社会福祉士 受験支援セミナー 日替講座
社会福祉士・精神保健福祉士試験の受験対策 ⇒新ブログhttp://miseki.exblog.jp/ に移行しました
最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2008年12月
前の月 次の月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新の絵日記ダイジェスト
2011/01/20 援助技術論等、事例問題対策3<練習問題>
2011/01/19 援助技術論等、事例問題対策2<練習問題>
2010/12/27 地域福祉論・web講座1
2010/11/30 前回セミナーの復習:ソーシャルワーク関連科目・練習問題
2010/11/26 ソーシャルワーク関連科目・練習問題(歴史)

直接移動: 20111 月  201012 11 10 9 8 3 2 1 月  200912 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200812 11 10 9 8 7 6 月 

2008/12/27(土) 掲載終了
練習問題等の掲載を終了しました。
 引き続き、当サイトと下記のリンクをご活用ください。

<社会福祉士・精神保健福祉士 受験対策レジュメ&練習問題集>
 関屋光泰が講師を担当した、受験支援セミナーのレジュメや模擬問題等の一部です。URLをクリックで、PCで閲覧できます。

@社会福祉の歴史 レジュメ・資料集(受験支援セミナー・MGU学内学会主催2008年11月10日)
http://docs.google.com/Doc?id=dcn94hv7_11c985njc2  

A社会福祉の歴史等、練習・模擬問題集(同上)
http://docs.google.com/Doc?id=dcn94hv7_12kpjxk5f5 

Bソーシャルワーク・社会福祉援助技術論、練習・模擬問題集(受験支援セミナー・MGU 第3回)
http://docs.google.com/View?docID=dcxvhmvj_4gnnzpghj&revision=_latest


C地域福祉論等、練習・模擬問題集(受験支援セミナー・MGU 12月1日)
http://docs.google.com/View?docid=dcn94hv7_134w7t7bdz

D公的扶助論(生活保護制度)web講座
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9517/1225585731/

2008/12/26(金) ソーシャルワーク関連科目・練習問題&ポイント
「援助技術論」・練習問題&ポイント <社会福祉調査など>

問題22 「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」が掲げている基本的方向について述べたものであるが、空欄A・B・Cに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

 改革の基本的方向とは、(1)サービスの利用者と提供者との< A  >の確立、(2)地域での< B >支援、(3)幅広い需要に応える多様な主体の参入の促進、(4)サービスの質と効率性の向上、(5)情報公開等による事業運営の透明性の確保、(6)増大する社会福祉のための費用の公平かつ公正な負担、(7)住民の積極的な参加による< C >の創造、である。
(組み合わせ)
    A     B       C
1 連絡体制  分野別の    高齢者用住宅
2 対等な関係  総合的な   福祉の文化
3 対等な関係  専門分化した 福祉教育
4 連絡体制   地域生活の  ユニットケア
5 協力体制   自立生活の  地方自治


問題23 市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について(一人ひとりの地域住民への訴え)」の記述であるが、空欄A・B・Cに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

「地域福祉計画とは、地方公共団体が地域福祉を総合的かつ< A >に推進することにより、社会福祉法に示された新しい社会福祉の理念を達成するための方策である。したがって地域福祉計画は、行政計画でありながら、福祉サービスにおける< B >の保持を基本に据えて、自己決定、自己実現の尊重、自立支援など住民等による地域福祉推進のための< C >に立脚して策定されるべきである。」
(組み合わせ)
   A        B       C
1 臨機応変  最低限度の生活  自立生活
2 保守的   基本的人権    市民生活
3 計画的   個人の尊厳    参加や協力
4 計画的   生存権      コミュニティ
5 場当たり的 社会参加     権利擁護




==========================
<解答>

問題22    2
*テキストP207等参照

問題23  3
Aは計画的、Bは個人の尊厳、Cは参加や協力
*テキストP208等参照


<ポイント解説>
*社会福祉基礎構造改革
 基礎構造全般(社会福祉)にわたって抜本的に改革すること。基礎構造とは,老人福祉,児童福祉といった個別の分野に共通する基本的事項や制度をさす。社会福祉は,第二次世界大戦後生活困窮者を主な対象として出発したが,いまや福祉ニーズのあるすべての国民を対象とするようになっており,また少子高齢化,低成長化といった社会経済の変化にも対応する必要があるため,その基礎構造を根本的に改革することが求められるようになった。厚生省(当時)の中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会が1998年にまとめた「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」等を基礎に法案が作成され,2000年に「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」(平成12年法律111号)として成立した。この法改正により,社会福祉事業法は社会福祉法に改められ,また社会福祉各法における措置制度の多くが利用者による契約制度に変えられた。

*措置から契約へ
 福祉サービスの利用の仕方に関して,従来の措置制度による方式では,利用者はサービスを選択することができず,またその権利性も脆弱であるとして,福祉サービスを契約によって利用できるようにすべきだとの観点から行われた,一連の議論と制度改革の流れを言い表したことば。具体的には,1994年1月の保育問題検討会の報告書とその後の児童福祉法の改正(1997年)による新しい保育所利用手続の導入(行政との契約方式),1994年12月の高齢者介護・自立支援システム研究会報告書での介護保険制度の提案と,その後の介護保険法の成立(1997年),さらに1998年の中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会報告(『社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)』)を受け,2000年の法改正(社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律)により,障害者福祉分野で措置制度に代えて導入されることになった支援費制度などの動きである。

2008/12/23(火) ソーシャルワーク科目・問題&ポイント <社会福祉調査など>
「援助技術論」・練習問題&ポイント <社会福祉調査など>

問題19 次の記述のうち、空欄A・B・Cに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

 社会開発とは、生産第一主義の< A >の進展に伴う国民生活への有害な影響を除去、または緩和するために、保健衛生・住宅・雇用・教育・社会保障などの<  B  >の増進、国民の<  C   >の向上を図る総合策である。日本において、社会開発は、経済発展と経済計画に従属した位置付けとなっている。
  A          B        C
1 経済開発     公共的サービス  生活環境
2 システム開発   営利サービス   教育環境
3 人間開発     民間サービス   社会環境
4 資本主義     公私サービス   自然環境
5 国民経済    社会サービス    福祉環境


問題20 次の記述のうち、空欄A・B・Cに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

 事例調査の特質は、少数対象の<  A  >を集約的に調査するものである。つまり、少数の事例が対象であり、その事例の多数の側面を全体関連的にとらえ、<  B  >・洞察的、柔軟性に富んだ手法を用いて、<  A  >を多面的・動態的に資料収集し、<  B  >・洞察的に分析して、<  C  >・普遍化を目指す方法であるといえる。                    
    A       B      C
1 量的データ  客観的  特殊化
2 質的データ  主観的  一般化
3 量的データ  主観的  純化
4 質的データ  客観的  特殊化
5 量的データ  統計的  一般化


問題21 記録に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 地域援助技術における記録とは単に専門職が関わった記録ととらえず、地域社会の諸活動に役立てることのできる記録としてとらえる。
2 地域援助技術の活動の経過は、プライバシーに配慮したうえでできるだけ記録として公開する。
3 ボランティア活動の記録、特に緊急・災害情報の記録は素早く公開する。
4 市町村社会福祉協議会の委員会などの記録も情報公開する。
5 専門職としての地域援助技術の業務記録においては、住民や関係組織と協働で進めたものであるから、スーパービジョンや学習には活用できない。



==========================
<解答>

問題19 1
 Aは経済開発、Bは公共的サービス、Cは生活環境
*授業レジュメ3Q−6等参照

問題20 2
Aは質的データ、Bは主観的、Cは一般化
*授業レジュメ3Q−6等参照

問題21 5
5 × 誤り。正しくは、専門職としての地域援助技術の業務記録は、スーパービジョンや学習に活用する。
*テキストUP139等参照


<ポイント解説>
*小地域(福祉)ネットワーク活動
 小地域のエリアにおいて,近隣住民等の協力態勢により,ひとり暮らし高齢者をはじめとする要援護者に対して行う見守りなどの援助活動のことをいう。これまで社会福祉協議会(社協)が中心となり取り組まれてきている。要援護者が地域で満足度の高い自立生活を営むには,フォーマルな制度・サービスだけでなく,身近な地域で住民が主体的に行うインフォーマルな支援も重要である。近年,特に後者の支援として,小地域福祉活動の一環として位置づけられる小地域ネットワーク活動が重視されてきている。主な機能としては,日々変化する要援護者の福祉ニーズを把握したり,発見することである。さらに,安否確認,相談相手,緊急時の対応などの支援活動と組み合わせて進められることも重要となっている。ここでの小地域とは,おおむね小学校区や自治会・町内会等のエリアをさす場合が多い。効果として,孤独になりがちな要援護者の人間関係の回復や,ニーズの早期発見・早期対応(福祉サービス利用につなげる)等がある。活動にあたっては,プライバシーへの十分な配慮が必要であり,また,発見された個別ニーズを地域ニーズとして取り組み,行政や関係者等へ働きかけていくことも要請される。
 近年の社協活動においては,1991年度からの「ふれあいのまちづくり事業」や,94年度からの事業型社協推進のなかで重視され,2000年度では,2012社協(59.7%)で実施され,増加傾向にある。

2008/12/22(月) ソーシャルワーク科目・問題&ポイント <社会福祉調査など>
「援助技術論」・練習問題&ポイント <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習・社会福祉調査など>

問題16 次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 「日本型福祉社会」とは、公的保障が基礎であり、自助努力や地域連帯といった私的役割はこれらを補完するものにとどめる「社会福祉改革」の方向性であると言える。
B 社会計画とは、具体的には教育・保健医療・住宅(生活環境)・雇用(所得保障)・社会福祉サービス等の側面について、非経済的尺度で進める計画である。
C 高齢化・少子化の進展に伴う福祉ニーズの増大とニーズの多様化に対応するために、社会福祉の計画的整備が不可欠である。
D 「日本型福祉社会」は、1979(昭和54)年の「新経済社会7か年計画」で明らかにされた。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○  ×  × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ ○ ○
5 × ○ × ○


問題17 次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 標本調査においては、一部の標本について調査し、母集団全体を推定するので、代表性のある標本を得ることが重要である。
B 質的変数とは、性別、職業、配偶者の有無など、一般に数や量で測れない変数で、「カテゴリー変数」ともいわれる。
C 自由面接においては、対象者にとって答えにくい話題については、面接の最終場面に、可能な限り遠まわしに聞くのがよいとされている。
D 自由面接では、対象者の諸に矛盾や食い違いがあった場合は、厳格な態度で問い詰め、いかなる手段を用いても事実を述べさせなければならない。
(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 A D


問題18 次の記述のうち、空欄A・B・Cに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

 小地域において住民が地域内の<  A  >を発見し、住民が相互に<  B  >するシステムが普及してきている。小地域(福祉)活動システムの目的とは、@高齢者の孤立予防等、A安否対応・緊急対応、B住民の見守りと活動の<  C  >、C健康保持、予防活動等が挙げられる。
    A     B    C
1 貧困問題   管理  社会調査
2 高齢者世帯  監視  計画策定
3 福祉ニーズ  支援  ネットワーク化
4 社会資源   介入  ネットワーク化
5 福祉ニーズ  介入  計画立案




===========================
<解答>

問題16 4
A × 誤り。自助努力や地域連帯といった私的役割が基礎であり、公的保障はこれらを補完するものにとどめる
B ○  C ○  D ○  正しい。
*テキストP202参照


