ドイツの空の音楽日記
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2008年4月
前の月 次の月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
最新の絵日記ダイジェスト
2016/10/24 パリでのリサイタルにて
2016/04/10 2016年は困難の年?
2015/09/28 ハルバーシュタットでのソロ演奏
2015/09/02 信じよう!!
2015/08/18 2015年日本公演を終えて

直接移動: 201610 4 月  20159 8 3 2 1 月  201412 5 4 3 2 1 月  201312 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  201212 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  201112 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  201012 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200912 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200812 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200712 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 月 

2008/04/12(土) 最後の追い込み・室内楽コンサート
今日(まだ金曜)はボザを合わせました。
テンポ感が氏の方が少し遅め、私はもう少し早めですが、このテンポ感ってフランスとドイツでも全く違うし、年によっても変わってくるので、なかなか同じものを共用できないものです。

私も昔より全体にテンポ感、遅めになってると思います。
特にゆったり歌うものに関しては。
世代が私より上の演奏者になると、やはり私より遅めのことが多いです。
ドイツ人とフランス物をやる時も、ちょっと重いな、と感じる事が多い。

まあ、それでも気持ちがぴったりあった時には気にならないでいい集中できるものです。

昨日グリンベルグ氏と話してて初めて知ったのは、彼女はソビエト崩壊前はソビエトのあらゆる国でコンサート・ピアニストとして活躍し、音大の教授をやっていた事。ソビエト崩壊後、ナショナリズムから追い立てられ、手荷物一つでドイツ語も出来ないのにドイツに逃げてきた事。
”年からしても、掃除婦ぐらいの仕事しか、もうやっていけないだろう、と思ってた”と。
栄光から一気に一文無しに。そして言葉も知らない国で第2の人生を歩んでここまで来てる彼女です。

私の違うピアニストの友人、マリタさんもそんな経験して今があるのですが、ドイツに来てから、映画の中でしか知らなかったような過酷な人生を乗り越えてる方々によく会います。
クリストフにしても、投獄状態だった東ドイツ時代を経験してるんですよね、、。

明日がいよいよゲネプロ! 直前までオーケストラの仕事ですが、精神はすっかり室内楽コンサートに集中してます。

2008/04/10(木) 試験期間
いよいよ13日のコンサートが近づいてきて、今日はベッカー氏とゲネプロ前の最後の合わせをしました。明日は後2曲をやります。
やっぱり上手い人と演奏すると刺激になります。突然自分の足りないところも色々見えてくるし、なによりやりたい事をすぐ察してもらえて気持ちがいいです。

この、ヴィラ・ロボスのフルートとファゴットの為の”ブラジル風のバッハ6番”、あまり演奏されない曲ですが、ベッカー氏が”いい曲だよね!やってよかった”と言ってくれてるのも嬉しい! ドイツ人は正直ですからね〜。やりがいない時ははっきり言います。

今日、ある団員の試験期間についての話し合いが、主要団員とコーティ氏交えてありました。
私の座る席は主任指揮・コーティ氏の横になってしまい、
”コーティ氏の横なんて緊張する〜。”と言うと、コーティ氏が
”なぜですか?”と真顔で尋ねるので、困って、
”あなたが魅力的だからです。”と答えました。
ベッカー氏が、
”その賞賛の言葉を減らすつもりはないですが、アツコは僕にもそういいますよ〜。”とちゃちを入れました。

ところで、この話し合いで、その団員はこのオーケストラのその席にはふさわしくない、という事になり、どうも切られる方向になりそうです。

どこのオーケストラでも入団試験の後に試験期間というものがありますが、この試験期間はそのオーケストラに合うか合わないか、というもので、実力だけでなくかなり運が左右します。
私もそれで他のオーケストラに”性格が合わない”と切られた事もありました。私は外国人ですから仕方ないにしても、その彼女はドイツ人で性格もさわやかだったし仕事もちゃんとこなしてたので、今日のこの結論には私はかなりびっくりしました。風向きが変わったり、一ヶ月違う時期に話し合えばまた違う結果が出そうな感じでした。

オーケストラの席を手に入れるのも決して楽じゃない。
簡単に辞めたいなんてもう言うまい、と、また思いました。

2008/04/08(火) チャールトン・へストン
俳優のチャールトン・へストンが亡くなったそうですね。
私は彼の映画3本しか見てませんが、”十戒”も”ベン・ハー”も最も好きな映画です。
もう一本は”猿の惑星”で、これは最後の最後に”あ、この人ベン・ハーの人だったのか”と気づきました。

”ベン・ハー”と”十戒”どちらもヘストンはユダヤ人としての大きな宿命を背負った役ですが、演技、と言うものを超えた、命がけの存在感です。
ベン・ハーは生身の人間ですが、十戒のモーゼ役はごく普通の若者から神的存在になっていくのですが、ちゃんとモーゼに見えるし、まだ若かったはずなのに、その神々しい存在感は普通じゃない、と思ってます。

