.間接援助技術
@地域援助技術 
・地域援助技術とは、地域社会で生じる地域住民の生活問題を地域社会自らが主体的・組織的・計画的に解決できるように、ソーシャルワーカーが行なう援助の過程及び技術・方法である。
・地域援助技術とは、地域の診断、組織化、福祉資源の開発、連絡調整等を行い、住民の地域福祉活動を側面から援助する事である。

A社会福祉調査法 
 調査活動によって、社会福祉、サービス・方策の実態と問題点を明らかにする。それにより利用者への問題の把握とニーズの発見、援助者への方策や援助の評価をフィードバックし、現状の改善・向上を目指す過程である。

B社会福祉運営管理 
・社会福祉運営管理とは、社会福祉サービスを、合理的かつ効率的に展開するための方法である。
・R.ティトマスはその課題としてと、政策形成とその効用、社会福祉機関・組織・施設の運営過程、利用者の権利、中央・地方政府の役割、資源の配分などを挙げている。

C社会活動法 
・社会活動法(ソーシャルアクション)とは、既存の社会福祉制度改善や新たな制度・サービスの拡充の為に、住民参加により行政や議会に働きかけ、社会福祉を推進する組織的活動である。特性として、世論の喚起・参加と協働・立法や行政的対応の促進が挙げられる。

D社会福祉計画法
 社会福祉計画法は、社会福祉を増進する為の目標設定、方法等を明らかにする技術である。
 住民の社会福祉、地域福祉を考慮した計画の立案であり、地域社会のノーマライゼーション化を目指すものである。


<学習にご活用ください>
*ソーシャルワーク・社会福祉援助技術論、練習・模擬問題集1
(社会福祉士・精神保健福祉士 受験支援セミナー・MGU 2008 第3回実施分)
 http://docs.google.com/View?docID=dcxvhmvj_4gnnzpghj&revision=_latest

2009/03/26(木) 地域福祉論・練習問題&ポイント
*地域福祉論 本日の練習問題
問題16 コミュニティ・ケアに関する次の記述の、空欄A、B、Cに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
 
 コミュニティ・ケアはイギリスにおいて(  A  )の対概念として成立した経緯を持つ。救貧法の伝統のなかで20世紀初頭,(  B  )収容から、より「家庭的な」処遇への転換が示唆されたが,とりわけ第二次大戦後になって児童福祉分野で「家庭的」な処遇が強調された。1950年代末から1960年初頭にかけて老人福祉や(  C  )衛生分野でもコミュニティ・ケアヘの気運が高まった。1990年「国民保健サービスおよびコミュニティ・ケア法」が成立し,コミュニティ・ケアはイギリスにおいて国家政策として定着した。
 (組み合わせ)
 A          B        C
1 ターミナルケア  ワークハウス   精神
2 施設ケア     ワークハウス   精神
3 在宅ケア     精神病院     社会
4 地域ケア     救護施設     労働
5 施設ケア     ナーシングホーム 社会


問題17 コミュニティケアに関する次の記述のうち、適切なものO、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 我が国におけるコミュニティケアの理念は、地域社会すなわち居宅においてできるだけ自立した生活を営むことができるように支援体制を強化することを目指して、昭和40年代に登場した。
B 我が国のコミュニティケアに影響を与えたイギリスの「シーボーム委員会報告」は、コミュニティと家族を重視した福祉サービスを行うことを目的として、地方自治体の部局の再編成を提言した。
C コミュニテイケアの理念は、いわゆる施設における入所ケアと、ホームヘルプサービス等の在宅ケアとを分け、入所ケアの縮小及び将来的な廃止と在宅ケアの強化を目指している。
D コミュニティケアの理念は、我が国では高齢者に対するホームヘルプサービス等の在宅福祉サービスの充実整備に具体化された。
(組み合わせ)
   A   B   C   D
1  ○   ○   ×   ○
2  ×   ×   ○   ○
3  ○   ×   ×   ×
4  ×   ○   ×   ○
5  ○   ○   ×   ×


=============
<解答>

問題16 正答2

問題17 正答1
A ○ 昭和40年代には高齢化率が7%に達するとともに、農村と都市の人口格差が大きくなり、家族や地域の介護機能低下が顕在化し始めた。こうした社会背景の下、当時の自治省を中心にコミュニティ形成が提唱され、コミュニティケアの実践を行う土壌が育まれていった。

B ○ 「シーボーム委員会報告」は、1968年にイギリスで公刊された。総合的に対人支援サービスを行う「社会サービス部」の新設と、コミュニティケアの形成を地方自治体の責任とし、1980年代以降の我が国の社会福祉施策に大きな影響を与えたとされている。

C × コミュニティケアの理念は、高齢や障害といった生活を営む上で支障となる事柄を有していても地域で生活ができることを基底に据え、入所施設中心であった対人サービスを居宅に拡げるものである。しかし、これは入所施設の存在を否定するものではなく、様々な状況に応じた受け皿を用意し、その一元化を目的としている。

D ○ 対人サービスを受けながらも生活者としての自然なあり方はどのようなものか、という模索を通じ、その具現化を試みるため、イギリスにおけるコミュニティケアが参考とされた。


<ポイント>
*コミュニティ・ケア
 長期のケアを要する障害者や高齢者等が,在宅でサービスを利用しながら,その人らしい地域生活を実現できるように支援するサービス,政策を示す概念である。イギリスにおいて,1957年の王立委員会報告書のなかで最初に用いられたことばである。
 1960年代後半に日本に紹介され,その後,理論的にも実践的にも深められて,地域福祉の概念形成に大きな影響を与えた。最初にこのことばが公の文書に用いられたのは,1969年の東京都社会福祉審議会答申「東京都におけるコミュニティケアの進展について」である。コミュニティ・ケアを「コミュニティにおいて在宅の対象者に対し,そのコミュニティにおける社会福祉機関・施設により,社会福祉に関心をもつ地域住民の参加を得て行われる社会福祉の方法である」とした。
 また,1971年の中央社会福祉審議会答申「コミュニティ形成と社会福祉」では,「社会福祉の対象を収容施設において保護するだけでなく地域社会すなわち居宅において保護を行い,その対象者の能力のいっそうの維持発展を図ろうとするものである」とした。当初は,病院や施設から退院(所)させ地域で生活を支援するという意味で用いられ,施設ケアと在宅ケアを対立して捉える考え方,あるいは「施設ケアも在宅ケアも」という並立的な考え方がみられた。最近は,居宅訪問サービスだけでなくグループホームやケア付き住宅などの在宅ケアを充実させながら,施設の役割を見直し,大規模収容施設ではなく小規模施設へ,また住宅化の方向が模索されている。同時に,地域社会の一員としての生活を実現するものであると捉えられる。


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2009/03/25(水) 地域福祉論・練習問題
*地域福祉論 本日の練習問題
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題5 適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 市町村地域福祉計画は、平成15年度以降,すべての市町村で策定することが義務付けられている。
B 市町村地域福祉計画は、保健・医療・福祉の総合的展開と教育,住宅,交通等の連携の強化を目指すことが求められている。
C 市町村地域福祉計画は、社会福祉法により、住民等の参画により策定され、その内容を公表することが求められている。
D 市町村地域福祉計画は、地域住民,行政,民間の社会福祉関係団体等がそれぞれの役割を確認し,協働するあり方を具体的に示すことが求められている。
(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 ○ ○ ○ ×
5 × ○ ○ ○

問題6 次の文章の空欄A、B、Cに該当する語句の組み合わせとして、適切なものを一つ選びなさい。
地域福祉の計画化は、1960年代に社会福祉協議会が(   A   )の原理を取り入れて進めていたが、1970年代には在宅福祉サービスの制度化に取り組み始め、1980年代に入って地域福祉計画の策定を始めた。しかし、行政も社会福祉計画を作成し始め、福祉関係8法改正以降は市町村に地域福祉計画の策定の努力が義務づけられたため、1993(平成5)年から、社協の策定する計画を(   B   )に改めた。この社協の計画は社協の発意により福祉サービスの提供を(  C  )の立場で独自に企画・実施するもので、行政の地域福祉計画と相互に補い合い、統合化する視点が必要である。
 (組み合わせ)
   A        B         C
1 福祉コミュニティ   新地域福祉計画  第三セクター
2 コミュニティ・ケア  地域福祉計画   福祉公社
3 コミュニテイ・オーガニゼーション  地域福祉活動計画  民間
4 コミュニティ・ケア  地域福祉活動計画  半官半民
5 コミュニティ・オーガニゼーション  地域福祉計画  行政

問題7 次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 都道府県地域福祉支援計画に盛り込むべき事項は、社会福祉を目的とする事業の従事者の確保や資質向上に関する事項が含まれる。
B 都道府県には、市町村地域福祉計画の作成を促進するため、地域福祉支援計画の策定が義務づけられている。
C 都道府県地域福祉支援計画の策定に当たっては、公聴会の開催等住民等の意見を反映させることが求められている。
D 市町村地域福祉計画に盛り込むべき事項には、地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項が含まれる。
(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ○

===========================
<解答>

問題5  正答5
A 誤り。正しくは「市町村地域福祉計画は、平成15年度以降,すべての市町村で策定の努力が義務付けられている。」
B C D 正しい。

問題6 正答3
地域福祉の計画化は、1960年代に社会福祉協議会が(Aコミュニテイ・オーガニゼーション)の原理を取り入れて進めていたが、1970年代には在宅福祉サービスの制度化に取り組み始め、1980年代に入って地域福祉計画の策定を始めた。しかし、行政も社会福祉計画を作成し始め、福祉関係8法改正以降は市町村に地域福祉計画の策定の努力が義務づけられたため、1993(平成5)年から、社協の策定する計画を(B 地域福祉活動計画)に改めた。この社協の計画は社協の発意により福祉サービスの提供を(C 民間)の立場で独自に企画・実施するもので、行政の地域福祉計画と相互に補い合い、統合化する視点が必要である。

問題7 正答2
A ○ 都道府県地域福祉支援計画に盛り込むべき事項は、社会福祉を目的とする事業の従事者の確保や資質向上に関する事項が含まれる。
B × 正しくは、「都道府県には、市町村地域福祉計画の達成に資するため、地域福祉支援計画の策定の努力が義務づけられている」
C ○ 都道府県地域福祉支援計画の策定に当たっては、公聴会の開催等住民等の意見を反映させることが求められている。
D ○ 市町村地域福祉計画に盛り込むべき事項には、地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項が含まれる。

<ポイント>
*市町村地域福祉計画
 社会福祉法107条に規定されるように,地域福祉の推進に関する事項を一体的に定めるために市町村が策定する計画のことであり,@地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項,A地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項,B地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項をその内容とする(2003年4月施行)。
 また,市町村地域福祉計画を策定し,または変更しようとするときは,あらかじめ,住民,社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに,その内容を公表するものとされている。