問題17  1
A ○   B ○  正しい
C × 誤り。ためらったりせずに、むしろ単刀直入に聞くのがよいとされている。
D ×誤り、とがめたりせずに、真意がどこにあるかを洞察する必要がある。
*テキストP195等参照


問題18 3
Aは福祉ニーズ、Bは支援、Cはネットワーク化
*テキストP131から参照


<ポイント解説>
*日本型福祉
 社会福祉サービスについて西欧とわが国を比較すると,保育所を例外として,桁違いにわが国が貧弱なことが多い。それならサービス供給を増加すればストレートにレベルアップになるかといえば,サービス利用に対するさまざまな抑制が働いてそうならないことが少なくない。そうした抑制は一面でわが国のデメリットであるが,他面でそれを「日本型福祉」(主として家族によるケア)というメリットとして取り上げる議論がある。

*福祉見直し論
 第一次石油危機を契機とする低成長経済への突入を背景に,1975年前後からなされた,経済的合理化を前提とした福祉財政の引締めを行うことを主張する議論。当時,革新自治体によって先導されていた福祉拡充政策を「バラマキ福祉」であるとした自民党からの批判に由来する。以後,この議論に即して,1980年代には社会福祉サービスの有料化や,施設福祉から在宅福祉への転換等を指向した具体的な制度の改革が次々と推し進められていった。

*活力ある福祉社会
 1970年代末の自由民主党や経済計画における議論を受け,1981年の第二次臨時行政調査会の第一次答申で掲げられた基本理念。家族,地域,企業等がその基盤とされた。また,同様の趣旨で日本型福祉社会が議論された。両者は福祉国家の役割を「真の弱者」や「真に必要な者」への援助に限定する選別主義の姿勢をとり,当時の社会政策学者から,@福祉国家の解体を導き,A家族の機能に対して時代錯誤的な期待を抱いている,という批判が集中した。

2008/12/21(日) ソーシャルワーク科目・問題&ポイント <受験支援セミナーの復習・社会福祉調査7
「援助技術論」・練習問題&ポイント <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習・社会福祉調査7>

問題14 社会福祉調査に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 焦点面接法とは、半指示的面接法の一つとして、R.K.マートンとP.L.ケンドールにより提案されたものである。
B 観察法とは、言語的方法を用いての調査対象の把握であって、非参与観察法、参与観察法、変数観察法がある。
C 非参与観察法とは、調査者自身が対象集団の内部に入り込み、生活体験をともにしながら比較的長期にわたって内部から観察する方法をいう。
D 質問紙における設問において、先行する設問が後の設問の回答に影響を及ぼすことを「履歴効果」という。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○  ×  × ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ×
5 × ○ × ○


問題15 社会福祉調査に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 参与観察法とは、観察者が第三者として、対象のあるがままの姿を外部から把握する観察法をいう。
B グラウンデッドセオリー法(GT法)とは、グレイザーとストラウスによる、質的データから理論構築を行なう方法である。
C 量的変数とは、数や量で測れる変数のことであり、たとえば年齢、収入、世帯人数などを表す変数である。
D 自由面接においては、調査の意義や目的を最優先すべきであるので、調査対象者のプライバシーなど些細なことには配慮する必要は無い。
(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 A D



=============================
<解答>

問題14 1
A ○ 正しい。
B × 誤り。非言語的方法を用いて。非参与観察法、参与観察法、統制的観察法がある。
C × 誤り。これは参与観察法の説明である。
D × 誤り、これはキャリーオーバー効果である。
*テキストP194等参照

問題15  3
A × 誤り。これは非参与観察法の説明である。
B ○  C ○  正しい
D × 誤り、対象者個人にとってプライバシーに関する質問は、秘密保持を確約し相手との信頼関係を保持するなかで、細心の注意を払う必要がある。
*テキストP194、P195等参照


<ポイント解説>
■質問紙調査における調査票の組み上げ方について
*回答を容易にするため、質問の順は、1.簡単なものから、2.関連する質問は近くにする。

*キャリーオーバー効果(エフェクト)
 つまり、質問項目の配列上の問題で、前の質問の答えが,次の質問の答えに影響する可能性があるかということである。これに注意する。

*ろ過質問
 一般的な質問から徐々に調べたい質問に焦点をしぼっていく手法である。

*イエス・テンデンシー
 質問には、一般的に「はい」と答える傾向があるので「はい」と「いいえ」が混じるようにしたり,選択肢の並び方においても,回答が多そうな選択肢をいつも一番最初におかないように気をつける。

*プリテスト
 本調査実施前に行う予備的な調査のことである。

■質的調査について
*観察法とは、非言語的方法を用いての調査対象の把握である。
 観察法には、非参与観察法、参与観察法(対象集団に入り込んで内部からの観察)、統制的観察法がある。

*非参与観察法
 観察者が第三者として、対象のあるがままの姿を外部から把握する観察法をいう。

*参与観察法
 調査者自身が対象集団の内部に入り込み、生活体験をともにしながら比較的長期にわたって内部から観察する方法をいう。

*統制的観察法
 観察対象のなかの特定の要因を比較的純粋な形で抜き出す目的から、他の要因を規制したり、観察場面や観察手段に工夫を加えたりして、観察を行う方法をいう。

■質的調査の分析法
*KJ法
 文化人類学者の川喜田二郎が、フィールドワークで収集したデータをまとめるために考案した手法である。データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、図解や文章化し、解釈する方法論である。ミーティング等での共同の作業にもよく用いられ、「創造性開発」(または創造的問題解決)に効果があるとされる。
@カードの作成
 1つのデータを1枚のカードに要約して記述する。
Aグループ編成
 数多くのカードの中から似通ったものをいくつかのグループにまとめ、それぞれのグループに見出しをつける。
*図解化(KJ法A型)
*叙述化(KJ法B型)

*グラウンデッドセオリー法(GT法、もしくはGTA)
 グレイザーとストラウスによる、質的データから理論構築を行なう方法である。
 手法の特徴は、対象者へのインタビューや観察などを行ない、得られた結果をまず文章化し、それを細分化し、特徴的な単語や内容をコード化し、データを蓄積していくことである。その上で、コードを分類(カテゴリー)し、分析することになる。
 データの蓄積→コード化→比較→カテゴリー化の過程を繰り返し行なうことにより、カテゴリー(概念)の統合を得る。

2008/12/20(土) ソーシャルワーク科目・練習問題&ポイント <受験セミナーの復習・社会福祉調査6
「援助技術論」・練習問題&ポイント <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習・社会福祉調査6>

問題11 次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 自由回答法とは、質問に対し自由に回答・記述することを求めるものである。
B 自由回答法による設問は、調査実施後にコーディングの処理は必要がない。
C 選択肢法の「多肢選択法」とは、複数の選択肢の中から複数の回答を選ぶものである。
D 選択肢法の「複数選択法」とは、複数の選択肢の中から1つだけ回答を選ぶものである。
  (組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○  ×  × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ×
5 × ○ × ○


問題12 次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 キャリーオーバー効果(エフェクト)とは、前の質問の答えが,次の質問の答えに影響する可能性があるというものである。
2 社会福祉調査においては、設問を明確にするため、キャリーオーバー効果を積極的に活用すべきである。
3 ろ過質問とは、一般的な質問から徐々に調べたい質問に焦点をしぼっていく手法である。
4 選択肢の作り方によっては、イエス・テンデンシーといって一般的に「はい」と答え易い傾向があるので「はい」と「いいえ」が混じるようにする等の工夫が必要である。
5 プリテストとは、本調査実施前に、実際に質問紙を用いる予備的な調査のことである。


問題13 次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 ダブルバーレル質問とは、1つの質問文に二つ以上の要素を含むものであり、一挙に多くの回答を得ることができるため、回答の信頼性を高める上で効果的な質問形式である。
2 事例調査の準備においては、調査目的・課題を明確にする必要はなく、終始、無原則な対応でよい。
3 事例調査においては、個々の調査員には統率のとれた行動が求められており、個々の調査員の洞察力や想像力などは混乱を生じるだけなので不要である。
4 事例調査における調査対象の選定は標本調査より容易・簡便であって、いかなる事例を選んでも調査結果に差異は無い。
5 自由面接法は、面接者が被面接者の反応や状況に応じて質問の形式や順序を自由に変えて質問し、会話を通じて対象から直接データを入手する方法をいう。



=============================
<解答>

問題11  2
A ○ 正しい。
B × 誤り。アフターコーディングの必要がある。
C × 誤り、1つだけ答えを選ぶ。
D × 誤り、複数の回答を選ぶ
*テキストP171等参照

問題12 2
1 ○  3 ○  4 ○  5 ○ 正しい。
2 × 誤り、使用を避ける
*テキストP176参照

問題13  5
1 × 誤り、ダブルバーレル質問は避けなければならない。
2 × 誤り。調査目的・課題の明確化が必要である。
3 × 誤り。調査員の洞察力や想像力が求められる。
4 × 誤り、調査結果が大きく左右される可能性が高いので、調査課題に適合する事例を慎重に選定しなければならない。
5 ○ 正しい。
*テキストP170、P193から参照


<ポイント解説>
*ダブルバーレル質問
 ダブルバーレル質問とは、1つの質問文に2つ以上の意味や論点を含んでいる質問、2つ以上の論点をひとまとめにした質問のことであり、調査票においては使用を避ける。
 例として、「白や黒が好きですか? はい,いいえ」の質問では、「はい」の場合,どちらか両方かわからない。
 また、(例)あなたがお持ちの携帯電話の機能やデザインに満足していますか?
  ○満足している ○どちらともいえない ○満足していない
 このダブルバーレル質問の例では携帯電話の機能には満足だが、デザインには満足していない場合は答えることができない。
 
 このような場合は、「機能に満足していますか?」「デザインに満足していますか?」と質問を2つに分ける必要がある。

*ステレオタイプ語
 これは、嫌悪感や反感を持たせるイメージを持つ言葉、プラス・マイナスのイメージを持つ言葉(固定したイメージがある言葉)は、調査票においては使用を避けるということである。

*選択肢法
 「多肢選択法」とは、調査票の質問において、複数の選択肢の中から1つだけ答えを選ぶものである。
 例:「以下の中から、もっともあてはまるものをひとつだけ選んでください。」

 「複数選択法」とは、複数の選択肢の中から複数の回答を選ぶ。
 例:「3つ」「3つまで」「いくつでも」「好きなものから順に3つ(まで)」など

2008/12/19(金) ソーシャルワーク関連科目・ポイント <受験支援セミナーの復習・社会福祉調査5>
「援助技術論」ポイント <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習・社会福祉調査5>

■質的調査・事例調査の特質 テキストP192
 事例調査は、質的調査(qualitative research)、定性的研究とも言われ、自由面接・インタビューや、観察、他にも文書(日記等)や映像、歴史的記録などの質的データ(定性的データ)を得るために、社会学、文化人類学などで用いられる調査方法である。
 これらの調査の手法は、社会の全体像の把握を目的とする社会調査としては有効ではないが、先行研究が少ない分野の研究のために、探索的な調査をする目的としては有効とされる。
*事例調査の特質は、少数対象の質的データを集約的に調査するものである。
@少数の事例が対象
A多数の側面を全体関連的に
B主観的・洞察的、柔軟性に富んだ手法を用いて
C質的データを多面的・動態的に資料収集、分析 
D主観的・洞察的に分析し一般化・普遍化を目指す方法である                    
 これら質的調査の目的は、現象や問題、事例の内面を記述形式で説明し、対象を理解することにある。また、調査対象の人物や集団の、歴史について詳しく記述し記録を残す目的等にもよく用いられる。
方法は、インタビューや観察等によって、被験者の行動、関係、文化等を描写する。

