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2008/08/14(木)
ソーシャルワーク関連科目・ポイント
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ソーシャルワーク関連科目・ポイント
<新たなモデル 続き> ■家族療法 ・家族内に問題があると利用者が意識するか,援助者が家族で問題を解決するのが効果的であると判断した場合に開始される援助方法。援助方法や技法は多様であるが,基本的には家族メンバーのそれぞれの思いを受け止めながら,問題解決が長引いている「偽解決パターン」を把握し,新しい解決パターンが生まれることをめざして援助介入が行われる。援助者は家族メンバー間の葛藤に巻き込まれないための中立的な立場をとり,家族関係を肯定的に評価するリフレーミング技法を多く活用する。
■課題中心アプローチ ・短期かつ計画的にクライエントの援助を行うケースワークのアプローチとして,シカゴ大学のリードとエプスタイン(Epstein, L.)によって研究・開発された。クライエントの訴える問題を優先し,クライエントとともに課題を設定,遂行する援助方法である。目的をもった行動をアクションとよび,一連のアクションが「課題」(task)であるとしたこと,具体的な課題を設定する計画的なプロセスを明らかにしたこと,課題とケース目標を整理し,契約することによってケースに関わる者すべてが課題を共有すること,課題の遂行状況をモニターし評価する手順を明確にしたことなどが,課題中心アプローチの特徴であり,ソーシャルワークへの貢献であると考えられる。このアプローチは,援助技法というよりは,援助の枠組を提供するものであり,ケースワークの範疇を越え,今日ではソーシャルワークの重要なアプローチとして広く認知され応用されている。
■行動変容アプローチ ・本来,行動変容とは,スキナー(Skinner, B. F.)のオペラント条件づけを人間行動に応用した応用行動分析に基づき,人間の行動を変化させることをさすが,一般的にはより広く,レスポンデント条件づけ,社会的学習理論,認知学習理論を含めた実験的研究を基礎とした行動原理に基づいた応用心理学の一つとされている。1970年代には,アメリカで行動変容を臨床場面で用いる行動療法がケースワークに導入され,行動変容アプローチとしてソーシャルワークに浸透してきた。
■ライフ・モデル・アプローチ ・1960年代以降アメリカでは,複雑で多様な生活問題に対する援助の社会的要請が高まり,従来の個人のパーソナリティに治療の焦点をおいた伝統的なアプローチに対する批判が高まった。 そのソーシャルワークの限界を打開するために,生態学や一般システム理論などの新たな理論的枠組を背景に登場したのがジャーメインらによって体系化されたライフ・モデル(生活モデル)である。このモデルでは,人,環境のどこに問題があるのかを問うのではなく,問題は生活空間における不適切な交互作用(transaction)にあると考え,人と環境の接触面(interface)に焦点をあてていく。ソーシャルワーカーの社会的目的は,人々の成長と発達を最大限にし,環境を改善する交互作用を生み出すように,人々の適応能力と環境の特性を結び合わせることとされる。そこでは,生活体の適応能力を高めると同時に環境を改善するという二つの実践の焦点があり,人も環境も等しく重要であって,この両者の互恵的適応関係のバランスがいかに獲得されるのかに最大の関心が払われる。したがって,ソーシャルワーカーが扱う対象は人と環境の「開かれた」連鎖的交互作用であり,「人と環境の適合性」である。
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