ドイツの空の音楽日記
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2006/10/31(火) さまよえるオランダ人
昨夜も夜中までワーグナー”タンホイザー”の練習でした、、。

大抵のワーグナー自作によるお話は、神話的に神秘的で劇的であり、興味をそそる物が多いです。が、このタンホイザーは
”官能の愛と神聖なる愛の間を旅するタンホイザーがなぜかその為に最後死ぬ”という内容、私にはあまり面白くなく感じています。

ただ、音楽と愛と死と官能を結び付けて劇的に表現したワーグナーの功績は凄いと思います。
”トリスタンとイゾルテ”などの序曲や愛の死の場面の曲には、学生時代わくわくして聴いたものでした。

最近やった彼のオペラで結構楽しめたのは”さまよえるオランダ人”でした。
なぞの幽霊船。影のあるなぞの船長。それにまつわる古くからの言い伝え。密に船長に恋する乙女。
現代でも好まれて使われそうな題材です。
そして、このオペラは音楽もテーマがはっきりし、起承転結がすっきりあって、ワーグナーが苦手な人でも楽しめるものだと思います。

2006/10/30(月) 美しき住居
昨夜はクリストフ君と共にマルセル君の家に招待され、マルセル君がプロ並のご馳走を作ってくれました。
自然食にこだわってる彼の料理、体にも軽やかでおいしかった!
婚約者のクラウディアさんが、自分達でコーディネイトした家の中を案内してくれました。

ドイツの方々、あまり服装のおしゃれはしませんが、家の中は細かい家具から壁の色から、それぞれが芸術的に仕上げて、客が来た時誇らしげに披露してくれます。

マルセル達の家も、入った時は古ぼけた壊れかけた住居だったらしいですが、ちょっとしたイタリアのホテルのような、ラテン系の国風の素敵な住居に改装されていました。
ほとんど自分達でやったのだそうです。

ドイツ人、家そのものも自分で建てる方も多いです。
それにしても、この多忙の中、よくやったものです!

夜中まで心から楽しく語らって、心身ともリラックスさせていただきました!

2006/10/29(日) 入団試験
オーケストラの団員になるには、入団試験があります。
入団試験は書類審査を通った人が受けられます。

先日はうちのオーケストラで第一ヴァイオリンの試験がありました。
審査は第一ヴァイオリンのグループが中心となり、オーケストラ全体でやりました。
今回は現在ドレスデンフィルハーモニー交響楽団で弾いてる若いドイツ女性が席を獲得しました。

審査をするのは、正直、自分が試験を受けるのよりずっと気楽です。入団試験は5分ほどの短い時間で持てる力を出し切らなければならないし、雰囲気もコンサートとは全く違いますから、実力と共に強い精神力や負けん気が必要です。

(写真はイタリアでの本番前に音響を確かめる団員達。試験とは関係ありません。)

2006/10/28(土) 久しぶりの”オルフェウス”
久しぶりに清らかなオペラの本番で、ちょっとほっと一息つきました。昨夜はグリュックの”オルフェウス”でした。

ずっと重い曲が続くと、こういう天国的な曲でフレッシュになれます。透明感あふれる響きとメロディが心洗ってくれます。

それでも、このとこずっと重厚な曲が続いたせいか、指揮が気性激しかったせいか、オルフェウスにしては随分と荒削りになっていた事は否めませんでしたが、、。

それにしても昨日はさわやかな天気で、それだけで楽しくなるようでした。日が暮れると薄明るい夕日の名残と澄んだ夜空がマッチして、マグリットの絵のような不思議な空間が生まれてました。

2006/10/27(金) ワーグナーの幽霊?!
毎日長い長い”タンホイザー”オペラの練習、相当疲れるのですが、ひとつ面白いのが、指揮者がしょっちゅう、舞台裏に向かって、
”ワーグナーさん、どうですか?”とか
”ワーグナーさん、合唱どうにかなりませんか?”
とか、さかんにワーグナーに話かけています。

仲間に”ワーグナーの幽霊にでも指導に来てもらってるのか?”
と冗談で言ったら、今度来た合唱コンダクターの名前がワーグナーなのだそう。ドイツでは比較的ありふれた名前なのだそうです。

でも、うちの歌劇場、昔は本物のリヒャルト・ワーグナーが主任指揮者をやっていたのです。ここの歌劇場で作曲もやっていたそう。
それなら、彼のオペラやってる時には幽霊のワーグナーも聴きに来るかも、、と思ったりしました。

