ドイツの空の音楽日記
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2008年1月
前の月 次の月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
最新の絵日記ダイジェスト
2016/10/24 パリでのリサイタルにて
2016/04/10 2016年は困難の年?
2015/09/28 ハルバーシュタットでのソロ演奏
2015/09/02 信じよう!!
2015/08/18 2015年日本公演を終えて

直接移動: 201610 4 月  20159 8 3 2 1 月  201412 5 4 3 2 1 月  201312 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  201212 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  201112 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  201012 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200912 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200812 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200712 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 月 

2008/01/31(木) 大切にされる家族
しばらく留守にしていたマルセル君が帰ってきて、また今日、モーツァルト”イドメネオ”の前にトリオの合わせ再開です。

昨夜は何かのプロジェクト・コンサートで、ヴェルディ”運命の力”の序曲のみやったら、”今日、これで終わりだよ”と。
思いがけない早い帰宅に皆大喜びでした。
いつも夜の遅いオーケストラ団員には普段夕食での家族だんらんの時間が存在しないので、余計嬉しいのです。

それにしても、ドイツって家族との時間を大切にするのにはいつも感心させられます。共稼ぎが多いにも関わらず。
男性からも、頻繁に子育ての話や”子供を迎えに行かなきゃ””子供が待ってるから急がなきゃ。”という言葉を耳にします。
これってどこの国でもそうなのかな?

2008/01/28(月) 暖かい人間性あふれる巨匠たち
かの巨匠、ジェームス・ゴールウェイ氏とフィリップ・モル氏の演奏会が、近場のヘルムシュタットで行われ、昨夜行って来ました。
良い時間の電車がなくて、嵐の中、2時間近く前に会場についてしまい、会場はまだ閉まってるし外は嵐だしどうしよう、と思ってたら、
”古賀さんですか?モル氏から話を聞いています。チケットも用意してます。”と鍵を開けて中に入れてもらえました。演奏旅行中なのに親切に手回ししていただいて、私はモル氏の人間性に再三打たれました。まだお会いするのは3回目なのに。

演奏前に邪魔したくなかったのですが、モル氏は喜んで私をゴールウェイ氏に紹介してくださいました。
私は、演奏前に人を紹介されても迷惑なのでは?と思い、挨拶だけして自分の席で小さくなってましたが、
”アツコ、そこが君の席か?そこは良くない。フルートが見えないではないか。”とゴールウェイ氏。
言われるまで、その席からフルートが見えない事に気づきませんでした。御自分が忙しい最中に、私の席のことまで支配人に交渉してくださいました。なんて親切な方なんでしょう。
かえって本当の巨匠、大物の方がとても親切で、びっくりさせられる、という事はたびたび経験します。

”君が演奏会あと、すぐ列車に乗らなくちゃいけない、とは聞いてるから、休憩時間に自分のとこに来なさい。”とまたゴールウェイ氏が。演奏後に残れないのは私の都合なのに、貴重な休憩時間お邪魔するのも気が引けましたが、、、。

ゴールウェイ氏は私が生まれた頃にはもう有名人で活躍しておられ、私が子供の頃から全盛期でした。フルートの全盛期ってそんなに長くないのでは、、と思ってましたが、あの明るいビロードのような音は健在でした!凄く息を使ってるかのように聴こえますが、実際は力も入ってなく、ビブラートのコントロールで最小の力で最大の効果を出してるのが伺えました。”最小の力で最大の効果を”というのは、巨匠の二コレ氏にもいつも教えられていた事です。本当に良いテクニックだったら、いくつになっても大丈夫なものなんですね。
モル氏は自由にルバートするフルートを、自身の音楽的ラインを自然に保ちながら邪魔せず、でも出すところは効果的に迫力出して支えます。このコンビネーションの素晴らしさは、私は子供の時から聴いてました。音楽家同士がずっと良い関係を保つのだって、結構大変な事です。

休憩時間、モル氏が舞台にまだいらしたので”ブラボー!”と挨拶すると、”見てくれ、椅子が傾いてるんだ。背中痛くなっちゃった。僕はこれを何とかしなくちゃだから、君はジミー(ゴールウェイ氏)が待ってるからそこの部屋に行ってくれ。”

私は本来人見知りのとこもあり、いきなりゴールウェイ氏と2人になっても困ってしまったのですが、氏は私に氏のフルートも試奏させてくれ、また奏法に有意義な色んな事を話してくださいました。私のせいで、休憩で休めないではないか、、と気が気じゃなかったんですが、、。なんと、私と同じ、ナガハラ・フルートでした!