 量的な実証研究と比較し、現象等を深く研究することが可能である。未だ研究されていない分野や、新たな観点の探究に優れ、理論構築の基礎となる情報を提供する。しかし、特定の個人や小集団から質的データを収集するため、一般化は困難とされている。

■参与観察
・観察者自身が,観察される集団の一員として,日常生活に参加し,人々と関係を結びながら,そのプロセスのなかで生じる出来事を観察する調査法である。社会学者リンドマン(Lindeman, E.)によって命名された用語。主に人類学者や社会学者が行ってきた調査方法。
 参与観察を用いた研究では,人類学者マリノフスキー(Malinowski, B. K.)の『西太平洋の遠洋航海者』(1922),シカゴ学派とよばれる社会学者のグループによる一連の研究が有名。


●ブレインストーミング(BS)
*計画策定過程等における技法としてブレインストーミングがある。これは人々がもっている知恵や情報を出し合い自由に意見を述べ、互いに啓発しあって新しい独創的なアイデア、創造性を開発しようとする、グループディスカッションの方法である。ブレインストーミング法は、@批判厳禁、A自由奔放、B質より量、C結合改善がルールとされる。

●KJ法
*KJ法とは、川喜多二郎による、収集した資料の文章を要約し、似たものをまとめてグループ分けをし、文章化し、解釈する方法である。KJ法は、@カード作り、Aグループ編成、B図解、C文章化という基本的な手順に沿ってなされる。


<効果測定>
■単一事例実験計画法
・社会福祉の実践現場において過程評価と結果評価の両方を行うために実施される調査方法で,一事例で調査・分析を実施することができる。単一事例実験計画法では,援助開始前に分析対象となる行動や意識を一定期間継続的に測定し,援助終結まで分析対象となる行動や意識の測定が継続的に行われる。そして,援助開始前と援助開始後(援助開始から終結まで)で,分析対象となる行動や意識がどの程度変化したかを比較し,援助効果を評価する。

■集団比較実験計画法
・例えば「高齢者の生きがいの向上(結果)に対するグループワークへの参加(原因)の効果」を調べるために,グループワークに参加した実験群と参加しなかった統制群の生きがいを比較するといったように,因果関係を確認する際に用いられるリサーチ方法。因果関係を明確に確立するためには,独立変数(グループワークへの参加・不参加)以外は実験群と統制群が同じ条件である必要があり,誰が実験群に属し,誰が統制群に属すかを無作為に割り当てる必要がある。

■費用- 効果分析
・特定の事業(プログラム)を実施するために要した費用と,その事業の実施によって達成された効果を関連づけて分析することにより,効率性という基準に基づいてその事業を分析,評価する手法をさす。ただし,事業の効果をすべて貨幣単位で測定する場合は,費用- 便益分析とよぶのが一般的である。

2008/12/18(木) ソーシャルワーク科目・練習問題&ポイント <受験セミナーの復習・社会福祉調査4
「援助技術論」・練習問題 <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習・社会福祉調査4>

問題7 社会福祉調査に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 郵送調査法とは、調査対象者に質問紙を郵送し、記入後に返送してもらうものであって、多くの場合で回収率が高いといった特徴がある。
B 個別面接調査とは、調査員が調査対象者を個別面接し、調査員が口頭で、質問紙どおりに質問し、その回答を調査員が記入するものである。
C 電話調査とは、調査員が調査対象者に電話で質問し、口頭での回答を調査員が記入するものである。
D 事例調査における非参与的観察法とは、調査者自身が調査対象集団と活動や生活をともにしながら、内部から集団を観察し記述する調査法である。
(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 C D


問題8 次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 調査の準備においてはその独自性を保つため、先行研究・文献・既存調査を探索して予備知識を得たり,参考にすることは避けるべきである。
B 社会福祉調査における標本抽出の有意抽出法としては、縁故法、割当法等がある。
C 社会福祉調査において、無作為抽出法では、調査対象の中のすべてが等しく選ばれる確率があるが、標本の抽出に調査員の主観が入ってしまう。
D 無作為抽出法では、リスト(台帳)を作成し,番号をふっておくといった準備は必要が無い。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○  ×  × ×
3 ○ ○ ○ ×
4 × ○ × ×
5 × ○ × ○


問題9 次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 標本調査においては、一部の標本について調査し、母集団全体について推定するので、代表性のある標本を得ることが重要である。
2 単純無作為抽出法とは、不規則に並んだ数の中から標本に必要な数だけ選ぶという抽出法である。
3 系統的抽出法(等間隔法)とは、スタート番号だけ乱数表等で無作為に決め、それ以降を等間隔で抽出する方法である。
4 ダブルバーレル質問とは、1つの質問文に2つ以上の意味や論点を含んでいる質問のことである。
5 社会福祉調査の設問においては、ダブルバーレル質問を積極的に活用して効率化を図るべきである。


問題10 社会福祉調査に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 社会福祉調査におけるステレオタイプ語とは、プラス・マイナスの固定したイメージがある言葉のことである。
B 社会福祉調査の設問においては、ステレオタイプ語を活用すべきである。
C 社会福祉調査の設問においては、専門用語や難解な言葉、略語などを使うべきではない。
D 社会福祉調査においては、すべての調査対象者が設問中の言葉の意味を理解できるように配慮すべきである。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○  ×  × ×
3 × ○ × ×
4 ○ × ○ ○
5 × ○ × ○



===========================
<解答>

問題7 3
A × 回収率が低いことが問題である
B ○  C ○ 正しい
D × これは参与的観察法の説明である。
*テキストP151から参照

問題8  4
A × 誤り。先行研究から学ぶ点等を参考にする必要がある。。
B ○ 正しい。
C × 誤り。調査員の主観は入らない。
D × 誤り。まずこの作業が必要である。
*テキストP158から参照

問題9 5
5 × 誤り。 ダブルバーレル質問は使用を避ける。
*テキストP170等参照

問題10  4
A ○  C ○  D ○ 正しい。
B × 誤り、使用を避ける。
*テキストP170等参照

2008/12/17(水) ソーシャルワーク関連科目・練習問題 <受験支援セミナーの復習・社会福祉調査3>
「援助技術論」・練習問題 <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習・社会福祉調査3>

問題3 社会福祉調査に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 社会福祉調査とは、社会調査の一応用分野である
B 社会福祉調査には、問題解決を指向し人々のよりよい生活及び福祉の向上を図ることに貢献しよういう価値意識が根底にある。
C ニーズ把握には2つのレベルがあり、個別的ニーズ充足のために個別に働きかけるニーズアセスメントと、個別的ニーズ充足を可能にする為の、サービスの運営・整備などの計画策定レベルでのニーズ把握がある。
D 問題解決的接近型の社会福祉調査とは、専ら問題の構造を明らかにするための調査であり、問題を解決することは目指していない。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○  ×  × ×
3 × × ○ ×
4 ○ ○ ○ ×
5 × ○ × ○


問題4 次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 基礎資料的接近型の社会福祉調査とは、「実態」や「意識」の基礎的な資料を収集することを目的とした調査である。
B 理論構成的接近型の社会福祉調査とは、一般理論または一般仮説を得ることを目的とした調査である。
C 全数(悉皆)調査とは、対象集団から無作為で抽出した調査対象のみを調べる調査である。
D 全数調査とは、標本調査と比較して信頼度は低いが、時間や労力、費用はかからない等の特徴がある。
(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 C D


問題5 次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 標本調査とは、標本抽出法を経て対象集団の一部を抽出し、標本に限定した調査を行なうものであるが、その結果から集団全体を推定することは、いかなる場合も出来ない。
2 標本調査の欠点とは簡便性、労力や費用、調査人員の節減できる点であり、利点は全数(悉皆)調査に比して誤差が大きいこと等である。
3 典型調査とは、調査目的に照らして典型的な範囲(母集団を代表すると見なされる一部)を選んで行なう、事例研究(質的調査)を主とした調査のことである。
4 集合調査法とは、調査員が個々の調査対象者を訪問して質問紙を配布し、記入後に回収するものであるが、質問内容の誤解や誤記入が生じる危険性が高い。
5 配票調査法とは、調査対象者を集めて行なう調査法であるが、集団での記入は集団効果の作用から回答の信憑性等の問題が生じる可能性がある。


問題6 次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 調査票を回収した後、自由記述の回答を一定の基準により分類し、分類したカテゴリーごとに特定の記号を付与することをSASコーディングという。
B KJ法は、収集した情報をカードに記入し、類似の内容のものをグループ化し、カード群の論理的関連性をつかみ、図解したり、文章化したりする技法である。
C クロス集計とは、2つの質問項目をかけ合わせて集計するもので、アンケート調査の集計では、一般的に用いられる集計方法である。
D 変数間の因果関係を検討するときに、原因となる変数を独立変数といい、結果となる変数を従属変数という。
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○  ×  × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ×
5 × ○ ○ ○



======================
<解答>

問題3  3
A ○  B ○  C ○  正しい
D × 問題を解決する答えを引き出すことを目的とする調査である。問題解決を指向する。
*テキストP145から参照

問題4  1
A ○  B ○  正しい
C × 全数調査とは、調査対象をすべて調べる調査である。
D × 全数調査は信頼度は高いが、時間や労力、費用がかかる等の短所がある。
*テキストP145から、P150等参照

問題5 3
1 × その結果から全体を推定する調査である。
2 × 欠点と利点が逆である。
4 × これは配票調査法の説明である。
5 × これは集合調査の説明である。
*テキストP150から参照

問題6  5
A × 誤り。 正しくは、アフターコーディング
B ○  C ○  D ○  正しい
*テキストP181から参照


*練習問題等の編集は、関屋光泰が行なっています。

2008/12/16(火) ソーシャルワーク関連科目・ポイント <受験支援セミナーの復習・社会福祉調査2>
<調査全般に関連>
■従属変数/独立変数
 年齢やADLなどのように,人によって(横断的に)異なり,一人の人のなかでも時間とともに(縦断的に)変化する要素がある。このようにバリエーションのある要素,あるいは変化する要素を変数とよぶ。そうした変数のなかには,別の要素あるいは変数が変化するとその影響を受けて変化するものと,他の変数の影響を受けないで単独に変化するものがある。前者を従属変数とよび,後者を独立変数とよぶ。

■クロス集計
・例えば,性別(女・男)による介護体験の有無の割合の違いを調べるときのように,関心の対象となる2変数がともに質的データ(測定値が名義・順序尺度)の場合に,2変数のそれぞれの値(カテゴリー)を縦・横に配置し,値の組合せごとに研究対象の度数を記入することによって2変数間の関係を明らかにするデータ集計法。クロス集計表,クロス表,分割表などともよばれることもある。


■調査票(質問紙)
・質問項目を記載したアンケート用紙(質問紙)。すべての調査対象者が,同じ調査項目について回答するようつくられるもの。
 調査票は、調査対象者が,その内容を容易に理解できる簡潔なものでなければならない。質問・回答形式には,回答を選択する選択肢法(多肢選択法,複数選択法),尺度を用いたリカート法,SD法,サーストン法,回答者が自由に記述する自由回答法などがある。調査票には,調査者が開発したものと,尺度としての信頼性・妥当性が検証されている標準化されたものの2種類がある。

2.質問紙調査の種類
*統計調査法による現地調査の手法は、主に質問紙を用いて調査する。

@配票(留置)調査法 (自記式)
*調査者が調査票を配布、調査対象者自身が記入し、一定期間後にそれを回収する。
[長所]調査対象者の都合に合わせられる。
[短所]本当に本人が記入したかわからない。

