ひとりあるき
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2006/10/29(日) 黄金の木
険しい山脈に囲まれた、秘境の地
氷の刃がつらなり、何人さへも通すことの許されない土地に、一本の木が立っている。
黄金の実をつけるという、黄金の木です。

黄金の木の伝説は古くから伝わり、黄金を求めて、この秘境の大地へ挑む者たちは、あとを絶たない。

ある王国があった。
その国の王は、とても貪欲で、ほしいものは何でも手に入れなければ気がすまない。
王は、その王国の勇者に、黄金の木の実を持ってこさせるように、命令した。
もし、その黄金の実を手にし、帰ってきたのなら、名誉と財産をほうびとして、あたえよう。

勇者は、その命令を受け、黄金の木が立つ秘境へと、向かった。

いくつもの難関を乗り越え、勇者は、ついに黄金の木へたどりついた。

勇者が、黄金の実に触れたときに、勇者の心は、震撼した。
勇者の名誉や財産の欲が、黄金の木にぐんぐんと吸い取られていくのだ。
黄金の木は、黄金の実をつけるとこによって、強欲の者をひきよせ、その強欲をエネルギーに変えて育っていたのです。

欲をうばわれた勇者は、黄金の実も持ち帰らずに、命からがら王国へ帰った。
もう、名誉も財産もほしいとは、思わなかった。

王は、かんかんに怒ったが、勇者は、欲を失ったかわりに、黄金の木までたどり着き、生きて生還したことを喜びに感じ、その後は、消息を絶った。

今もなを、強欲を持った者が、黄金の木へめがけ苦難の道をたどっていく。

黄金の木は、そんな強欲の持ち主を、ずっと待ちつづけているのです。


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