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2021/07/30(金)
小説家になろうU
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背中 作/青野智也 ーーーーーーーー 夕暮れ、オレンジ色の空。競技場に呼吸と地面を蹴る音が響く。あと半周でメニューが終わる。自分のすぐ後ろから一際荒い呼吸が聞こえる。もうすでに限界で、それでも必死に追いついてきている。いつ脱落してもおかしくなさそうだったが、最後まで諦めなかった。 ゴールして後ろを振り返ると、同じく走り終えた後輩が地面に倒れ込むところだった。 「おまえ、今日は調子良かったな。いつもなら途中で抜けてるのに」 後輩は仰向けで胸を大きく上下させている。 「ほんと、は、今日も、とちゅう、で、やめよかな、って、思ってました」 息も切れ切れに話すのを見て、今しゃべらせるのはかわいそうだったなと気づく。 「やっぱ後で…」 「でも」 聞き直す、と言おうとして遮られる。 「でも先輩の、背中、見てると、まだ行けそうな気がして、まだ走らなきゃいけない、って思って」 太陽の最後の光が後輩の顔をオレンジに照らす。 「それに、先輩の服。辛いという字は、努力次第で幸せという字に近づく、って。走りながらずっと目に入るから、やっぱり頑張らなきゃって、思ったんです」 立ち上がり、夕陽に染まった顔が嬉しそうに笑う。 「そのおかげで、今日は全部出し切って走れました。ありがとうございました、先輩」 「…おう」 「でも、デザインもうちょっとカッコよくして欲しかったです」 「やかましいわ」 日が沈み、涼しい風が吹き抜けていった。 ーーーーーーー
最後風吹かしといたらなんとでもなると思ってます。 先輩のモデルは実は水内です。30日の練習で辛いという字は練習次第で幸せという字に近づくというシャツ着てるの走りながらずっと見ていて思いつきました。高校の時のクラブTのようでした。
練習の時水内の後ろで走ることが多く、なんだかそれが落ち着くようになってきました。また最近は田上さんの後ろで走ることも何回かあり、辛い時は田上さんの肩甲骨と背中の筋肉の動きを見て気を紛らわさせてもらっています。背中がめちゃくちゃかっこいい…。
ちなみに今日のメニューは3000m×3の閾値走だったのですが、小説の方の後輩とは違って僕は途中で辞めてしまいました…。でもTシャツに励まされて辞めようと思ってた周より一周多く走れました。もっと精進します。
以上です!
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