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2009/02/25(水)
ソーシャルワーク論 web講座6「ソーシャルワークの価値・知識・技能・能力」
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「四つの総体」とは、援助者が体得していることを期待されているものをまとめて、表現している。「価値の総体」、「知識の総体」、「技能の総体」、「能力の総体」と、まとめることができる。 <解説> 1 四つの総体 テキストP25中段から 参照 ◆「価値の総体」 テキストP25中段から 参照 ◎価値とは,一定の社会・文化・グループ・個人によって望ましいとみなされる行為や思考の特性である。社会福祉専門職の価値とは,専門職としての人間観・社会観のことであり実践の基礎となる哲学である。明文化されたものとしては,日本ソーシャルワーカー協会の倫理綱領の原則に,要約すれば「人は平等であり,尊厳ある存在として尊重されなければならない」,「人は自己実現の権利を有し,社会はそれを助けなければならない」,「ソーシャルワーカーは上記の実現のためにもてる能力を駆使する責務がある」と述べられているが,これらは中心的な価値である。
@人間であること自体の固有の価値 援助者は、人間であること自体に固有の価値をおくこと、人間の本質に根源的価値をおくことが重要である。人間の尊厳は不可侵である。
A個人に対する価値と、自己決定に対する価値 人間としての個人、その個別性を最大限に尊重することが重要である。 また、利用者の自己決定の尊重と、権利(人権)擁護のバランスが求められる。 ◎自己決定とは、利用者の人格を尊重し,自分の問題・課題、生活や人生について自分で判断し,決定する自由があるという理念に基づいた援助関係の原則である。
B民主主義・人道主義に対する価値 民主主義は個人の最大限の可能性を引き出すシステムとしては、現在考えられている最善のシステムであろうといわれている。人道主義を貫くことが求められる。 ◎人道主義とは、博愛の精神に基づき,人類全体の福祉の実現をめざす立場である。人間愛を根本とし,残虐行為など非人間的な行いを排斥する。
C自己実現と生活の質に対する価値。 利用者の自己実現を可能にするために、個々の利用者の潜在的可能性、発達可能性を確信すること。 ◎自己実現とは,人間が自らの能力や可能性をあますところなく発揮し,その結果としての創造的活動,自己の成長を望む欲求をさす。
*NASW(全米ソーシャルワーカー協会)「方針宣言:価値観」(1981年) テキストP27下段 ・キーワード:個別化の重視、 守秘、 社会変化への参画、 自助、 利用者の感情やニーズの尊重、 知識や技能の伝承、 利用者の為の努力の継続、 差異の尊重、 社会正義、 専門職の誓約
◆知識の総体 テキストP28上段 参照 NASW「方針宣言:知識」によると、人間とその行動(心理学など関連分野)、コミュニケーション、歴史、社会福祉援助技術、社会福祉制度、現代社会(経済と政策等)等々に関する知識が必要とされている。 *ソーシャルワーカーはその専門職の活動の基本となる人間と社会環境の交互作用を理解する基礎的な知識を有していなければならない。 多くの場合,ソーシャルワーカーは面接というコミュニケーション手段を用いて,クライエントの援助にあたるので,クライエントとの人間関係形成に必要な知識やスキルを習得しておくことも不可欠である
B技能の総体 テキストP28下段 参照 傾聴と理解、問題の構造化、専門的援助関係、信頼関係、専門職としての役割と機能等々の技能が必要とされている。
C能力の総体 テキストP29中段 参照 専門職として、聴く、話す、解釈と理解、教える、感情の安定、責任と役割、全体的視野での把握、問題解決等々の能力が必要とされている。
■用語解説:全米ソーシャルワーカー協会 NASW National Association of Social Workers 設立は1955年。2001年現在約15万人の会員からなり,アメリカほか諸国に55支部をおく,世界最大のソーシャルワーク専門職の組織である。協会は,「会員の専門性の発展」,「ソーシャルワーク専門職の基準の創造と維持」,「堅実な社会的政策の提言」を目標に掲げ活動している。
■用語解説:パターナリズム paternalism ・人間関係を権利と義務の関係としてではなく,恩顧と保護の関係で捉える考え方。包括的な場合であったり個別的な場合であったり,あるいは弱者と強者の関係であったり,または相手方の同意がなくてもよいとされる場合や相手方の意思に反しても干渉してよいとされる場合などがある。親子関係あるいは父子関係になぞらえて,国家や医者は,子どもや病人などに対して,相手方の最善の利益のために干渉することができると説くもの。
■用語解説:コンピテンス(コンピタンス) 環境と個人が相互にやりとりをする過程で,自分自身が周囲に与える影響を肯定的な感情で捉えることができれば,その個人は自己肯定感に基づいた一定の感覚を心のなかに確立することができる。そして,その内的な感覚をよりどころとして,必要な支援を自ら探したり受け入れたりする力量・能力が開花していく。
<参考リンク> *「民主主義」:百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9
<こちらも学習にご活用下さい。> ■公的扶助論(生活保護制度)web講座 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1225585731/ ■社会福祉の歴史 web講座 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1226020506/
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