現実を忘れさせてくれ、ぐいぐいと物語の世界に魂を引き込んでくれる、そしていつのまにか心洗われてる、そんな特別な俳優がヘストンでした。心から冥福を祈ります。

2008/04/06(日) 就職難
昨夜の”ナブッコ”の本番中、今長期病欠してるオーボエ奏者の代理の試験もありました。本番吹かせてみて良ければ短期に雇う、というものです。

訊くと彼はかなりいいオーケストラのソロ奏者でもあったのだけど、そこがリストラした際、引っかかってしまったとの事。
ドイツ・オーケストラのリストラは実力は全く関係なく、何年そのオケにいるか、や、家族があるか、などで決まります。
それでやる気にあふれた若い人が切られる可能性大なんです。
経済難で芸術の枠が削られていく中、オーケストラも減り、人数削減して行ってるのが今のドイツです。

そのオーボエ奏者、なかなか腕のある人のようでした。
音楽的センスも感じいいし、音も綺麗だし。

私にはいい教訓でした。
実力あっても就職難の時代!
いじめぐらいでピーピー言ってる自分が恥ずかしくなりました。

昨日もオケの合間にグリンベルグ氏とボザを合わせました。
彼女は”忙しすぎて細かい練習がまだ出来てない。でも、あなたのやりたい音楽はとてもよく解るから”と言い訳してましたが、練習不足といいながらもこなせてしまう実力と感性の持ち主です。

2008/04/04(金) コック顔負け
今日は鈴木氏の新曲の合わせ、皆曲もわかってきて、もっと思い切りよくやろうと言う事で乗って来ました。
その後ヴァイオリンのバーバラと会場練習の打ち合わせに事務所を覗きました。演奏もダイナミックですが、ここ、というところの行動も早い人です。

今回の共演メンバー、本当に恵まれてます。ソプラノのウテさんも、プリマドンナなのに感じのいい、威圧的態度を出さない、賢い方で、今回一緒に練習してて感心させられました。
ピアノのグリンベルグさんとも気心知れてるし、ベッカー氏ともいろんな意味で理解が深まったしで、楽しみです。

このとこオケの本番後に続けてパーティにも呼ばれてました。
普段はパーティ嫌いの私ですが、今回はとてもいい気分転換になりました。料理の得意なオケのイシュトバンが用意してくれた七面鳥に彼お得意のソース、もう、絶品でした!
普段お肉をあまり食べないクリストフもあまりのおいしさにおかわりしてて、2日たった今でも”お腹苦しい〜”と言っています。ホルンのグループ内では彼の七面鳥料理は有名なようで、今朝別のホルン奏者も”君たちも食べたんだってね〜! おいしいだろ! はまるよね!”と言ってくれました。

いろんな方々のお陰で元気を取り戻してきた私です!

2008/04/03(木) 室内楽が救い
フルートの仲間の事でこのとこ精神的に参ってましたが、オーケストラ以外に今は毎日室内楽の合わせがあり、それに集中する事で随分救われてます。
今日はベッカー氏とヴィラ・ロボスの合わせ、始める前に、明るい雰囲気で今の問題も話してました。

彼は違うオーケストラでも起こってる似た嫌がらせの例も話してくれ、
”嫉妬されてるわけだから、君自身がそれに動揺しない事がまず大事な事だ”と言ってくれました。
動揺しまくり、でしたからね、、、。ベッカー氏も、
”彼女たちは難しい人達で、僕が注意したとこで無駄と思う。
それに正直言って彼女らに関わりたくない”
ドイツ人って男性の方が弱気です、、、。

今日、またグループで私攻撃の話し合いもありましたが、今日は大分落ち着いて何とか正論を言い返す事が出来ました。

”あんたばっかりコンサートやってお金稼いで! 私達はコンサートなんてないのよ!”という言葉を何度も言うので、
”嫉妬丸出しにするのが、ドイツ人らしいなあ”と思いました。
”少しはコンサートやめてオーケストラの仕事しなさいよ!”
と言うので、
”オーケストラの仕事数としては他の人より働いてるでしょう?それなのに文句は言えないよ。”と返しますが、ドイツ人女性の強い事! 絶対に譲りません。何としても私がオーケストラ以外でも活動してるのを辞めさせようとする腹ですが、ベッカー氏によって”オーケストラは基本的にオーケストラ以外でも学んでくる音楽家を望んでる”という言葉が勇気を与えてくれます。

ドイツ人女性は基本的に強いですが、もちろん皆が彼女らのように嫉妬深くて人の邪魔しまくる性格ってわけではありません。
彼女らはオーケストラでも大変な人達として有名で、他に助けを求めても、クリストフでさえ、”彼女らと関わりたくない”と逃げるので、やはり自分で賢くやるしかないようです。

それにしてもベッカー氏のような、人間的にも出来ててアイディアたっぷりのハイクオリティの音楽家と共演できるのは、楽だし、何よりの心の救いでもあります。
フルートのグループと平和がないのは不運ですが、こういうベッカー氏のような人と分かり合えるチャンスがあることの喜びの方が大きいはず。
フルートとファゴットと言うのもなかなかいい組み合わせだし、
”ボザのドゥオもあるみたい””ベートーベンのピアノとの三重奏の楽譜なら僕持ってる”と、他の曲の可能性も話しています。


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.