A集合調査法(自記式)
*調査対象者に一定の場所に集まってもらい、その場で配布・記入・回収を行う。
[長所]効率的に調査を行うことができる。
[短所]会場の雰囲気や集合的な効果が強く影響する。

B郵送調査法(自記式)
 郵送にて調査票の配布・回収を行う(留置調査の調査員を郵送に代えたもの)。
[長所]経費削減できる。広範囲を対象にできる。調査者の人的影響を排除可能。
[短所]留置調査の欠点がより強まる。回収率が低い。

C個別面接調査法(他記式)
*調査者が調査対象者に面接し、質問紙の順に口頭で回答を得、調査員が記入する。
[長所]誤記入が少ない。回収率が高い。設問の誤解が少ない。
[短所]資金と多数の調査員を必要とする。調査員の態度が調査者に影響する。

D電話調査法(多記式)
*調査者が電話をかけ、質問を読み上げながら回答を得る。
[長所]経費削減できる。短期間・広範囲の調査が可能。
[短所]すべての人が電話を持っているわけではない。調査拒否の危険性が高い。

補足:インターネット調査(自記式)
*調査対象者がインターネットのホームページ(フォーム)から直接回答する。
[長所]設計により、データセットの構築まで一気に可能。
[短所]機器利用率の問題。オープンに行う場合母集団の特定が困難。

* その他:FAX、E-mailなどを用いた方法。 
 郵送調査、電話調査、インターネット調査に類似。


3.質問紙法以外の調査方法
◆自由面接法
*状況に応じて質問を変えて、会話を通じて対象者から情報を収集する。主に事例調査で用いられる。 面接者が対象者の反応、状況に応じて質問を柔軟に調整する。

■生活史
・個人の人生が口述などの語りで表されたものをいう。こうした語りを収集,解読する質的調査法として生活史法がある。ただ生活史を聞く営みは,たんに個人の人生を再構成する次元にとどまらない。それは人がどのような問題を生き,どのような慣習や価値を大切にしてきたのかなど,語りをとおして人々が生きてきた生活文化に接近できる営みであり,人々の「生きられた知」「実践知」と出会い,その意義を考察できる重要な機会といえる。

■ご感想、ご質問など、sekiyaへのコメントは以下のフォームから送信してください。匿名、匿アドレス可です。質問の返信が必要な場合には、返信先アドレスをご記入ください。
 http://www.milmil.cc/user/hinkon/mailform.html

2008/12/15(月) ソーシャルワーク関連科目・ポイント <受験支援セミナーの復習・社会福祉調査1>
*「援助技術論」・練習問題 <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習>
*社会福祉調査法の解説 1
■ソーシャルワーク・リサーチ
・社会福祉サービスや政策の評価,ニーズや問題の把握,個別ケースでの介入や援助の効果測定,ソーシャルワークに必要な知識や理論構築といった,ソーシャルワークに関連するさまざまな質的調査・量的調査の総称。
 ソーシャルワーク・リサーチの最終目的は,社会福祉サービスの利用者やクライエントへの貢献である。さまざまなニーズや問題を抱える人たちに効果的なサービス,援助,政策を提供することは,社会福祉の専門職としての責任である。実証的,科学的に研究することによって,最善の援助や政策を提供することが可能となる。また,リサーチによって「なぜ,どのようにその問題が生まれるのか」,「福祉サービスや援助がどのように問題を軽減するのか」といたソーシャルワークに関連する仮説を構築したり,仮説を検証して理論をつくりあげていくことも,よりよいサービス提供や政策の策定に不可欠である。

・ソーシャルワーク実践にかかわる調査には,通常,ソーシャルワーク・リサーチの用語が使われる。社会福祉調査では,統計手法,横断的手法,縦断的手法,参与観察,などの方法を用いる。定量的調査,定性的調査という区別も用いられる。
 社会調査は,社会変化に伴って生じた都市の諸問題である貧困,住宅,労働状態,児童保護などに対する社会改良のための実態調査から発展した。この手法の先駆的代表として,イギリスのC. ブースによるロンドンの貧困調査,ラウントリーのヨーク調査がある。北米ではピッツバーグ調査からサーベイが盛んになった。
 ブースの社会調査では,統計的方法の展開によって貧困の客観的事実が明らかにされた。ラウントリー(ロウントリー)のヨーク調査は,戸別訪問による労働者階級の調査で,階級分類に家族総収入という数量的指標を用いて客観性および信頼性を追求する生活周期的視点をもち,因果追求的・科学的調査の典型となった。

■全数調査 population survey
・研究対象者全員を調査することを示し,悉皆 (しっかい) 調査ともよばれる。全数調査の例としては,国勢調査などがある。全数調査は,国などの人口状況を明らかにする場合に用いられることが多く,かなり限られた分野で実施されている。また,全数調査は,膨大な費用がかかるため,一般的な調査では,標本調査を行うことが多い。

■標本調査 sample survey
・研究対象者全員を調査する全数調査とは違って,研究対象母集団(研究対象者全員)から一定の手続を経て選んだ対象者を調査することを示す。標本調査では,選んだ標本が母集団の特徴を十分に反映した代表的な標本で(=標本の代表性)あるかどうかを検討しなければならない。そのため,標本調査においては,母集団の状況を正確に把握するために,標本の抽出は慎重に行うことが必要である。

■標本抽出法
・標本抽出の方法には,無作為抽出法と有意抽出法がある。無作為抽出法においては,研究対象母集団(研究対象者全員)から調査対象者の選ばれる確率が等しくなるように,乱数表などを用いて標本を選んでいく。無作為抽出で選ばれた標本を確率標本あるいはランダム標本とよぶこともある。一方,有意抽出法においては,確率ではなく,調査者が便宜的あるいは恣意的に標本を選んでいく。

◆無作為抽出法(random−Sampling)
@単純無作為抽出法
*不規則に並んだ数の中から標本に必要な数だけ選ぶという抽出法である。
*単純無作為抽出法とは:母集団(を網羅したサンプリング台帳)に1から番号をつけて、必要な標本の数だけ乱数表を引く、またはサイコロを振るなどして、その都度抽出する方法である。ランダム性が保証されるもっとも基本的な抽出法である。

A系統的抽出法(等間隔法)P165図5−4
*1回目は無作為に選び,その後は等間隔に選ぶ抽出法である(例:1回目が1〜10の中で3であれば,次は13,23…‥・)
*系統的抽出法(等間隔法)とは:母集団、標本の数が多い場合、無作為抽出法のように、標本数の数だけ乱数表を引くのは大変であるので、スタート番号だけ乱数表で決め、それ以降を等間隔で抽出する方法である。
 一般に、この方法が用いられることが多いが、単純無作為抽出法よりは「標本誤差」が大きくなる。

補足:多段抽出法
 無作為抽出で全国調査などを実施する場合、抽出された標本は広範囲でバラバラになる。実作業では、これらをひとつひとつ調査するのは膨大なコストがかかる。こうした場合、まず、第1段目にどの市町村を選択するかを抽出し、第2段目にそのエリアから個人をサンプリングする方法で、実査上、いろんな点ですぐれている。(抽出を複数段階繰り返す方法)

補足:層化抽出法
 すでにわかっている母集団の状況(例えば、男女比、年齢比など)にあわせてサンプリングする。母集団の男女比が3対7であれば、サンプルも同じ比率に合わせて抽出する。
*ほか、層化多段抽出法などがある。

2008/12/14(日) ソーシャルワーク関連科目・練習問題&ポイント <福祉士受験支援セミナーの復習>
*「援助技術論」・練習問題 <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習>

問題23 一般システム理論に関する次の文章の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして、適切なものを一つ選びなさい。

システムは発展、安定、均衡(定常状態)を維持するためにエネルギーを消費し、最終的には死滅(非活性状態)に至る。これを( A )という。またシステム内の一つのサブ・システムが変化すると、その変化が他のサブ・システムと相互作用を行い、結果としてシステム全体が影響を受ける。これを( B )という。
しかし一方で、システムはその構造と特徴を保持する傾向がある。( A )を防ぐために環境から新たな資源・情報・エネルギーをインプットすることにより、システムを強化する力のことを( C )という。
 (組み合わせ)
A B C
1 ホロン 等結果性 総和性
2 エントロピー 互酬性 シナジー
3 エントロピー 等結果性 シナジー
4 ホロン 互酬性 エントロピー
5 シナジー ニッチ   エントロピー


問題24 次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A ナラティブ(物語)・モデルの考え方では、クライエントの現実として存在し、支配している物語を、ソーシャルワーカーはクライエントとともに共同して見いだしていく作業が求められる。
B エンパワメントの考え方は、クライエントが自ら力を回復し、自分たちを取り巻く問題状況を解決していけるようにしようというものである。
C SST(生活技能訓練)の考え方は、主として精神分析理論に大きな影響を受けたとされているクロポトキンによって提唱された。
D ソーシャルワークの統合化は北米で起こったが、統合化に影響を与えた理論的動向としてソーシャルワークに役割理論が導入されたことが挙げられる。
 (組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ×
3 × ○ × ○ 
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○

問題25  記録の様式に関する次の文章の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして、適切なものを一つ選びなさい。
面接を時間的順序に沿って記述する様式のものを( A )という。( A )で書かれた記録をもとに、援助者(記録者)の考察を経て再整理し主眼点を明確にしようとするものを( B )という。また、援助者(記録者)の主観的な考えや解釈を記録したものを( C )という。
(組み合わせ)
A B C
1 説明体 叙述体 要約体
2 説明体 解明体 叙述体
3 要約体 簡略体 叙述体
4 叙述体 省略体 要約体
5 叙述体 要約体 説明体



============================
<解答>

問題23 正答 2
テキストT P.100〜101参照

問題24 正答1
C × 誤り。SST(生活技能訓練 social skill training)とは、R.Pリバーマンが始めた認知行動療法である。
ピョートル・クロポトキンは、『相互扶助論』等を著した。
D × 誤り。一般システム論

問題25 正答5
Aは叙述体、Bは 要約体、Cは 説明体。
(テキストp.357〜360)


<重要ポイント解説>
*SST 生活技能訓練 social skill training ; SST
 対人関係のもち方に困難がみられる人を対象にした,日常生活を送るうえで必要となる対人関係のスキルを習得するための援助方法。
 主に対象とされるのは,知的発達遅滞や情緒障害,学習障害,身体障害,精神障害をもっている児童や成人である。方法としては,小グループを用いて,観察やロールプレイング(役割演技)などを通して具体的な行動や認知の技法が習得できるような,一連のプログラムが展開される。

2008/12/13(土) ソーシャルワーク関連科目・練習問題&ポイント<受験支援セミナーの復習>
*「援助技術論」・練習問題 <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習>

問題21 次の記述のうち,適切なものに○,適切でないものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 人間の福利(ウェルビーイング)と社会の変革を進め,人びとのエンパワメントと解放を促していくことが,国際ソーシャルワーカー連盟の「ソーシャルワークの定義」(2000 年)で唱えられている。
B ストレングスアプローチでは,クライエント固有の強さ,クライエントの有する資源や問題解決能力に焦点を当てるアセスメントや介入を行う。
C ソーシャル・インクルージョンを目指すことが,日本社会福祉士会の倫理綱領(2005 年)で,社会に対する倫理責任のーつとして唱えられている。
D モダニズムといわれる社会構成主義を背景とする「ナラティブアプローチ」は,個人と社会を客観的実在ととらえ,援助介入の焦点を個人と社会の両方に当てる。
(組み合わせ)
  A   B   C  D
1  ○  ○  ○  ×
2  ○  ○  ×  ×
3  ×  ○  ○  ×
4  ×  ×  ×  ○
5  ○  ×  ○  ○


