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2008/12/07(日)
ソーシャルワーク関連科目・重要ポイント<受験支援セミナーの復習>
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<援助技術論>重要ポイントの解説 ■解説:医療ソーシャルワーク 保健・医療領域におけるソーシャルワークである。医療機関のソーシャルワーカーとして,主として疾病にかかった人が医療を受けるのに妨げとなる心理社会的問題の解決や,疾病によって必要となってきた生活再構成への援助を行う。 英国では、1895年,生活困窮者への資源の効率的運用のために患者の生活の全体を把握し,援助する役割として,アルマナー(almoner)とよばれるソーシャルワーカーが王立施療病院におかれた。 米国では1905年,マサチューセッツ総合病院のキャボット(Cabot, R. C.)医師が,患者を理解するためには身体状況だけではなく,精神状況や環境的な背景を把握することが必要として,ソーシャルワーカーをおいた。 日本では1920年代,済生会病院,聖路加病院でのソーシャルワーク活動が始まりとされる。 厚生省(当時)により医療ソーシャルワーカーの業務指針がだされ(通知,平成元年健政発188号),医療の場でソーシャルワーカーが実際に行っている業務が次のように整理されている。 @経済的問題の解決,調整援助:医療費,生活費等の経済的な問題に対して社会福祉,社会保障の諸制度を活用できるように援助する。 A療養中の心理的・社会的問題の解決,調整援護:生活と傷病の状況から生ずる心理的・社会的問題に対して,各種サービスの活用や人間関係の調整等の援助を行う。 B受診・受療援助:生活と傷病の状況に適切に対応した医療の受け方についての援助,診療に参考となる心理社会的情報の収集および医師への提供等,受診・受療が適切に行われるよう援助する。 C退院(社会復帰)援助:退院・退所に伴い生ずる問題に対して,各種の施設やサービスの活用等,問題の解決,調整に必要な援助を行う。 D地域活動:地域の患者会やボランティアの育成,地域ケアシステムづくり等を行い,地域保健医療福祉システムづくりに参画する。
医療ソーシャルワークの業務は,時代とともに大きく変遷している。現在,一般的に医療ソーシャルワーカーが医療機関から最も期待されている役割は,従来から退院計画(discharge planning)として知られていた,退院援助である。入院治療の段階を終了した患者を円滑に次の生活場所へと移していく業務である。医療費の財源問題から,各医療機関での入院期間の短縮化が要請され,それが退院援助と結びつき,医療ソーシャルワーカーの業務として強く求められている。また医療組織が病院のみでなく老人保健施設,在宅介護支援センター,介護保険の介護支援事業所等を併設するようになり,そのなかでソーシャルワーカーが活躍する場も広がった。 このような動向は肯定的な面ばかりではない。ソーシャルワーカーにとってその使命が厳しく問われる局面でもある。医療機関で働く以上は所属する組織からの要求や期待は受け入れなければならないが,一方,ソーシャルワーカーである限りは患者の人間としての尊厳の尊重や権利保障というソーシャルワークの価値・倫理を譲ることもできない。採算性がより厳しく問われる医療組織のなかで,所属機関の要求を受け入れつつ,患者を守る立場をいかに保つかかが、課題である。
■精神医学ソーシャルワーク 精神保健福祉領域において,精神障害者の社会的復権や,その自立と社会参加の促進に向けて援助を行うこと。 精神病院,総合病院精神科,精神科クリニック,保健所,保健センター,精神保健福祉センター等の保健・医療機関,授産施設,福祉ホーム,福祉工場,地域生活支援センター,グループホームや小規模作業所等,社会復帰のための法内・外施設などで行われる。 社会福祉学を学問的基盤にもち,精神科領域のチーム医療のなかでは主に生活面を担当し,精神障害者,家族,地域全体を視野に入れながら,精神医療・保健・福祉の基盤整備と向上のために活動し,その対象範囲は医療・保健・福祉にとどまらず,教育・労働・政策立案への提言等,幅広い分野にわたる。 日本では,1997年12月に成立した精神保健福祉士法により,精神医学ソーシャルワーカーは「精神保健福祉士」として名称独占の国家資格となった。
■精神保健福祉士 1997年の精神保健福祉士法に基づく,精神科ソーシャルワーカー(PSW)の国家資格。精神科病院に入院をしている精神障害者の退院促進と社会参加,地域での在宅生活支援を担う専門職として,精神科医療機関のほか,精神保健福祉センター,保健所,精神障害者社会復帰施設等に勤務している。保健福祉系4年制大学を中心に,一般養成施設・短期養成施設の設置が進んでいる。全国組織として日本精神保健福祉士協会(日本PSW協会)がある。
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