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2009/03/24(火) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座15
◆社会福祉援助技術としての方法レパートリー
*「三大援助技術」とは、社会福祉援助技術のうち、個別援助技術、集団援助技術、地域援助技術のことである。
 個別援助技術は対象が、個人や家族であり、集団援助技術は、小集団やそのメンバー、地域援助技術は地域住民が対象である。

*社会福祉援助技術の「三大分類」とは、直接援助技術、間接援助技術、関連援助技術である。
→ テキストP144 参照

*「直接援助技術」とは、利用者自身への直接的な、固有の方法からなる援助技術で、個別援助技術と集団援助技術から構成される。   

*「間接援助技術」とは、地域の支援体制づくりなどの方法レパートリーであり、地域援助技術、社会福祉調査法、社会福祉運営管理、社会活動法、社会福祉計画法から構成される。

*「関連援助技術」は、隣接科学を援用した方法レパートリーが含まれており、ネットワーク、ケアマネジメント、スーパービジョン、カウンセリング、コンサルテーションで構成される。

◆方法レパートリーの特性 テキストP145から
*方法レパートリーは共通した原理と方法で構成されている。
*その選択は、利用者のニーズと状況に対応して、最適な支援への方法が選択される。各方法が連携したサービス・システムを構成する。
*各方法は固有の特性をもち、また社会生活をトータルな視野から支援する共通な目的と理論のもと、支援過程の展開に役割や機能を果たす。

3 社会福祉援助技術の統合化の動向 P146
◆視野と発想の統合化
→ テキストP146中段 参照
*ソーシャルワークの統合化の過程とその到達点を理解することは、現代のソーシャルワークを理解するために必要である。
*ソーシャルワークの統合化とは、ソーシャルワークの共通基盤、とりわけその主要な三方法である個別援助技術・ケースワーク、集団援助技術・グループワーク、地域援助技術・コミュニティワークの共通基盤を明らかにして、一体化してとらえようとする一連の動向のことである。
*ソーシャルワークが専門職として成立していく過程において、主要な三方法は独自の発展、固有の理論の発達を遂げた。
 しかし、その「専門分化」を超えて、ソーシャルワーク実践を全体的にとらえ、共通基盤を明確にすることが課題であった。

*アメリカにおいて、1955年に全米ソーシャルワーカー協会結成を直接的な契機として、統合化への動きが本格的となった。
 それ以前では、1929年に出されたミルフォード会議の報告書において、初めて「ジェネリック」という概念が登場し、統合化へのさきがけとなるものであった。またイギリスでは、1968年に発表された社会福祉制度の改革を目的とする「シーボーム報告」の影響によるところが大きい。この報告書によって、あらゆるクライエントを統合的に処遇できるソーシャルワーカーの養成が必要とされた。

*北米におけるソーシャルワークの統合化は、複雑化、深刻化するクライエントの生活問題にソーシャルワーカーが対応できるのかという危機感を背景として推進されてきた側面が強い。
 その危機感とは、機関やサービスが細分化され、そこで働くソーシャルワーカーには、その分野特有の専門的知識と技能が求められるようになったことや、ソーシャルワークの各方法が発達し、専門分化するにつれてソーシャルワークとしての共通性が見いだしにくくなったという点があげられる。
*ソーシャルワークを専門職として確立させ、ソーシャルワーカーのアイデンティティを高めていくことも統合化への重要な要因となった。NASW等のソーシャルワークの専門職団体を設立するに当たって、専門職として必要な条件となるソーシャルワークの共通基盤を明示する必要に迫られたのである。
 それに関連して、ソーシャルワーカーの専門職養成課程において、ソーシャルワークの共通基盤から導き出された統一したカリキュラムの作成が求められるようになった側面も指摘できる。

◆理論・方法の統合化、その特徴
→ テキストP147、148参照
*統合化に影響を与えた理論的動向として、ソーシャルワークにシステム理論が導入されたことがあげられる。
 その影響の一つは、ケースワーク、グループワーク、コミュニティワークがそれぞれ対象とする個人、グループ、コミュニティは本来分断されたものでなく、最小のシステムである個人を内包したシステムとしてとらえられたことである。
 そしてもう一つの影響は、ソーシャルワークにおいて重視されてきた「状況の中の人」を「システム」としてとらえ、そこへの介入という視点が明確化されたことであった。

2009/03/23(月) 公的扶助論・練習問題&ポイント
*公的扶助論 本日の練習問題
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題20 生活保護に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 生業扶助の対象は,他の扶助と異なり、困窮のため最低限度の生活を維持できない者だけでなく,そのおそれのある者にまで拡大されている。
B 生活保護法による保護費は、国と地方自治体の公費負担が9割、共同募金からの拠出金が1割である。
C 生活保護費は、被保護世帯が生活するために、最低限度必要な額(最低生活費)として、1週間単位で基準額が定められている。
D 収入がない場合には、基準額(最低生活費)そのものが、保護費として支給される。収入がある場合には、最低生活費から収入を差し引いて、残りの不足分が支給される。
(組み合わせ)
1 AC   2 AD   3 AB  4 CD  5 BD


問題21 次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 生活保護法による保護の対象は、他制度の諸給付を受給していない者とされている。
B 保護の要否を判定するため、いわゆる資力調査(ミーンズ・テスト)という資産や所得の調査が行われる。
C 保護は世帯を単位としてその需要及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。
D 民法に定める扶養義務者の扶養が生活保護法による保護に優先して行われるということは,生活保護における補足性の原理の一つである。
 (組み合わせ)
  A  B  C  D
1 ○  ×  ×  ○
2 ○  ○  ×  ×
3 ×  ×  ×  ○
4 ×  ○  ○  ○
5 ○  ○  ○  ○



==========================
<解答>

問題20 正答2 AとDが正しい
B× 生活保護法による保護費は、全額公費負担である。
C× 最低限度必要な額(最低生活費)として1ヶ月単位で基準額が定められている。

問題21 正答4 Aが誤り


<ポイント>
*ミーンズ・テスト
 選別主義的給付,特に公的扶助(生活保護)において,保護の要否と程度を審査するため,申請者の収入・資産・稼働能力,扶養義務者の扶養能力を調査すること。資力調査,資産調査ともいう。
 プライバシーに立ち入った過剰な調査はスティグマを伴い,漏救の原因になるといわれ,普遍主義的給付が支持される根拠となっている。また,収入に限定した調査は,インカム・テストとよばれる。

*普遍主義/選別主義
 社会福祉サービスを利用するにあたって,受給資格を判定するための資産調査(ミーンズ・テスト)等を受けることを要件とする考え方および方法を選別主義といい,それらを受けることを要件とせず,サービスを必要とするすべての人々がそのサービスを利用できるようにするという考え方および方法を普遍主義という。
 どちらの考え方・方法にもそれぞれ長所,短所があるが,近年,選別主義よりも普遍主義が強調されるようになってきている。


*練習問題等は、関屋光泰が編集・提供しています。


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2009/03/22(日) 公的扶助論・練習問題
*公的扶助論 練習問題&ポイント
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題16 被保護者の権利と義務に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 生活保護法第56条では、一度なされた保護の決定について、相当の理由がないかぎり不利益になる変更は許されない「不利益変更の禁止」という被保護者の権利が定められている。
2 被保護者の義務として、第59条で、保護を受ける権利は一身専属権であり、第三者への譲渡は禁止されているが、同居している親族には相続が出来ると規定されている。
3 生活保護法の第57条と第58条では、公課禁止と差押禁止が明示されている。
4 被保護者に資力があるにもかかわらず、急迫した事情で保護を受けた場合は、第63条で費用を返還する義務を課している。
5 第62条で被保護者は原則として保護実施機関の指示に従う義務があり、従わない場合は被保護者に弁明の機会を与えたうえで、実施機関は保護の変更、停廃止を行うことができるとしている。


問題17 生活保護制度に関する次の記述のうち.正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合,この組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 社会福祉法によれば,福祉事務所の「指導監督を行う所員」と「現業を行う所員」は,共に実務を5年以上経た社会福祉士でなければならない。
B 各種加算制度は、個別的な特別需要に対応する。
C 勤労控除は、勤労に伴う必要経費の補填と勤労意欲の助長を目的とする。
D 期末一時扶助は、年末・年始の特別需要に対応するものとして昭和35(1960)年12月に制定された。
(組み合わせ)
   A  B  C  D
1  ×  ○  ○  ○
2  ○  ○  ×  ×
3  ○  ×  ×  ×
4  ×  ×  ○  ×
5  ○  ○  ○  ○


============================
<解答>

問題16 正答2 2が誤り
2× 譲渡禁止の規定には、例外は無い。

問題17 正答1 
A× 「指導監督を行う所員」と「現業を行う所員」は社会福祉主事でなければならない。


<ポイント>
*社会福祉主事
 社会福祉法18条・19条により規定され,福祉事務所等で社会福祉六法等にかかわる援護・育成・更生等の措置事務を職務とするために地方公務員から任用される。
 都道府県,市,および福祉事務所を設置する町村に必置とされ,福祉事務所の査察指導官としての指導・監督,更生相談所の職務などにあたる。資格要件は,@大学等で厚生労働大臣の指定する科目を修めて卒業した者,A指定養成機関または講習会の課程を修了した者,B指定社会福祉事業従事者試験に合格した者である。

*勤労控除
 生活保護で収入の認定を行うに際し,勤労に伴う必要経費として,勤労収入から一定額を控除することであり、生活保護法4条が定める「保護の補足性」の原則の例外をなしている。
 これには,勤労に要する経費を補填するとともに,受給者の勤労意欲を増進することにより経済的自立を促進し,ひいては「貧困のわな」を回避する目的がある。
 貧困のわなとは、公的扶助などの受給世帯に対して,非課税扱い,法外援護などを含む給付が行われる結果,ボーダーライン付近の低所得世帯よりも、扶助受給世帯の方が可処分所得や生活内容が上回ってしまう事態が起こりうる。その結果,大幅に収入が増えない限り,扶助を脱することがむしろ生活水準を低めてしまうので,受給世帯のままでとどまろうとする誘因が働き,いつまでも貧困状態を抜け出せず,「わな」にはまり続けてしまうという主張である。日本の勤労控除制度はそれへの対策の一種である。


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2009/03/21(土) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座14
3.社会福祉援助技術としての支援概念 P138
◆方法としての支援概念 テキストP138から
・共同援助概念は、社会福祉援助技術の原理を構成する支援概念と呼ぶべきものである。
・共同援助概念は、公共援助と自己援助の機能発揮のため環境の構成と調整、つまり公的なサービスの活用、コミュニティや住民の参加の促進、支援ネットワークの構成などを行ない、支援活動を展開する。

・支援とは、利用者からみれば自助の促進であり、支援者からみれば問題解決を可能とするため、サービス提供と、利用者の主体性尊重と自己実現を目指した実践活動に協働で参加することである。
・社会福祉の援助とは、方法としての支援概念の展開過程を通じて実効を期待できる。ハード福祉である施策としての援助概念から、ソフト福祉の展開方法としての支援概念へ、利用者の自己実現に参画する方法と技術が、支援概念を構成する。