問題22 ソーシャルワークのアプローチや実践モデルに関する次の記述のうち,適切なものに○,適切でないものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A エンパワメント・アプローチでは,クライエント自身が,問題解決のためにもてる力を十分意発揮できるように支援する。
B ナラティブ・アプローチは,クライエントが語るストーリーを重視して,新たな意味の世界を創り出すことを援助する。
C エンパワメントについて、ゴードン・ハミルトンは『黒人のエンパワメント』を刊行し、「スティグマの対象となり、否定的な評価を受けてパワーが欠如した状態の人々」に注目した。
D ケアマネジメントでは,クライエントを支援するために,社会資源を有効に活用したサービスの調整を図る。
(組み合わせ)
  A   B  C  D
1  ○  ○  ○  ×
2  ○  ○  ×  ○
3  ×  ○  ×  ○
4  ○  ×  ○  ○
5  ×  ×  ○  ×


==========================
<解答>

問題21 正答1
A.○。国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)の「ソーシャルワークの定義」は,2000 年7 月27 日にカナダのモントリオールにおける総会において採択された。その定義は,「ソーシャルワークの専門職は,人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して,社会の変革を進め,人間関係における問題解決を図り,人々のエンパワメントと解放を促していく。ソーシャルワークは,人間の行動と社会システムに関する理論を利用して,人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は,ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。」と明記されている。
B.○。ストレングスとは,利用者の長所または強さのことであり,それを活用するという視点がアプローチの核である。語りの中から前向きで力強い部分に焦点をあて,それを支援し,強化していく方法論である「ストレングスアプローチ」は,プラス面を積極的に評価していくことによって,従来のネガティブな利用者間からの脱却を図るというものである。
C.○。(ソーシャル・インクルージョン)「社会福祉士は,人々をあらゆる差別,貧困,抑圧,排除,暴力,環境破壊などから守り,包含的な社会を目指すよう努める。」と規定されている。(日本社会福祉士会の倫理要領)
D.×。ポストモダニズムの構成主義では,客観的で変わらない現実など存在しないと考える。構成主義のアプローチに従えば,現実を,そこに生きる人々が言語を用いることによって構成されたものとして理解する。アメリカのソーシャルワークの領域で台頭してきた社会構成主義の動きは,1990 年代以降になって本格的に浸透してきたポストモダニズムの認識と連動するものであり,従来のソーシャルワークの限界に対する自覚と反省を主な起点として展開されている。ナラティブ(物語)・モデルの考え方では,利用者の現実として存在し,支配している物語を,ソーシャルワーカーは利用者とともに共同して見いだしていく作業が求められる。

問題22 正答2
C.× 誤り。正しくは「バーバラ・ソロモン」。ハミルトンは診断主義の研究者である。


<重要ポイント解説>
*ナラティブ・セラピー narrative therapy
 社会構成主義に基づく精神療法。社会構成主義は,これまでの主観・客観の二分的見方をとらず「現実は人々の間で構成される」とする。この前提から人々の経験している現実とは別の客観的な事実は想定できないとして,理解は治療の場におけるクライエントとカウンセラーの間の対話そのものにあるとする。「無知のアプローチ」に基づく「いま,ここで」の対話とその解釈が重視され,「治療的対話」に主眼がおかれる。

*構成主義
 現実は客観的な単一の世界として存在するのではなく諸個人が現実を構築するとみなす理論。社会学,心理学,文化人類学,歴史学などの分野で台頭している。学問的には多義的に使用されており,欧米でも用語が統一されず,また,わが国では訳語も統一されていない。ソーシャルワークにおいても,新しい概念枠組として,1990年代以降に取り上げられている。

*社会構成主義
 社会的慣行や社会的相互作用から人々が世界を構成する枠組が生まれ,それは言語によって媒介されると考える理論。客観的な世界が実在するという論理実証主義に対する批判、ポストモダンである。また、社会構成主義は社会的相互作用を強調する。ソーシャルワークにおいては,ナラティブ・セラピーの影響を受けた家族中心ソーシャルワークが積極的に取り込んでいる。

2008/12/12(金) ソーシャルワーク関連科目・重要ポイント<受験支援セミナーの復習>
「援助技術論」・重要ポイント <MGU 福祉士受験支援セミナーの復習>
*ストレングス視点 strengths perspective
 アメリカのソーシャルワーク実践理論において,1980年代以降提唱されている視点。それまで支配的であった病理・欠陥視点を批判する立場をとる。ストレングスとは,人が上手だと思うもの,生得的な才能,獲得した能力,スキルなど,潜在的能力のようなものを意味する。ストレングス視点とは,援助者がクライエントの病理・欠陥に焦点を当てるのではなく,上手さ,豊かさ,強さ,たくましさ,資源などのストレングスに焦点を当てることを強調する視点であり,援助観である。

*エンパワーメント empowerment
 看護や心理学などさまざまな隣接分野でも用いられており,それぞれ意味が微妙に異なる。ソーシャルワークにおいて一致した定義はいまだないが,おおむね,個人,家族,集団あるいはコミュニティが,その個人的,対人関係的,社会経済的および政治的な影響力(パワー)を強め,それによってその取り巻く環境の改善を実現させていくこと,あるいはそれらが実現された状態を意味している。パワーの脆弱化,無力化をディスエンパワーメント(disempowerment),パワーの欠如状態をパワーレスネス(powerlessness)とそれぞれよんでいる。
 ソーシャルワークにおいてこの概念を初めて取り上げたのは,ソロモン(Solomon, B.)の著書『黒人のエンパワーメント』(1976)であるといわれている。そこでは,アフリカ系アメリカ人がイギリス系アメリカ人に比較してパワーの欠如した状態にあること,それがスティグマによる否定的評価と社会的な抑圧によるものであり,その結果として,社会的役割を遂行するうえで有用な資源を活用できない状態に陥っているという図式が提示された。こうした状態にあるクライエントに対して,パワーの回復を図っていくソーシャルワークのプロセスに「エンパワーメント」という名称が与えられたのである。それ以降,1980年代から取り上げられるようになり,90年代に入ると,デュボアとマイリー(Dubois, B. & Miley, K.),グティエーレス(Gutierrez, L.),リー(Lee, J.)などによっておのおののソーシャルワーク理論の中核に位置づけられるようになる。
 さらに,人種・民族上の少数者にとどまらず,さまざまなマイノリティの人々,例えば,高齢者,障害者,同性愛者,貧困者層などに対するソーシャルワークの取組みにこの概念が適用されていくようになった。このように,エンパワーメントがソーシャルワークに浸透していった背景には,社会経済的な不公平にソーシャルワークが有効に対応できていないという批判と,その裏返しとしての伝統的な医学モデルからの脱却という課題の存在があった。エンパワーメント概念は,生態学的視点にそうことによって,医学モデルに代わる新たな視点を打ち立てるのに貢献したといえる。
 この概念に基づくソーシャルワーク実践は,すべての人間はどのような悪い状況にあってもそれを改善していける能力とパワーを有しているという基本的人間観にたち,クライエントとワーカーとのパートナーシップを通して,クライエント自身がエンパワーメントしていくことが目標になる。加えて,以下のような特徴があることが指摘されている。@制度や社会構造との関係において人はパワーが欠如した状態におかれ,その結果,社会資源をコントロールしたり,獲得することが困難になる,Aクライエント= ワーカー関係におけるパワーの不平等性はクライエントのエンパワーメントを阻害する恐れがあるために,両者がパワーを共有しあえる協働関係の樹立が望まれる,Bクライエントとそれを取り巻く環境の強さ(strength)が強調される,Cワーカーの介入は,ミクロからマクロにまたがるジェネリックなアプローチが基本とされる,Dパワーの欠如状態を発生せしめた原因は主にマクロ的なものであるという認識から,特に資源配置上の公平性確保といった政治的パワー回復が重視される,E問題解決の前提として,クライエントが変化に向けての責任をもつべきであるという視点にたつ。
 わが国の社会福祉制度の基本をなしていた父権的保護主義(パターナリズム)からの脱却を実現する意味でも,エンパワーメントの促進とそれを可能とする技法の開発,およびそれらの基盤をなすエンパワーメントの理論的精緻化は不可欠であると考えられる。


*一般システム理論 general systems theory
 1968年,生物学者バータランフィ (Bertalanffy, L. v.) によって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられている。この理論は,ニュートン力学など,それまで主流だった還元主義に基づく近代科学に対して,有機体の構成要素を分断せず,構成要素間の関係性に注目した点に特色がある。
 具体的には,@有機体の各構成要素間の相互作用・相互制御に基づく全体性の存在,A開放システムによる外的諸条件との相互作用,B構成要素間あるいは外的条件との間で生じるフィードバック・メカニズムとシステム維持機能 (ホメオスタシス),といった三つの基本概念から有機体システムの特徴を説明している。生物学にとどまらず,物理学,心理学,あるいは社会科学で扱われるいかなるシステムにも適用できる一般的特性を示しており,多くの分野でシステム分析のために活用されている。
 社会福祉分野では,1980年代以降,エコロジカルな視点に基づく方法論の統合化が行われた際,「人と状況の全体性」を捉える理論的枠組として重要な役割を果たした。


■ご感想、ご質問など、sekiyaへのコメントは以下のフォームから送信してください。匿名、匿アドレス可です。質問の返信が必要な場合には、返信先アドレスをご記入ください。
 http://www.milmil.cc/user/hinkon/mailform.html

2008/12/11(木) ソーシャルワーク関連科目・練習問題<受験支援セミナーの復習>
<援助技術論>練習問題 「MGU 福祉士受験支援セミナー」の復習

問題17 ケアマネジメント(ケースマネジメント)が登場した背景に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 橋本泰子は、「ケアマネジメントとは,複合的なサービスニーズをもつ利用者が,安全で安定した自分らしい日常生活を自宅で長期的に維持できるよう,利用者一人ひとりのためのケア態勢をマネジメントする地域ケアの技術である」と定義した。
B イギリスでは、1970年の「地方自治体社会サービス法」の制定によって制度化された。
C 日本では、1989年にゴールドプランに基づいて在宅介護支援センターが設置され翌年事業化されたことを機に、実践が本格化した。
D アメリカでは、1970年代半ば、精神障害者が病院や施設を出て、地域での日常生活に適応していくための援助技術として開発された。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○  ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × × ○ ○
5 × ○ ○ ○


問題18 ケアマネジメントに関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A サービス提供の効率性・効果性が重要視される。
B 提供可能なサービスをプランニングするので、サービス提供者側の立場に立った援助方法である。
C ケアプランが作成された段階で全て終了となる。
D 制度化されたサービスとインフォーマルな支援のネットワーク化が目指される。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ×  ○
2 ○  × × ×
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ×
5 × × ○ ×


問題19 ケアマネジメントが登場した背景(理由)として、適切でないものを一つ選びなさい。

1. サービスニーズの短期化
2. 複合的なサービスニーズをもつ人の増加
3. コミュニティケア、在宅ケアの推進
4. 社会サービスの種類の増加
5. 社会サービスの供給主体の多元化


問題20 ケアマネジメントに関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 支援者チームの構成員は、必要な情報を提供しあって情報を共有しなければならない。
B ニーズアセスメントやケアプランの作成は、支援者チームの意見を集約したうえで、、最終的にケアマネージャーが一人で(作成等を)行う。
C ケアマネージャーを含む支援者チームによって行われるが、そのメンバーは同一の機関に属する職員でなければならない。
D 支援者チームには、利用者本人や家族が参加することもあり得る。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○  × × ○
3 ○ ○ × ×
4 × × ○ ○
5 × ○ ○ ×



