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2012/07/30(月) 「平清盛」第28回「友の子、友の妻」
安定の柴田岳志演出です。「今週良かったなあ」と思う回は柴田演出のことが多いので、やはりうまいのですね。

まずは頼朝(13)。父・義朝(37)や正清(同)らわずかな人数で東へ逃げますが、父が「髭切」を持っていないことに気づいて探し始めると、

迷子になってしまいました。

「迷子のお呼び出し」が必要ですね。
そしてやっぱり、雪降ってないのね。これは前回に引き続いてちょっと物足りない点。

京では、信頼(27)と成親(22)がほうほうの体で仁和寺にたどり着いていました。先に仁和寺に逃れていた後白河院(33)が二人をいたわるようなことを言うのですが、

紀伊の二位様の目がすわってるんだからただで済むはずがないのです。

無言で成親にお酌をするときの微笑が恐ろしいです朝子さん。案の定、既にその場にいたらしい教盛(32)に捕縛される二人。処分を任されている清盛(42)のもとに連行されます。

主犯格でなかった成親はお咎めなしとなるものの、清盛は「またこんなことしたら身内とは思わない」と厳しい一言(重盛による助命はなし)。鹿ケ谷への長い伏線がスタートです。

信頼は容赦なく斬首決定。「志なき者の一生が面白うないは道理」という清盛の一喝、鳥肌が立ちました。志があった信西は殺されてしまったのだものなあ。

再び源氏の逃避行。朝長(16)は美濃の青墓で、父の手にかかって亡くなります。義平(19)は「北国(=北陸。キタグニではなくホッコク)へ行く」と言って義朝・正清から離れますが、「斬首となった」(頼朝ナレ)。

【速報】源太の斬首、ナレーションで終わり

あっさり処理されちゃいました。波岡悪源太が似合っていたので、斬首の瞬間までふてぶてしかったところを見たかったのですが、まあ今回は頼朝やら常盤やら、事後処理しないといけない人たちがたくさんいますからね。

年が明けて平治2年1月4日。

正清(38)の義父・長田忠致のもとに逃れてきた義朝主従。「風呂の支度をする」と言う忠致。義朝湯けむり殺人事件キター!と思ったらなぜか義朝が忠致の心変わりに気付いてるー!

「もう木のぼりは終いじゃ」と正清に告げる義朝。雪の降る庭に飛び出すと、そこここに臨戦態勢の武士が潜んでいました。目配せして互いを刺し殺す義朝主従。

何かあれですね、婿とその主人が逃げてきたので家に入れたら、目の前で心中しちゃったっていう…。

忠致「なんで俺、男2人の心中を見守らにゃいかんの?こいつらデキてんの?だからってなんで人んちの庭で心中すんの?ねえ何で?」

いや本当は忠致は真っ黒なんですが、この場面の忠致さんが純粋に驚いているように見えまして。

さて義朝客死の報を受けた清盛(43)は依然冷静。「頼朝を探し出せ」と指示を出します。このあと、廊下で一人になったときに黙って目を閉じてるのが悲痛でした。一門の前では取り乱さないけれど、実際にはショックを受けているという。

その頼朝(14)がついに捕縛。六波羅に連行され、父と正清、そして二人の兄の最期を聞かされて泣き崩れます。ここで盛国が「無理もございませぬ、宗盛様と同じ14の若者…」と言って「頼朝と宗盛は同い年」であることをさりげなく示しています。本作ではこの2人が子供のころから対比されているのですが、これは宗盛にはつらい。

このあと宗盛が頼朝に因縁をつけに来るのですが、言うことが小物だ…宗盛…。(*´Д`)=3

常盤(23)はどこかよく分からない場所(少なくとも京ではないようですが吉野なのかどうかは不明)で牛若(1)を産み、六波羅へ行くと決意。のちに弁慶となる鬼若と牛若が初の顔合わせ。

その六波羅では、池禅尼が「頼朝が家盛に似ている(顔ではなくて性格が)」と言い出しますが、相手にしない清盛。平治物語にあるように断食するのですが、家貞(77)が水を差し入れてうやむやに。

で、問題の常盤母子出頭。

教盛、身を乗り出してる!めっちゃ乗り出してる! 本作の教盛、単純だよねえ。面白いからいいんですけど。

常盤はいったん下がらせ、いよいよ頼朝処断。

頼朝の中では「武士=武力」なので、商社みたいなことをやって財をなしている平氏なんて真の武士じゃない、そんな者たちが作る世なんて見たくないから殺せー!と吠えます。が、清盛にしてみればそんなものは源氏の自己満足。世を変えるため、朝廷に食い込んでいくためには財力が必要だったのです。それをやる才覚がなかった源氏は「できないこと」を「必要ないこと」だとして否定し、武力のみで突進したら案の定負けたのでした。その挙句に「武力がすべてだというポリシーを守ったまま死にたい」って、なにオマエ現実逃避と自己満足と負け惜しみの三連コンボかましてんの?というわけで、清盛からすればちゃんちゃらおかしい。

「何が『潔く死ぬ』だバーカ、生きる方が大変なんだよ!」というわけでした。

そして本日の最難関、常盤との同衾

これはTL上で「わからん」「わからん」「何だあれは」という声が続出でした。確かに分からない。自身の母と常盤を重ねているような清盛の発言からすると、

母性愛に飢えて常盤を求めるという、「オイディプス」ばりのマザコン場面にも取れてしまうのですが、それはさすがに気持ち悪い。

でも常盤はこの場面で押し倒されても、「私は源義朝の妻」ときっぱり言っていたところからすると、彼女は心が揺るがない女性で、そういう「か弱く見えて気丈」なところに清盛がグッと来た、くらいの解釈でいいのではないでしょうか。

で、ラストで清盛が公卿(三位以上)に昇進。貴族たちが頭を下げて道を空けてます。いけー清盛ー!