◆支援概念の特徴 テキストP138から
@ 共生を目的、
A 共助の関係と参加、
B 自己実現への協働を方法とする、
C 協働の過程からの実効を重視、
D 参加と協働への責任を担う、
E 形態は互助・相互協力を原型とする
・社会福祉援助技術は、これらの支援概念を中心に人間の社会生活の支援を目標とした科学としての方法をもつ。

◆社会福祉援助技術の基本的発想 P139から
*社会福祉援助技術の実践とは、支援過程の科学的展開である。展開方法に固有な支援概念を基本とした発想が指摘できる。それは、
@ 利用者の価値実現が目的、
A 利用者の主体性支援が特性、
B 利用者中心の視野、
C ニーズの自己認識から社会生活の向上が焦点、
D 利用者の参加と協働という方法、
E 自助努力が基点の問題解決、
F ネットワークづくりと支援環境の構成と調整、
G 支援原理に基づいた展開の過程
*つまり、社会福祉援助技術の基本的発想では、価値や主体性を尊重する利用者の視点を中心にした発想が原点である。
 また、社会福祉援助技術の実践とは、支援原理に基づく過程の専門的で科学的な方法の展開なのである。


第2節 社会福祉援助技術の体系 P140〜
1.社会福祉援助活動と社会福祉援助技術 
◆社会福祉援助活動
→ テキストP140参照
*社会福祉援助活動とは、施策としての社会福祉の目的を実現するために、利用者と社会的環境へ働きかける実践である。
 直接的に社会福祉サービスの提供など支援を行ない、同時に間接的に社会環境を調整・整備する、専門的・科学的な活動を意味する。
 ニーズに応える、問題解決・改善、地域生活環境づくりといった価値を実現する活動であり、利用者との協働の過程を重要視する。

◆社会福祉援助技術 
→ テキストP141参照
*社会福祉援助技術は、社会福祉援助活動を方法として専門的行為を具体化した概念であり、価値と知識、専門性と科学性に支えられた利用者支援への行動力、方法を展開する能力である。
 利用者の自己実現などの支援過程を展開する方法であり、利用者の理解、問題解決のための協働など、支援の姿勢や態度、行為・行動の過程そのものである。社会福祉援助活動の推進方法である。

◆社会福祉援助技術の特性分類 P141から
−J.ハインズの3分類− 
1)援助関係展開技術
 @対人関係を構成する技術(個人、集団等)、
A援助関係過程の展開技術(導入から終結)

2)問題解決対応技術
 B援助関係から面接場面展開の技術(観察、傾聴等)、
C問題解決への対応技術(無関心、価値の葛藤等)
D問題への対応技術(範囲、期間等)

3)運営管理技術
 E業務の運営技術(チームワーク、連携等)、
Fマネジメント技術(業務、他職員、自己等)、
Gアドミニストレーション技術(記録、報告、守秘等)

2 社会福祉援助技術の仕組みと体系 P143
◆社会福祉援助技術の統合
→ P143表「社会福祉援助技術の体系」参照
*社会福祉援助技術は、利用者の生活を総合的に支援するところに特徴がある。だからこそ体系化されていなければならない。

*社会福祉援助技術は多様な方法のレパートリーをもっているが、全体の構成は、個々の援助技術の方法を集約した総和ではなく、包括・統合的な共通原理と方法で構成された体系をもっている。

*個々の方法・分野は特殊分化して発達してきたが、原点に戻って新しい視野・発想・方法のもとに再生しようとする動向が統合化である。
 また統合化とは、ニーズと状況に最適な対応を求める現実が生み出した新しい視野と発想に基づく社会福祉援助技術の方法である。


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2009/03/20(金) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座13
第4章 社会福祉援助技術の体系
第1節 社会福祉援助技術の共通概念
1.社会福祉援助技術の前提 P132から
◆社会福祉援助技術の成り立ち
*価値
・「価値」とは社会福祉援助技術を支える哲学や思想からなる。
 それは、他者を援助し支える価値意識であり、また援助専門職としての行動を動機づけ、態度や姿勢に反映される価値観である。

*知識
・「知識」とは、人間と環境を科学的に考察し、人間とその現実を解明する学際的な知識である。
 社会生活を支えるために社会福祉援助技術を活用する科学的知識の必要性である。

*方策
・「方策」とは、社会福祉制度である。社会福祉に関する公私にわたるものが必要とされる。

*方法
 上記を前提とした利用者支援の専門的な方法である。
「方法」としての社会福祉援助技術は、価値・知識・方策を大前提にして,利用者の生活支援のために、学際化された支援科学を駆使し,専門職制度と社会福祉実践機関のもとに支援過程として展開される。

◆技術の意味
*一般的な「技術」の意味とは、特殊な能力、経験や訓練を通じて磨かれた力量などである。

◆社会福祉援助技術の意義 
→テキストP134 参照
*社会福祉援助技術は、慣れ、経験、勘、センス等のみではなく、人間と社会生活への価値実現を目指した、専門的・科学的な方法や理論に基づいている。
 また社会福祉援助技術は単なる「手段」ではなく、技術自体に価値と目標を付与され、実現のための固有の方法をもつ。
 つまり社会福祉援助技術とは、社会福祉という価値を実現するための方法である。
*実践に必要な社会福祉援助技術とは、社会生活への回復、より豊かな生活への接近、潜在している最善の可能性を引き出す、真実な人生の発見などを実現するための支援の展開過程である。
*また、社会福祉援助技術では、利用者の遭遇している現実生活の特殊性を第三者として解釈し評価することではなく、あるがままとして理解し把握することが必要とされる。

2.社会福祉援助技術と援助概念 P134から
◆社会福祉援助技術の援助概念
→ テキストP136中段 参照
*援助とは、他者への善意ある働きかけを意味する能動的概念である。
*援助概念は、慈善事業の時代からの援助者の意図や視点を中心とした援助者本位のもの(救済・保護・指導など)から、近代社会福祉における相手を中心とした参加と協働という利用者本位のもの(支援・支持・育成など)へと進展した。
*社会福祉援助技術は、ニーズに応える援助、相手(利用者)を中心にした姿勢と関わりの方法である専門的援助関係が重要である。

◆援助概念の整理−公共・共同・自己−P136〜
*「公共援助概念」は、日本国憲法(第25条)に基づき、国家・社会の責任・義務として援助施策を推進・施行する概念である。
*「共同援助概念」は、人間のもつ自己援助能力への働きかけの過程であり、家族やコミュニティへの働きかけを含む。人々との協力によって社会福祉の達成、維持、向上を目指す。また、利用者を中心に援助の目的や方法が実践の論理として分類されており、これからの福祉社会の論理である。  
*「自己援助概念」とは、援助効果の大前提をなす利用者の論理である。自己の学習経験の蓄積や成長、状況の変化、能力の回復などによって、主観的・客観的に確立した自己が果たす役割である。

・戦後、国民の権利として社会福祉が明言され、社会福祉援助技術も国家社会による「公共援助」であり、もっぱら公共がその責任において実施する施策と理解された。また「共同・自己援助」は補足的なものとされ、住民参加やコミュニティの共同を促す世論形成を欠く一因となった。

・超高齢・少子社会の顕在化は、公共・公助、共同・共助、自己・自助の全て、つまり国家と地方自治体、地域社会、近隣や職場、家族の参加のうえに社会福祉援助技術が構築されなければならない時代に到達した。

・社会福祉援助技術の基本は、公共援助の施策を中心とするが、援助の意味や質からなる価値(自己実現など)を最重要視したものでなければならない。
・利用者の自己実現などを育成する姿勢としての自己援助概念が鍵を握る。

・社会福祉援助技術としての援助概念とは、公的責任と利用者主体の論理を前提とした、福祉社会に生きる人間の共生・参加・協働の生活論になる必要がある。共同援助概念は、ソーシャルワーカーの姿勢と態度の根幹、実践の中心論理である。
→ テキストP137 下段 参照

2009/03/19(木) 公的扶助論・練習問題&ポイント
*公的扶助論 本日の練習問題
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題12 生活保護に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 生活保護は申請にもとづいて開始される。この為、要保護者が急迫した場合にも本人の申請なく保護を開始することは不可能である。
2 保護の基準は、国会での審議を経て厚生労働省が決定する。
3 生活保護法第9条は、"保護は、要保護者の年齢別、健康状態などその個人または世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする"との内容を定めている。
4 生活保護法第10条は、「保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする」と世帯単位の原則を規定し、これによりがたい場合も例外を認めていない。
5 生活扶助は、世帯単位の費用である第1類の経費と、個人単位の費用である第2類の経費、各種加算、及び一時扶助と勤労控除、特別給付を中心に構成されている。

問題13 生活保護制度に関する次の記述のうち、正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 急迫した事情がある場合でも,被保護者は生活保護法の指定を受けない医療機関において医療の給付を受けることはできない。
B 介護保険法に規定されている要介護認定又は要支援認定を受けた被保護者は.介護扶助の受給者となる。
C 出産扶助の給付方法は,金銭給付によることが原則である。
D 葬祭扶助の給付方法は.現物給付によることが原則である。
(組み合わせ)
1AB   2AC   3AD   4BC   5BD

=======================
<解答>

問題12 正答3   3が正しい
1× 要保護者が急迫した場合、職権保護は可能である。
2× 保護の基準は、厚生労働大臣が決定する。
4× 世帯単位の原則によりがたい場合、例外としての世帯分離がある。
5× 個人単位の費用である第1類の経費と、世帯単位の費用である第2類の経費

問題13 正答4 BとCが正しい
A× 急迫した場合、指定を受けない医療機関でも医療の給付を受けることができる。
D× 葬祭扶助の給付方法は.金銭給付による。


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2009/03/18(水) 公的扶助論・練習問題&ポイント
*公的扶助論 本日の練習問題
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。
問題8 生活保護法の原理・原則に関する次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 生活保護法第2条でいう無差別平等の原理とは,すべての被保護者に対して同一内容,同一給付の保護をすべきという趣旨である。
B 法第4条でいう保護の補足性の原理とは,労働能力を有する生活困窮者は生活保護を申請する資格が制限されるという趣旨である。
C 法では国民に保護請求権を付与したため,申請保護の原則が法第7条に規定されたものの,職権保護も但し書として規定されている。
D 法の適用は個人単位で行い,これによりがたいときは世帯単位で行う。
 (組み合わせ)
  A  B  C  D
1 ○  ×  ×  ○
2 ○  ○  ×  ○
3 ○  ×  ○  ○
4 ×  ×  ○  ×
5 ○  ○  ○  ×

問題9 生活保護制度に関する次の記述のうち、正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 生活扶助の第1類費(個人単位の経費)は、性別・世帯人員別に分れている。
B 保護基準の中には、級地制度を採用しているものがある。
C 幼稚園教育費は,教育扶助の対象になる。
D 居住する家屋が破損した場合は,必要な一定額以内の家屋補修費が住宅扶助から支給される。
(組み合わせ)
1AB   2AC   3AD   4BC   5BD