========================
<解答>

問題17 正答3
B× 1990年の「国民保健サービス及びコミュニティケア法」
*テキストP324等参照。


問題18 正答3
B× C×
*テキストP326等参照

問題19 正答1
 複合的かつ長期的ニーズをもつ人の増加というのが、背景として重要である。
*テキストP318等参照


問題20 正答2
B× (素案をケアマネージャーがまず作ることはあるが、)支援者チームの構成員が全員でアセスメントし、支援計画(ケアプラン)を立てるのが原則。
C× 理論上のケアマネジメントでは、支援者チームは多機関・多職種の職員によって構成されるのが原則。

*練習問題等の編集は、関屋光泰が行なっています。

2008/12/10(水) ソーシャルワーク関連科目・練習問題<受験支援セミナーの復習>
<援助技術論>重要ポイント解説 <MGU受験支援セミナーの復習>
■ケアマネジメント care management
 利用者を中心とするインフォーマルな支援と在宅サービスのネットワークを形成し,運営する方法。アメリカにおいて,1960年代に起こった精神障害者や知的障害者の脱施設化運動に端を発し,施設ケアから在宅・地域ケアへ生活支援サービスの提供の場が移行するなかで,地域で暮らすために必要なサービスを統合し,継続的な援助を行うための手法として,1970年代なかばにケースマネジメントとして確立された。1980年代には,病院や施設での長期ケアにかかる社会的費用を抑制するため,在宅・地域ケアを効率的に行う方法として,メディケアやメディケイドの枠内でもケースマネジメントが行われるようになった。
 イギリスでは,1980年代末に,地域ケアサービスを統合することを強調する意味から,ケアマネジメントとよばれるようになった。
 わが国でも,介護保険制度導入により,要介護高齢者に総合的な介護支援サービスを提供するため,居宅介護支援事業の領域で実践されている。
 ケアマネジメントは,複数のニーズをもった利用者およびその家族を中心としたサービス提供のアプローチであり,地域に散在し,連携・調整機能を基本的にもたない縦割り的な社会資源を,ネットワーク化することによりケアの統合と継続性を達成する方法である。また,社会資源として,行政機関などによるフォーマルなサービスだけでなく,家族,親戚,友人,同僚,近隣,ボランティアなどのインフォーマルな資源も積極的に取り入れる。さらに,ケアマネジメントでは,利用者の自立支援および自己決定という理念のもと,利用者自身がもつ能力や資産などの内的資源を最大限に活用することが求められる。社会資源を活用し,ケアサービス利用者が適切なケアを必要なときに必要なだけ受けられることにより,安定した状態で生活することが可能となると同時に,サービスの効率的提供が可能となる。サービスを実施する保健・医療・福祉などの専門職者およびインフォーマルな支援者の集団がチームとして機能するために,その連絡・調整の中心にケアマネジャーがおかれる。利用者および家族は,サービス提供組織と個別に交渉する必要がなく,ケアマネジャーという窓口を活用することで必要なサービスを適切に受けることが可能となる。生活支援チームを誰がまとめるかはチームの構成や状況により異なり,介護保険制度のケアマネジメントでは,多様な関連専門職従事者に介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格を与えている。
 ケアマネジメントを展開していく援助過程は,@多面的,包括的に利用者の状況,ニーズ,問題,自己ケア能力などを把握するアセスメント,A利用者・家族の意向などをもとにニーズの優先づけを行い,援助目標をたて手段を組み合わせるケアプラン策定,B計画に基づいた援助サービスを実施するケアプランの実行,C実施されたサービスがケアプランどおりに行われているか,利用者の変化に対応できているか,などの状況を見守るモニタリング,Dケアプランの目標達成の度合,援助効果,利用者の満足度などを見定める評価,の各段階から構成される。要介護状態にある利用者などの生活支援は,一定の結果がでれば終結するというより,評価をもとに再アセスメントを行い,継続性をもって援助過程が繰り返されることで,変化する利用者の状況やQOL向上に貢献することになる。また,モニタリングの機能を活用することで,緊急時などの状況変化に適切に対応できることが期待されている。

■ケアプラン care plan
 ケアマネジメントにおける「ケアプラン」とは,援助対象者に必要なサービスを総合的・一体的にサービス・パッケージとして示していくものである。ケアプランは,ケアチームを構成する関係者が一緒になって,ケアの基本方針を共有しながら進めていくために不可欠である。

■ケアマネジャー care manager
 ケアマネジメント・プロセスのアセスメントからモニタリングに至る全過程において,サービス利用者や介護者の自立を促進しQOLの向上を図るために,ケアチームの総括者としての役割を担う。これはケアマネジャーがすべてを直接一人で担当するということではなく,チームメンバーのそれぞれの専門性を生かした活動の全体を束ねる調整者であることを意味する。要支援,要介護ニーズの発生要因,発生過程を幅広く全体として捉える視点をもち,課題解決に向けて関係機関と積極的に調整できる能力が求められる。主な役割は,利用者や介護者の意向を把握し,ケア方針を定めたうえで,直接・間接を問わずアセスメント情報を集約し,ニーズを導き出し,目標設定,解決のために必要なサービス,サービス種別の検討を含むケアプランに関するまとめ役を務める。そのほかに,確認・調整のためにサービス担当者会議を開催し,プランが実行に移された後も,継続的に状況を把握し,必要に応じて再アセスメントやケアプランの見直しをする。ケアマネジャーには,フォーマル・サービスに限らず,インフォーマル・サービスの開発や地域の関係者に支援の働きかけをし,ネットワークづくりに至る活動が求められる。

 介護保険制度における介護支援専門員も,ケアマネジャーと通称されている。介護支援専門員は,毎年1回,各都道府県または都道府県の指定する団体が実施する実務研修受講試験に合格した後に,実務研修(講義,実習,演習)を受講し,登録した者である。実務研修受講試験の受験資格は,医師,看護師,保健師,社会福祉士,介護福祉士など,保健・医療・福祉分野で所定の資格を有し,実務経験期間が5年以上(資格のない場合は,介護に関する実務経験が10年以上)となっている。

2008/12/09(火) ソーシャルワーク関連科目・練習問題<受験支援セミナーの復習>
<援助技術論>練習問題<MGU受験支援セミナーの復習>

問題14  次の記述のうち、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 北米では、1970年代半ばから学部レベルのソーシャルワーク教育が強調されるようになり、「スペシャリスト」の養成が主流となった。
B G.ハーンは生態学(エコロジー)をソーシャルワーク理論に応用することが可能であると考え、1950年代にその成果を発表した。
C ジェネリック・ソーシャルワークとは、専門分化したソーシャルワークの方法に内在する共通項を確認し列挙したものであり、援助体系や援助過程を備えた実体のあるソーシャルワーク論とはいえない。
D A.ハートマンとJ.レアードなどは、ソーシャルワークの実践論に社会構成主義の考えを取り入れた。
(組み合わせ)
1 A C
2 A D
3 B C
4 B D
5 C D


問題15 ソーシャルワークにおける効果測定等に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A ソーシャルワークにおける評価とは,アウトカム評価(outcome evaluation)のみであり、成果・効果を獲得することのみがソーシャルワークの課題である。
B プラシーボ効果とは、実際に用いられた介入や援助による効果のことである。
C 単一事例実験計画法とは、対象者を、援助・介入を実施した実験群と、援助・介入を実施しない統制群に分けて、追跡調査を通じて2つの群を比較研究することにより、援助・介入の効果を明らかにしようとする方法である。
D アウトカム(結果)評価とは、福祉プログラムや福祉における援助が,その利用者にとって最終的に有益であったのかどうかを確認するために行う評価方法である。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○   × × ○
3 × ○ × ○
4 × × × ○
5 × ○ ○ ×


問題16 ケアマネジメント(ケースマネジメント)に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 イギリスでは、1990年に制定された「国民保健サービス及びコミュニティケア法」によってケアマネジメントが制度化された。
2 1994年に高齢者介護・自立支援システム研究会は「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」と題する報告書をとりまとめた。
3 地域保健の分野で用いられている「ケア・コーディネーション」という用語は、内容的には,ケアマネジメントとほとんど変わらないとされる。
4 白澤政和はケアマネジメントを、「対象者の社会生活上での単一のニーズを充足させるため適切な社会資源と結びつける手続きの総体」と定義した。
5  D.P.マクスリーによるケア(ケース)マネジメントの定義とは"対人サービスや機会や給付の調整を促進するための,利用者の立場に立つ方法である"といった内容である。


=====================
<解答>

問題14  正答 5
A× 「スペシャリスト」ではなく、ジェネラリスト。
B×  G.ハーンは、「生態学(エコロジー)」ではなく、一般システム論を応用した。
C D 正しい。
テキストT P111、P128等参照

問題15 正答4
A × 誤り。アウトカム評価(outcome evaluation)とプロセス評価(process evaluation)がある。
B × 誤り。実際に用いられた介入や援助による効果ではなく,たんに効果的な介入や援助を受けたという思い込みによって症状や問題が軽減することである
C × 誤り。集団比較実験計画法

問題16  正答4
「単一のニーズ」が誤り。

<解説>
■結果評価 outcome evaluation
 社会福祉事業のプログラムや、社会福祉における援助が,その利用者にとって最終的に有益であったのかどうかを確認するために行う評価方法である。過程評価は,プログラム(援助)実施中あるいはプログラム(援助)終了直前に,設定された目標の到達度や変更点などを明確にするために行われるが,結果評価は,プログラム(援助)終了時の結果から,プログラムや援助の効果、有効性を判断するために行われる。

■過程評価 process evaluation
 福祉プログラムや福祉における援助がプログラム計画や援助計画で作成された目標を達成できているかどうかを確認するために行う評価方法である。過程評価においては,プログラムや援助の実施段階で,先に計画で作成された目標が達成できたかどうかを確認し,目標達成が難しい場合には,目標をどのように変更すればよいのか,あるいは,目標達成が難しくなる要因は何か,などを考えていく必要がある。

2008/12/08(月) ソーシャルワーク関連科目・練習問題<受験支援セミナーの復習>
<援助技術論>練習問題<MGU受験支援セミナーの復習>

問題4 次の記述のうち、医療ソーシャルワーカーの業務として適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 患者の療養生活の途上における困難の解決のために各種の社会資源を動員させる。
B 患者の病気の社会的・心理的側面を明らかにし、治療との関わりを探索し、それを医療スタッフに説明する。
C 患者が自分の病気を自覚し、療養生活に適応できるように援助し、社会復帰を促進させる。
D 医療スタッフ(医師や看護師)と協働して、患者に対する直接的な治療を行う。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ × ○ ○
2 ○  ○ ○ ×
3 × ○ ○ ×
4 × ○ × ×
5 ○ × × ○


問題5 次の記述のうち、ストリートレベルの官僚制に関する説明として、適切なものを一つ選びなさい。

1. 第一線職員は自ら提供・配分できるサービスや資源が限られているため、すべての市民・利用者の個別的ニーズに平等かつ十分に応えることは難しい。
2. 第一線職員の業務は、法律や要綱、職場内のルールやマニュアルによって規格化しやすい。
3. 第一線職員は組織の最下部に位置づけられるため、市民・利用者の個別性に応じて、柔軟なサービス提供を検討し実行することは難しい。
4. 第一線職員は、市民・利用者と直接交渉する立場にあるので、市民・利用者と対等な関係をつくりやすい。
5. 第一線職員の業務は、明確な評価基準によって客観的に評価しやすい。