2012/07/29(日) 「平清盛」第27回「宿命の対決」
だいぶ間が空いてしまいましたが、またぼちぼち大河ドラマの感想を書いていきます。

第27回は、

清盛帰還 → 反乱が内部崩壊 → 天皇が六波羅へ(=平氏勝利が決定) → 戦闘で源氏敗北

という流れです。

六波羅邸に戻ってくる清盛(42)。教盛(32)は早くも完全武装で雄叫びを上げてますが、清盛があくまで冷静なので拍子抜け。

旧暦12月なので今の暦だと11月なのですが、寒そうな描写があまりないのがちょっと惜しい。家貞(76)がマフラーっぽいものを巻いているくらいでしょうか。

一方、義朝(37)は今にも清盛が攻めてくるとばかり思っています。あっ、朝長(16)がいたー!と思ったら何だかとっても獰猛な人になってる。なんだそりゃ。

藤原経宗・惟方(いずれも二条親政派)は、坂東武者の荒々しさを目にしてドン引き。有薗経宗の渋面、顔全体で一体何本のしわが入るんだ!

信頼(27)は女房と双六遊びに興じているバカっぷリ。顔に落書きされてキティちゃんみたいになってます。塚地さん、うまいわー。

平氏の動きが見えないことに、内裏の義朝軍は待ちくたびれ気味です。清盛からの使いが来たと言うので奮い立ったのに、やってきたのは白髪の家貞ひとり。名簿(メイボではなくミョウブ。服従を示すもの)を信頼に渡しに来たのでした。信頼はこれを真に受けて喜びます。義朝は信用せず「裏があるとしか思えない」と詰め寄りますが、家貞は「武士の役目は主上(おかみ)をお守りすること、その思いに裏も表もない」と、質問に答えているようで答えていないことを言ってかわします。その主上は今幽閉中という危機にあるので、「主上救出」と家貞の言葉は矛盾しないわけです。家貞、うまいこと切り抜けました。

どんちゃん騒ぎの六波羅邸。この場面の「熊野へ参るには〜!紀路と伊勢路とどれ近し〜!」という今様が楽しいなあ。出陣させろー!とうずうずしていた教盛は率先して踊っちゃってます。

そこへ経宗・惟方が来訪。この二人はもともと、信西を始末したら信頼・義朝を裏切るつもりだったのでしょう。彼らは「反信西」の一点だけで手を組んでいたのであり、それを遂げてしまえば連携の必要性はなくなったので、今度は清盛を味方につけて信頼・義朝を消そうとしたわけです。いわば「いいとこ取り」をしようとした者たちによって信西を殺された清盛は当然キレます。が、信頼に従ってみたって、帝の幽閉を正当化はできないのですから、帝を救出する側になる方が大義名分が立ちます。清盛は経宗・惟方の申し出を受け、この二人に恩を着せることもできて一石二鳥です。

内裏に戻った経宗・惟方は、信頼に「兵に酒でも振る舞っては」と提案。すでに心は離反済みです。兵たちを眠らせ、後白河院と二条帝を内裏から脱出させます。有名な「二条帝の女装」もしっかり映像化してくれました。帝の牛車をあらためた悪源太義平(19)は全く疑問に思わず「いい女じゃ」とニヤリ。

ちなみに、このシーンで出てきた白拍子は男性だそうです。もともと白拍子の格好は女性に男装させるという倒錯衣装なのですが、それを男性にさせると「男装した女を演じる男」という二重の倒錯になるんですよね。こういうのはとても面白いです。

そして帝は六波羅へ。二条帝はしっかり束帯をお召しです。内裏から持ってきたのでしょうか。こんな非常時に正装しなくても、直衣でも別にいいと思いますが。「源氏を討て」と勅命を賜り平氏の士気は最高潮。逆に源氏は大慌て。

ここでいきなり宗盛(13)が唐突に元服させられた上に出陣することに。ここでの「宗盛」という字、先ほどの名簿の字の達筆ぶりと比べると落差がすごい。名簿は家貞が書いてたのかな。

ここから戦闘シーンです。(常盤の登場は何がしたいのかよく分からないのでスルー)

待賢門に攻め入る重盛(22)が有名なダジャレを披露します。平治物語では馬に乗っていて、源太と華麗な騎馬戦を繰り広げるのですが、平治物語の戦闘シーンは真偽不明ですので、必ずしも採用しなくてもよいと思います。窪田重盛が気合十分ですねえいいですねえ。名刀「抜丸」で奮戦する頼盛、ビビってる宗盛。

突然、平氏軍が退却。「押している」と思い、勝ちに乗った(つもりの)源氏軍は一斉に追撃します。

が、賀茂の河原でおびただしい数の平氏の軍勢が待ち構えていました。内裏から東へおびき出されたというわけです。(内裏を戦場にしなかったのは新築したばかりだったからでもありますし、戦死者でも出ようものなら天皇の住まいが穢れてしまうからです)