===========================
<解答>

問題8 正答4   Cが正しい
A× 生活保護を申請する権利、受給する権利における無差別平等。 
B× 補足性の原理には能力の活用があるが,労働能力を有するから申請する資格が制限されるということではない。
D× 法の適用は世帯単位で行い,これによりがたいときは個人単位で行う。

問題9 正答5   BとDが正しい
A× 生活扶助の第1類費は、年齢別・地域別に分れている。
C× 教育扶助の対象は義務教育のみ。幼稚園教育費は対称にならない。

<本日のポイント>
*申請保護の原則
 生活保護法7条に規定する保護の原則の一つ。条文の趣旨は,第一に,保護は申請に基づいて開始する,第二に,申請権者の範囲を要保護者本人,その扶養義務者またはその同居の親族とする,第三に,急迫している場合は申請がなくても保護できる(いわば職権保護)としている。この原則は保護請求権の「発動形式」としての意義を有し,不服申立て制度にとって必要不可欠の原則である。

*職権保護
 生活保護において,保護の実施機関(福祉事務所長)が職権で行う保護。生活保護法は保護請求権を保障し,その行使は要保護者の申請によることを実施上の原則とする(7条)。しかし要保護者が申請できない状況にあり,放置すると重大な事態を招くときは,職権で保護を決定する急迫保護を認めている(7条但書)。
 これは職権主義が申請保護原則を補完し,実質的に要保護者の権利保障を実現するという法意であるから,必要即応の原則に照らし適切・妥当な運用が求められる。

*教育扶助 educational assistance
 生活保護の八つの扶助の一つ。教育費を負担すると最低限度の生活を維持できない者に,@学用品,A通学用品,B学校給食等の費用の不足分を,原則として金銭給付する。ただし,教育扶助は、義務教育段階が対象である。

*練習問題等は、関屋光泰が編集・提供しています。

<こちらも学習にご活用下さい。>
■公的扶助論(生活保護制度)web講座
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1225585731/
■社会福祉の歴史 web講座
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1226020506/

<受験支援セミナー 編集者HP>
http://homepage3.nifty.com/misekiya/

2009/03/17(火) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座12
C実践現場における倫理責任 テキストP65
・ソーシャルワーカーは、実践現場において、最良の業務を遂行するために、自らの専門的知識・技術を惜しみなく発揮する。
・ソーシャルワーカーは、相互の専門性を尊重し、他の専門職等と連携・協働する。
・ソーシャルワーカーは、同僚や他の専門職業家の貢献や業績を尊重し、自己や同僚のサービスの効果、効率について常に検討し、援助方法の改善向上に心がけなければならない。
また同僚や他の専門職業家との間に職務遂行の方法に差異があることを容認するとともに、もし相互批判の必要がある場合は、適切、妥当な方法、手段によらなければならない。
・ソーシャルワーカーは、実践現場との間で倫理上のジレンマが生じるような場合、実践現場が本綱領の原則を尊重し、その基本精神を遵守するよう働きかける。
・ソーシャルワーカーは、常に業務を点検し評価を行い、業務改善を推進する。

用語解説:福祉オンブズパーソン・オンブズマン
 保健福祉サービスを利用される全ての方が、千代田区やサービス提供事業者に対して不満や苦情が生じたとき、保健福祉オンブズパーソンに申し立てをして、救済を受けることができる制度です。
保健福祉オンブズパーソンは、利用者の苦情申立てをみずから受け付け、行政内部の判断ではなく、公正・中立な立場で調査をし、必要と判断したときには、意見表明やサービスの是正を勧告することができます。(千代田区HPより抜粋。千代田区は弁護士、社会福祉研究者、社会福祉士の計3名で構成)
オンブズマンは、スウェーデン語では ombudsmanと表記し、その意味は「仲介者、仲裁者」で、いずれの党派にも加担しないで、冷静な判定者の役割を果たす人や委員会のことをいう。オンブズマン委員会は、複数の人たちからなる中立の監視、査定委員会で、それぞれ対応した役割を果たす。新聞社の報道倫理であるとか、消費者の目から見た食品管理であるとかといったもの、それぞれについてオンブズマン委員会が組織されたり、市民レベルで自主的にはじめる場合、市民オンブズマンと名乗ったりする。
オンブズマンとは、スウェーデンから生まれたもので、現地では既に200年以上の伝統と組織作りがなされている。その発祥は、国王が周囲の諌めも聞かずに他国との戦争に望み、敗戦の挙句、自らも戦死した場合、王の宮廷道化師が休戦を取りまとめ軍を率いて帰国するという権限が与えられていたという。こういう軽度、階級の序列に加わらない人が、万一選択肢に迷うような事態に陥った時、その仲裁、査定を行うものとして制度化されてきたものが、これだという。1970年代、こうした組織の発想が世界に広まった。一般に、スウェーデン語の表記が用いられている。Ombudsmannという表記も流通している。

D社会に対する倫理責任−社会に対する働きかけ− テキストP65中段
・ソーシャルワーカーは、人々をあらゆる差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などから守り、包含的な社会(ソーシャル・インクルージョン)を目指すよう努める。
・ソーシャルワーカーは、社会に見られる不正義の改善と利用者の問題解決のため、利用者や他の専門職等と連帯し、効果的な方法により社会に働きかける。
・ソーシャルワーカーは、人権と社会正義に関する国際的問題を解決するため、全世界のソーシャルワーカーと連帯し、国際社会に働きかける。

◎ソーシャル・インクルージョンは、2000年12月,厚生省社会・援護局による「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」の報告書において,新たな福祉課題への対応の理念として位置づけられた。社会福祉制度の網の目からもれ,社会的排除・摩擦や社会的孤立という状況にある人々を,社会的つながりを構築することによって社会の構成員として包み支えあうこと,という意味で使われる。社会で暮らす人々を孤立や孤独、排除から援護し、社会の一員として包み支えあうという理念である。今後,社会の構成員としての権利と義務とは何かを問うこととともに,それを具現化するために,「つながり」に内在する利害関係や権力関係を明らかにしたうえで連帯や協働を考えることが課題となる。

E専門職としての倫理責任 テキストP66中段
・専門職業上の知識や技術が、非人間的な目的に利用されないよう自戒する必要がある。
・ソーシャルワーカーは、利用者・他の専門職・市民に専門職としての実践を伝え社会的信用を高める。
・ソーシャルワーカーは、その立場を利用した信用失墜行為を行わない。
・ソーシャルワーカーは、他のソーシャルワーカーが専門職業の社会的信用を損なうような場合、本人にその事実を知らせ、必要な対応を促す。
・ソーシャルワーカーは、不当な批判を受けることがあれば、専門職として連帯し、その立場を擁護する。
・ソーシャルワーカーは、最良の実践を行うために、スーパービジョン、教育・研修に参加し、援助方法の改善と専門性の向上を図る。
・ソーシャルワーカーは教育・訓練・管理に携わる場合、相手の人権を尊重し、専門職としてのよりよい成長を促す。
・ソーシャルワーカーは、すべての調査・研究過程で利用者の人権を尊重し、倫理性を確保する。
■スーパービジョン
 社会福祉サービス機関では,新人や中堅専門職の技術の向上,労働環境の向上,管理・運営,効果的な実践,機関内の人間関係機能の向上などをめざして監督・指導が行われる。これをスーパービジョンとよぶ。スーパービジョンには,@教育,A管理・運営,および,B表現と支持によりリーダーシップを育てる機能が含まれる。これらの機能を実施する人をスーパーバイザー(supervisor),スーパービジョンを受ける側をスーパーバイジー(supervisee)とよぶ。スーパービジョンはその目的,機能に応じて,機関内または機関外の経験保持者がその任にあたる。

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2009/03/16(月) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座11
B倫理基準 テキストP62下段から
*利用者の利益の最優先
・ソーシャルワーカーは、業務の遂行に際して、利用者の利益を最優先に考える。
・ソーシャルワーカーは、利用者との専門的援助関係を最も大切にし、それを自己の利益のために利用しない。

*受 容
・ソーシャルワーカーは、自らの先入観や偏見を排し、利用者をあるがままに受容する。

*説明責任
・ソーシャルワーカーは、利用者に必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現を用いて提供し、利用者の意思を確認する。
・ソーシャルワーカーは、利用者から記録の開示の要求があった場合、本人に記録を開示する。
■インフォームド・コンセント
・「説明と同意」と訳され,医療において治療や検査は当事者である患者がそのことについて情報を与えられ,同意をしてはじめて行いうるという原則のこと。伝えられるべき医学的情報として,検査や治療についての目的や内容,それにより予想される結果,それに伴う危険性,副作用,成功・失敗の確率,代替的な方法,検査や治療を受けないことによる予測される結果等が含まれる。自己の医学的情報についての真実を知る権利と,治療を拒否する権利すなわち自己決定権がインフォームド・コンセントの最も重要な点である。近年では,社会福祉サービスの提供についてもインフォームド・コンセントの原則の必要性が叫ばれている。

*利用者の自己決定の尊重と権利擁護
・ソーシャルワーカーは、利用者の自己決定を尊重し、利用者がその権利を十分に理解し、活用していけるように援助する。
・ソーシャルワーカーは、判断能力(=物事を正しく認識し、評価する能力)、意思決定能力の不十分な利用者に対して、常に最善の方法を用いて利益と権利を擁護する。
・クライエントの自己実現の権利は、他人の権利を侵害しない限度まで認められる。
◎自己決定とは、クライエントの人格を尊重し,自分の問題について自分で判断し,決定する自由があるという理念に基づいた援助関係の原則。自己決定によって,クライエントは自らの可能性と強さを発揮できると同時に結果責任を負うが,このことによってクライエントの自立支援が方向づけられる。現在では,福祉サービスの利用者が自己の主体的な意思と判断によって,行動を選択し決定すべきであるという,サービス提供の基本原則としても示される。

*利用者のプライバシーの尊重、秘密の保持
・ソーシャルワーカーは、利用者のプライバシーを最大限に尊重し、関係者から情報を得る場合、その利用者から同意を得る。
・ソーシャルワーカーは、利用者や関係者から情報を得る場合、業務上必要な範囲にとどめ、その秘密を保持する。秘密の保持は、業務を退いた後も同様とする。
・ソーシャルワーカーは、利用者の援助のために利用者に関する情報を関係機関・関係職員と共有する場合、その秘密を保持するよう最善の方策を用いる。
・クライエントに関する情報を第三者に提供できる場合とは、クライエントや公共の利益のために必要な場合であり、本人と識別できる方法を避け、できれば本人の承認を得なければならない。
◎「守秘義務」とは、特定の業務には,職務上知りえた情報・秘密を他者に提供することを禁じる規定が法律上明記されている。社会福祉関係法では,児童福祉法(障害児相談支援事業従事者,児童家庭支援センター職員,保育士等)など,個別対象法に守秘義務規定があるほか,社会福祉士及び介護福祉士法にも,「業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない」(46条)とされている。また,精神保健福祉士法にも同様の規定がある(40条)。
 本来,社会福祉など対人援助職に利用者の秘密保持が求められるのは,利用者の基本的人権を守る専門職としての倫理上の問題に加え,利用者との信頼関係が援助の基本となるからである。したがって,何が秘密に該当するのかという判断は従事者側の一方的な価値判断によるものではないこと,たんに秘密を守るのみでなく利用者の名誉やプライバシーを尊重する必要があること,研究発表や事例検討に際しても利用者を特定できる情報の公表を考慮すること等を,社会福祉従事者は留意する必要がある。