===========================
<解答>

問題4 正答 2
A B C は正しい。
D× 「医療スタッフとの協働」はするが、「直接的な治療」はしない。※医師や看護師の資格がなければ「直接的な治療」はできない。


問題5 正答 1
 1 ○ 正しい。
2× 第一線職員の仕事は、個別的な相互作用を通して行われるパーソナルな性格の強いものであって、完全に規格化できない性質をもつ。
3× 業務を完全に規格化できないゆえに、サービス提供に関して第一線職員が実質的な裁量をもつ。そのことのメリットとして、「柔軟なサービス提供が可能」ということが挙げられる。
4× 第一線職員のほうが市民・利用者よりも多くの知識・情報を掌握していることから、必然的にパワーインバランスが生じる。
5× 上記2と同じ理由で、明確な評価基準の設定も難しい。


<解説>
■官僚制 bureaucracy
 複雑で大規模な組織において,成員の秩序だった活動と効率的な目標達成のために合理的に分業化された管理・運営の体系。主な特徴としては,公的に採用された職業的行政幹部の存在,合理的規則の支配と文書主義,一元化された命令権限のヒエラルヒー,人間関係の非人格性と公私の分離,職務の専門化と明確な規定などがあげられる。これによって,恒常的に安定し,予測可能な組織活動が達成される。しかし,規則遵守が自己目的化して非能率になる弊害,効率優先のため組織の歯車になることに感情をもった人間が耐えられるかなどのマイナスの面も存在し,現在は権限重視のヒエラルヒー型組織から機能重視のネットワーク型組織への模索が課題でもある。また,官僚制のもとで働く官僚の種類として,文書作業を中心に法律作成や政策の企画・立案・決定を行うテクノクラート官僚と,現場や窓口でクライエントと直接接しながら審査・相談・援助などを行うストリート官僚にわけることができ,行政のソーシャルワーカーなどは後者に該当する。

■ストリート・レベルの官僚制 street-level bureaucracy
 アメリカの政治学者リプスキー(Lipsky, M.)によって提唱された概念で,官僚制の問題は,大きな行政組織の問題にとどまらず,実際に政策を運用し大きな裁量権を発揮するストリート・レベルのワーカーとその対象者の間でも論じられるべきだとする。それは,わが国の頑迷な中央集権制とは異なり,社会福祉政策や行政の権限が明確に地方に役割分担されている国々では,利用者参加やサービス評価などで有用な議論となりえよう。

■ご感想、ご質問など、sekiyaへのコメントは以下のフォームから送信してください。匿名、匿アドレス可です。質問の返信が必要な場合には、返信先アドレスをご記入ください。
 http://www.milmil.cc/user/hinkon/mailform.html

2008/12/07(日) ソーシャルワーク関連科目・重要ポイント<受験支援セミナーの復習>
<援助技術論>重要ポイントの解説
■解説:医療ソーシャルワーク
 保健・医療領域におけるソーシャルワークである。医療機関のソーシャルワーカーとして,主として疾病にかかった人が医療を受けるのに妨げとなる心理社会的問題の解決や,疾病によって必要となってきた生活再構成への援助を行う。
 英国では、1895年,生活困窮者への資源の効率的運用のために患者の生活の全体を把握し,援助する役割として,アルマナー(almoner)とよばれるソーシャルワーカーが王立施療病院におかれた。
 米国では1905年,マサチューセッツ総合病院のキャボット(Cabot, R. C.)医師が,患者を理解するためには身体状況だけではなく,精神状況や環境的な背景を把握することが必要として,ソーシャルワーカーをおいた。
 日本では1920年代,済生会病院,聖路加病院でのソーシャルワーク活動が始まりとされる。
 厚生省(当時)により医療ソーシャルワーカーの業務指針がだされ(通知,平成元年健政発188号),医療の場でソーシャルワーカーが実際に行っている業務が次のように整理されている。
 @経済的問題の解決,調整援助:医療費,生活費等の経済的な問題に対して社会福祉,社会保障の諸制度を活用できるように援助する。
 A療養中の心理的・社会的問題の解決,調整援護:生活と傷病の状況から生ずる心理的・社会的問題に対して,各種サービスの活用や人間関係の調整等の援助を行う。
 B受診・受療援助:生活と傷病の状況に適切に対応した医療の受け方についての援助,診療に参考となる心理社会的情報の収集および医師への提供等,受診・受療が適切に行われるよう援助する。
 C退院(社会復帰)援助:退院・退所に伴い生ずる問題に対して,各種の施設やサービスの活用等,問題の解決,調整に必要な援助を行う。 D地域活動:地域の患者会やボランティアの育成,地域ケアシステムづくり等を行い,地域保健医療福祉システムづくりに参画する。

 医療ソーシャルワークの業務は,時代とともに大きく変遷している。現在,一般的に医療ソーシャルワーカーが医療機関から最も期待されている役割は,従来から退院計画(discharge planning)として知られていた,退院援助である。入院治療の段階を終了した患者を円滑に次の生活場所へと移していく業務である。医療費の財源問題から,各医療機関での入院期間の短縮化が要請され,それが退院援助と結びつき,医療ソーシャルワーカーの業務として強く求められている。また医療組織が病院のみでなく老人保健施設,在宅介護支援センター,介護保険の介護支援事業所等を併設するようになり,そのなかでソーシャルワーカーが活躍する場も広がった。
 このような動向は肯定的な面ばかりではない。ソーシャルワーカーにとってその使命が厳しく問われる局面でもある。医療機関で働く以上は所属する組織からの要求や期待は受け入れなければならないが,一方,ソーシャルワーカーである限りは患者の人間としての尊厳の尊重や権利保障というソーシャルワークの価値・倫理を譲ることもできない。採算性がより厳しく問われる医療組織のなかで,所属機関の要求を受け入れつつ,患者を守る立場をいかに保つかかが、課題である。

■精神医学ソーシャルワーク
 精神保健福祉領域において,精神障害者の社会的復権や,その自立と社会参加の促進に向けて援助を行うこと。
 精神病院,総合病院精神科,精神科クリニック,保健所,保健センター,精神保健福祉センター等の保健・医療機関,授産施設,福祉ホーム,福祉工場,地域生活支援センター,グループホームや小規模作業所等,社会復帰のための法内・外施設などで行われる。
 社会福祉学を学問的基盤にもち,精神科領域のチーム医療のなかでは主に生活面を担当し,精神障害者,家族,地域全体を視野に入れながら,精神医療・保健・福祉の基盤整備と向上のために活動し,その対象範囲は医療・保健・福祉にとどまらず,教育・労働・政策立案への提言等,幅広い分野にわたる。
 日本では,1997年12月に成立した精神保健福祉士法により,精神医学ソーシャルワーカーは「精神保健福祉士」として名称独占の国家資格となった。

■精神保健福祉士
 1997年の精神保健福祉士法に基づく,精神科ソーシャルワーカー(PSW)の国家資格。精神科病院に入院をしている精神障害者の退院促進と社会参加,地域での在宅生活支援を担う専門職として,精神科医療機関のほか,精神保健福祉センター,保健所,精神障害者社会復帰施設等に勤務している。保健福祉系4年制大学を中心に,一般養成施設・短期養成施設の設置が進んでいる。全国組織として日本精神保健福祉士協会(日本PSW協会)がある。

2008/12/06(土) ソーシャルワーク関連科目・練習問題<受験支援セミナーの復習>
「援助技術論」スーパービジョンについて
<MGU 福祉士受験支援セミナーの復習問題>

問題1 スーパービジョンに関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A スーパービジョンは、新人のワーカーや実習生に対してのみ行われるものであり、熟練した援助者にはスーパービジョンの必要性は無い。
B スーパービジョンの三つの機能のうち、最近は「支持的機能」への関心が高まっている。
C スーパービジョンは、スーパーバイジーが援助に困難を感じているときのみ行われるものであり、スーパーバイジーの希望がなければ行われることはない。
D 施設や機関などの職場内で職場の上司(先輩)が新人スタッフに対して行うものだけがスーパービジョンであり、職場外での研修などはスーパービジョンとは明確に区別される。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○  × ○ ○
3 × ○ × ○
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○


問題2 スーパービジョンに関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 通常のピア・スーパービジョンとは、スーパーバイザー同士が互いに事例を出し合ってスーパービジョンを行うことである。
B ライブ・スーパービジョンでは、ロールプレイングを活用することが多い。
C グループ・スーパービジョンは、グループを活用してスーパーバイジー同士の相互作用による質的な向上を目指すものであり、その過程は集団援助技術の過程とほぼ同じである。
D 個別スーパービジョンでは、スーパーバイザーはケースワークと同じような面接技法を用い、また、スーパーバイジーの援助記録をもとにディスカッションが行われることもある。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ × ×  ○
2 ×  ○   × ○
3 × × ○ ○
4 ○ ○ × ×
5 ○ × ○ ○


問題3 スーパービジョンに関する次の記述のうち、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A スーパーバイジーが作成した面接の過程記録を用いて、担当事例についてスーパーバイザーとともに(一対一で)検討することをピア・スーパービジョンという。
B 個別スーパービジョンでは、スーパーバイジーの自己覚知を促すことも重要である。
C 実習先で学生の側に実習指導者がつき、一緒に利用者とかかわるものを「実習指導スーパービジョン」という。
D ライブ・スーパービジョンでは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが一緒に参加してケースに対応する。
(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 C D



==============================
<解答>

問題1  正答4
A× 授業で説明。熟練した援助者にもスーパービジョンの必要性がある(ルーティン化、名人芸化、融通がきかない等)。
B ○ 正しい。
C× 授業で説明。困難時に限らず、継続的に行われることもある。
D× 「職場外」のスーパービジョンは、ほとんどは、「一対多数」の研修会等の形をとる。
*テキストp.368から参照

問題2 正答3
A× (スーパーバイジー)ソーシャルワーカーや学生同士が互いに事例を出し合って
B× ライブ・スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが進行中のケース(事例)に一緒にあたる、つまり、実際にクライエントに接しながら(援助しながら)行われる。ロールプレイング(役割演技)を活用することはまずないであろう。
 CとDが正しい。
* テキストP370から参照

問題3 正答4
A × 誤り。これは「ピア」ではない。
B ○ 正しい
C × 誤り。「ライブ・スーパービジョン」
D ○ 正しい。
*テキストP370から参照

2008/12/05(金) ソーシャルワーク関連科目・練習問題
<援助技術論>練習問題

問題23 日本における社会福祉援助技術の歴史に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 青少年団体やセツルメント運動は、1880〜90年代に日本に移入された。当時の代表的なセツルメントとして、石井十次が設立した「岡山孤児院」がある。  
B 1917年の岡山県済世顧問制度を契機にに始まる方面委員制度は、ドイツのエルバーフェルト制度やCOSの友愛訪問などを参考にして、民間の篤志家に貧困世帯の援助や生活状態の調査に当たらせたものである。 
C リッチモンドのケースワークの定義や方法論は、1920年代に日本でも紹介され、「救護法」制度に伴う公的な救済事業に反映された。
D 1938年、竹内愛二は『ケースウォークの理論と実際』でアメリカのケースワークを体系的に紹介したが、戦時下の厚生事業には受け入れられなかった。
(組み合わせ)
  A  B  C  D
1 ×  ○  ×  ○
2 ○  ×  ○  ○
3 ×  ○  ○  ×   
4 ×  ○  ×  ×
5 ○  ×  ×  ○