ここからは史実かなぐり捨てて大脱線。

大将同士が一騎打ちとか有り得んだろ、とか、バックの森にずいぶん孟宗竹が多くて、どう見ても戦後に林業が崩壊して荒れた森ですよね、などとツッコミを入れてはいけません。もう清盛と義朝の、いい年したオジサン二人のなりふり構わぬ1 on 1 、蹴りあり頭突きありのバトルに興奮すればそれでいいのです。嘘臭さがないと言えばうそになりますが、この二人の気迫でそんな細かい疑問が押し流されてしまんですよね。

それはこの場面に限らず本作に全般的に言えることでもあります。脚本の粗(あら)とか、つながりの悪い部分を指摘し始めればいくらでも出てくるのですが、そこで視聴者の中に生じるかもしれない疑問を消し飛ばしてしまうのが俳優陣の演技なんです。このドラマはとにかく誰を見てもはまり役で、実力も十分ある人たちばかりです。図らずも「脚本の減点ぶんを役者が埋めた上に加点を積み上げている」ために、トータルで見れば合格点を軽々と上回っているというわけです。「キャラ大河」といわれることがありますが、的を射た表現でしょう。

ともあれ平治の乱は決着。次回は事後処理です。

【拍手お礼】
7月26日、28日に拍手下さった方、ありがとうございます♪ 堀部忠通、1話から出てるので実は結構長丁場なんですよね。息子達が登場して代替わりの気配ですので、もう出番は数えるほどかもしれません(亡くなるのは1164年です)。

2012/07/19(木) 拍手お礼
7月9日、16日17時台、20時台に拍手下さった方、ありがとうございます!またおいでいただければうれしいです^^

ここ何日か、とても暑いです…。
春ごろに、「地球はこれから寒くなる」みたいなニュースをいくつか目にして「だったらいいな〜」と思っていたのですが、全然そんなことになっていないですね、はい。

ちなみに最近、「JIN ―仁―」完結編をDVDで見ています。残り2話のところまで見ましたが、面白いですね!役者さんも豪華。(出番がそんなにないにもかかわらず中岡慎太郎役が市川亀治郎とか、すごいですよねー。)リアルタイムでは全然見てなかったので、たぶん世間から1年遅れくらいで感動してます。

2012/07/09(月) 「平清盛」第26回「平治の乱」
前回からの続きで、平治元年12月9日。

信頼そして二条親政派と組んだ義朝が遂に決起します。三条殿を夜襲し、後白河上皇とその姉・上西門院は内裏の一本御書所(いっぽんのごしょどころ)、二条天皇は黒戸御所(くろどのごしょ)に幽閉されます。信西は何とか脱出したようです。

もふもふの白猫をしっかと抱いている上西門院様。

侍女に持たせたりしないんだ!自分でだっこするんだ!なんかとても愛らしい図です。この猫が出てきたのは由良と二人のシーン以来だったと思うのですが、そのときの猫好き設定がちゃんと生きているのが丁寧。

義朝は「女子供でも容赦するな、信西が化けておるかもしれぬ」と指示。館が燃え上がり、パニック状態で逃げまどう女たちが次々と射殺されていきます。平治物語絵巻「三条殿夜討」を映像化しました(キリッ) って感じですね。この場面はかなり生々しくて、よく出来ていたと思います。

信西の妻・朝子(紀伊の二位)は六波羅の清盛邸に駆け込み、「夫が狙われている、助けてほしい」と時子に懇願。ところが清盛と主だった家人たちは熊野詣で家を空けていました。時子はすぐに早馬を出し、忠清が熊野街道沿いの切目(@紀伊)で清盛一行に追い付きます。

知らせを聞いて「すぐ京に引き返す」と言う清盛ですが、参詣に来たのですから戦の用意はしていません。すると家貞が「こんなこともあろうかと…」とばかりに武具を出してきました。なんという、デキるじいさん。 「家人はかくあるべし」というところを見せてくれました。

義朝が挙兵したと知って憤る清盛。清盛は自分が高い地位に昇って武士の世が来たら、義朝も昇進できるのに…と思っていたらしい。ただ、(あくまでもこのドラマの中では)清盛には「武士の世」という未来のイメージがあるのに対して、義朝はそんなことを口にしてないわけです。義朝は武芸ができるし、合戦も強いけれど、政治の場ではおそらく大したことはできない。清盛には武士の面と政治家の面があって、後者が国のビジョンを描いているのですが、義朝は武士の面だけですので、「とにかく力で上に立つ」くらいの発想しかないんだよなあ。

こちらは命からがら逃げてきた信西と数人の部下たち。平治物語をお読みの方にはお馴染みの、隠れ穴作戦が始まります。手で掘ったにしてはずいぶん大きな穴が出現し、そこに隠れる信西。悲嘆のあまり髻(もとどり)を切る師光。

12月14日。
内裏では信頼が自分勝手な除目を始め、戸惑う成親。(この辺は多分オリジナル設定。成親はもっと後まで信頼と行動を共にするので。)信頼の座り位置がお誕生日席になってて滑稽です。天皇の席だろうそこは。二条帝を育ててきた美福門院と、彼女とずっと連携してきた忠通はイライラしている様子。

そこへ、これでもかと顔を汚した悪源太義平(19)が登場。演じる波岡一喜さんが33歳で、父親役の玉木宏さん(32)よりも年上というのがどえらい配役ですが、違和感なく見られるのがまたすごい。顔つきもヤンキーっぽくて、なんかもう波岡さんだけ金髪で髪逆立てて、特攻服でバイクで登場して「わが名は鎌倉悪源太ァ!ウラァ!」とか言ってても別にいいYO!