*権利侵害の防止
・ソーシャルワーカーは、利用者を擁護し、あらゆる権利侵害の発生を防止する。
・ソーシャルワーカーは、利用者に対して、性別、性的指向等の違いから派生する差別やセクシュアル・ハラスメント、虐待をしない。
これら差異あるクライエントに対しても、同等の熱意を持ってサービスや援助を提供しなければならない。
■スティグマ stigma
 もとはギリシャ語で,忌避や排除の対象者としての奴隷や犯罪者の身体に刻み込まれた烙印を意味した。社会学者のゴッフマンは,この概念を障害や人種といった「好ましくない」とされる社会的アイデンティティ全般に拡張し,スティグマを有する者のたんなる身体的属性ではなく,スティグマを付与する者と付与される者との関係性に注目して,両者の対面的な相互行為についての詳細な分析を行った。


<こちらも学習にご活用下さい。>
■公的扶助論(生活保護制度)web講座
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2009/03/14(土) 公的扶助論・練習問題&ポイント
*公的扶助論 本日の練習問題
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題10 生活保護の原則についての次の記述の空欄AとBとCに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
生活保護法第7条に定められている原則とは、保護は( A )にもとづいて開始すべきこと、但し書きとして急迫した場合に(  B  )が補完的に可能であることがその趣旨である。また、保護の開始については、実施機関は保護申諸のあった日から原則として(  C  )に保護の要否等について通知すべきことが規定されている。
 (組み合わせ)
  A       B      C
1 通報     一時貸付   3日以内
2 通報     応急保護   5日以内
3 申請     職権保護   14日以内
4 申請     一時保護   60日以内
5 救急搬送   緊急保護   90日以内

問題11 教育扶助と住宅扶助に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 都道府県知事認可の専門学校の就学に必要な費用は、教育扶助の対象になる。
B 教育扶助は教材などのほか、給食費,通学のための交通費なども対象になっている。
C 教育扶助は原則として金銭給付であるが,学校給食費は学校長に対して交付することもできる。
D 住宅扶助は借家やアパートなどの家賃のほか、分譲住宅のローンも対象になる。
(組み合わせ)
1AB   2AC   3AD   4BC   5BD

=========================
<解答>

問題10 正答3 A申請、B職権保護、C14日以内

問題11 正答4
A× 専門学校は、教育扶助の対象にならない。
D× 住宅扶助は、分譲住宅のローンは対象にならない。

<本日のポイント>
*住宅扶助 housing assistance
 生活保護の八つの扶助の一つ。住居費を負担すると衣食の面で最低限度の生活を維持できない者に,@家賃・地代,A家屋補修等(新築は不可)に必要な費用の不足分を,地域別の基準の範囲で,原則として金銭給付する。宿所提供施設の利用・委託のかたちで現物給付することも認められる。近年では,被保護人員の4分の3程度が受給している。

*金銭給付 cash benefit
 社会保障制度の給付形態としては,金銭給付(現金給付)と現物給付がある。金銭給付の形態とは,社会保障の給付が金銭のかたちで行われるものである。年金,雇用保険,生活保護,児童手当などは主に金銭のかたちで給付が行われる。金銭給付は,受給者がその使途を自由に決めることができるという点で優れているが,制度の本来意図した目的に必ずしも金銭が消費されないなどの欠点がある。

*現物給付 benefit in kind
 現物給付の形態とは,社会保障の給付が現物・サービスのかたちで行われるものである。医療保険,介護保険,福祉サービスなどは主に現物・サービスのかたちで給付が行われる。現物給付は,制度の本来意図した目的に現物・サービスが必ず使われるという長所がある一方,提供者側の意向が優先されたり,必ずしも受給者のニーズに合った給付がされず,受給者の福祉改善につながらない場合もあるという欠点がある。


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2009/03/13(金) 公的扶助論・練習問題&ポイント
*公的扶助論 本日の練習問題
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題6 生活保護に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1 勤労控除制度は、必要経費の補填と勤労意欲の助長を目的とする。
2 各種加算制度は、個別的な特別需要に対応する。
3 生活扶助の第1類費(個人単位の経費)は、性別と年齢別に分れている。
4 保護基準の中には、級地制度を採用しているものがある。
5 期末一時扶助は、年末における特別需要に対応する。

問題7 生活保護法と公的扶助の基本的性格に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 「資産の活用」とは、保護を受けるためには資産を最低生活の維持のために活用しなければならないという趣旨であり、保護申請時に全ての資産の売却が例外なく求められる。
B 生活に困窮する国民の最低生活保障を国がその恩恵・慈善において行う原理が生活保護法に規定されている。
C 公的扶助の財源は国や地方自治体の一般歳入によってまかなわれ、本人等の拠出はなく全額公費負担によって給付が行われる。
D 生活保護法は、日本国憲法第9条に規定する生存権保障の理念を具現するための制度である。
(組み合わせ)
1AB    2AC    3AD   4BC    5CD

=========================
<解答>

問題6 正答3   3が誤り
3× 生活扶助の第1類費は、年齢別と地域別に分れている。

問題7 正答5   CとDが正しい
A× 「資産の活用」とは、全ての資産保有の否定ではない。
B× 生活に困窮する国民の最低生活保障は国がその責任において行う。

*本日のポイント
 生活保護の原則
 生活保護法では7条から10条までを「保護の原則」としており,主に生活保護を具体的に実施していく場合の行政行為の指針を示している。
 当然ながらこの原則は,1条から4条に掲げる保護の原理(理念)の下位体系であり,生活保護の理念を具体化する条文としても把握する必要がある。
 7条は「申請保護の原則」であり,保護は要保護者の申請に基づいて開始されるべきことを趣旨としている。これは生活保護法が国民の保護請求権を認めたうえで,その権利を行使する主体(要保護者)の意思表示を明確にさせる意義を有する。
 8条は「基準及び程度の原則」で,健康で文化的な生活(3条)を保障すべき保護基準の決定権限を厚生労働大臣に託していることなどを規定している。
 9条は「必要即応の原則」で,2条で宣言した無差別平等の理念が,国民生活の個別性や多様性を無視した機械的取扱いにつながらないよう戒める条文である。
 10条の「世帯単位の原則」は,生活の消費単位を世帯と認めて保護の要否や程度を決定することを原則とし,個人単位を補完的に位置づけている。

*世帯分離
 世帯単位原則の例外的措置で,同一の世帯にいる世帯員を一定の要件を満たす場合に世帯から切り離して取り扱うことをいう。生活保護法10条の但し書きは,保護の実施機関が裁量により世帯分離を行う権限を認めている。世帯分離が認められるのは,入院,就学,保護の要件を欠く場合などで,「生活保護法による保護の実施要領について」(厚生省通知,昭和38年社発246号)に要件が細かく規定されている。
 世帯分離の要件は,1960年代以降の度重なる改正を通して少しずつ緩和されてきている。

*生活保護の級地
 「生活保護法による保護の基準」(厚生省告示)は,主として都市化の進展に応じて消費生活の内容が実態として異なる状況を反映して,級地ごとに基準額を定めている。1987年以降,それまでの3級地制に,それぞれ2区分の枝級地を設け,実質6級地制となっている。大都市圏は1級地−1となり,最も高い基準額が計上されている。なお,こうした生計費の違いに着目した級地の設定は,生活保護法8条2項の「基準及び程度の原則」を根拠としている。級地の指定単位は市町村である。


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2009/03/11(水) ソーシャルワーク論(援助技術論)練習問題3
ソーシャルワーク論(社会福祉援助技術論)練習問題 3
<社会福祉士、精神保健福祉士 受験対策 練習問題>

*正しいものは○、誤っているものは×で答えなさい

問題1 社会福祉援助技術の基本的発想のひとつとして、利用者の価値実現を目的としていることが挙げられる。

問題2 社会福祉援助技術の基本的発想のひとつとして、援助者(専門職)中心という視野をもっていることが挙げられる。

問題3 現代における社会福祉援助技術の基本的発想のひとつとして、利用者の指導と保護・収容という方法をもっていることが挙げられる。

問題4  社会福祉援助技術の基本的発想のひとつとして、支援原理に基づく科学的方法であること、援助者の専門的知識の必要性が挙げられる。

問題5 社会福祉援助技術のうち、直接援助技術、間接援助技術、関連援助技術をまとめて「三大援助技術」と呼ぶ。

問題6 方法としての社会福祉援助技術は、価値・知識・方策を大前提にして,利用者の生活支援のために、学際化された支援科学を駆使し,専門職制度と社会福祉実践機関のもとに支援過程として展開される。

問題7 「間接援助技術」は利用者自身への直接的な、固有の方法からなる援助技術で、個別援助技術と集団援助技術から構成される。   

問題8 「間接援助技術」には、ケアマネジメントやスーパービジョン、カウンセリングなど、隣接科学を援用した方法レパートリーが含まれる。    

問題9 個別援助技術は利用者と支援者とが面接場面を構成し,援助者(専門職)の立場から環境を調整し,社会福祉諸サービスの提供を通じ,利用者自身のもつ対処能力を強化し支援することで課題の解決を図る。  

問題10 集団援助技術は地域援助技術とともに間接援助技術として分類される。

問題11 「社会福祉運営管理」の最大の特徴は,対象となる人々の課題解決を,利用者と支援者とが参加し協働する小グループ活動場面の構成と過程の展開を通じて支援するところにある。 