何度も”お邪魔したくないので”と去ろうとする私に、モル氏は”そんなに気を使わないでくれ。来てくれて嬉しいんだから。”と、本当に大らかな方です。結局、話してる間に休憩時間終了になってしまいました。私、集中してる自分の演奏会中にこんなに人に親切に出来ませんよ、、。人間のスケールが違うなあ、、と実感させられた昨夜でした。

お二人とも音楽世界の大スターですが、それはもちろん実力で人がかなわないものもお持ちなんですが、細かい処でも人に心から暖かい、人間の大きさもあるなあ、と昨夜は音楽にとどまらない事を学べた演奏会でした!

2008/01/26(土) へんてこドイツ料理
冷凍しておいたラム(子羊)が、賞味期限を一ヶ月過ぎてる事に気づき、今日は突然御馳走のお昼になりました。
普段はラムなんて何かのお祝いの日ぐらいしか食べないんですが。

クリストフはラムには赤キャベツとジャガイモ・クヌーデルが付け合せだ、というこだわりがあります。
赤キャベツはこのとこ農家から届き、私は料理法わかりませんでしたが、リンゴをすった物やフレッシュチーズなどと煮込んで適当にやってみました。
ちょっとはレストランで出るものに近くなった、、と自分では思いましたが、クリストフは駄目出ししています。
クヌーデルにおいては最初からジャガイモから作るのは私には無理そう、、。

ドイツって食べ物はまずい印象ですが、結構ドイツ料理って手の込んだものが多いようです。


下の写真は、昨夜のシンフォニー・コンサートで、マルセル君が、”遅くなったけど”と渡してくれました。
マルセル君の結婚式の時の写真です。お城を借り切っての大パーティでした。

2008/01/23(水) おふざけの効果
”リゴレット”で、最後の方に雷の遠鳴りを示す男性コーラスのハミングが入るのですが、そこではオーケストラのメンバーも面白がって”んーんんんーんんんー”とやる人がいます。
(私も。)
バルトークの”青ひげ公”というホラー・オペラでは、扉を開けると人々のうめき声が聴こえる、と言う場面があり、そこでもコーラス隊が”あ〜あ〜〜”とうめき声上げるとき、オーケストラもほとんど全員が面白がって”あ〜あ〜〜”とやってました。
(もちろん私も。)
友人が客席で聴いてたら、”舞台上からとオーケストラボックスからの声がステレオ効果になってて迫力あった。良い演出ね〜”と言ってました。(いや、ふざけてるの、とは言えませんでした、、。)

2008/01/18(金) 乗ってきたルーセル
昨日、ベートーベンの”第九”本番前に、カイル氏とマルセル君と3人でルーセルのトリオを合わせてました。

カイル氏はヴィオラに望み難い軽やかなテクニックと情熱と併せ持ってて、色んな音色も使い分け、合わせながらも感心させられました。チェロのマルセル君も上手いし、よく共演するので感性も伝わりやすく、なかなか良い三重奏になりそうだと、わくわくしてきました。

本番前40分頃になると合唱団がオーケストラ練習場に入って来たので、私達も今度は”第九”に集中する事にしました。
室内楽の方が上手く行きだすと、自然とオーケストラでも乗ってきて、明るい気分で第九の本番もこなせました。

2008/01/16(水) トランペット?
昨日の早朝、低音強化の練習をしていたら、(フルートって低音が弱い傾向があります)
トランペットの団員がパッとドア開けてきて、
”あ!ごめん!トランペットかと思った!”って、、、。

どうやってこの弱い低音がトランペットに聴こえるの〜???

2008/01/14(月) プロコフィエフの初合わせ
このとこ久しぶりにいい天気が続いて、気持ちがいいです。

昨日、初めてヴァイオリンのスザンネと、プロコフィエフ”二台のヴァイオリンの為のソナタ”を合わせて見て、あれこれアレンジしてみました。
フルートはヴァイオリンに比べて数音の低音が存在しないのと、重音がないので、あちこちパートを交代したり、オクターブ上げても合うかどうか確かめたりしてるうち、あっという間に数時間たちました。

3楽章のゆったりした歌はフルートに向いてても、全体にやっぱりオリジナル楽器用の曲かなあ、、と思ったりはしますが、本来出来ない曲に知り合うチャンスをくれたスザンネに感謝!
楽器の可能性を越えた挑戦って、自分のテクニックレベルを上げる為には常にやるべきだと思ってますが、そういうチャンスって中々ないものです。

下はそのスザンネと、教会コンサートをやった時の新聞より。”音楽は神からの最高の贈り物”と書いてあります。

2008/01/12(土) コーティ氏の耳、聖徳太子並?
2月に演奏するルーセルの”トリオ”、CDを見つけたのですが、どうも棒読み状態の演奏で退屈です。
”このまま演奏したらつまらない。ちゃんと工夫しなきゃ。”と言っていたら、ヴィオラのカイル氏が、
”アツコはフランスに居たからエスプリがわかるでしょう。アイディアを出して、君が引っ張ってよ。”と言って来ました。