六波羅では在京メンバーがああでもないこうでもないと話し合いますが、結論は出ないまま。盛盛会議がまとまらないのはもうお約束になりつつありますね。なんかもう壇ノ浦まで「盛盛会議は結論が出ない」設定が引き継がれて平家が散って行きそうな気がしてきました。

一方の清盛たちは「大阪市は市長が変人だから入りたくない」…ではなく「阿倍野で悪源太義平が待ち伏せている」という情報を聞いて京に入れずにいました。本当に信西を助ける必要があるのか?と冷めたことをいう重盛に、信西は道を示してくれた人物だと語る清盛。この辺、ちょっと回想シーンが多いなと思いました。もう少しテンポよく展開してほしかった。

平治物語では重盛が「一刻も早く京に戻る」と熱く主張して、清盛は「それは危険では」とためらうというキャラ付けなのですが、この辺は逆になってます。

こちらは穴の中で清盛の助けを待つ信西。茂みをかき分けて人が来る音がし、ああ、助かる!清盛来てくれた!と、目に光がともる信西。

ごめん…それが清盛じゃないことは…みんな知ってるんだ…。

捜索の武士に見つかった信西は、刀を抜いて自害。(ここからの無音の数秒が印象的でした。)

間に合わなかった清盛は、獄門に掛けられた信西の首にがく然とします。そして源氏を滅ぼすと誓うのでした。

後白河帝即位や保元の乱でフィクサー的に立ち回ってきた信西がこの回で退場。サダヲ信西、良かったですね。志のある学者であり、一方で冷徹な政治家であり、外国渡航の夢もあり、という多面的な人に描かれていました。ぐりぐりっと大きな目が、国のビジョンを語るときにきらきら光るのが印象的でした。黒さ全開の場面もうまかったし、ハマリ役だったと思います。これからしばらくは、この人を見たら信西としか思えないんだろうなあ。

【拍手お礼】
7月3日、7月6日、7月8日に拍手下さった方、ありがとうございます。またおいでいただければうれしいです♪

2012/07/06(金) 「平清盛」第25回「見果てぬ夢」
由良様さよならスペシャル&平治の乱開幕

今回は、藤原経宗(36)と藤原惟方(35)が初登場。それぞれ二条天皇(17)の叔父と乳母子で、演じるのは有薗芳記さんと野間口徹さんです。

前回昏倒した由良御前。病臥しつつも、朝廷で冷遇されている夫を心配していました。健気です。

内裏では、算木を所狭しと並べて租税収入を計算する信西(54)・師光ら。訪ねてきた清盛(42)に、妻の朝子(紀伊の二位)が信西の博学ぶりと留学への熱意を教えてあげるのでした。ここは「平治物語」挿話の再現です。(磯智明CPのツイートによると、信西が流暢に宋語を話すこの場面を阿部サダヲさんは完ぺきにこなしたらしい。なんてデキる男。)

しかし平治の乱は確実に近づいてきており、当時の政界の情勢を頼朝が説明してくれます。二条帝の親政を主張する経宗・惟方と、後白河院政派が対立していたのです。そして院政派は一枚岩ではなく、後白河院(33)の寵愛を利用して昇進を狙う藤原信頼(27)は、それを正論で阻む信西を排除したがっていました。(経宗を演じる有園さん、憤って顔の筋肉がプルプル震えてるのがうまい!)

そして次のシーン、冬直衣で後白河院と踊ってる塚地信頼が絶妙にキモい。 キモカワイイとも言えるかもしれない。

そこへ呼ばれた信西。信頼が近衛大将の地位をおねだりしたので、院は「任じてやってくれ」とこともなげに言います。(寵臣がねだったら官位をホイホイやることに疑問を感じていないマー君もマー君ですが。)当然、断る信西。怒る信頼。

信西は白楽天の「長恨歌」を後白河院に届け、いさめようとします。玄宗皇帝が楊貴妃にのめりこんで唐は滅んだ、信頼をひいきし続ければこの国が滅びます――と。

信頼=楊貴妃?

よく分からんがそういうことにしておきましょう。(ちなみに後白河院と信頼は体の関係だったそうです。)

開始から15分経ってようやく主人公のまともな出番がきます。

義朝(37)と話す清盛。妻が病気と聞き、「宋の薬が入り用なら、いつでも言うてくれ」と申し出ます。かつて入手できずに、明子を失わなければならなかった宋の薬。今はもう手に入るのです。もし友がそれを必要とするなら惜しむことなく――と清盛は思っているのに、義朝はそんな背景は当然知りませんので、「信西と手を組んで得たものなどいらん」と拒否。信西に冷遇されて焦り、余裕がなくなっていたのです。義朝が進む方向を見失っていることを知る清盛。

で、平治元年二月十九日。ウグイスのさえずりのごとき美声の上西門院(34)の殿上始(てんじょうはじめ)の儀で、清盛と頼朝が対面します。緊張して酒をこぼした頼朝(13)を、清盛は厳しく叱咤…したかと思うと、温かい笑顔を見せたのでした。中川大志さん、目力ありますね。ここの清盛の発言は、迷走しつつあった源氏全体への叱咤と考えたい。

