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2012/12/20(木)
「平清盛」第46回「頼朝挙兵」
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この辺りもう、見るのがつらいですね。平家が坂を転げ落ちていくくだりなので。
前回からの続きで治承4(1180)年。以仁王の令旨を受け取った伊豆の頼朝(34)が、挙兵を決意します。頼朝を奮起させる時政(43)の鋭い目つきにご注目。農業を楽しんでいた朴訥なおじさんは世を忍ぶ仮の姿だったに違いありません。別人格としか考えようのない、ギラギラした目になっています。短い場面ですが、ここの遠藤さんの目がすごくいい!
福原では、前回登場した仏御前を可愛がっている清盛。祇王・祇女姉妹は出ていってしまいます。
その清盛(63)が上洛。頼政(77)が六波羅に呼び出され、すでに以仁王(30)につくと決めていた頼政はひやひやします。清盛はそんなことは知らないので、福原京の設計図を頼政に見せて上機嫌。「義朝と共に目指した武士の世」が実現すると語ります。
義朝はそんなことまで考えていなかったと思うけどね。
私のイメージですが、義朝は武勇だけの人なんで、長期的に国がどうあるべきか、みたいな大きなビジョンはなかったと思います。痛かったのは、清盛には大きなビジョンがあるけれど、他の人にはないという事実を清盛が分かってなかったことかもしれないですね。自分が抱いている展望は他の人にも見えていて共有されていると清盛は考えているのですが、実際には共有されてないのです。
で、なんで上洛したかと言うと、病床にあった知盛(29)を見舞いに来たのでした。知盛は人気の人物なので、創作作品では「病弱」という暗い面はなかなか描かれにくい。このドラマは貴重だと思います。(だから05年「義経」で知盛に阿部寛がキャスティングされ、当然の成り行きとしてガチの武人キャラにされたのは違和感が大ありでした。ミスキャストにも程があるというものです。)
福原に帰った清盛に、「以仁王が平家打倒の令旨を出した」という知らせが伝わります。平家にばれたと分かり、大津にある園城寺(三井寺)に逃れる以仁王。ここから頼政父子の絶命まで、わりとあっさりと描写してしまいました。頼政の辞世の歌が登場しなかったのは残念。
六月、清盛は福原への遷都を強行。止めようとする頼盛(49)に向かって怒る清盛の表情、すごい迫力でした。清盛は基本的に寛大で人望のある人だったんですが、晩年になると感情が前面に出るようになって、キレやすくなってたんじゃないかなという気がします。平家への反感が高まっているのは感じていたので、焦りもあったと思います。
で、ここからの15分。夜の福原の場面です。
すごかったですねこれ。舞台かと思いました。なんも言えねえー。
念願の福原遷都を実現したのに、誰もついて来てくれず、人心は離れていく。その孤独と苛立ちで、清盛はどんどん態度を硬化させていくのですが、本当は寂しいんだよなあ。だから、暗闇なのですね。
そこへ忠清が、頼朝が挙兵したと告げに来ます。それを聞いた清盛は、戦うスピリットを取り戻した!自分が何者か思い出した!
清盛には実の父(白河院)と育ての父(忠盛)という2人の父がいて、後者の象徴が忠盛からもらった宋剣。これは清盛の中の、武士の部分を象徴するものでもあります。ここまでの清盛は白河院化が進んでいて、母・舞子のように仏御前を殺そうとしさえしたのですが、すんでのところで宋剣に戻ってくる。清盛の父は忠盛という描写です。
つまり、「血のつながり」は絶対的なものではないという提示なのですね。「血がすべて」という遺伝至上主義の否定です。
白河院の影から逃れ出た(と思われる)清盛が、最後までどう突っ走ってくれるのか、楽しみです!
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