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2012/12/28(金)
「平清盛」第49回「双六が終わるとき」
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あと2回で終わりますので、物語は終結へとひた走って行きます。
この回は治承5(1181)年の正月から始まりますが、清盛が死ぬのがこの年の閏2月ですので、死ぬ前の2カ月くらいの話です。
まずは1月、高倉上皇(21)が死去。上皇が笛を吹こうとするけれど、息が弱って音が出ない…というシーン、ほろっときました。
上皇の死に伴って院政を行う人物が必要になったので、後白河上皇(55)が幽閉を解かれ、再び政治の場に出てきます。ここで清盛が徳子(25)を、後白河院の後宮に入れようとしたというのは実話。かつて滋子が後白河院と清盛の仲介役となり、両者が良好な関係を保っていたのを再現しようとしたのかもしれませんが、それは別に徳子じゃなくてもいいはずなんですよね。別の女性でも。なのに徳子を選んでしまうあたり、老化に加え、平家が危機に直面していた焦りで清盛の判断力が鈍っていたのではないかと想像されます。
源氏パートでは、梶原景時が頼朝(35)の家人に加わります。すっかり東国武士たちの信頼を集めている頼朝を見つめる、北条時政(44)の温かい目がいいですね。前にも書きましたが、この人は場面によって目つきが全然違います。ほんと遠藤さん、名優だわ。
よく見たら、藤九郎(安達盛長)の髪はかなり白髪交じりなんですね。この人は一体何歳なんでしょうか。頼朝が廃人モードだったときは、20代後半〜30代くらいに見えましたが…と思って調べてみると、1135年生まれだそうなので、このとき47歳(数え年)ということになります。47歳なら白髪も…
え、47歳!?
時政より年上じゃん!!
ひいいー。「時政40代、藤九郎30代(=頼朝と同世代)」くらいの認識でしたわ。まあ、ストーリーには影響しないことではありますが。
そして今回かなり、驚きのシーン。
堀河局です。
歌会のシーンで久しぶりに上西門院様が(なぜかこの人は様づけで呼びたい)見られて「わー久しぶりー!」と思ったのですが、 そんなことで喜んでいる場合ではなかった。
りょうさん、凄いです。老婆です。真っ白な髪はもちろん、眉はないわ、顔はしわしわだわ。ドラマ上とはいえ、女優さんをあそこまで老けさせることはめったにないと思います。貴重な絵ですね。
待賢門院堀河は生没年不詳なのですが、仮に待賢門院(1101〜1145)と同世代とすると、このとき80歳前後。西行との年の差をもう少し縮めて、10歳くらい年上と考えると70代なかば、という感じです。
その堀河局を誘惑する西行(64)。
全然変わってないなこいつ。袖の中に手を入れるだけなのに、この場面がやたらとエロいです。
で、唐突に藤原俊成が参加している上西門院の歌会とか、堀河局と西行の色っぽい場面がなぜここに挿入されているかというと、彼ら彼女らは「貴族の世の最後の輝き」だからなのですね。季節は冬、雪が降っています。雪が解けて春が来れば、新しい何かが、眠りから覚めた虫が土から出るように動き出し、躍動し始める。春は「始まり」であり、すなわち冬は「終わり」です。平安の世が終わり、春――新しい世――がすぐそこまで来ていることの暗示です。
再び源氏パートでは、義経や弁慶に、鎌倉の街づくりの計画を話す頼朝。その計画が西行から清盛に伝わります(西行は一体どんな情報網を持ってるんだ)。かつて自分が福原でやろうとした都づくりと重なる清盛。自分がやろうとしていたことが、頼朝に受け継がれているわけです。が、バトンが渡るというのは寂しいことでもある。次の走者にバトンを渡してしまった以上、主役はもう自分ではないということです。この日本を動かす渦の中心はもう、自分から頼朝に移ってしまっていました。
清盛が持っていた「貿易」と「武士の世」というバトンはそれぞれ小兎丸と頼朝に渡されたのですが、まだ決着がついていなかったのが後白河院。初めて清盛の方から双六勝負を持ちかけ、そしておそらく初めて、腹の探り合いばかりをしていた2人が本音で話をします。本音で話をするということは、どちらももう「戦闘モード」ではないということなんですよね。穏やかな顔になってるし。ああ、この物語はもう終わるのだなあ、と寂しくなりました。後白河院ももう、清盛を挑発するようなギラギラした目をしていません。
そしていよいよラスト、清盛が高熱を出します。遂に熱病きたー!
と思ったら、
伊勢は二見が浦の西行の庵に、清盛現る。
幽体離脱かい。
どこへ行く、清盛!
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