頼朝がとぼとぼ帰宅すると、母・由良に死前兆候が出ていました。義朝はなりふり構わず「清盛に宋の薬を都合してもらう」と言い出しますが、平氏に頭を下げるなと言って止める由良。「そなたの命に代えられるか!」とキレ気味に愛の告白をされ、

「あれ、殿らしゅうもない…されど…うれしや…」

とつぶやくのでした。なんていじらしい台詞ですか…。涙腺揺さぶられましたわ。

そして10日あまり後、由良は帰らぬ人となりました。

清盛は信西の精力的な仕事ぶりを見て、「この人に賭ける」と決意します。信西の経済政策が優れていたことが示されているのもいいですね。

義朝はなぜか常盤(22)に振られてしまい、アヴェ・マリアとともに寂しく背を向けて去るのでした。そして信頼に呼び出され、「おまえ信西を恨んでるんだろ?俺もあいつ邪魔なのよ。殺っちゃえYO!」と言われますが、「いくら何でもそれは」と固辞。今まで支えてくれた由良は他界して、常盤には拒まれて、どうでもいい信頼が接近してくるという、あまり人間関係に恵まれてない状況になっちゃってます。

そんな密談は知らない信西は、遣唐使復活の目途が立ったと徹夜明けハイで大喜び。大願成就のため、熊野詣に行くよう清盛に勧めます。「出立じゃー!」と一門を鼓舞する清盛の晴れやかな顔、すごく好き。どんどんいい表情になってきました。

義朝は信頼と組むことを決意し、経宗・惟方・信頼・成親(22)が待つクーデター実行委員会に姿を見せます。

内裏では、信西が相変わらず熱心に算木を並べて試算を繰り返していました。その算木が音を立てて揺れ始め、信西は異変の発生を知るのでした。

♪床の算木が〜揺れ始めたら〜反乱〜♪(ブルーライト・ヨコハマのメロディーで)

この場面、すごくよく考えられていたと思います。「ちりとてちん」をほとんど見ていなかった私は本作が初めての藤本脚本ドラマなのですが、改めて思うのは「リフレインがうまい」「小道具使いが効果的」「史実エピソードのふくらませ方がうまい」。

信西が計算に使っていた算木の音が夜遅くまで内裏に響いていたというのは「愚管抄」にあるエピソードなのですが、それを信西の必須お仕事道具として使用場面を何度も見せ、それが揺れることで乱の勃発と信西の最期を示す。算木が信西の象徴みたいになっているんですよね。

頼長のオウムもそうなのですが、史料に数行あるだけのエピソードがうまいことふくらまされて、ドラマの中で大きな意味を持ってくるというのは、前からこの時代を好きだった者にとってはたまらないのですよ。

そして今回良かったのは経宗・惟方。何か企んでいそうなんですが、「大物悪党」ではなくて小ずるい感じが出てたのが面白かったです。小悪党というか…。眉なし白塗りメイクだと、表情演技の巧拙が如実に出るなあと改めて実感。野間口さん、台詞のない場面でも表情だけで芝居してましたね。

2012/07/05(木) 「平清盛」第24回「清盛の大一番」
重苦しい回が続いたので、24回は息抜きエピソードです。楽しんで観ましょう。

やっぱりOPに「タルカス」の文字があると心躍るわー!なんて思っていると、

長門 豊真将 ってあーた。何が始まるんですか今回。

平重盛・基盛兄弟と、重盛の妻となる経子がこの回から本役。それぞれ窪田正孝さん、渡部豪太さん、高橋愛さんがそれぞれ登場します。

保元元(1156)年7月、讃岐へ流される新院(38)。

月日は経って保元2(1157)年10月。これまで里内裏だった内裏が信西(52)の采配で修復されました。柱も床も木が白々として、「新築の家のにおい」がしてきそうです。その大部分は平氏の財力のお陰と、控えめにアピールする信西。その功績で清盛(40)の弟たちも一つずつ昇進でき、無事にヒゲデビューを果たすことができました。

しかし、清盛からの譲りで従五位上に叙せられた重盛(20)は浮かない顔。大叔父上を斬れと命じた信西入道と仲良くできるなんて、父上が分からない…とこぼします。

その清盛は参内し、信西に会います。「長く絶えていた宮中行事を復活させたい。その目玉が相撲節会(すまいのせちえ)じゃ」と張り切っている信西。さらに、「これからは平財閥からの献金に頼らず、税を集めて予算を組む」と伝えます。

ところが、問題がありました。鎮西(今の九州は)農業や貿易で豊かに潤っているにもかかわらず、納税額が少ないのです。清盛は大宰大監(だざいのだいげん)・原田種直を訪れ、理由を探ってくるよう命じられました。

一方、後白河帝(31)のもとには守仁親王(15)と養母の美福門院(41)が訪れ、早よ譲位せんかいワレ、と促します。守仁くん、端正な顔立ちで肌がきれいで…

さぞや女装がお似合いになりましょう。

義朝(35)は報酬が不満だったらしく、信西に嘆願に行きますが、会ってすらもらえないという冷遇ぶり。(本当は清盛と義朝の官位は保元の乱の前の時点ですでに差がついていたので、二人が受けた恩賞は官位に応じたものだったのですが。本作では「義朝は冷遇されていた」説でいくようです。)