問題24 次の記述のうち、年代が正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 個別援助技術の「診断主義―機能主義論争」がなされたのは1920年代である。
B レイン報告書の提出によって地域援助技術が社会福祉援助技術の一つとして位置づけられたのは、1980年代である。
C G.コノプカがソーシャル・グループワークの定義をしたのは1960年代である。  
D 集団援助技術の三つのモデル(社会的目標モデル、治療モデル、相互作用モデル)が提示されたのは1960年代である。
(組み合わせ)
  A  B  C  D
1 ○  ×  ×  ×
2 ○  ×  ○  ○   
3 ×  ×  ○  ○
4 ×  ○  ○  ○
5 ×  ×  ○  ×


問題25 次の人物とその業績に関する記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A G.ハミルトン … 診断主義個別援助技術の理論化をすすめ、「環境の中の人間」という視点を提示したものの、社会的側面よりも心理的側面に重点をおいていた。
B J.タフト  … 機能主義個別援助技術の初期の論者の一人であり、援助者がぞれぞれの「機関の機能」を代表して援助するという視点を提示した。
C H.バートレット… 「診断主義」「機能主義」の対立が続くなかで、社会福祉援助技術と社会科学との連携を訴え、「リッチモンドに帰れ」と主張した。  
D A.マイルズ  … 『社会福祉実践の共通基盤』を著し、社会福祉援助技術の共通基盤と準拠枠を明確化した。
(組み合わせ)
  A  B  C  D
1 ○  ○  ×  ○
2 ○  ○  ×  ×
3 ○  ×  ○  ×   
4 ×  ○  ×  ○
5 ×  ×  ○  ×



========================
<解答>

問題23  正答1
A× 石井十次も大阪でセツルメント活動をしていたが、「岡山孤児院」はセツルメントではない。
当時の代表的なセツルメントを挙げるとすれば、片山潜が設立した「キングスレー館」等である。
C× リッチモンドのケースワークの定義や方法論は、1920年代に日本でも紹介されたものの、「救護法」制定に伴う公的な救済事業には反映されなかった。
*テキストP94等参照

問題24 正答3
A× 「機能主義」個別援助技術が形成されたのが1930年代なので、1920年代に「論争」がなされたということはあり得ない。「診断主義−機能主義論争」がなされたのは、1930年代から、パールマンやアプティカーの折衷主義の考え方が形成された1950年代までである。
B× 「レイン報告書」の提出は1939年。(全米社会事業会議が地域援助技術を社会福祉援助技術の一つとして位置づけたのは第二次大戦前で、集団援助技術(1946年)より早い。)
*テキストP92等参照

問題25 正答2
C×,D×
(H.バートレットとA.マイルズの説明が逆になっている。)
*テキストP97等参照

2008/12/03(水) ソーシャルワーク関連科目・練習問題

問題19 地域援助技術の理論に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A M.ロスの理論は、必要な資源を内部外部に求めて実際行動を起こすにあたり、共同社会が団結協力することを重視していることから「住民組織化説」ともいわれる。
B W.ニューステッターの理論は、ニーズの解決のプロセスにおける民主的な手続きを重視しているので、「プロセス重視説」といわれる。 
C レイン報告書は、地域社会のニーズと社会資源の発見に努め両者を絶えず効果的に調整する活動(「ニーズ・資源調整説」)を体系的に示した。 
D J.ロスマンは、地域内の各種組織・団体及び機関の代表者の討議の場を設定し、グループ間の関係調整によって選択された社会目標を中心に各グループの協働を促進する援助技術(「インターグループワーク論」)を提示した。
(組み合わせ)
  A  B  C  D
1 ○  ×  ○  ×
2 ○  ×  ○  ○
3 ×  ○  ○  ×   
4 ×  ○  ×  ×
5 ○  ×  ×  ○


問題20 集団援助技術の「相互作用モデル」に関する次の文章の空欄A、B、C、に該当する語句の組み合わせとして、適切なものを一つ選びなさい。

 「相互作用モデル」は、社会福祉援助技術の方法論統合の立場に立つ A が提唱したモデルで、グループのメンバー同士や個人と社会の有機的な相互援助システムを B としての援助者の役割が強調される。また A が述べた「平行過程」の原則とは、 C ことを意味する。

(組み合わせ)
A      B     C
1 W.シュワルツ  成長をもたらす者  メンバーと援助者が同じ役割を持つ

2 W.シュワルツ  媒介する者  メンバーと援助者の役割は明確に区別される   

3 トレッカー   変化させる者  メンバーと援助者の役割は明確に区別される

4 R.ヴィンター  交渉する者  メンバーと援助者が同じ役割を持つ

5 R.ヴィンター  変化させる者  メンバーと援助者の役割は明確に区別される


問題21 NASW(全米ソーシャルワーカー協会)に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A レイン(委員会)報告書は、NASWに提出され、地域援助技術が社会福祉援助技術の一つとして位置づけられた。
B NASWに統合された専門職団体のうち、1921年に設立されたアメリカ・ソーシャルワーカー協会は、当時、専門分化していた各実践分野を将来統合することを目指してつくられた。
C NASWは、社会福祉援助技術の共通基盤の形成に向けて、1958年、「ソーシャルワーク実践の作業定義」を出した。 
D NASWは、MSW(ソーシャルワーク修士)、BSW(ソーシャルワーク学士)の学位を授与し資格を認定する権限を有する。
(組み合わせ)
1  A  B 
2  A  C  
3  B  C  
4  B  D 
5  C  D


問題22 個別援助技術のモデルに関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。 

A H.アプティカーは折衷主義といわれる論者の一人で、機能主義個別援助技術に診断主義の理論を取り入れて統合化した。
B 「行動主義モデル」は、学習理論に基づき、クライエント
の問題行動の解消、修正を図り、同時にクライエントの意識や
思考の変容も直接の目的としている。
C 「危機介入モデル」が想定する「危機状況」とは、クライ
エントがそれまで獲得し、用いてきた対処方法では問題解決を
図ることができず情緒的に不安定な状況をいう。 
D 「課題中心モデル」は、援助者が解決を望む問題に対して
当面取り組むべき課題を明らかにし、長期の時間をかけて問題
の解決を図ることを目的とする援助方法である。
(組み合わせ)
  A  B  C  D
1 ○  ×  ○  ○
2 ○  ×  ○  ×
3 ○  ×  ×  ○   
4 ×  ○  ○  ×
5 ×  ○  ×  ○



===============================
<解答>

問題19 正答1
B×, D×
  W.ニューステッターの理論は「インターグループワーク論」である。
プロセス重視「住民組織化説」はM.ロスの説である。

問題20 正答2
* テキストp.103参照

問題21 正答3
A× 「レイン報告書」は全米社会事業会議に提出された。
D× 「MSW(ソーシャルワーク修士)」、「BSW(ソーシャルワーク学士)」の学位を授与し資格を認定す
る権限を有する」のはCSWE(Council on Social Work Education:ソーシャルワーク教育協
議会)である。
*テキストP100等参照

問題22 正答2
B× 誤り。「行動主義モデル」の目的は問題行動それ自体の解消、修正である。問題行動の原因や動機を解消、修正することや、クライエントの意識や思考の変容は直接の目的ではない。
D× 誤り。「援助者が解決を望む問題(中略)長期の時間をかけて」ではなく、クライエントが解決を望む問題に対して、短期間内で問題の解決を図る。
「ターゲットとなる問題と援助目標を明確にした比較的短期間の実践方法」というのが、「行動主義モデル」「危機介入モデル」とも共通する特徴である。

*練習問題等の編集は、関屋光泰が行なっています。

■ご感想、ご質問など、sekiyaへのコメントは以下のフォームから送信してください。
 http://www.milmil.cc/user/hinkon/mailform.html

2008/12/01(月) 本日、講義による受験セミナーの最終回<当サイトは継続します>
*前回(第3回)セミナーの補足

<地方自治体が策定する社会福祉計画>
*老人保健福祉計画
 1990年の「老人福祉法等の一部を改正する法律」(社会福祉関係八法改正)によって,市町村および都道府県に老人保健計画と老人福祉計画を一体的に策定することが義務づけられた。
 その主な内容としては,「市町村老人保健福祉計画」(老人保健法46条の18,老人福祉法20条の8)にはサービス目標量を示すことなどが,「都道府県老人保健福祉計画」(老人保健法46条の19,老人福祉法20条の9)には広域的な老人福祉施設の整備目標を定めることなどが規定された。
 市町村老人保健福祉計画に求められる役割は,当初は高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン,1989年)を達成するためのサービス資源整備計画であったが,1997年に介護保険法が成立し,117条に「市町村介護保険事業計画」が規定されたのに伴い,介護保険以外の老人保健福祉施策全般を担う計画となった。そして,2000年に社会福祉法107条に「市町村地域福祉計画」が規定されたことで,今後は総合的な地域福祉システム構築における老人保健福祉の部門計画という性格を帯びることになるだろう。本計画により,市町村社会福祉行政を計画化する端緒が開かれた。

*介護保険事業計画
 介護保険給付の安定的な提供のために計画的に基盤整備を促進することを目的に,市町村および都道府県は,厚生労働大臣の定める基盤整備の基本指針に従って,市町村介護保険事業計画および都道府県介護保険事業支援計画を定めなければならない。
 老人福祉計画や老人保健計画の対象範囲は,介護保険事業計画の対象範囲と一致するものではないが,これら三つの計画は相互に調和の保たれたものとして策定されなければならない(介護保険法116条〜120条)。

*地域医療計画
 1985年の第一次医療法改正により創設。医療機関の適正配置,医療資源の効率的活用,機能分化・体系化を目的とする。都道府県に策定義務があり,医療圏の設定および基準病床数に関する事項,病院の整備目標,救急体制整備に関する事項等を定め,5年ごとに見直すこととされている。
 2000年の第四次改正では,その他の病床の病床区分を「一般病床」と「療養病床」と改めたことに伴い,算定式が変更された。病床過剰地域への病院の新設・増床に対する都道府県知事の勧告に従わない場合は,保険医療機関の指定が行われないことがある。事実上の新規参入妨害という批判が根強い。

 医療計画の一部として,二次医療圏ごとに地域保健医療計画がつくられている。
 地域保健医療計画は、厚生省通知(平成2年健政計46号)に定められ,都道府県の二次医療圏ごとに保健医療体制の確立をめざすために策定される行政計画で,都道府県単位の医療計画の一部として位置づけられる。地域保健医療協議会を設置し,保健所が事務局となって作成の実務を行う。

*「地域福祉計画」は、本日のセミナーにおいて解説。


<本日(1日)開催!! MGU 社会福祉士・精神保健福祉士 国家試験 受験支援セミナー 最終回>
*主催 MGU 社会学・社会福祉学会
 部分参加も可能です。どの学年の方も参加出来ます。参加費や申し込みは不要です。
 12月1日(月)の3・4時間目
 内容:地域福祉論を中心とした、各科目共通の基礎事項の確認。
  ソーシャルワーク関連科目、公的扶助論の完結編
  模擬問題もあります。
 ところ:MGU白金 1255教室
 最終回は、関屋光泰(当サイト編集者)が担当します。

*MGUにおける講義形式のセミナーは最終回ですが、この受験支援サイトは今後も継続します。
 これからも全力を挙げて、皆さんの受験を応援します!!

*受験を予定しているお友達・お知り合い、同じ学科の方々に転送をお願いします。

■ご感想、ご質問など、sekiyaへのコメントは以下のフォームから送信してください。
 http://www.milmil.cc/user/hinkon/mailform.html


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.