キッドのぐ〜たら日記
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2010/01/06(水) それも愛、これも愛?(SS・なのフェイ)後半
 
「……くしゅんっ!! ……うぅ、で、でもやっぱり寒いかも……」
 
 
 
 
そろそろ帰ってくるだろうと、台所に晩御飯を出すために戻ったなのはとは別に、私は玄関の前に居座り続けた。
この寒さに私がギブアップして中に入るのが先か、それともヴィヴィオが戻ってくるのが先か。
更にそれから5分たち、10分たち……15分が経過しようとしたところでようやく待ち望んだ姿が現れた。
 
 
 
 
「ただいまぁ〜……って、何してるのフェイトママ」
 
 
 
 
「おかえり……門限破りの愛娘を待ってたんだよ、ヴィヴィオ」
「あぅ……ご、ごめんなさい」
 
 
 
 
むすっ、と事実を告げると、ばつの悪そうな顔をするヴィヴィオ。
訓練が長引いた、とはいえさすがに遅くなりすぎたという自覚はあるようだ。
本人に自覚がある以上、加えて私から言うことは今のところはない。
私は無事に戻ってきた娘の頭を撫でると、嬉しそうに目を細めるヴィヴィオの手を引いて家の中に入った。
 
 
 
 
「あ、おかえりヴィヴィオ。お腹すいたでしょ、ご飯出来てるよー」
「ただいまなのはママ。うん、もうぺこぺこ。今日のご飯は何?」
「んー? 今日はねぇ……フェイトちゃん?」
「……ぇ?」
「……ねぇ、大丈夫フェイトちゃん。なんだか少し、顔色悪いよ?」
「そ、かな……?」
 
 
 
 
帰宅したヴィヴィオを迎えたなのはと、当のヴィヴィオのやり取りをぼんやりと眺める。
けれど、穏やかな幸せの空気を堪能する私を見て、突然なのはの表情が心配そうなそれに変わった。
確かに寒い中外に立っていたので、だいぶ身体は冷えていたけれど、部屋の中に入ったおかげで今は随分とぽかぽかしている。
別段具合が悪く感じる要素はどこにも……ん?
……ぽかぽか? こんな短時間で?
 
 
 
 
「……フェイトちゃん、熱、あるよね?」
「え、え?」
「……クリスのサーモチェックでも出てる」
「は、ぅ……」
「もぅ! だからほどほどにって言ったのに!」
「フェイトママのバカ!」
「ひぅ、ご、ごめん……わわ、ちょ、ちょっと待って……」
「待ちません。ヴィヴィオ、毛布まくって」
「うん、なのはママ」
 
 
 
 
額に当てられたなのはの手のひらが気持ちよくて、ついうっとりしていたらちょっと棘のある声が耳に届く。
見ればなのはだけでなく、ヴィヴィオもスキャンを走らせたらしく、私は熱があるという診断に落ち着いたようだ。
熱が出ても不思議じゃない状況に、さっきまでわが身を置いていた私としては、最早返す言葉は残っていなかった。
引きずるように二人に寝室へ連れて行かれ、問答無用でベッドに寝かされた。
 
 
 
 
「あの、なのは、ヴィヴィオ? と、年越し蕎麦は……」
「熱が下がらなかったらダメ」
「そんなぁっ!?」
「ほらフェイトママ、薬飲んで」
「暖かくして一眠りすれば大丈夫だよ。風邪とかじゃなさそうだし」
「大人しく寝ててねフェイトママ、私の代わりにクリスがそばについててくれるからね」
「うぅ……ありがとう……」
 
 
 
 
二人の連携プレイに、なすすべなくやり込められる。
私が仕方なく毛布に包まると、大丈夫? というように眉を下げたクリスが目の前にやってきた。
 
 
 
 
「うん、大丈夫だよ」
 
 
 
 
そう笑って応えると、よしよしと私の頭を撫でるクリス。
なんだかなのはやヴィヴィオにそうされているようで、私は穏やかに眠りについた。
 
 
 
 ◇
 
 
 
ぴしっ。ぱしっ。ぽかぽか。
 
 
 
 
「うぅ〜ん……なに〜……?」
 
 
 
 
夢も見ないくらいにぐっすりと眠っていたのに、私の頭を叩く何者かによって、眠りから覚まされる。
そして視界いっぱいに広がるウサギのぬいぐるみ。
 
 
 
 
「うわっ!? ……あ、なんだクリスか……」
 
 
 
 
跳ね起きた私に、おはようというように片手を上げるクリス。
その手がちょいちょいと時計を指し示す。
ディスプレイには23時50分の文字。
どうやら起こしてくれたらしい。
 
 
 
 
「ありがとうクリス、助かったよ」
「フェイトママ、そろそろ……あ、もう起きてた?」
「うん、クリスが起こしてくれたよ」
「そっか、ありがとうクリス」
 
 
 
 
えへん、と胸を張ったクリスやヴィヴィオと一緒に、寝室を出てリビングへ戻る。
ちょうどなのはが蕎麦をテーブルに出しているところだった。
 
 
 
 
「あ、来たね二人とも。うん、フェイトちゃんも顔色いいね、よかった」
 
 
 
 
微笑むなのはに笑みを返す。揃ってテーブルに着き、他愛ない話で今年を振り返りその時を待つ。
愛する人と、愛娘と迎える新年まで、あともう少し……

あとがき(言い訳)

コミケ突発コピー用その一。
心配性なフェイトさんも愛ゆえに、フェイトさんをベッドに押し込んだなのはさん達も愛ゆえに。
よーするに家族でキャッキャうふふだわねww

2009/12/31著


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