さて鎮西に到着した清盛一行。大宰府はシュロの木が植えられ、建物の色使いも鮮やかで南国情緒たっぷり。内装もテーブルと椅子があったりして、とっても異国ムードです。

納税額の少なさを問い質された原田種直は、「この地の海賊どもに分け与えております。代々そうやってバランス取ってきてんですから、今さら都からの口出しは無用」と平然と言ってのけます。何代にもわたり、地元のヤクザと癒着して利益を得ていたのです。

それならばと、兎丸以下の海賊たちを種直の前に連れてくる清盛(このときの「ごめん仕る」という登場の仕方、可愛かった!)。こいつらが暴れ者どもをやっつけますから、もう困らないでしょ?納税できるよね!と笑顔で恫喝。

頼まれもしないのに用心棒を押し付けて金を取るという、お手本のようなヤクザ方式です。清盛はここから得た資金で、相撲節会に一役買うつもりのよう。

平氏の、こういう商売にたけた面というのは面白いですね。平氏はもちろん武家なのですが、商人(あきんど)集団みたいな面もあるなと思います。

参内した清盛に声を掛けたのが藤原成親(20)。何かと言えば、妹の経子と重盛との結婚話でした。重盛は経子のことを「よきお方と存じます」と言いつつも、父に対する心中の引っ掛かりが消えないようです。

そして感慨にふける家貞(74)がもう死にそうな演出されてますが、こっ…この人まだまだ死なないんだからねっ!勘違いしないでよね!

年が改まり、保元三(1158)年2月。
頼朝(12)が少年期役の中川大志さんにバトンタッチ。母・由良のつてで上西門院(33)に仕えることになり、うれしい場面と思いきや、由良が昏倒。義朝(36)は上西門院から「由良に負担を掛け過ぎているのではないのか」と暗に責められてしまい、

駆け込むのが愛人の家。

ご、ごめん義朝。全っ然共感できん。由良の側にいてやるときでしょうが。

義朝は相撲節会の準備に忙しい信西に特攻をかけ、「官位をくださりませ!官位をくださりませ!官位を下さりませ!」と頭を下げますが、焦って起こした行動がうまく行ったためしは歴史上ないわけで、当然相手にされません。

そしていよいよ、重盛(21)と経子の婚礼の日。重盛はわだかまりを抱えつつも、結局はっきり拒めないままここに至ってしまったらしい。ノーと言えない人なのでした。白い着物を着るのは新郎なのね。折烏帽子もちょっときれいなバージョンです。ここでみんなが歌って踊っている歌、楽しくていい感じ。

同じ日、内裏では相撲節会が始まりました。力士たち、登場です。脇から異国ガールズが登場し、お茶を入れます。

せっかく平氏メンバーが楽しくお祝いしてくれているのに、重盛は何を思ったか、経子に土下座。「結婚を取りやめたい」と言い出します。理由を問う清盛(41)に「父上についていけるか分からない、覚悟ができない」と言う重盛。

清盛は「よう分かった」と答えながらも、息子の胸ぐらをつかむと「お前のたわごとに付き合うておる暇(いとま)はない!早う婚礼を済ませ、子でももうけよ!」と一喝して地面に投げ飛ばしてしまいます。

ただ今の決まり手はー上手投げー、上手投げでー、播磨守の勝ちー。

すいません決まり手は適当です。相撲は分かりません。

内裏では長門こと豊真将関も勝ちを収め、後白河帝(32)は清盛プレゼンツの茶を気に入り、清盛の大宰大弐就任が決定しました。そして同年八月、後白河帝は退位。二条天皇が誕生します。

信西から与えられる難しいミッションを次々とクリアして昇進していく清盛。一方、義朝は五位の位にくすぶったまま。差は開くばかりでした。

今回も見ごたえありました!

2012/07/04(水) 「平清盛」第23回「叔父を斬る」
全米が泣いた第23回です。

OP映像の定位置から山本頼長が消え、吉沢なりちーがピンクレジットになったことに感慨を覚えていると、あっという間に本編です。

忠正とその息子たちの斬首を告げる信西に清盛は抗議しますが、「従わぬなら官位、領地、財宝を召し上げる」と平然と返されてしまいます。動揺し、階(きざはし)でずッ転ぶ清盛。

何とかならないかと、後白河帝のお気に入りである藤原成親に訴えます。しかし、「私もお諌めしたのですが、いかんともしがたく」と身を震わせて謝る成親。なりちーも清盛の境遇に心を痛めているんだね…と思ったら、

芝居でしたがな。

なんと食えん奴。平治の乱で重盛に泣きつくくせに!

