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2013/08/21(水)
昼は地中で… 新種の穴掘りセミ発見 高知
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日中は地面に自分で掘った穴の中にとどまって暑さを避け、日没後再び樹上で活動を再開するセミが高知県四万十市で見つかった。地中で長年幼虫として生活したあと、地上で羽化するという従来知られていたセミの生活史と異なる生態であることから、世界的な注目を集めそうだ。観察記録は英科学誌「フェノメノン」(オンライン版)に掲載される。
成虫後も地中にもぐるセミを発見したのは、市立四万十九十九小学校2年生の小鳥遊隆(たかなし・たかし)君(8)。夏休みの自由研究としてセミを捕まえようと、近くの公園を訪れたが、セミの姿が全く見当たらなかったため、周囲を探索していたところ、地面に多数の穴があるのを発見。穴に爆竹を詰めて点火したところ、バラバラになったセミの破片が飛び散ったため、今度は丁寧に他の穴を掘り進めてみたところ、深さ約20センチあたりに成虫のセミが埋まっているのを見つけた。
さらにその日の夜、同じ場所を訪れたところ、地中から羽化を始める幼虫のセミに交じって成虫のセミが何匹も這い出している様子を確認。その後、成虫は木に止まると、昼のセミと同じようにミンミンと鳴き始めたという。
このような「成虫後も穴に隠れる」という性質は、図鑑に載っている「セミの一生」と異なる生態であったことから、地元の県立高校で生物の教鞭をとる芳賀俊彦教諭に相談したところ、新種のセミである可能性があると判明。同教諭を通じて国立生態研究所に鑑定を依頼していたが、10日、遺伝子的にはミンミンゼミの亜種に位置づけられる新種であることが分かった。
四万十市でこのようなセミの個体が多数見つかった理由について、セミの生態に詳しい京都大学生物環境学部の坂本義太夫教授(逢坂論)は「4日連続で最高気温40度超えを記録するなど、四万十市は酷暑が続きやすい土地柄。さすがのセミも暑さから逃れるため、生存本能として幼虫時代の土の中に戻るべきだと判断したのだろう。人間同様、日中は涼しいところでじっとしていたいというセミの気持ちは十分理解できる」と話す。
また、今後このようなセミが他の地域で増加していく可能性については、「十分あり得る。これだけ暑ければ、どこで発生してもcicadaないのではないか」と、まさかのダジャレオチでコメントを締めくくった。
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