問題12 社会福祉計画法の特性として、世論の喚起・参加と協働・立法や行政的対応の促進が挙げられる。

問題13 「社会活動法」は社会の基本的な構造変革を目指す政治運動である。

問題14 「ケアマネジメント」が重要視されるようになった背景には,精神医学ソーシャルワークの発展がある

問題15 「カウンセリング」とは社会福祉従事者が個別的に医師や弁護士などの関連機関や関連領域の専門家よりアドバイスなどを受ける活動をいう。



============================
<解答>

問題1 ○ 正しい

問題2 × 誤り。利用者中心という視野をもっていること

問題3 × 誤り。参加と協働という方法

問題4 ○ 正しい。

問題5 × 誤り。これらは三大分類である。

問題6 ○ 正しい。

問題7 × 誤り。正しくは「直接援助技術とは・・・」

問題8 × 誤り。正しくは「関連援助技術とは・・・」

問題9 × 誤り。正しくは、利用者の立場から環境を調整し・・・

問題10 × 集団援助技術は直接援助技術であり、地域援助技術は間接援助技術である。

問題11 × これは「集団援助技術(グループワーク)」の説明である。

問題12 × 正しくは「社会活動法の特性として」、これは社会活動法の説明である。

問題13 × 正しくは「社会活動は社会福祉制度の改善、社会福祉の推進を目指す組織的活動である」

問題14 × 正しくは「背景には超高齢社会へ向けたきめ細かい社会福祉サービスの必要性」

問題15 × 正しくは「コンサルテーションとは・・・」


<ポイント>
*直接援助技術
 社会福祉援助技術は,直接援助技術,間接援助技術,関連援助技術の三つに大別される。
 直接援助技術は,援助を必要としている個人,家族または集団に対して,直接的かつ個別的に援助する固有の方法からなる。直接援助技術には,ソーシャルワークにおける伝統的な援助方法である個別援助技術(ケースワーク)と集団援助技術(グループワーク)が含まれる。個別援助技術は,援助者が何らかの問題を抱える個人や家族が自らの問題を解決できるよう援助することをさす。援助者は,個別援助を行うのに必要な知識,技法,技術を有することが求められる。集団援助技術は,何らかの問題を抱える人々の集団のダイナミックスや展開の過程を用いて,小集団とその個々のメンバーを援助する過程である。援助者には,小集団に関する知識や小集団をうまく活用する技術が求められる。
 間接援助技術には,地域援助技術,社会福祉調査法,社会福祉運営管理,社会活動法,社会計画法などが含まれる。
 関連援助技術には,ケアマネジメント,スーパービジョン,コンサルテーション,カウンセリング,ネットワークなどが含まれる。


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2009/03/10(火) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座10
◎日本においては「ソーシャルワーカーの倫理綱領」が1986年に日本ソーシャルワーカー協会が宣言した。段階的な改訂の後、2005年に最終案が取りまとめられ、国内の各専門職団体が承認し採択している。ソーシャルワーカーの,専門職として望ましい価値態度,日常行動における倫理的行動規範、義務の指針を明文化したものである。倫理綱領は行動の指針であるが、個別的・具体的場面でとるべき行動を詳細に規定した「マニュアル」ではない。その基準は,平和擁護,個人の尊厳,民主主義にあり,ソーシャルワーカーの行動が基準から逸脱しないよう,倫理上の諸問題に対し,専門職団体が定めた行動の準則である。

・専門職は、クライエントがもたない高度な知識や技術をもっていることや、クライエントの個人情報を知り得る立場にあることなどから、クライエントより有利な立場に立ちやすい。こうした立場を利用した権利侵害を自己規制することが、専門職団体の倫理綱領の存在理由の一つである。
 また倫理綱領は、福祉専門職としての行動について、クライエントに対してはもちろん、他の専門職や一般社会に対しても誓約したものである。

■用語解説:ニィリエ(ニルジェ)Nirje,B.
「ノーマライゼーション育ての父」と称される。
ニルジェは、"ノーマライゼーションとは、知的障害者等を障害のない人の生活様式や条件に可能な限り近づけることである"とし、1日・1週間・1年・人生のノーマルなリズムや、異性との生活等8つの原理を提示した。
 スウェーデンの知的障害児童・青少年・成人連盟事務局長+オンブズマンであった。

A価値と原則
*人間の平等と尊厳の尊重
 ソーシャルワーカーは、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。

◎日本国憲法14条1項は,「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない」と規定する。この条項は,一般に「法の下の平等」といわれ,人権の総則的な条文となっている。 しかし,すべての個人を均等に取り扱い,自由な活動を保障するという形式的平等(機会の均等)は,資本主義経済の展開のなかで,結果的には貧富の差を拡大し,個人間の不平等をもたらした。そこで,20世紀の福祉国家・社会国家においては,社会的・経済的に弱い立場にたつ者(例えば,労働者,女性,青少年,高齢者,障害者など)に,より強い援助・支援を与え,実質的な平等(結果の平等)を実現することが要請されるようになる。

*社会正義の実現
 ソーシャルワーカーは、差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす。
ソーシャルワーカーは、人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する。
◎人間の尊厳の原理は,世界人権宣言(1948年12月採択)では,その前文の書き出しで,「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由,正義及び平和の基礎をなすものである」として,近代社会の根底におかれる価値を「尊厳」ということばで表している。そして,この宣言の1条もまた「すべての人間は,生まれながらにして自由であり,かつ,尊厳及び権利について平等である」と規定する。
 日本国憲法もまた,このような思想を背景に制定されたものではあるが,じつは,法文上に「人間の尊厳」ということばは用いられていない。13条前段「すべて国民は,個人として尊重される」,24条2項「個人の尊厳と両性の本質的平等」という文言のなかに,人間の尊厳の原理が含まれていると考えられる。また,民法1条ノ2は,民法解釈の基準として「個人ノ尊厳」をあげており,売春防止法1条も,「人としての尊厳」を目的規定のなかに含めている。さらに2000年6月に改定された社会福祉法3条も,「個人の尊厳の保持」を基本的理念として規定している。

<参考リンク>
世界人権宣言: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E5%AE%A3%E8%A8%80

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2009/03/09(月) ソーシャルワーク・社会福祉援助技術・web講座9
3章4節 ソーシャルワークの価値と倫理
4−1 自己の価値観と向き合う
<ポイント>
 ソーシャルワーク専門職が自己とは異なった価値観を持った利用者を理解し、受容するためには"自己覚知=自己の価値観と向き合い、自己を知ること"の過程が必要不可欠である。
 また、専門職としての価値、倫理を学び、尊重することも必要である。
<解説>
 社会福祉専門職が,専門職としての自分やその価値観について,明確に認識すること=自己覚知は重要である。
 第一に,利用者の価値観と援助者の価値観は区別しなければいけないからである。異なる価値観を持った利用者を批判、排除してはならない。
 第二に,稀に利用者の誤った価値観(反社会的、自傷他害の恐れ)を問題にしなければならない時もある。この時に援助者が明確な価値基準を堅持していなければ援助ができない。
 第三に,価値の葛藤が生じたときでも、何が優先されるべきか、価値基準を明白にしていれば混乱を避けることができるからである。
こうした価値観のなかで,行動の規範とすべき一連の価値を,倫理という。社会福祉専門職の倫理は,利用者との関係で行動を規制する価値として特に重要である。

◎自己覚知とは、援助者が,他者と自分をも含めた状況(援助関係やその時々に起こっている事柄)を的確に理解し,とらわれなく対象者に相対できるように,ありのままの自己に気づき受容することをさす。それは肯定的であれ否定的であれ自らの価値観,偏見,先入観,行動や反応パターン,パーソナリティなどのより深い自覚である。自己覚知を高める方法としては,スーパービジョンなどが代表的だが,つねに援助過程を振り返り吟味することも役にたつ。

◆補足:価値観の必要性
 ソーシャルワーカーの技能と知識は、価値観の基盤のうえに成り立っていることがわかる。自由や平等を重んじないワーカーは,利用者の劣悪な状況をみたとしてもそれを問題と感じることができない。逆に,利用者の人権の実現を大切にするソーシャルワーカーは,そのためにどのような手だてが必要かを学び,技術を身につけていくことができる。

◆補足:価値と倫理の課題
・非対称性
 対人援助の専門職と利用者の問には,力の不均衡を生じる。こうした非対称性は,援助関係に必ず含まれることであるが,社会福祉専門職の場合にと特徴的なことは,知識や技能による不均衡だけでなくサービス提供をめぐる権限が非対称性を増幅することである。

・社会性
 利用者が身をもって教えてくれる現実を,社会に伝え,社会制度の向上につなぐ。そして社会制度が改善されれば,その改善が末端の利用者の生活向上にどのように役立っているかを確かめる。社会福祉専門職が社会性を意識した活動を行うことは,課題の一つである。

・技能性
 介護保険制度や支援費制度は,これまでの公的サービスが中心であった社会福祉サービスを,営利団体を含む民問のサービスを供給体とするものに変えた。このような社会福祉の動向に合わせて,社会福祉士の開業も始まっている。社会福祉専門職の専門性がますます問われる時代となる。専門性を高めるための課題には技能を向上することが課題となる。技術と知識を身についた技能にする為に,学習・研修の強化が重要である。

■用語解説:価値観
 物事を評価する際に基準とする、何にどういう価値を認めるかという判断。

4−2 ソーシャルワーカーの倫理綱領
<ポイント>
 現在のソーシャルワークで強調されるのは,基本的人権の尊重や人類普遍の原理である平和擁護,個人の尊厳と平等,社会正義、民主主義、自己決定、ノーマライゼーション等である。

・ソーシャルワークの基本的価値前提 
 @人間尊重:人間は,その人の能力や行動に関係なく人間であること自体で価値がある。
 A人間の社会性:人間はそれぞれ独自性をもった生きものであるが,その独自性を貫徹 
  するのに,他者に依存する存在である。
 B変化の可能性:人間は,変化,成長,向上する可能性をもっている。
ゾフィア・ブトゥリム:『ソーシャルワークとは何か一その本質と機能一』川島書店
<解説>
@ソーシャルワーカーの倫理綱領
◎専門職として内在化している価値を実際にクライエントとの関係において実現しようとするとき,さまざまな制約,配慮すべき点が起こってくるが,その際の行動の指針となるのが倫理である。社会福祉援助は,その職務の特性上,個人のプライバシーに属する事柄を取り扱わなければならないこと,援助過程が第三者からは見えにくいこと,クライエントは権利侵害を受けやすい立場にあること等から,ソーシャルワーカーには高い倫理性が求められる。これら専門職としての行動規範というべきものが職能団体において定められている倫理綱領であり,こうした倫理綱領を定めていることが専門職としての要件の一つでもある。

・ソーシャルワーカーの倫理綱領の存在理由には、すべてのソーシャルワーカーが自らの行動を律することによって、ソーシャルワーカー全体の専門職としての社会的地位や評価を保持することも含まれる。

<参考リンク>
『ソーシャルワーカーの倫理綱領』(日本ソーシャルワーカー協会)
http://www.jasw.jp/jaswtowa/jasw-rinri-050127.htm


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2009/03/08(日) 公的扶助論・練習問題&ポイント
*公的扶助論・練習問題<社会福祉士、精神保健福祉士 受験対策>
 解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題1 生活保護に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 生活保護法上、2種類以上の扶助の支給(併給)は認めていない。
2 生活保護法上、被保護者はすべて要保護者である。
3 我が国では、保護率は人口100人に対する被保護実人員の割合で示されている。
4 生活保護の資力調査における資産の範囲は、土地(50坪以上の宅地)に限定されている。
5 生活保護法では、世帯単位の原則があるので、世帯分離により個人を単位に保護することを認めていない。