一方の義朝も、父の為義と弟たちを斬首するよう言い渡されていました。憤然と抗議する義朝ですが、黒さ全開の信西は痛くもかゆくもありません。「清盛は全部しゃべったぞ」と、複数犯を取り調べる刑事のようなやり口で義朝を揺さぶります。

動揺した義朝は、自邸に戻ると由良を殴って八つ当たり。株価下落に歯止めがかかりません。 由良が良かれと思って為義を連れ戻したのは分かっているのに、苛立ちをぶつけてしまうのでした。

平家メンバーもあれやこれやと案を出しますが、結局話はまとまりません。何とか忠正を助けたいと思う清盛ですが、忠正は死罪を受け入れると静かに告げます。

源氏パートでは、久々に語らう為義・義朝親子。この場面、夕日が差しているせいもあるんですが、小日向為義さんの穏やかな笑みがなんかもう、解脱して見える。 仏です、既に。

由良は義朝に頬を張られてもめげるどころか、鬼武者(10)に為義の斬首を見せるつもりです。なんちゅうスパルタ教育ママですか。為義一人だけならまだしも、その息子たち(鬼武者からすると叔父さんたち)5人も斬られるんですから、計6人が斬り殺される惨劇を10歳(満8〜9歳)の子にその目で見ろとか、酷ですよ…。首を切るんだから、出血すごいしね。

いよいよ後戻りできなくなり、覚悟を決める源平双方の人々。

執行の日、忠正と息子たちは無紋の狩衣(浄衣:じょうえ)に身を包み、一門に最後の別れを告げるのですが、

ここからもうタオルいります。

この見送りの場面、忠正が短く「参る」という以外、一切台詞がありません。なくして大正解。役者さんの表情、目と目を交わし合って頭を下げる。これだけで十分すぎます。ヘタに何かしゃべらせたら一気に白けるところです。

遂に、執行の場に来ました。

清盛が忠正の後ろに回り、いよいよ…と思ったら、

なんか小汚い坊主が物陰に。

源氏方も為義はじめ息子たちがむしろに座り、いよいよ…と思ったら、

なんか小汚い小僧が物陰に。

西行・鬼若の2人をそれぞれ目撃者として、処刑が行われます。(平家方の刑場で水音が聞こえるのは、六条河原ということを暗に示しているのでしょう。)

しかし、清盛も義朝も身内を斬れません。

そこで流れる反則技、アヴェ・マリア。

「斬れ!」と声を上げる忠正、為義。

小日向さんその顔は反則――!!

なんですかその悟りきった穏やかな顔。いかんですよ。どんだけ泣かせたいんだ視聴者を…!

遂に清盛は剣を振り降ろし、忠正は絶命します。

一方、父を斬れない義朝。刀を取り落として座り込み、子供のように泣き出してしまいます。

弱く不甲斐ないとばかり思って袂を分かった父は、こんなにも穏やかだった。子の自分といがみ合った末に死罪にされながら、自分に何の恨みごとも言わなかった。為義は確かに弱かったけれど、温かい父だった。自分が見捨てた程度の人物では全くなかったのに、それに気付いたのが手にかける直前だったのです。大きすぎる物を捨て、そのかけがえのなさに気付いたんですよね。義朝は、取り返しのつかないことを何年にもわたってしてきたのです。

「義朝、泣くでない。泣かずともよい。もうよい。もうよい」

いやもうこの台詞、涙腺直撃でした…。録画で見ても同じ所で泣いてしまいますから。

結局、義朝は自分で為義を斬れず、落とした刀を正清が拾い、首を落としたのでした。

源平計11人の処刑が済んだと聞き、一筋の涙をこぼす信西。これはあれですか、「殴ったほうも痛いんだ」的なことでしょうか。

この回は死刑執行だけで完全燃焼したので、その後の後白河帝の宴はおまけという感じでした。

ラストを飾ったイベントは鬼武者の元服。およそ30年後に平家を滅ぼす源頼朝が誕生し、次回に続く。

いやー、泣いた、泣いた。豊原功補さんも小日向文世さんもハマリ役にして名演でした。名場面として語り継がれることでしょう。ありがとうございます。お疲れ様でした。

ここまで重たい場面が続いたので、24回「清盛の大一番」は気楽に見られるコメディ回なんでしょうね。

さてここらで、本編中で台詞は少ないかほとんどないものの、ちゃんと役名がついていてクレジットにも出ている皆さんをまとめて載せておきます。

公卿:
藤原公教 並樹史朗
源雅定 赤星昇一郎

頼長の息子たち:
藤原師長 片山景介
藤原兼長 中根大樹

梓 水木薫(すみません、どの場面に出ておられたのか分かりませんでした…)

頼長の従者:
図書允俊成 窪田吾朗

忠正の息子たち:
平長盛 大地泰仁(処刑前の表情が晴れやかでした)
平忠綱 久保山知洋
平正綱 山本卓
平通正 竹下諒一

為義の息子たち:
源頼賢 永岡佑
源頼仲 岩間天嗣
源為宗 大木貴文
源為成 新井裕介
源為仲 藤村直樹

【拍手お礼】
7月2日午前1時、午後1時台に拍手下さったかた、ありがとうございます!またお待ちしております。^^

2012/07/03(火) 「平清盛」第22回「勝利の代償」
引き続き保元の乱。
新院方は義朝の放火で総崩れ。頼長も輿に乗って逃げ出しますが、中の山積みの本が地面にぶちまけられてしまいます。それを半狂乱でかき集めようとする頼長の首に

矢が命中。

見事な刺さりっぷりでした。もう「あー!あー!」しか言ってない頼長。本なんかほっとけよと思うのですが、パニックになってる時なんて、そんなものなのでしょう。

一方の新院も人気のないところまで逃げてきますが、供の者たちを帰し、教長に「出家したい」と告げます。しかし「僧も剃刀もございません」と教長。思い返せば生まれてこのかた、何一つ思い通りになったことなどなかった――と嘆くのでした。ここの井浦さんの悲しく悔しい表情、ぐっと迫って来ました。

こちらは後白河天皇方の陣営。忠直ら、落命した兵に清盛たちが手を合わせます。この場面を入れたことに拍手したい。この時代、戦いから逃れることはできませんでした。だからこそ、戦って命を落とした者を敬意を持って弔うのです。「いくさは嫌にござりますぅ〜」などとぬかしていた去年とどちらが上か、比べるまでもありません。

源氏方では、父を失った鎌田正清に義父の忠致が「私を父と思うがよい」と言葉を掛けます。頭を下げる正清。そいつを信じちゃいかんよ、正清。

さてここからは、清盛・義朝ツンデレ劇場。

大鎧、脱がないの?

