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2006/08/07(月)
孤空の時
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例年なら秋口から徐々に絵のテーマ探し、下描き作りに入っていくのだが、 今年は既に個展に臨めるくらいの枚数、下描きが仕上がりつつある。 自分なりの判断、作品の善し悪しは、色塗りを終わらせてみた段階でなければ わからないものである。 予定では、いよいよ明日から全ての作品に色をのせていく。 ぼかし、滲ませ、そしてグラデーションに2回調重ね‥‥ 呼吸を止めながら、 一発勝負で行なっていく。 無空間に入り込む瞬間である。 誰もいない部屋で、誰にも筆を止められない状態で、気を削がれるものがない 状況下で、まるで一筆描きのように一気に色を馴染ませていく。 今回 今のところ、女性の下描きが多い。 柔らかな肌質感、独特な艶やかさを 表現していかなければならないし、より細やかな計算の中で大胆さも要求され 気が抜けない。
この数日は、誰も来ないような大自然の中で静に抱かれ、癒されつつ、絵筆を 握ることにもなるだろう。 誰も助けてはくれない。誰も救ってはくれない。 ひとりで成し遂げなければな らない壁、独界の時、「孤空」に入る。
今迄の内容が雑だということでもないし 駄目だった訳でもないが、もっと観る 人々の心を揺さぶり 引き付けるような、確かな作品を生み出さなけばいけない と 感じてもいる。 例年になく この時期から本気モードに入らせて頂けているのは、絵を深く志す 私に対しての大きな諭しなのかもしれない。 与えられているこの時、まずは 今の絵柄に甘んじることなく精一杯描いてみること、やり通してみることだ。 そこに必ず、何か未知なる輝くものが生まれ育ってくれるはず。
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