こういう風に任されるとやる気が出るものです。
ルーセルの他の曲が何かのキャラクターを絵画的に、時にはアニメ的にも感じるぐらい、ジョーク的面白さで語っている事を考えました。だからこそ、時々トムとジェリーの中のアリの行列音楽として出てきたりするんだよな〜と。
そうしたら、今まで退屈に思えたテーマのウィットに富んだ意味合いが理解できてきて、色々演奏のアイディアも浮かびました。

今朝、ベートーベンの第九の合わせの後、カイル氏と2人で合わせよう、と、皆が練習室から去るのを待ってました。
主任指揮のコーティ氏に何人もが色々質問してて、なかなか終わらないので、私はその間にカイル氏に色々アイディアを語っていました。

”ここは子供に面白い話を語るような感じで演奏し、ここから流れを横にして、2つに数えたら?ここはトムがジェリーをハンマーで打とうとしてるような感じでオーバーに、、ここからテンポも音色も全く変えて、、、、”

突然、コーティ氏が

”来年は古賀さんに指揮をやってもらおうね。こんなに音楽的アイディア豊かなんだから”と。
何の冗談かと目が点になっていたら、

”私は古賀さんのファンの第一人者なんだよ。君からは色々学べるよ”
私は返事に困って、”そんな事言われたら嬉し死にします”とわけのわからない事を言ってました。

”古賀さんもカイル君も、2人でしっかり室内楽を堪能しなさい。
2人で音楽出来るチャンスを有効にね!じゃ、次に会えるのは古賀さんは火曜日、カイル君は木曜日だね!”
と励ましてくださって、練習室を出ていかれました。

どこまで冗談かわからない励ましでしたが、コーティ氏には今までも時々、思いがけない時に大きな勇気をいただいてます。
それにしても、何人もの質問に答えてる時に、私が違う人としゃべってる内容、よくわかったなあ、、、とびっくり!!
それに、100人近くいる団員の、誰といつ共演なのか、よく覚えてるなあ、、、、と、これもびっくりです。

総音楽監督には聖徳太子並の耳と頭が必要なのかも、、、。

2008/01/11(金) 泣き泣きのコンサート断り
楽しみにしている、クラリネットのゲオルグとコンサートマスターのバーバラが始めた”サロン・オーケストラ”の本番の日が決まった、と、ゲオルグからメールをもらいました。

半分ワクワク、でも半分”大事な事と重なってませんように!”と祈りながらメールを開けると、
”が〜ん!!なんでこの日〜!!!”

一年ほど前から決まってる、エーバーバッハのリサイタルと同じ日!6月15日でした。
他の日だったらなんとか予定変えられたでしょうに、
”この半年で、どうしても動かせない日はこの日だけなのに!なんで〜!!”
”とほほ”と半泣きで断りのメールをし、
今日、”ごめんなさい!!本当にやりたかったのに残念!!”とあやまりました。

やりがいのあるコンサートの話が重なってしまう事は時々あるのですが、今回は日頃から尊敬してる二人に誘ってもらっただけに痛かったです、、。

ゲオルグは
”そんな大事なコンサートがあるなら仕方ない。僕たちも残念だけど、またやりたいと思ってるからその時にやればいいよ”
とさわやかに言ってくれました。いつも、本当にいい人です。
バーバラは
”どうしてもできないの?!”とちょっと気を悪くしてましたが、あっさり”いいよ”と引き下がられるよりかえって気持ち的には嬉しかったです。

歌劇場では今日から”リゴレット”の舞台合わせでした。
夜の合わせでは後ろにゲオルグが座ってましたが、
申し訳なさと残念さから今日は後ろが振り返られない私でした。

今帰ってきたら、スザンネが”12月のコンサートが新聞に載ってた。”とメールくれてました。あまりに真っ黒で、自分でも最初、自分だと気づかなかった新聞写真です。ドイツのセンス?

2008/01/08(火) 美声のリゴレット
昨日の”リゴレット”練習から歌手達が同行し、
リゴレット役のバリトン歌手は素晴らしい声質と声量の持ち主がゲストになっていました。これはなかなか楽しめそうです!

スザンネが、途中で、
”この間お城でドゥオやった企画者から電話が来て、
また6月8日にやってくれないかって!
6月8日の朝、四重奏の本番だから、そのまま夜もやろうか?”
と相談してきてくれました。
また呼びたいと思われるのは嬉しいです!

誰でもよく言う事ですが、コンサート依頼って同じ時に偏りやすくて、
”この頃時間があるからここに来ないかな”と思ってても、大抵忙しい時に集中して来ます。でも、忙しい時って不思議と普段より頭の回転も速くなってこなせるものですね。

1月絵日記の続き


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.