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2010/06/29(火)
「SS」デートがしたい4
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(間があいちゃったごめんなさい。そのうち全文まとめます)
それはいつもと同じ朝だった。
「おはようございます、主はやて」 「あぁ、おはようさんシグナム」
機動六課の宿舎内、出勤のためいつも通りの時間に起きてくるとすでに主はやては朝食の準備をしていた。 食事だけなら主の手を煩わせなくとも食堂でとればいいのだが、 他ならぬ主自身が作れる時は作る、と言って引てくれないため私達は自室で食事をとることも多かった。 もちろん隊員達との交流のため、昼食などは積極的に食堂へ足を運ぶようにしてはいたが。
「もうすぐ出来るから、座って待っとってな」 「はい……ヴィータは早朝訓練ですか?」 「そや、ザフィーラはヴィヴィオのお守やし、シャマルは新しい機材が届いたとかでシャーリーと嬉々として飛んでったわ」 「ザフィーラは子供好きですし、シャマルは……まぁあの性格ですから」 「ついた早々、シャーリーと変な改造せえへんかが怖いとこやわ……」 「さすがにそれは……」
主はやての言葉に苦笑するが、あの二人ならやりかねないのが怖いところだ。 実際にこの間、もう少し効力を上げられると思って……と機器を一台御釈迦にしてしまった前科があるので否定できない。 だからこそ今日の機材搬入なわけなのだが。
「ただでさえどこも復旧で予算が厳しいんやから、これ以上心労増やすんは止めてほしいわほんま」 「二人も心得てはいると思うのですが……」 「実行に移してくれんと何も言えへん」
渋い顔で味噌汁を装う主はやて。 将として少し注意しておくべきかとも思うが、それくらいで止まりそうにないのがまた困ったところだ。
「困った言うたら、ライトニングの隊長もなんやけどな〜」 「テスタロッサがどうかしましたか?」 「最近地上部隊への移動が多いやろ? なのはちゃんといる時間が減った言うてうるさいんよ」 「あぁ、そういえばそんなことも……」
確かに朝はすれ違いだし、お昼も一緒に食べれないことが多いとぼやいていた。 うちは朝食は主はやての手料理だ、と言ったらその日一日テスタロッサからの風当たりが強かった。 事実を述べただけだ、自慢したわけではない。
「おまけにシグナムはなのはちゃんとデートさせたくせにー! なんて言われたわ」 「……は?」
先日なのはに頼んで、主はやてへの贈り物探しに付き合ってもらった時のことだろうか? 確かに軽い食事と買い物はしたが、決して他意があったわけではない。 そのことはテスタロッサも主はやても分かっているだろうから、ただの八つ当たりなのだろう。
「まぁフェイトちゃんがなのはちゃんとデートしたい言う気持ちは分かるんやけどな」 「そうですか……」 「……」 「……」 「……」 「……主はやて?」
全て配膳し終わるとじっとこちらを見つめてくる主はやてに首をひねる。 何か私からの言葉を待っているようだが、主は一体何を期待しているのか……? ……あ、デート?
「あ、主はやて、あの……」 「……」 「そ、その……」
ひょっとして主もデートがしたいのだろうかと思い、声をかけようとして……どう声をかけたものかと固まった。 デートに誘うというのは、普通どうするものなのだろうか?
「はぁ……ヘタレはヘタレでも、なのはちゃんがたまに羨ましなるわ……」 「ふぐっ……」
言葉を続けられない私に主は一つ、溜息をつくといただきますと言って朝食を食べ始める。 ぐさっ、っと突き刺さった主の言葉が抜けないまま、私も朝食をとり出勤することになってしまったのだった……
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