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2008/10/02(木)
社会福祉原論・ポイント
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受験対策・社会福祉原論1-1 ポイントの整理 テキスト「福祉士養成講座 社会福祉原論」(中央法規)P2〜 第1章 社会福祉の概念 ■社会福祉とは何か 概略的な意味としては,個人が社会生活を営むうえで生じる生活上の困難・障害を解決・緩和するための,政策的・集団的・個人的な援助の諸活動の総体と捉えられる。しかし,使用目的や視点の相違,または国や時代の違いによって多義的に用いられ,一義的に定義できない。 史的展開として社会福祉を捉えると,他者の生活困難に対する共同的援助行為という共通項を軸にして,原初的段階から今日の形態まで,発展段階を大きく二つに区分できる。第一は,国家が政策的に介入する以前の段階としての,相互扶助,慈善事業,博愛事業である。第二に,国家が政策的に介入を行った段階として,救貧事業,社会事業,社会福祉事業があげられる。社会福祉は,これらの段階を経て発展してきた。 わが国では社会福祉ということば自体は戦前から用いられていたが,公式に使用されたのは,日本国憲法の25条においてである。しかし,ここでは「社会保障」「公衆衛生」と並記されているが,意味内容についての記述はない。法律的な社会福祉の内容は,社会福祉法(2000年に社会福祉事業法から題名改正)に社会福祉事業として列挙されている。
■社会福祉の理念と枠組み @ 社会福祉理解の視点 * 歴史的形成:社会福祉は一夜にして形成された施策・制度ではない。 このような社会福祉を理解するには,慈善・救貧事業から社会事業の時代を経て社会福祉に至る歴史的な文脈のなかでその成立・展開の過程を理解するという視点が不可欠である。
*市民主体性:社会福祉の具体的な展開の過程は、利用者(当事者)を含む市民一般によって展開される多様な主体的自主的な活動によって支えられ,維持されている。
*自立生活の支援:社会福祉基礎構造改革が実施され,利用者の自立の支援ということが新しい社会福祉の理念となった。「自立」は所得の保障を含め多様な社会サービスによって支えられる,広い意味での自立である。
A 社会福祉と政治 社会福祉の発展は、市民の財産,自由,平等の保障という市民権的基本権の尊重がなければ期待され得ない。その発展は民衆の,労働権や生活権の保障という社会権的基本権の実現の過程と並行している。
B 社会福祉と文化 差別的な障害者観の強い社会や時代に障害者に対する施策の発展は停滞しがちである。 また、社会福祉の世界で発展させられた価値観が、社会一般の価値観にも影響を及ぼした例としては,ノーマライゼーション思想の一部であるバリアフリーの思想とその影響をあげれば十分であろう。バリアフリーは,広く建築や都市計画の理念としても定着している。 ★ バリアフリー:高齢者や障害者にとっての環境的な障壁(バリア)を取り除く(フリー)こと。
D社会福祉と共同社会 社会福祉の起点ともいうべき相互扶助や相互支援は人々の伝統的(地縁、血縁)共同体的な結合にその土台があった。しかし, 農村型社会が都市型社会に移行する過程でそのままではなくなった。新たに自立と共生を基盤とする共同社会として再生させることが必要である。
E 利用者・市民システム 社会福祉の利用者や市民が福祉施策の意思決定過程に参画し,あるいは福祉サービス提供の過程・苦情処理の過程などに参画する市民や市民組織,またその活動などの諸問題に関わっている社会活動システムは,社会福祉の利用者,支援者,市民一般によるアドボカシー,ソーシャルアクション(社会活動法),社会運動などのありように関わっている。
F援助提供組織の多元化 社会福祉事業のなかでも第一種社会福祉事業の運営主体は原則として国,地方自治体,社会福祉法人に限定されてきた。しかし,1980年代以降,行政関与の第三セクターである福祉公社,ホームヘルプサービス(訪問介護)の利用会員と提供会員から構成される会員制の市民型互助組織,利用者や支援者による当事者型互助組織,生活協同組合や農業協同組合,さらには有料老人ホームやベビーシッター事業など広く福祉関連サービスを商品として提供する福祉産業の参入とも相まって,社会福祉の援助提供組織は著しく多様・多元化することになった。
G社会福祉の概念 社会福祉とは,経済的には資本主義体制,政治的には民主主義体制をとる都市型社会において,市民の権利としてその自立生活,自己実現,社会参加を支援する社会的方策・制度の体系である。
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