問題2 生活保護の原理についての次の記述の空欄AとBとCとDに該当する語句の組み合わせとして、正しいものを一つ選びなさい。

 生活保護法の国家責任による最低生活保障の原理とは、生活に困窮する国民の最低生活保障を国がその( A )において行うことを規定した原理である。また、現在の生活保護法は第2条において,「すべて( B )は,この法律の定める要件を満たす限り,この法律による保護を,( C )に受けることができる」と規定し,生活困窮に陥った原因による差別を( D )している。
(組み合わせ)
  A    B     C     D
1 責任   国民   無差別平等   否定
2 努力   住民   条件付き    否定
3 恩恵   人間   期間限定    容認
4 裁量   民衆   人数限定    肯定
5 義務   市民   一度に限り   肯定

問題3 生活保護法と公的扶助の基本的性格に関する次の記述のうち.正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合,この組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 生活保護法は生活に困窮する国民は健康で文化的な最低生活が保障されることを恩恵として認めている。
B 救護法及び旧生活保護法においては、素行不良な者などについては救護や保護は行わないこととする欠格条項が設けられていた。
C 生活保護法第3条において「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」と規定されている。
D 公的扶助は、最低生活需要に対する補足性、補完的性格を有する給付である。
 (組み合わせ)
   A   B   C   D
1  ×   ○   ×   ×
2  ×   ○   ○   ○
3  ○   ○   ×   ×
4  ○   ×   ○   ○
5  ×   ×   ○   ○


======================
<解答>

問題1 正答2   2が正しい
1× 2種類以上の扶助の支給(併給)は認められる。
3× 保護率は人口1000人に対する被保護実人員の割合、‰で示される。
4× 生活保護における資産の範囲に限定はない。
5× 世帯単位の原則はあるが、それによりがたい場合は世帯分離を認めている。

問題2 正答1 A責任、B国民、C無差別平等、D否定

問題3 正答2   Aが誤り
A× 健康で文化的な最低生活が保障されることを権利として認めている。

*本日のポイント
 生活保護の原理
 この「基本原理」とは、生活保護法1条から4条までに規定されている生活保護の基本的な考え方をさす。これを5条では「基本原理」とよび,生活保護法の解釈および運用はすべてこの原理に基づいてなされなければならないとしている。
 1条は法律の目的をうたっているが,(日本国憲法25条の理念を受けて,国の責任において)最低限度の生活を保障することに加え,被保護者の自立助長をも行うという二つの目的が並列的に掲げられている。
 2条は「無差別平等」で,経済的な貧困状態が確認されれば,保護を請求する権利をすべての国民に平等に付与するという趣旨である。
 3条は,この法律によって保障される生活水準は健康で文化的なものでなければならないとする,最低生活のあるべき水準を示す。
 4条は「補足性の原理」とよばれ,この法律の適用に先立って,要保護者の生活資力あるいは(期待できる)扶養義務や他の社会保障給付を活用すべきことを求めている。

*補足性の原理
 これは、生活保護法4条に規定する保護の基本原理の一つである。
 この原理は,生活保護の開始決定の前提として,生活自己責任の社会規範を背景とした自己の資産・能力等の活用(1項),民法上の扶養義務者の扶養や他の社会保障制度の給付など(2項)が先行してなされる必要があり,生活保護法による援助はその不足分を補う限りにおいてなされるという趣旨である。
 これらに関する調査は資産調査(ミーンズ・テスト)とも一般によばれ,貧困者を選別する公的扶助制度には一般的・本質的に付属する。なお4条3項に但し書きとして急迫保護の規定がある。

<参考リンク>
「生活保護の申請54%増 (今年)1月の17政令市、失業者ら計8590件」中国新聞 09/3/3
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200903030109.html

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2009/03/07(土) 公的扶助論・練習問題&ポイント
公的扶助論 練習問題
<社会福祉士、精神保健福祉士 受験対策 練習問題>

*解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題1 正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選べ。

A 公的扶助の給付は、社会保険等による各種の所得保障給付に先行させるのが原則である。
B 公的扶助は、最低生活需要に対する補足的給付を原則とする。
C 公的扶助において、資力調査(ミーンズテスト)は、その給付の開始後に実施するのが原則である。
D 公的扶助では、親族等による扶養義務の履行を、その受給要件としないのが原則である。
   A  B   C  D
1  ○  ○  ×  ×
2  ○  ×  ×  ○
3  ×  ○  ×  ×
4  ×  ×  ○  ×
5  ○  ×  ○  ○


問題2 正しいものの組み合わせを一つ選べ。

A 公的扶助は、素行調査(尾行・監視など)をその前提条件として,要保護者の申請に基づき,国や地方自治体が実施する補足的給付であり,最低生活の保障を目的とする、最終的な公的生活保障制度である。
B 資力調査(ミーンズテスト)は、公的扶助の給付が開始される前に実施する。
C 公的扶助の対象は、法制的には、基本的に全国民である。しかし、実質的には、生活困窮者や低所得者等で貧困な生活状態にあり、独力で自立した生活ができない要保護状態にある者がその中心的な対象となっている。
D 公的扶助とは、他の制度、法律等あらゆるものの活用後(他法他施策優先)に受けることができる最終的な公的生活保障制度である。
   A   B    C   D
1  ×   ○   ×   ×
2  ×   ○   ○   ○
3  ○   ○   ×   ×
4  ○   ×   ○   ○
5  ×   ×   ○   ○



==========================
<解答>

問題1  正答3  Bのみ正しい
A × その逆が正しい。
B ○
C × 資力調査は、給付開始前に実施する。
D × 扶養義務の履行は受給要件とする


問題2  正答2  Aが正しい
A × 「資力調査」をその前提条件として
B ○
C ○
D ○

<ポイント>
*生活保護制度とは、最低生活保障と自立助長を目的とした現行生活保護法(昭和25年)に基づく制度の通称である。国際的には公的扶助とよばれる制度に属する。
 
*各国の公的扶助(public assistance)とは、低所得者・生活困窮者のみを対象に,必要度の調査とミーンズ・テスト(資力調査)を行うことを前提条件として,事前の拠出を必要とせずに一般財源から行われる所得保障制度である。日本では生活保護がその代表であり,日本国憲法25条が規定するナショナル・ミニマム保障を担っている。

<参考リンク>
*生活保護法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO144.html


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2009/03/06(金) 公的扶助論・練習問題
公的扶助論 練習問題
<社会福祉士・精神保健福祉士試験 練習問題>
*解答は下方に表示されます。ご注意ください。

問題3 正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 急迫した事情がある場合でも,被保護者は指定を受けない医療機関において医療の給付を受けることはできない。
B 介護保険法に規定されている要介護認定又は要支援認定を受けた被保護者は.介護扶助の受給者となる。
C 出産扶助の給付方法は,金銭給付によることが原則である。
D 葬祭扶助の給付方法は.現物給付によることが原則である。
(組み合わせ)
1AB  2AC  3AD  4BC  5BD


問題4 正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 医療扶助は金銭給付を原則とする。
B 柔道整復,あん摩・マッサージ.はり・きゅうの施術の費用は,医療扶助の給付対象となっていない.
C 福祉事務所長は,被保護者に医療が必要と判断された場合には,必要とされる医療費用の貸し付けを行う。
D 指定医療機関の診療方針及び診療報酬は.国民健康保険の例によることとされている。
   A  B  C  D
1  ○  ×  ×  ×
2  ×  ×  ×  ○
3  ○  ×  ○  ○
4  ×  ○  ×  ×
5  ×  ○  ○  ○



=============================
<解答>

問題3  正答4  BとCが正しい。
A × 急迫した場合は指定医療機関以外の医療機関で診療を受けることが出来る。
B ○
C ○ 出産扶助は金銭給付が原則なので注意を要する。
D × 金銭給付である。


問題4  正答2 Dのみ正しい
A × 指定医療機関における医療サービスの現物給付である。
B × これらも医療扶助の対象であり、現物給付される。
C × 金銭給付ではない。医療要否意見書・医療券を発行する。
D ○

<ポイント>
*医療扶助
 生活保護制度の扶助の一つであり、医療費を負担すると生活扶助基準を下回る者に,診察,薬剤または治療材料,手術等の処置,看護,入院,移送の費用の不足分を,原則として現物給付する。医療費のみ不足する者には単給されることもある。近年では,高齢化に伴って被保護人員の約8割が受給し,国庫からの補助金支出の半分強を占める。

<参考リンク>
*生活保護法による医療扶助、「指定医療機関」(神奈川県HP)
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seikatuengo/seiho/iryonakami.html


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2009/03/05(木) ソーシャルワーク論(社会福祉援助技術論)練習問題 2
ソーシャルワーク論(社会福祉援助技術論)練習問題 2
<正しいものは○、誤っているものは×で答えなさい>

問題1 エコシステムとは、主体的な生活を諦めた無力状態に陥った人々が、再び本来持っている力を取り戻し、自らの問題解決の能力を強めていこうとする援助・アプローチ・視点である。

問題2 エコシステムとは、あるエリアのすべての生物と,そこに存在するすべての物理的条件の間に発生する,物質の循環,エネルギーフロー,情報伝達といった相互作用を機能の観点から捉えたシステムであり、マイヤーがソーシャルワーク実践の文脈に則してエコシステム視点として体系化した。

問題3 生態学・エコロジーを基軸にソーシャルワーク論を展開したものが「ライフモデル・生活モデル」〈ジャーメイン、ギッターマンによる〉である。

問題4 今日の社会福祉援助活動は、エコシステム接近方法(生態学的視座とシステム思考の統合)を取り入れた「医学モデル」の枠組みによって得られる。

問題5. ライフモデルは人々の成長と発達を最大限にし、環境を改善すれば良好な適合状態が確保されるという観点から、人間の不健全性だけに関心をもつ。

問題6. ライフモデルにおいては、援助者は利用者の生活を指導するのではなく、支援するのであり利用者は受動的存在ではなく、能動的・応答的存在としてパートナーとしてみられる。

問題7  援助者が体得していることを期待されているものとしての「四つの総体」とは、価値、知識、技能、能力の総体である。

問題8 社会主義は個人の最大限の可能性を引き出すシステムとしては、現在考えられている最善のシステムであろうといわれている

問題9 10のPで場所とは、狭義では人間の福祉に貢献する機関・施設であり、広義ではワーカーの所属する機関・施設である。

問題10 10のPの「ソーシャルワーク過程」とは、ソーシャルワーカーと利用者との介入過程をいう。

問題11 国際ソーシャルワーカー連盟の定義では、個人の問題の解決を、それを生み出す社会構造とは無関係で考える視点をもたらし、解決するには積極的に、その原因となっている社会構造はそのままで社会的不正義には妥協することと示している。

問題12 (同上の定義では)ソーシャルワーカーは、人間関係における問題解決を図り、人々のエンパワメントと解放を促す。

問題13 ソーシャルワーカーの行う活動は@専門職の価値と倫理 A専門的な知識 B専門的な技術に根差している

問題14 「オスカー・ルイスのニーズ(欲求)の階層」とは、第1段階は生理的なニーズ、第2段階は安全と安定のニーズ、第3段階は所属と愛情のニーズ、第4段階は自尊のニーズ、第5段階は自己実現のニーズである。

