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2012/08/23(木)
「平清盛」第30回「平家納経」
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今回は久しぶりに新院メインのお話で、それを平家納経と絡めて1話という回。演出は中島由貴さんです。
讃岐で静かな日々を送る新院(43)。夕暮れ時の光の感じがよく出ているライティングです。
京では、滋子(20)が出産だん。のちに高倉天皇となる憲仁(1)が誕生し、後白河院(35)が上機嫌です。
一方、イライラしている清盛(44)。宋からの輸入品を届けに来た兎丸と愉快な仲間たちに「遅い!」と声を荒げますが、「博多から何日かかると思てんねん!文句あんのやったら、博多を都の隣に持ってこいや、ワレ!」と逆ギレされてしまいます。
輸入品は憲仁の誕生祝い。さっそく内裏へ参上する清盛・重盛(24)ですが、次男の基盛(22)は末弟の重衡(6)と小弓で遊んでいます。重衡かわええー。
そこへやってきたのはチンピラもとい時忠(34)。基盛と教盛(34)を巻きこみ、「憲仁親王を東宮に定めてもらおう」と持ちかけます。…が、当今たる二条帝(19)にあっけなく露見。憲仁が東宮になれば、二条帝の皇統は断たれるということなのですから、許すはずがありません。ソプラノボイスで清盛を叱責します。平家は「後白河上皇寄り」ではなく「二条帝に忠実」ということを示すため、時忠・教盛・基盛は官職返上となります。
讃岐で写経に励む新院は、書きためた経を都へ送ります。ところが後白河院は「呪詛かもしれぬ、気味が悪い」と受け取り拒否。「送り返せ」と命じてしまいます。さらに、ちょうど膝の上にいた憲仁が写経を破いてしまいました。
それを受け取り、がく然とする新院。追い打ちを掛けるように、重仁親王(23)死去の報が届きます。物心ついてから溜めに溜めて爆発させた負の感情を、讃岐で静めた、その結晶のつもりの写経だったと思います。だからその経が都に置かれることで自分は救われるだろうという思いで弟のもとに送った。突き返されるなんていう展開は全くの想定外だったのです。
雷鳴とともに、目が血走ってくる新院。
「いかん、生成(なまなり)になる!」と口走ってしまった人、手を挙げなさーい。先生怒らないからー。
そして今日では、高野山に出かけていた基盛(24)がなんと無言の帰宅。川に落ちてしまったのです。重衡(8)役の子、何歳か知らないけどちゃんと芝居できててすごい。(8歳にしては子役の子が幼いのですが。)
イケメン僧侶の西行(45)が経を上げに来たかと思うと、
「私…見たんです…基盛殿が宇治川を渡っているとき…怨念のかたまりみたいなものが讃岐の方角から飛んでくるのを……キャーーー!!」
と、突然のオカルト発言。「保元・平治の乱で、いろんな人の恨み買ってんじゃね?」とほのめかします。
般若になってるよ新院。
すごい。すごい特殊メイクですこれ。
このまま平家納経へ行く流れですが、頭に霜を置いた忠通(67)が訪ねてきて、基実(21)&盛子(8)の結婚話がまとまります。ここまで活躍、というか暗躍してきた忠通の退場までしっかりフォローされました。1話から出続けていたのはもう、忠通と池禅尼くらいになってしまっていましたね。摂関家の存続のため、時に汚い手も使いながら立ち回ってきた忠通さん、お疲れ様でした。
で、ようやく平家納経です。いいですねえこの制作シーン。保存版ですねえ。たまらん!書き損じて Σ(゜□゜;)!! ってなってる教盛もツボだー。いいよね、鈴之助教盛。
さて、讃岐。
ヒゲ般若になってるよ新院。
爪が伸びて腕まで血がついてるし、怖っ!
納経もいよいよ完成…と思ったら、時忠のもとに検非違使が。「今上帝を呪詛した容疑が掛かっています。署までご同行を」と言うので当然否定しますが、「話は署でうかがいましょうか」と連れて行かれ、出雲に流罪が決定。
とうとう平家納経が完成。なんて豪華…。
拝啓NHK様、ドラマ用に作った平家納経をスタジオパークでもどこでもいいので展示してください!見たい!
よーし完成したぞー!というわけで、一族郎党船に乗り込んで厳島を目指します。
経典を神社に奉納ってよく考えたら変なのですが、当時は仏教と神道が一緒くたになってましたので、別におかしくないのですね。
しかし、この船が遭難して沈んだら、平家滅亡だよなあ(笑)。
そしてなぜか乗っている西行。どんだけ神出鬼没―!「なんでお前が乗っとんねん!」という兎丸の台詞、まんま視聴者の代弁でした。
私…見たんです…雲が天狗の顔になっているのを……キャーー!!
荒れまくる海に弱気になる一門を叱咤し、船倉から甲板に躍り出る清盛がよかった!それでこそ平清盛だ!
松ケン清盛がやっぱりいいなーと思うのは、子供っぽい格好から直衣になって髭を生やしても、目が少年みたいなんですよね。何歳になっても少年の心を持っている、みたいな。きっと本当の清盛もそんな人だったのだろうなあと、松ケン清盛を見てると感じるのです。
嵐が過ぎ去ると、新院の御所にも陽光が降り注ぎ…
特殊メイクも落ちていました。
犠牲者たちの魂を静める!という平家の強い思いが、讃岐まで伝わったと、そういうことでいいんじゃないかと。
柔らかな光とともに、井浦新院がクランクアップ。ハマリ役が多い本作でも屈指の絶妙キャストでした。皇太弟事件で「ちがーう!」と動転する場面、雅仁の即位を知って倒れるシーン(通称「ローリング崇徳」)、白河殿から脱出して「何一つ思い通りになったことはなかった」と嘆く場面などなど、数え切れないほどの名場面を見せてくれました。井浦さんの芝居の力量はもちろん、以前から崇徳院に相当の思い入れがあったようで、まさに「この人しかいない」という理想の配役だったと思います。
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