あれ20〜30kg近くありますので、あんなもの付けて寝転がったら起き上がれません。もう合戦は終わったんだから、脱いでいいのになあ。

ともあれ、いつものキャッキャウフフの末に、源氏重代の太刀「友切」を「髭切」(ひげきり)と改める義朝。

清盛は息子たちとともに自邸に戻ってくるのですが、

大鎧、(略)

さすがに脱いでいいだろもう。

忠正は行方知れず。「大叔父上を探さぬのですか」と言う重盛ですが、清盛は「棟梁としてそれはできぬ」と厳しい一言。本当は気になっているだろうに、落ち着いています。

再び、頼長です。史実通り、南都(奈良)まで落ちのびてきました。「頼長が来た」と聞いて、「去らせよ」と答えるまでの忠実の「間」と表情、良かったですね。舌を噛み切った頼長の口から流れる血が、赤黒くドロッとして生々しい。

頼長よ、こうするしかなかったのだわしは…と思っている忠実の前に、

オウム、飛んできたー!京から奈良まで飛んできたーー!

驚いて駆け寄る忠実に、「チチウエ、チチウエ」と頼長の言葉を伝え、力尽きます。追い返したことを悔い、慟哭する忠実。もらい泣きしましたよ…。

京では、破壊された頼長邸で信西が日記を見つけます。私利私欲に走らず良い国づくりに努めるよう、頼長は息子たちに訓戒を与えていたのでした。この箇所が好きなので、映像化されてうれしかった!

そのほかの部分は読まない方がいいけどね。

平家では忠正と息子たちが見つかり、連行されてきていました。重盛の前では棟梁らしく「叔父上を探すことはできない」と言って聞かせていましたが、実は忠清に命じて探させていたらしい。それでも重盛には言わないあたり、息子の前で棟梁はどうあるべきかを考えているのが分かります。大人になったよね、清盛。

当時、死刑は350年近く執行されていませんでしたから、考えうる最も重い刑は流刑でした。それゆえ忠正は「わしはどこか遠い島に…」とつぶやきますが、「さようなことはさせませぬ」ときっぱり告げる清盛。

一方の義朝邸には、行方不明だった為義が。由良が実家の人脈を使って探したのです。奥さんがせっかくいい仕事したのに、いらんことするなと突っぱねる義朝。嫌だこんな夫。

結局由良一人が為義と対面し、「義朝が内の昇殿を許された」と伝えます。「殿上人となったのか、義朝が…」とつぶやく為義。この笑顔の穏やかさ。降り注ぐ柔らかな光。今回のベストシーンです。 袂を分かってからはいがみあうばかりになったけれど、かつて誓ったように息子が上へ昇って行っていることが、純粋にうれしいんですよね。音楽も合っていました。

さて新院は仁和寺にて、坊主組の仲間入りです。

またメイクが大変になりますね。(´・ω・`)

90分かかるらしいですから、あの特殊メイク…。

内裏では新院方の処罰をめぐって会議が行われていました。「上皇様は流罪が相応」と言い出す信西に、公卿たちはぎょっとします。「また皇位を狙うかもしれないから」と理由を述べる信西ですが、「それでも…」とビビる公卿たちを、遂に声を荒げて、

「ならば何のためにいくさをなさった!」

と問い質します。

これは素晴らしい台詞でした。冒頭の「死んだ兵に合掌」と並んで、高く評価したい場面です。いくさはこれといった考えもなしに起こして、安易に人殺しをするだけのものではない、相応の覚悟をした上でやるものだと。敗者の処遇を決めるにも、「誰かに過酷な罰を科す」という辛さから逃げるな、向き合え!というわけです。

本作で明示されているのが「いくさは単なる人殺しではない」ということなんですよね。戦乱から逃れられない以上、覚悟を決めて現実と正面から向き合い、格闘するしかありません。そして散った者には敬意を払う。それがこの時代の真摯さ、誠実さです。昨年の「いくさは嫌」みたいに現代の価値観を安易に持ち込むことは、当人たちへの侮辱でしょう。

そしていよいよ、忠正と息子たちの処罰が決まり、信西から清盛に伝えられました。刑は「斬首」。

350年執行されていない刑を再開するというのは、江戸時代の「市中引き回しの上、はり付け」を21世紀に再開するようなもの――といったら、清盛の受けた衝撃が伝わるでしょうか。

2012/07/02(月) 更新情報&拍手お礼
7月になりました。夏ですね〜。今年は梅雨なのにあんまり雨が降っていないです。少しは降ってもいいのになあ。

さて、「保元人物考 藤原頼長」をちょこちょこ加筆しております。頼長埋葬の地について、般若寺HPにいい史料がありますよ。

【拍手お礼】
6月29日に拍手下さった方、ありがとうございます♪またおいでいただけたらうれしいです。


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