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2008/10/25(土)
地域福祉論・練習問題&ポイント
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*地域福祉論・練習問題(正答は画面下方に表示されます)
問題32 次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。 A 特定非営利活動法人の法人格を有する組織は,所轄庁の認証を受けるまでもなく,自動的に社会福祉法人とみなされる。 B 特定非営利活動法人は,非営利を目的とする組織であり,収益事業を行うことはできない。またNPO法人は財産の取得や、事業受託主体となることも出来ない。 C 特定非営利活動法人は、他の特定非営利活動法人やボランティア団体を育成・支援する連絡調整組織の役割を果たすこともできる。 D NPO法人の財政基盤の強化のため,2001(平成13)年10月より国税庁長官により認定されたNPO法人に寄付した者につき,寄付金を控除するといった所得税・法人税・相続税の優遇措置が受けられるようになった。 (組み合わせ) 1AB 2AC 3AD 4BC 5CD
問題33 次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。 1 民生委員は、生活保護法に基づいて委嘱されていると同時に、社会福祉法における「児童委員」をその民生委員が担う(兼ねる)こととされている。 2 民生委員の委嘱は市町村長が行ない,4年に1度改選が行われる(ただし,再任もある)。また,民生委員一人ひとりは必ず定められた「担当区域」をもち,この区域を基盤に活動を行っている。 3 民生委員の組織としては,一定の区域ごとに「慈善組織協会」が設置され,個々の民生委員の活動を支えるために,日々の活動に関する連絡,情報収集,研修等が行われている。 4 改正された民生委員法では,民生委員の本分を「社会奉仕の精神をもって,常に住民の立場に立って相談に応じ,及び必要な援助を行い,もって社会福祉の増進に努めるものとする。」(民生委員法第1条)とし,民生委員を住民の側に立つ支援者として位置づけている。 5 平成6(1994)年には、児童福祉を専門に活動する「特命児童委員」制度が創設された。
=========================== <解答>
問題32 5
問題33 4
<ポイント> *NPO nonprofit organization ; not-for-profit organization 利益の追求よりも社会的な使命の実現を優先して活動する民間組織(団体)のこと。日本語に直訳すると「非営利組織」となるが,意味を正確に伝えるには「民間非営利組織」とするのがよい。 NPOはアメリカの文化と制度を背景とした概念で,世界的に用いられるようになったのは1980年代になってからであるが,その厳密な意味内容はそれぞれの国や地域の文化的・制度的な背景によって異なってくる。 ジョンズ・ホプキンズ大学教授のレスター・サラモン(Salamon, L. M.)は,国際比較研究を行う視点から世界に共通する定義として,@正式に組織されていること,A民間であること,B利益配分をしないこと,C自己統治がなされていること,D自発的であること,E非宗教的であること,F非政治的であること,の7点の条件をあげている。このうち最後の2点は,研究の便宜上の条件であり,一般的な条件とはいいにくいが,今ではこれがほぼ世界的に受け入れられる定義となっている。しかし,それらの個々の条件の具体的な内容については,国や地域によって異なってくる。 このような組織は日本にも従来から存在してきたわけであるが,特にその民間性が重要な意味をもつものとして主張され始めたのは,市民活動が活発化する1980年代になってからである。政府(第一セクター)の限界や企業(第二セクター)の限界が認識されるにつれて,民間非営利組織=NPO(第三セクター)の役割が認められるようになってきたといえる。そしてそのような主張が広く社会に認識されるようになったのが1990年代,とりわけ阪神・淡路大震災の発生した1995年以降であった。NPOということばが日本で一般に普及したのは,その後のNPO法(特定非営利活動促進法)の立法過程においてである。 そのこともあって,NPOを最も狭義に用いる場合には特定非営利活動法人(NPO法人)のことをさす。しかし一般にはさらに広く,市民活動を行う任意団体まで含めてNPOという。さらに広義に,社団法人・財団法人・社会福祉法人・学校法人などの公益法人まで含めてNPOということもある。これらの公益法人は主務官庁の許可や所轄官庁の認可によって設立され,その後も強く監督されるという点からは純粋の民間組織とはいいにくいが,民間組織として自覚した活動を行っている団体もあることから,NPOに含めてもよいであろう。これよりもさらに広義に,必ずしも公益性をもたなくてもよい医療法人や協同組合までをNPOに含めることもある。なお,それぞれの活動分野ごとに,福祉NPO,環境NPO,まちづくりNPO,子どもNPOといったことばも,最近では用いられるようになってきた。
*特定非営利活動促進法 1998年に成立(平成10年法律7号)。NPO法と略称される。特定の非営利活動を行う団体に法人格を与え,「ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し,もって公益の増進に寄与することを目的とする」(1条)。 特定非営利活動法人(NPO法人)の活動には,医療・保健・福祉,社会教育,まちづくり,文化・芸術・スポーツ振興,環境保全,災害救助,地域安全活動,人権の擁護または平和の推進を図る活動,国際協力,男女共同参画社会の形成の促進,子どもの健全育成,これらの活動を行う団体の運営または連絡・助言または援助があげられる。NPO法人の設立においては,所轄庁から設立の認証を受けなければならない。さらに,事業報告書を作成し,所轄庁に提出するとともに,閲覧を求められたら公開することが義務づけられている。福祉の分野でも,介護保険などを中心に,民間ボランティア団体がNPOとして法人格を取得し,事業を展開するケースが増えている。新しい福祉事業の担い手として今後の活動が注目される。
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