問題15 システム論とは、1968年,生物学者ベルタランフィによって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられており、社会福祉分野では,1980年代以降,「人と状況の全体性」を捉える理論的枠組として重要な役割を果たした。



==========================
<解答>

問題1 × これはエンパワメント(エンパワーメント)の説明である。

問題2 ○

問題3 ○

問題4 × 正しくは「生活モデル(ライフモデル)の枠組みによって」。

問題5 × 正しくは、「人間の不健全性だけではなく、健全性にも関心をもつ。」

問題6 ○

問題7 ○

問題8 × 正しくは、「民主主義は〜。」

問題9 × 狭義と広義が逆である。

問題10 ○

問題11 × 正しくは「個人の問題の解決を、それを生み出す社会構造との関わりで考える視点(中略)原因となっている社会構造を変革し社会的不正義に挑戦することと示している。」

問題12 ○

問題13 ○

問題14 × 正しくは、「マズローのニーズの階層」。O.ルイスは「貧困の文化」の著者である。

問題15 ○


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2009/03/04(水) ソーシャルワーク論(社会福祉援助技術論)練習問題 1
ソーシャルワーク論(社会福祉援助技術論)練習問題
<正しいものは○、誤っているものは×で答えなさい>
問題1 日本ソーシャルワーカー協会の倫理綱領は、ソーシャルワーカーが従うことが望ましい価値・行動規範・義務を明文化したものではあるが、個別的・具体的場面でとるべき行動を詳細に規定したものではない。

問題2 インフォームド・コンセントは、「説明と同意」と訳され,例えば、医療において治療や検査は当事者である患者がそのことについて情報を与えられ,同意をしてはじめて行いうるという原則のことである。

問題3 専門職は、クライエントがもたない高度な知識や技術をもっていることやクライエントの個人情報を知り得る立場にあることなどから、有利な立場に立ちやすく、これを利用した権利侵害を自己規制することが、専門職団体の倫理綱領の存在理由の一つである。

問題4 ソーシャルワーカーの倫理綱領の存在理由には、すべてのソーシャルワーカーが自らの行動を律することによって、ソーシャルワーカー全体の専門職としての社会的地位や評価を保持することも含まれる。

問題5 日本ソーシャルワーカー協会の倫理綱領は、福祉専門職としての行動について、クライエントに対してのみ誓約したものである。

問題6 ソーシャルワーカーは、職務の遂行に際して、クライエントに対するサービスよりも、自己の私的な利益を追求しても許される。

問題7 専門職業上の知識や技術が、非人間的な目的に利用されないよう自戒する必要がある。

問題8 ソーシャルワーカーは、個人・家族・集団・地域・社会の文化的差異や多様性を尊重するとともに、これら差異あるクライエントに対しては、管轄官庁の許可を得た後、その差異に応じたサービスや援助を提供しなければならない。

問題9 ソーシャルワーカーは、クライエントをあるがままに受容し、たとえクライエントが反社会的行為を行なった過去があっても、決してクライエントを拒否することがあってはならない。

問題10 ソーシャルワーカーは、クライエントや関係者から事情を聴取する場合も、業務遂行上必要な範囲にとどめ、たとえクライエントや公共の利益のために必要な場合であっても、プライバシー保護のためクライエントに関する情報を一切、第三者に提供してはならない。

問題11 クライエントの自己実現の権利は、他人の権利を侵害しない限度まで認められる。

問題12 ソーシャルワーカーは、同僚や他の専門職業家の貢献や業績を尊重し、自己や同僚のサービスの効果、効率について常に検討し、援助方法の改善向上に心がけなければならない。

問題13 ソーシャルワーカーは、同僚や他の専門職業家との間に職務遂行の方法に差異があることに気づいたときは、直ちにその説得に当たらなければならない。

問題14 専門的な援助関係においては、援助者は自分の感情を一切表出してはならない。

問題15 ソーシャルワーカーはクライエントと専門的な援助関係を築くために、クライエントが言葉で表現したことだけを重視しなければならない。



==========================
<解答>

問題1 ○ 正しい。 倫理綱領は、個別的・具体的場面でとるべき行動を詳細に示した規則ではない。

問題2 ○ 正しい

問題3 ○ 正しい

問題4 ○ 正しい

問題5 × 誤り。他の専門職や一般社会に対しても誓約したものである。

問題6 × 誤り。正しくは、ソーシャルワーカーは、職務の遂行に際して、クライエントに対するサービスを最優先に考え、自己の私的な利益のために利用することがあってはならない。
*上記の2点について、倫理上のジレンマとして生じることはあり得ない。 

問題7 ○ 正しい

問題8 × 正しい文は「これら差異あるクライエントに対しても、同等の熱意を持ってサービスや援助を提供しなければならない。」

問題9 ○ 正しい

問題10 × 正しくは「クライエントや公共の利益のために必要な場合、本人と識別できる方法を避け、できれば本人の承認を得なければならない」という条件付きでクライエントに関する情報を第三者に提供することができる。

問題11 ○ 正しい

問題12 ○ 正しい

問題13 × 正しくは「同僚や他の専門職業家との間に職務遂行の方法に差異があることを容認するとともに、もし相互批判の必要がある場合は、適切、妥当な方法、手段によらなければならない。」

問題14 × 援助者は自らの感情をコントロールしなければならない(統制された情緒関与)が、それは「自分の感情を一切表出してはならない」ということではない。

問題15 × 言語コミュニケーションだけでなく、非言語コミュニケーションも重視しなければならない。


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2009/03/03(火) ソーシャルワーク論・web講座8「ソーシャルワーカーの専門性」
2章2節 ソーシャルワーカーの専門性の構造 
◆SWの専門性を構成するもの
<ポイント>
 ソーシャルワーカーが行なう援助活動は、@価値=専門職の価値と倫理、A知識=専門的な知識、B技術=専門的な技術・技能に根差している。
 この三つの調和が保たれなければならない。
<解説>
 社会福祉援助活動の専門性を構成する基本的要素には,専門職としての価値と倫理、知識、技術・技能の三つがある。
 社会福祉援助活動の価値という場合,専門職としての共通の価値基盤のみでなく,当事者の価値観はもちろん,個々の専門職者の価値観,社会の価値観などを十分に視野に入れなければならない。今日の価値の多様性の認識と,その関係性のあり方は,社会福祉援助活動を行っていくうえで非常に重要な実践課題となってくる。

2−1 専門職の価値と倫理
<ポイント>
 ソーシャルワークの価値や基本原理を支える背景思想とは、「平等主義・機会均等の思想」(ノーマライゼーションの思想)、「社会連帯の思想」(予定調和的原則)、「民主社会の思想」(民主主義の擁護、人道主義の擁護)の3つがあげられる。

*専門職の価値とは、理想的な人間観、社会観を集約したものである。倫理とは、価値や理想から導かれる専門職としての行動の指針と規範である。

*人間は平等であり,尊厳ある存在として尊重されなければならない。
*人間は自己実現の権利を有し,社会はそれを助けなければならない。
*自己決定、プライバシーの尊重。

<解説:国際定義から>
 ソーシャルワーカーは、人道主義と民主主義の理想から生まれ育ってきたのであって、その職場上の価値は、すべての人間が平等であること、価値ある存在であること、そして、尊厳を有していることを認めて、これを尊重することに基盤を置いている。ソーシャルワーク実践は、一世紀余り前のその起源以来、人間のニーズを充足し、人間の潜在能力を開発することに焦点を置いてきた。
 人権と社会正義は、ソーシャルワークの活動に対し、これを動機づけ、正当化する根拠を与える。ソーシャルワーク専門職は、不利益を破っている人びとと連帯して、貧困を軽減することに努め、また、傷つきやすく抑圧されている人びとを解放して社会的包含(ソーシャル・インクルージョン)を促進するよう努力する。ソーシャルワークの諸価値は、この専門職の、各国別並びに国際的な倫理網領として具体的に表現されている。

◆補足:ソーシャルワークの基本的価値前提
 ブトゥリムは,ソーシャルワークの基本的価値前提として,@人間尊重,A人間の社会性,B変化の可能性の三つをあげている。ブトウリムによれば,これらはソーシャルワークに固有の価値とはいえないが,ソーシャルワークに不可欠な価値である。

2−2 専門的な知識
<ポイント>
*ソーシャルワーカーに必要な専門知識 
・ミクロ的知識=人間・援助対象者の心理・行動等の知識、援助対象者(高齢・障害・児童・貧困・女性・外国人等)の知識

・メゾ的知識=実践現場の地域・機関・施設等の知識、実践領域の法律・制度・政策・理論等の知識

・マクロ的知識=社会福祉の歴史・医学・法学・社会学・心理学・介護・リハビリテーション等の知識
<解説>
・ミクロ的知識:利用者の心理や行動などを理解するための知識と、自分の業務体験からの知識も必要とされる。自らの実践体験から教訓を抽出して知識を得ることは重要である。

・メゾ的知識:医療・保健・福祉・教育・住宅など社会的なサービス・制度の目的や理念,受給要件,提供されるサービスの量と質,利用可能性,利便性など、これらの社会的サービスの知識が必要とされる。それは単に一般的な知識でなく,実務的な情報でなければ,実践に活用できない。

・マクロ知識:利用者をより深く理解するため。また、関連専門職を理解し、連携するために必要である。
援助技術・方法の「モデル」は現実に適用するには修正が必要なものもある。援助者は,単に経験則に基づいて業務を遂行するのではなく,体験から知識を抽出するためにモデルを活用することで,より普遍性のある知識と技能を獲得できる。また,業務体験から知識を抽出する作業は,自らの業務と技能を振り返ることである。このような作業の集積が,社会福祉専門職の専門性を高める。

◆国際定義より
 ソーシャルワークは、特にソーシャルワークの文脈でとらえて意味のある、地方の土着の知識を含む、調査研究と実践評価から導かれた実証に基づく知識体系に、その方法論の基礎を置く。ソーシャルワークは、人間と環境の間の相互作用の複雑さを認識している。そして、人びとの能力が、その相互作用に対して働く様ざまな力一それには、生体・心理社会的要因が含まれるーによって影響を受けながらも、同時にその力を変えることができることをも認識している。ソーシャルワーク専門職は、複雑な状況を分析し、かつ、個人、組織、社会、さらに文化の変革を促すために、人間の発達と行動、および社会システムに関する理論を活用する。

◆補足:知識の必要性・現代の社会福祉援助技術の潮流
現代の社会福祉援助活動の特徴とは,
@方法の拡大(ミクロ−メゾ−マクロの方法),
A方法の多様化(多様な理論モデルとその実践方法の登場),
B方法の統合化(共通基盤の明確化,ジュネリック・ソーシャルワーク論の構築),
Cシステム理論と生態学の導入,
D「医学モデル」から「生活モデル」へ(社会福祉援助関係の転換),
Eサポートネットワーク,
F専門的援助と非専門的援助の関係,などがあげられる。


<こちらも学習にご活用下さい。>
■公的扶助論(生活保護制度)web講座
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1225585731/

■社会福祉の歴史 web講座
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1226020506/


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