2006/10/26(木) ”書類の国”ドイツ
ドイツで働き出して、ちょっとびっくりした事の一つに税金申告があります。会社だけでなく、個々が皆、細かい申告を毎年やるのですが、ちょっと電車に乗った切符やらちょっとした買い物のレシートやら、全部取っておかないといけません。
1年で相当量の”捨てられないゴミ”が溜まります。

そういうものを取っておかなかったが為に、後で何十万もの税金を追加で払うことになった同僚がいて、嘆いていました。

日本がどうかは知らないのですが、電車も新幹線も、大抵切符が飲み込まれてしまうシステムですからドイツ程は細かくないのでしょうね。

私は面倒な計算は嫌だし、出来ないので税理士にやっていただいていますが、1年分の申告にほぼ1年かかってるのを見て、
”こんなエネルギー、もっと有効な事に使えないのかな、、”と思ってしまいます、、。

2006/10/25(水) ちょっとだれてる”タンホイザー”
”タンホイザー”のオペラ、今週はほとんどこの練習ばかりですが、やはりちょっと”気”が重くなっていく曲です、、。
おまけにこのとこしょっちゅう練習場が変わるので、移動が多いのでも皆疲れてしまいます。

先程の夜の練習の時は、そのオーケストラのぐったり感に気付いたのか、指揮者が
”今日は休憩なしにして1時間早く終えましょう!”と言い、とたんにオーケストラのやる気が戻りました。

オケの合間に、今J.S.バッハのソナタBWV1030を暗譜しています。
すでに暗譜でコンサートやったこともありますが、何度やっても発見の多い、あきさせない、そして演奏の想念を祈りに戻してくれるのがバッハです。

2006/10/24(火) ワーグナー
今日は朝と夜とワーグナーのオペラ”タンホイザー”のオケ合わせで、その合間にオペラで使う舞台音楽の録音がありました。

ワーグナーは作曲のみならずお話から脚本まですべて自作の多才芸術家です。

私は個人的には、大抵のワーグナーの曲はその場の空気がどんどん重くなるので好きではありませんが、ある種の天才には違いありません。
ヒットラーがワーグナー音楽を敬愛していた事も有名です。

どうかすると演奏していて頭痛がしてしまうワーグナーで、そう言う仲間も何人かいますが、ここはイタリア人の明るい気質でテンポ感の速いコーティ氏の指揮に救われてると思います。

2006/10/21(土) 2日目のシンフォニー・コンサート
シンフォニー・コンサートは2日目の昨夜のほうが手ごたえありました。
シューベルトも各楽章の性格がはっきりでたし、ブルックナーも構成がよりはっきりして、何より、それぞれのオケのメンバーが自発的にさらなるダイナミックを与えていました。

始まる直前に、コントラバスのシュミット氏が、
”2月18日にJ.S.バッハと現代曲の室内楽コンサート企画するんだけど、一緒に演奏してくれないか”と声をかけてくれました。
こういうのって嬉しい。楽しみが増えました!

朝の練習で”腕が痛くて仕方ない”と途中で帰ったヴィオラのドゥーテも本番にはやって来て、”色々治療したけどまだ痛くて仕方ない”と言うので本番前1時間足らずマッサージと浄霊してました。
”おかげで大分良くなった!最後まで弾けた!”と喜んでくれました。

2006/10/20(金) コーティ氏とのシンフォニー・コンサート
昨夜がシューベルトとブルックナーの交響曲の本番でした。

シューベルトの4番交響曲は、目だったテーマメロディがないまま、細かい訴えを繰り返す形で曲が進みます。
朝の練習で、その小さいキャラクターが明確になってないなあ、とはおもったのですが、本番では指揮のコーティ氏の温かい人格がにじみ出ていて、お客さんは喜んで下さってました。

ブルックナーの2番交響曲も、本来壮大な構成を持つブルックナーが、あまりに細かいフレーズで、その場その場のインスピレーションのみで演奏しているな、とは感じました。
それでも、お客さんは、前の人間的にも音楽的にも冷たかった前主任指揮者から、純粋に音楽を見つめる愛あふれるコーティ氏への交代に、歓迎をこめて拍手を惜しまないでくれました。

まだまだこれから指揮者として伸びるであろうコーティ氏との、良い感じの始まりです。

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